大阪駅
大阪駅(おおさかえき)は、大阪府大阪市北区梅田にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅。駅施設は梅田三丁目から大深町まで広がっている。 西日本で最多の乗降客数を誇る駅で、全国でも新宿駅、渋谷駅、池袋駅、に次いで4番目に多く、(多くの駅の乗降者数ランキングでは横浜駅が4位となっているが、これは梅田駅などの大阪駅を構成する駅に分けた場合のランキングである)世界的にも有数の利用者数を誇る。駅長が配置された直営駅で、管理駅として塚本駅を管轄している。JRの特定都区市内制度における「大阪市内」に属する駅であり、運賃計算の中心駅となる。また、アーバンネットワーク(京阪神地区)の運行の要衝となる駅で、運行系統の軸をなしている。第1回近畿の駅百選にも選定された。 当駅は大阪最大の繁華街・ビジネス街である梅田の中心に位置する西日本最大のターミナル駅であり、関西一の鉄道交通の拠点である梅田地区の鉄道駅の1つである。JR西日本の駅としては最も利用者数が多い[1]。また、駅ビルの大阪ステーションシティは当駅を核に構成される巨大複合商業施設である。 各線の梅田駅との乗り換え駅であり(後述)、大阪府内に「大阪」と付く駅が多いことから、「大阪(梅田)駅」とも表示されている(新大阪駅などの一部周辺のJR西日本の駅でもこの表示がある)。また、梅田地区の駅をまとめて「大阪・梅田駅」や「大阪駅・梅田駅」と表記されることもある。当駅南側に位置しているJR東西線の北新地駅とは地下街・地下通路で連絡しており、条件を満たした乗車券であれば同一駅として扱われ、乗り換えができる。 概要東京および山陽・九州方面への長距離列車については、1964年10月1日に開業した新大阪駅を発着する東海道・山陽・九州新幹線に地位を譲ったものの、当駅は現在でも北陸方面との特急の始発・終着駅であり、新快速を始めとする近畿圏の都市間連絡列車や、北近畿・山陰・関西空港・南紀・飛騨方面との特急、出雲市駅・高松駅発着の寝台特急(客扱いはサンライズ出雲・サンライズ瀬戸の上り東京行きのみ)などの在来線特急も発着している。 かつては東北・北海道・九州・山陰方面に向かう夜行列車も発着していたが、山陰方面は2004年に夜行急行「だいせん」が廃止されて夜行列車がなくなり(「サンライズ出雲」は後述のように上り東京行きのみ客扱い)、2008年3月に当駅 - 東京駅間を結んだ寝台急行「銀河」、末期は京都駅発着で九州方面を結んだ寝台特急「なは」・「あかつき」が廃止、2009年3月に東京駅 - 九州方面を結んだ寝台特急「はやぶさ」・「富士」(客扱いは下り列車のみ)が廃止され、九州への夜行列車がなくなり、2015年3月14日のダイヤ改正で寝台特急「トワイライトエクスプレス」が廃止されたことで東北・北海道方面を行き来する夜行列車も消滅した。これによって当駅(および京都駅)を始発・終着とする定期夜行列車は全て消滅した。現在、当駅から発車する定期列車の最遠は、普通列車は西側は上郡駅、東側・北側は敦賀駅、南側は御坊駅、特急列車は西側は倉吉駅、東側は東京駅、南側は新宮駅である。 当駅(JR大阪駅)の事務管コードは、▲610130となっている。なお、大阪・新大阪の事務管コードは▲619910、大阪市内の事務管コードは▲619901が用いられている[2]。 次述の乗り入れ路線のうち大阪環状線は、各駅に「駅シンボルフラワー」が制定されており、当駅は「バラ」である[3]。 乗り入れ路線東海道本線を所属線として[4]、大阪環状線を加えた2路線が乗り入れている。また尼崎駅を起点とする福知山線の列車も東海道本線を経由して乗り入れており、東海道本線の高槻駅方面との相互直通運転を行っている。加えて、神戸駅から山陽本線に直通する列車や、相生駅から赤穂線に直通する列車、山科駅から湖西線に直通する列車、米原駅から北陸本線に直通する列車も乗り入れている。さらに西九条駅から桜島線に直通する列車のほか、天王寺駅から阪和線・関西空港線に直通する列車や関西本線に直通する列車も乗り入れており、大阪環状線の京橋駅方面との直通運転を行っている。2023年3月18日に新たに大阪駅地下ホーム(仮称は北梅田駅)が開業したことにより、それまで新大阪駅止まりだったおおさか東線は梅田貨物線経由で当駅地下ホームまで乗り入れるようになった他、それまで当駅を経由しなかった特急「はるか」や「くろしお」が停車可能となった。 JR西日本によるアーバンネットワークの独自の愛称路線名として、東海道本線の京都方面には「JR京都線」、東海道本線の神戸方面には「JR神戸線」、福知山線の宝塚方面には「JR宝塚線」がそれぞれ設定されている。これらの路線について、JR西日本の旅客案内では愛称路線名のみが使用されている。 JR京都線・JR神戸線にはJR-A47、JR宝塚線にはJR-G47、大阪環状線にはJR-O11、おおさか東線にはJR-F01の駅番号がそれぞれ設定されている。 当駅からの接続路線→「梅田地区の鉄道駅」も参照
