森川智之
森川 智之(もりかわ としゆき、1967年1月26日[6][11][12] - )は、日本の男性声優、歌手、タレント。東京都生まれ[3]、神奈川県出身[5][注 1]。アクセルワン代表取締役[8]。グループ満天の星の主宰[19]。 経歴1967年、東京都品川区東大井の東芝中央病院(現:東京品川病院)[4]に生まれ[3]、神奈川県川崎市と横浜市で育った[17]。小学4年生まで高津区の久末団地に住んでおり、久末小学校に通っていたが、5年生の時に母の実家のある横浜の神奈川区に引っ越す[4]。川崎に住んでいた時は、元プロ野球選手のパンチ佐藤が裏の号棟に住んでいたという[4]。横浜での小学生時代には、同じ町内の内海賢二に商店街で握手をしてもらい、声優になってからは、スタジオで出会うと「おお!!地元のスター!!」と冷やかされたという[20]。 幼少時は逆立ちも出来ないほど虚弱な身体だったが、小学生の高学年頃から体を鍛える事に目覚め、放課後はずっと鉄棒にぶら下がっているような少年になった[21]。中学時代はテニス部に所属しており、それと並行しながら自分で貯蓄した小遣いで、トレーニングジム[注 2]に通い始めた[21]。日本体育大学荏原高等学校[22]時代は、アメリカンフットボール部に所属していた。体育教師になることが目標[9]で大学はスポーツ推薦入学+を目指していたが、夏の合宿の練習中に首を骨折し、頸椎損傷[9]の大怪我を負う。結局、首の痛みによりアメリカンフットボールを断念。何か別の形でスポーツに携われないかと考えていた。友人に「おしゃべりで声が大きいから」と声を使う仕事を勧められ[9]ていたこともあり、スポーツの実況アナウンサーを志した。アナウンスの学校を探してパンフレットを手に入れたところ、アナウンス科より声優科のほうが扱いが大きく楽しそうだったため、声優に転向。ただし、授業料が高かったため、その学校ではなく、勝田声優学院に入った[23]。 勝田声優学院では、高木渉、大西健晴、三石琴乃、横山智佐[24]、菅原祥子、根谷美智子らと同期生(5期)。しかし、稽古があまりにも厳しく、帰り道はみんなで泣きながら帰ったという。同学院では生徒として受講する一方で、入所直後から発声(腹式呼吸と滑舌)の講師を任された。本業が多忙になって継続不能になるまでの約5年間講師を続けた。教え子に関智一、小西克幸、平川大輔などがいる。その後も特別講座のゲスト講師や、ゼミ講師などとして、自分の会社を持った後も関わり続けた。 自宅の近所には野沢雅子が住んでおり、勝田声優学院で野沢が講師をしていた時代からお世話になっているという。野沢の授業は課題として与えられた台詞に合った演技をして合格をもらう「即応力」を鍛える内容で、当時森川はその課題を毎回一発で合格する優等生だったが、最後の授業での総評で「森川はこのクラスの中で、いちばん成長しなかった」と雷を落とされる。森川はその時初めて「現状に甘んじて成長しようとしていない自分」に気づき、それ以来どんな仕事でも成長を意識しているという。「自分の将来を真剣に考えて叱ってくれた気持ちが伝わってきてとてもうれしかった」といい、「あのとき怒ってもらえなかったら今の僕はいないですね」と語っている[25]。 声優デビューは1987年[9]で、外国人向け日本語教材のナレーションだった[10]。アニメ作品での最初に名前のある役は、『ダッシュ!四駆郎』の加藤隼。吹き替えでのデビュー作は『キャノンボール3 新しき挑戦者たち』[26]で、最初の主演は、『パイレーツ この恋、火気厳禁!』(1991年、発売は1992年。ケヴィン・ベーコン)もしくは『ダンシング・ヒーロー』(1992年、発売は1993年)。 2011年4月1日、デビューから長年所属していたアーツビジョンを退所し、アクセルワンを設立[27]。 声優アワードでは、2015年の第9回で助演男優賞[28]、2019年の第13回、2023年の第17回で外国映画・ドラマ賞を受賞した[29]。 2017年1月9日、テレビ朝日にて放映された『人気声優200人が本気で選んだ!声優総選挙!3時間SP』で第12位に選ばれる[30]。 特色声質は「低く響く硬質な声[31]」と評される。正統派の二枚目役から三枚目役、親父キャラクター役まで演じる[31]。 キャリア初期からナレーションや映画の日本語吹き替えをしており、人気ハリウッド俳優を多く担当している[31]。洋画の吹き替えではトム・クルーズを専属(フィックス)で担当している。彼を吹き替えるようになった最初のきっかけは、トムの出演作である『アイズ ワイド シャット』のDVD収録用の吹き替え声優を決めるオーディションで合格したことである[32]。同作のスタンリー・キューブリック監督の右腕的立場のスタッフから、単なるトム・クルーズの台詞の吹き替えでなく、「自分がその役を演じるように自然に演技してほしい」と求められ、映像中のトムと同じ動きをしながら、原音を聞きながら台詞を話し、画面を見る邪魔になる台本を見ないで済むように台詞を暗記して収録に臨んだ[9]。