付近には複数の地下鉄や私鉄の駅があるが、「大阪駅」と名乗っているのはJRのみで、それぞれ次の駅が近接して設けられており、徒歩での乗り換えが可能である。 歴史計画と建設1874年(明治7年)に大阪駅 - 神戸駅間の鉄道開業と同時に開業した。建設はジョン・イングランド ら英国人技士団の指導の下で進められた。駅舎は赤煉瓦造り2階建てで、現在の四つ橋筋より西側の西梅田スクエア(大阪中央郵便局旧局舎跡付近)にあった。当時の梅田は民家がわずかにあるだけで駅周辺は田圃が広がっていた[8]。 工部省鉄道寮は当初、江戸時代以来の市街地である堂島のうち田蓑橋北詰一帯、現在のNTTテレパーク堂島付近の蔵屋敷跡地を利用して頭端式での建設を計画していたが、最終的に設置場所は曽根崎村の梅田に変更となった。 堂島から梅田に候補地が変更されたのは、将来東へ線路が延伸された際に京都駅 - 神戸駅間の直通運転に都合が良いよう、通過式の駅構造にするためだといわれている。また、堂島だと相当な用地買収が必要となるが、梅田だと経費を抑えられるというメリットもあった。大阪駅より2年早く開業した初代横浜駅は西日本への延伸を考慮しておらず、頭端式ホームを採用したため、その後の計画変更で移転を強いられたことからしても、東西直通運転を可能にしつつ市街地にできるだけ近づけた大阪駅には、先見の明があったという意見がある[9]。 大阪駅は1889年(明治22年)の市制施行時でも大阪市に含まれず、1897年(明治30年)まで西成郡曽根崎村に属していた。 開業後の推移開業当初、大阪駅は「梅田駅」「梅田ステーション」「梅田すてんしょ」などと呼ばれていたが、阪神・阪急や貨物駅の梅田駅が開業すると、次第に大阪駅のことを「梅田駅」などと呼ぶことはなくなった。 当初は貨物輸送の比重が大きく、堂島から梅田への候補地の変更は水路との接続を犠牲にするものであったことから、1878年(明治11年)に堂島川から駅の南西まで、堂島のもと駅候補地の東端に沿って堂島掘割(梅田入堀川)が、開削された。堂島川の南に位置する中之島にも土佐堀川まで中之島掘割が開削され、水運の便が図られた。 しかし、旅客輸送が次第に増大すると、駅の南西に入堀(船溜)があること、市街の中心となる船場とのアクセスの悪さ、大阪市電の乗り入れ計画などを考慮して、十分な駅前広場を確保すべく、1901年(明治34年)7月に現在地である四つ橋筋より東側へ移転された。なお、貨物の取り扱いに関しては後に梅田貨物駅が設置された際に全面移管され、梅田入堀川も北へ延伸されている。 1906年(明治39年)に公布された鉄道国有法に基づき主要私鉄が国有化される前は、当駅に官営鉄道(国鉄)の列車のほか、山陽鉄道(今の山陽本線)・阪鶴鉄道(同じく福知山線)・西成鉄道(大阪環状線・桜島線)・関西鉄道(関西本線・大阪環状線など)・南海鉄道(南海本線)といった5つもの私鉄の列車が乗り入れていたことがあった。南海鉄道の列車は、1984年と1993年の2段階で廃止された天王寺線経由で関西鉄道線に乗り入れる形で、山陽鉄道と阪鶴鉄道の列車は官営鉄道へ乗り入れて当駅に達していた。 1934年(昭和9年)には大阪市街の踏切の撤去を目的とし、城東線(のちの大阪環状線)と共に大阪駅の高架工事が実施されるが、それに先駆けて1926年(昭和元年)に阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)が大阪市街の高架化工事を実施し、同社線起点の梅田駅も東海道本線・城東線をまたぐ形で仮設の高架駅となっていたため、高架化に際しては阪急梅田駅を地上駅にする工事も同時に行う必要があり、結果として路線の上下を同時に入れ替えるという大工事を、5月31日から6月1日にかけての一夜で実施することになった(工事についての詳細はこちらを参照)。この時地上駅となった阪急梅田駅は、1970年代に北へ移設して再び高架駅に戻っている。 上町台地に位置する天王寺駅や難波砂堆に位置する難波駅と異なり、天満砂堆から西へ外れた大阪海岸低地に位置する大阪駅は、標高が低く、地下20 m付近まで多量の水を含んだ粘土層という軟弱地盤となる。高架化の際には、軟弱地盤に対処するため鉄筋コンクリート製の杭を打ったものの、粘土層で基礎杭が留まっていたために建設直後から地盤沈下が生じた。当時は地下水の汲み上げ規制がなかったことで脱水圧密も生じ、沈下量は最大で1.8 mにもなった。一方で、御堂筋線との交差部では基礎杭が砂礫層に達していたために沈下量が極小であったが、その前後の沈下量に著しい差があったために不等沈下が生じた。その結果、当時の大阪駅構内は駅東端で最大23.6 ‰の急勾配が生じ、ホームの屋根が建築限界を超えて車両限界に抵触するなど、列車運行に支障をきたすようになった。 深刻な地盤沈下に対処するために、当駅では日本初のアンダーピニング工法が採用された。1962年(昭和37年)までの5年間に計245本の杭が砂礫層に打たれたことにより、沈下は沈静化した。また、同年には地下水の汲み上げを規制する法律が制定されたことにより、沈下原因も解消に向かった。地盤沈下の名残として、現在でも駅構内は数段の階段や勾配が数多くある。この様子は2023年6月10日放送のブラタモリ#237「大阪・梅田 -カオスな梅田はどう生まれた?-」(NHK総合) で紹介された[10]。 1964年(昭和39年)10月1日に東海道新幹線が開業した際には、既に梅田地区には新たに新幹線用の施設を設けるだけの土地の余裕がほとんどなかったことや(北は阪急梅田駅や梅田貨物駅、南は阪神百貨店など)、将来の山陽新幹線建設を考慮した際に北方貨物線の上の用地を使えるようにした方がいいと考えられたため、大阪の市街地から3 kmほど離れた新大阪駅をターミナルとした。 1989年に梅田貨物線を使用して京都駅・新大阪駅から和歌山・関西国際空港への直通列車を走らせることになった際には、当駅はそのルート上に新たにホームを設けるには大きく離れていたため設置は一旦見送られ、通過扱いとなった。
大阪駅開発プロジェクト→再開発エリアについては「大阪ステーションシティ」を参照
2004年より2011年にかけて、大規模改良・再開発事業である「大阪駅開発プロジェクト」が行われた。 再開発エリアは「大阪ステーションシティ」(OSAKA STATION CITY) と名付けられ[広報 2]、百貨店・ファッションビル・ホテル・オフィスなどで構成される巨大複合商業施設(駅ビル)である。広場・通路の整備、ノースゲートビルディングの建設、「アクティ大阪」から改称したサウスゲートビルディングの増築がなされた。店舗面積(三越伊勢丹・大丸・ルクアを合算)で134,000m2と大規模なものとなり、三井不動産が手がけるショッピングセンターであるららぽーとの旗艦店のららぽーとTOKYO-BAY(千葉県船橋市、115,000m2)を抜いて西日本最大、日本第2位の規模を誇る商業施設となる。2011年5月4日にグランドオープンした。 プラットホーム中央部を覆うように弧を描く巨大な片流れの大屋根が設置された。東西長約180m、南北長約100mで、高さは最も高い地点で約50mに達する。一部にガラスが使われ、自然光が差し込む作りである。これに伴って既存のホーム屋根は端部を残して撤去される予定であったが、風に飛ばされた雨が屋根の横の隙間から吹き込むことが判明したため[11]、透明なガラス製の屋根を設置することとなった[広報 3]。 また、駅改良工事としてホーム上に建設された人工地盤に新しく橋上駅舎が設置されるとともに、8番のりばなどの拡幅による混雑緩和や御堂筋口の中2階通路の廃止によるコンコースのフラット化やエスカレーター増設などのバリアフリー化も図られた。橋上駅舎には新しい改札口「連絡橋口」が設置され、2010年11月1日から暫定的に乗り換え専用通路として使用し[広報 4]、2011年4月11日に使用を開始している[広報 5]。 総事業費は2,100億円に及ぶ[12]。現在の当駅の平均乗降客数は85万人だが、JR西日本では大阪ステーションシティの開業で91万人にまで増えると想定している。また、開業後の当駅の増収効果を鉄道業や流通業、ビルのテナント料収入などで年間725億円と試算され、開業当初は減価償却費などがかさむが、5 - 6年後には利益を生み始めると見積もられている[13]。
プラットホームの変更新北ビルの建設用地を捻出するため、プラットホームの削減工事が行われた。削減に伴い、7面13線から6面11線となっている。ホーム数削減工事は、2004年(平成16年)5月16日に福知山線方面への快速列車・特急列車の発車や北陸方面からの特急列車が到着していた旧1・2番のりば(現在の3・4番のりば)の使用を停止し、同ホームの工事が行われた[広報 6]。2005年(平成17年)2月27日から同ホームは3・4番のりばに改められると同時に、「環状内回りのりば」「環状外回りのりば」と割り振られていた大阪環状線のホームは1・2番のりばに変更された[広報 7]。その後も順次、各ホームごとに11番のりばまで工事が行われ、一時は5面10線にまで縮小された。また、2010年10月12日に6番のりばと旧7番のりばの間にあった旧中線跡を利用してホームが拡張され、末端部分にあった留置用の中線も撤去されている。 このホーム数の削減に合わせて改修工事が行われた。主な工事内容は次の通り。
旧10・11番のりばはノースゲートビルディング建設用地の一部となったが、旧11番のりばのうち西側の約100 mほどは立体駐車場への連絡通路へと転用され、ホーム時代の屋根等がほぼ廃止時のままの形で再利用されており、往年の面影を残している[14]。また、ホームの改良工事に合わせて、3・4番のりばとホーム前後の分岐器改良工事により、それまで30 km/hだった速度制限が60 km/hに緩和され、同様に10番のりばの神戸方は50 km/h、9・11番のりばの神戸方も60 km/hへと制限が緩和された。平日ラッシュ時はJR神戸線の新快速とJR宝塚線の当駅始発の列車(特急・快速)が同じホームに停車するため、この時間帯の北陸方面からの「サンダーバード」は比較的余裕のある5番のりばに到着することが多くなる。 案内標当駅ではのりば番号の下にラインカラーや路線記号が2015年より併用されている。 また、日本語・英語・中国語・韓国語の4カ国語表示に対応し、ユニバーサルデザインのピクトグラムも導入されている。 また、2015年(平成27年)6月1日より、御堂筋口にて「4K解像度」の液晶70インチ・タッチパネル式デジタルサイネージを2台設置し、周辺地図や列車運行情報提供での運用が開始されている[広報 8]。
年表
駅構造高架ホームホーム・線路は、高架上に東西に伸びている。以前は7面13線のホームがあったが、2004年より行われている再開発工事に伴い一時期5面10線にまで縮小した後、2009年12月20日より新11番のりばの供用を開始して以降は6面11線となって現在に至る[広報 4]。東海道線の本線は、外側線が4・9番のりば、内側線が6・7番のりばとなる。 ホーム有効長は1・2番のりばが8両編成分、3 - 10番のりばが12両編成分、11番のりばが14両編成分あるが、京阪神緩行線の普通電車が発着する6番のりばと7番のりばは、7両編成4扉車専用のホーム扉が設置されている関係で、この2線のみ8両編成以上または3扉車の入線は出来なくなっている。 14両編成の寝台特急サンライズ瀬戸・出雲は、東京行きは11番のりばで客扱いを行う。岡山方面行きは客扱いを行わないが、3番のりばで運転停車を行い、臨時停車の場合のみ客扱いを行う。 当駅は停車場に分類されている。 地下ホーム(うめきたエリア)2023年に梅田貨物線(東海道本線支線)を地下化して、大阪駅北西のうめきた2期再開発地区(グラングリーン大阪)に設置された[広報 21][50][51]地下ホームで、従来は大阪駅に停車できなかった特急「はるか」・「くろしお」が停車するほか、おおさか東線の全電車が乗り入れている。 2004年10月の近畿地方交通審議会[52]答申第8号では、大阪駅北地区(北ヤード)再開発に支障となる梅田貨物線の地下化及び新駅を設置し、「はるか」や「くろしお」などの特急列車を停車させることで、関西国際空港や和歌山方面へのアクセスの向上を図ることが盛り込まれた[53]。新駅には北梅田駅の仮称がつけられ、2011年に都市計画決定がなされた。 当初、このホームはJR西日本並びに当駅への乗り入れを予定しているなにわ筋線の事業主体である関西高速鉄道[54]の鉄道事業基本計画において(仮称)「北梅田駅」として、大阪駅とは別の駅として整備される予定とされ、2015年度から駅建設工事に着手していたが、2020年3月25日に大阪駅との改札内連絡通路を整備したうえで、営業開始時に大阪駅の地下プラットホームとして取り扱うことが発表された[広報 21][55]。2020年3月以降は、一般向けの告知に際して「うめきた(大阪)地下駅」の仮称を用いた[56]ほか、報道などで「うめきた新駅」の呼称を用いていた事例もある[57][58]。JR西日本がこの時点で呼称を「大阪駅」に統一しなかったのは、「うめきた」の呼称が社会的に定着していることを踏まえたためとしている[55]。2022年12月16日の開業日発表以降は「大阪駅(うめきたエリア)」の呼称を用い、2023年3月18日に開業した[59]。 大阪市道九条梅田線と四つ橋筋との交差点北西部付近の地下に設置されている[53]。新駅設置と地下線工事は一体で施工され[60][61]、駅部は開削工法で建設され[58][57]、地下2階(地表面からの深さ15m)に延長200mの島式プラットホーム2面4線が設けられ[58][57][62]、高架ホームとの間には市道九条梅田線を潜る改札内連絡通路が設置された[広報 21]。 JR西日本では当駅(ホーム)の建設にあたり、「『JR西日本技術ビジョン』の具体化に挑戦する駅」として、デジタル技術を応用したインタラクティブ空間の創設や新型ホームドアの導入(後述)等の様々な新機軸の実証実験を行うなど、オープンイノベーションの実験場『JR WEST LABO』の中心的施設と位置づけることとしている[63]。 ホーム番号は、南側から21番線・22番線(西九条方面)、23番線・24番線(新大阪方面)と割り当てられている。2023年2月13日には同年3月のダイヤ改正に先行して線路切替が行われ、関西空港・南紀方面等に向かう列車が同ホームを通過するようになっていた[64]。 入線車種が多様となることを踏まえ、JR西日本がJR西日本テクシア・ナブテスコと共同開発した世界初となる開口部が移動可能なフルスクリーンタイプのホームドアを開発し[65][66]、21番線ホームに設置した[67]。 地下ホーム建設に合わせて、高架ホームを西側に延伸の上、駅西側にあった高架下商業ゾーンの一部をコンコースに転用して高架ホームと接続する新たな西改札口を設けて大阪市道九条梅田線を潜る約70mの改札内通路を経由して地下ホームと接続し、バスターミナルや新駅ビルを建設する工事を進めている[広報 22]。改札内連絡通路により地下ホームと高架ホームとの間は徒歩6分ほどかかる[広報 21]。このため、おおさか東線の南吹田駅・JR淡路駅・城北公園通駅・JR野江駅から、JR神戸線 神戸方面・JR宝塚線 宝塚方面への乗り換えは一つ手前の新大阪駅での乗り換えの方が早くなる。 2031年開業予定のなにわ筋線もこのホームに乗り入れる予定で、同線を経由して南海電気鉄道の列車も乗り入れる計画となっている[68][69]。なお、南海側でも正式駅名を管理するJR西日本と同じく「大阪駅」と決定しているが、なにわ筋線開業時より大阪駅でも南海の乗車券と特急券を購入できるようにする予定となっている(南海は同駅では乗車券類の発売などの駅業務をJR西日本に委託する形態となる)。 また、阪急電鉄の新線(なにわ筋連絡線・新大阪連絡線)が当駅で接続する計画がある[69]。2023年3月に阪急阪神ホールディングスの社長に就任した嶋田泰夫は、就任前の2022年12月に産経新聞に答え、なにわ筋線の開業が予定されている2031年の同時開業を目指す方針を表明している[70]。
改札口8か所の改札口(御堂筋口・南口・中央口・桜橋口・連絡橋口・エキマルシェ大阪口・西口・うめきた地下口)がある。御堂筋口と南口は改札内通路で結ばれており、また中央口と桜橋口、エキマルシェ大阪口は、4番線線路・5番線線路の下(中2階)にある改札内通路で結ばれている。御堂筋口・中央口・連絡橋口には南北を結ぶ改札外のコンコースがあり、両端に駅の出入口がある。西口にも同様の南北を結ぶ改札外のコンコースが整備される予定である。御堂筋口・南口・中央口・桜橋口には地下街や阪急・阪神・地下鉄の各駅につながる階段やエスカレーターがある。 2010年11月1日より橋上駅舎の一部が暫定的に乗り換え専用通路として供用開始され[広報 23]、2011年4月11日には連絡橋口の使用が開始された[広報 5]。 西口とうめきた地下口は2023年3月18日のうめきたエリア(地下ホーム)開業に合わせて使用が開始されたもので、西口は四つ橋筋の西側に設けられ、御堂筋口・中央口と同様に高架プラットホームと直結し[注 2]、また地下プラットホームとは改札内地下通路で直結している。うめきた地下口はうめきたエリア内の地下1階に設けられている[71]。なお、西口とうめきた地下口の相互間は券売機で通行証を発券するか、ICOCAなどの交通系ICカードを利用すれば、20分以内の改札内通行に限り入場料不要となる(他の改札口を利用する場合は適用外)。2023年3月18日現在、うめきた地下口は東側の大阪市道を潜ってグランフロント大阪に通じる地下通路と南側の市道に通じる歩行者用通路のみが供用されており、駅前広場等は未整備である。
のりば
使い分けJR京都線・JR神戸線(東海道本線)については、新快速・快速が5・8番のりば、普通(JR京都線とJR宝塚線を直通する列車を含む)が6・7番のりば(初発列車のみ5・8番のりば)に着発する。ただし、平日朝ラッシュ時の新快速・快速、平日17時以降の新快速は3・4・9・10番のりばを使用する。 JR宝塚線(福知山線)列車のうち当駅始発の列車は3・4番のりばから発車し、当駅止まりの列車は9・10番のりばに到着するが、平日朝ラッシュ時は8番のりばに到着する。また、土休日10時台に11番のりばに到着する丹波路快速が存在する。また、当駅 - 尼崎駅間は外側線を走行するため普通列車であっても塚本駅を通過する。 「こうのとり」新大阪行き、「スーパーはくと14・16号」京都行き、「らくラクはりま」京都行き、「らくラクびわこ2号」米原行きは9・10番のりばに着発する。ただし、平日朝ラッシュ時の「こうのとり」は8番のりばに着発する。また、一部は11番のりばに発着する。北陸新幹線「つるぎ」接続の「サンダーバード」敦賀行き、「ひだ」高山行き、「サンライズ瀬戸・サンライズ出雲」東京行きは11番のりばから発車する。当駅止まりの「はまかぜ」は10番のりば、「スーパーはくと」は9・10・11番のりばに到着する。「らくラクびわこ4号」草津行きは「はまかぜ6号」の車両をそのまま使用するため10番のりばから発車するが、車内点検と清掃を行うため一度ドアは閉められる(はまかぜから引き続き乗車する場合も一度降車する必要がある)。 「スーパーはくと」鳥取・倉吉行き、「こうのとり」福知山・豊岡・城崎温泉行き、「はまかぜ」豊岡・城崎温泉・香住・浜坂・鳥取行き、「らくラクはりま」姫路・網干行きは3・4番のりばに着発する。当駅止まりの「サンダーバード」・「ひだ」・「びわこエクスプレス」は3・4番のりばに到着するが、平日夕ラッシュ時の「サンダーバード」は5番のりばに到着する。 地下プラットホームは21番のりばから24番のりばとなり、21番のりばは関西空港・和歌山方面への特急用、24番のりばは新大阪・京都方面への特急用、22番のりば・23番のりばは普通用となる[73]。なお、22番のりばは一部の列車のみ発着する。また、新大阪経由で奈良へ直通する直通快速と臨時特急「まほろば」は22番のりばを、天王寺経由で奈良へ直通する通勤特急「らくラクやまと」は21番のりばを使用する。 発車メロディ「大阪環状線改造プロジェクト」の一環として、2014年5月1日から大阪環状線ホーム(1・2番のりば)の発車メロディに、やしきたかじんの代表曲『やっぱ好きやねん』を導入している[広報 11]。 2023年3月18日に開業した地下ホームのうち21番のりばと24番のりばには、中島さち子と大阪府立夕陽丘高等学校音楽科の学生によって作曲された発車メロディが導入されている[75]。 ホームドア2016年6月15日に、安全性の向上を目的として、6・7番のりばに可動式ホーム柵を設置することがJR西日本より発表された[広報 24]。可動式ホーム柵の設置に伴い、2017年2月16日に6・7番のりばとともに停車位置が変更され、4月22日に6番のりば、5月27日に7番のりばで可動式ホーム柵の使用が開始された。これに続いて、5・8番のりばには昇降式ホーム柵が設置され、こちらは2019年2月16日に5番のりばで、3月9日に8番のりばで使用が開始された[46]。大阪環状線ホーム(1・2番のりば)の可動式ホーム柵は1番のりばが2019年12月5日から、2番のりばが2020年3月10日から使用を開始した。2023年3月18日開業の21番のりばには編成に応じて開口を構成できるフルスクリーンホームドアが設置された[73]。 駅ナカ御堂筋口には「イーストコートミドー」(EAST COURT mido) があり、高級スーパーのいかりスーパー、カフェのデリカフェ (DELI CAFE) などがある。中央口には「セントラルコート」(CENTRAL COURT) があり、コンビニのセブン-イレブン Heart・in・土産物店のおみやげ街道・スイーツショップのデリチュース・ピッコロカリーなどの飲食店が並ぶ。改札内にはキヨスクのほか、中央口と桜橋口を結ぶ連絡通路などに、ベーグル店 (BAGEL&BAGEL)、ロールケーキ店(クリオネ)、喫茶店やセブン-イレブン Heart・inがある。かつて中央口西側に専門店街「ギャレ大阪」(GARE) があったが、大阪ステーションシティの開業による商業施設の再編により2011年3月31日で閉館し、ギャレ大阪の西館は、2011年6月16日に新商業施設「ALBi」として再オープン。本館は2012年10月31日に「エキマルシェ大阪」としてオープンした[広報 25]。 駅ビル駅南側に27階建て、高さ122.3mの駅ビル「アクティ大阪」から改称した「サウスゲートビルディング」があり、大丸梅田店とホテルグランヴィア大阪が入居している。また駅北側には「ノースゲートビルディング」があり、西側の高層棟(28階建て・高さ約150m)と東側の低層棟(13階建て・高さ約78m)から構成され、ファッションビル「ルクア」(LUCUA) と「ルクアイーレ」(旧JR大阪三越伊勢丹)、シネコンの「大阪ステーションシティシネマ」やコナミスポーツクラブ、伊藤忠商事などが入居しているオフィスなどが入居している。サウスゲートビルの東側に、再開発工事に伴い駅内の商業施設を移設した、仮施設「フロートコート」と、西側に同じく仮施設「トラベルコート」があったが、フロートコートは2012年6月30日に、トラベルコートは2012年10月31日をもって閉鎖された。北側にはかつて低層の駅ビル(北ビル)があり飲食店などが入っていたが、ノースゲートビル建設工事のため解体された。 2023年5月16日、11番線と北側の大阪市道九条梅田線の間に建設中の高さ約120m、地上23階建ての新駅ビルの名称を「イノゲート大阪」とすることが発表された[76]。 地下街大規模な地下街が展開する梅田にありながら、大阪駅敷地内で地下が存在するエリアは限られている。地下が存在するのは、地下ホーム(うめきたエリア)を除けば、サウスゲートビル(大丸梅田店)とそれに沿って東西に延びる専門店街「クロスト」(crost) 、及びノースゲートビルのみである。南北に駅を横断する地下通路や地下改札は設置されておらず、現在行われている再開発工事でも設置される予定はない。これは軟弱な地盤と、地下水くみ上げによる地盤沈下対策として、1952年(昭和27年)から1964年(昭和39年)に、度重なる改良工事がアンダーピニング工法などにより行われた結果、地下深くの天満層まで245本もの杭が埋まっているためである[注 3][77][78]。
ダイヤ近距離列車
優等列車当駅は北陸方面への特急の始発・終着駅として機能している。西行きの特急は「スーパーはくと」の一部(6往復)と「はまかぜ」が当駅始発[注 5]で、それ以外の列車は東海道新幹線・山陽新幹線への連絡を考慮して新大阪駅や京都駅まで直通する。梅田貨物線を経由する野洲駅・京都駅 - 関西空港駅間の特急「はるか」や、京都駅・新大阪駅 - 和歌山駅・海南駅・紀伊田辺駅・白浜駅・新宮駅間の特急「くろしお」は、2023年3月の地下ホーム開業まで当駅には停車しなかった。 引き上げ線引き上げ線が大阪環状線ホームの西に2線、東海道本線(JR京都線・JR神戸線)ホームの東と西にそれぞれ1線ずつ設置されている。大阪環状線の引き上げ線は、当駅止まりの列車の折り返しなどに使用され、東海道本線の引き上げ線はJR京都線の4時台の始発列車および、その次の列車が網干総合車両所宮原支所から回送されてくる時と、1時到着の最終列車が網干総合車両所宮原支所へ回送される際に、西引き上げ線で折り返す。 駅弁
利用状況→「梅田地区の鉄道駅 § 利用状況」も参照 2023年(令和5年)度の1日平均乗車人員(降車人員含まず)は367,419人である。JR西日本の駅では第1位であり、近畿圏および西日本で最多の利用客を誇り、JRグループ全体では新宿駅・池袋駅に次ぐ第3位である。JR西日本の駅でも当駅が突出して利用者数が多く、京都駅の約2.5倍、三ノ宮駅の約3倍に相当する。梅田地区の鉄道駅の中でもOsaka Metroの梅田駅や阪急電鉄の大阪梅田駅を抑えて最も多い。2017年度の一日の乗降客数(乗車人員に降車人員を加えたもの)は、863,086人である。アーバンネットワークの輸送サービス改善効果もあり、JRが発足した1987年度から1995年度にかけての8年間で乗車人員は16万人以上増加して47万人を越えた。 1997年3月8日に隣接するJR東西線の北新地駅が開業した後は乗車人員が減少し、しばらく42万人程度で推移していたが、2009年3月20日に阪神なんば線が開業した後は2010年度まで大きく落ち込み、40万人を割り込んだ。その結果、同年度はJR各社の乗車人員の比較において、以前は大阪駅よりも下位であった横浜駅(JR東日本)を下回り第5位となったが、2011年5月4日に大阪ステーションシティが開業したことで、JR大阪駅の利用者が前年同期比で14%増加したと発表[80]したほか、大阪駅のリニューアル効果によりお盆期間中の利用が前年比で7%増加した[81]。これにより、2012年度はJR各社の乗車人員の比較において、横浜駅および渋谷駅(JR東日本)を上回る第3位となった。2015年度から2019年度は東京駅に、2020年度と2021年度は再び横浜駅に抜かれ第4位に。2022年度には再度これら2駅を抜き返し3位となったが、2023年度に再度東京駅に抜かれ4位となり現在に至る。 各年度の1日平均乗車人員は以下の通り。
駅周辺→詳細は「梅田」を参照
駅の立地する梅田は西日本最大の繁華街・オフィス街となっている。同駅周辺には百貨店・ファッションビル・ホテル・オフィスビルなどが林立しており、難波・心斎橋と並ぶ大阪の商業の中心地である。難波を中心とする繁華街をミナミというのに対し、梅田を中心とする繁華街はキタと呼ばれる。大阪の市街地方面であった駅南側が駅の表玄関であるのに対して、駅北側は広大な貨物ターミナル駅が広がるような土地であり、駅ビルも南側のアクティ大阪(現在のサウスゲートビルディング)のみであった。2000年代以降はヨドバシ梅田やグランフロント大阪、JR大阪駅北側の新しい駅ビルであるノースゲートビルディング(大阪ステーションシティ)の開業など再開発が進行しており、急速な発展を遂げている。大規模再開発の影響により、グランフロント大阪南館(大深町4-20)が大阪市の商業地としての最高価格地点を記録するまでに至っている。 高速バス乗り場やタクシー乗り場、ビジネス街も近いところから、交通や経済の要となっている。リッツ・カールトンやヒルトンなどの有名ホテルも近い。 JR北新地駅、JR福島駅、阪急中津駅、Osaka Metro肥後橋駅、Osaka Metro中崎町駅、京阪渡辺橋駅などは徒歩圏内である。特に渡辺橋駅へは地下道に乗換案内が記載されており、堂島や西梅田の至近にある。 北側には梅田貨物駅があったが2013年4月1日に廃止され(貨物駅機能は百済貨物ターミナル駅と吹田貨物ターミナル駅に移転)、跡地のうめきたエリアは再開発が計画されている。そのうち東側の一部は第1期開発として、2013年4月26日にオフィス・ホテル・レジデンス・広場・商業施設からなる大型複合施設のグランフロント大阪が開業した。現在はその西側に第2期開発としてグラングリーン大阪の建設工事が進められており、2024年に一部街開き、2027年度に全体開業する予定である。大規模な都市公園・オフィス・ホテル・レジデンス・商業施設などで構成される予定である。2023年に開業したJR大阪駅の地下ホーム(JR大阪駅うめきたエリア)はこの一角に設置されたものである。
バス路線→「大阪駅周辺バスのりば」を参照
その他
隣の駅※特急・急行列車の停車駅は各列車記事を参照。
脚注注釈
本文中の出典
広報資料・プレスリリースなど一次資料
利用状況の出典大阪府統計年鑑
データで見るJR西日本
参考文献
関連項目外部リンク
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