それまで仕事には困らないものの演技に自信が持てず常に不安感を抱いていたが、この作品の吹き替えを機に、発声していない時の呼吸も演技の一部であることなどに開眼し、転機となった[9]。 トム・クルーズの吹き替えに関して、前任者にあたる鈴置洋孝とは『宇宙の騎士テッカマンブレード』(森川のアニメ初主演作である)の頃から交流があり、様々なことを教えてもらっていたといい、こうして同じ俳優を吹き替えられることが光栄であると話している[33]。 その後は彼の出演作のテレビ放送版の吹き替えを主に行っていたが、2003年公開の『ラストサムライ』以降はトム本人に公認されたことで彼の吹き替えを専属で担当するようになった[34][35]。『アイズ ワイド シャット』の日本語吹き替えを実際に聞いたトム本人から「(森川の吹き替えは)世界で一番美しい」と絶賛され[34]、海外のプロデューサーからも「日本語が一番良かった」と評価されたことでトムが劇中で着用したマスクをプレゼントされたという逸話を持っている[32]。また2023年1月25日にテレビ東京の「メガヒット!シネマSP」枠でクルーズの出世作である『トップガン』が再放送された際にはTwitterで同作のタイトルが世界トレンド1位を記録したと同時に森川の名もトレンド入りを果たした[36][37]。同作については声優の仕事を志した時期に鑑賞した作品であることから、マーヴェリック役を担当できた際は夢が叶うようで感慨深かったと語っている[38]。 トムと並んで専属で担当している俳優にユアン・マクレガーがあり[39][40][41]、彼を吹き替えるようになったきっかけは日本で録音した音声がハリウッドに送られる形式の海外オーディションであり、それらの音声データの波形を見ながらユアンに似ている声かどうかを分析したところ、森川が抜擢されたという[42]。森川自身、特に好きな俳優にユアンの名を挙げており、「彼(ユアン)の声を演じるのは楽というか、サッとできる」とありのままの声で演じられる俳優であるとも語っている。また、自身の声質についてもユアンの声質と似ていると感じていることから、作風や役柄に問わず、他の俳優と比べて吹き替えがやりやすいと述べている。ユアンの吹き替えを通して、自身はイギリスの俳優と相性が良いことにも気づいたという[43]。長らく森川とユアンの間に面識はなかったものの、2022年6月16日に都内で実施された「最終話直前『オビ=ワン・ケノービ』ユアン×ヘイデン×監督に直撃LA-東京中継イベント」において米ロサンゼルスから中継ゲストとして登場したユアンとの画面越しの対面が実現。森川が「僕は長年、いろんな作品でユアンの日本語吹き替えをやってきた。画面越しではあるものの今回初めて会えて、とても嬉しい。ナイストゥーミーチュー」と喜びをあらわにするとユアンも「僕もお会いできて大変光栄。長年自分の声をあてて頂いているということですごいと思いました。いつの日か、実際にお会いしてお話できれば」と答え、それを聞いて森川は「ありがとうユアン、絶対会おうね」と念押しするとユアンは「オーケー、ディナーに行きましょう」と約束し、互いに交流を深めた。中継後、お墨付きを貰った[44]森川は「夢心地です、感動しました」と述べた[45][46]。 また、上記二名に次いで担当している俳優にキアヌ・リーブスとジュード・ロウ、アダム・サンドラー[47]、マーティン・フリーマン[48][49]がいる。キアヌとは、『ジョン・ウィック』が日本で公開された2015年に来日した際に対面を果たし、「これからも森川さんお願いします」と言われたとブログで明かしている[50]。ジュードとも、2018年に『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のPRで対面している[51][52]。 その他にも、オーウェン・ウィルソンやクリス・オドネル、ブレンダン・フレイザー、マーク・ウォールバーグ、ジョシュ・ハートネット、ブラッド・ピット、コリン・ファレル、ピーター・ディンクレイジ、ホアキン・フェニックスら数多くの俳優を担当している。過去にはヒース・レジャーやポール・ウォーカーなどの吹き替えも多く担当していた[53][5][2]。堀内賢雄、宮本充、平田広明と並んでトム・クルーズとジョニー・デップ、ブラッド・ピットとキアヌ・リーブス両者の吹き替えを経験している数少ない人物である[54]。 ドラマCDがカセットテープだった時代からボーイズラブ(BL)作品に多く出演しており、自他ともに認める「BL界の帝王」として広く知られている[55][56]。BL作品を拒んだり名前を隠して出演する声優がいる頃に、森川は「声優が活躍できる場が増えたのはいいことだ[55]」と積極的に出演し続けた[57]。その結果BL作品への出演数は「日本で一番だと思う」と述べている[57]。 人物・エピソード大人になったら何になりたかったかと言うと、一番古い記憶ではバス、電車の乗り物の運転手だった[4]。また母が開いていた絵画教室に通っていたため、「絵描きになりたい」と言っていた時期もあった[4]。 中学時代には一時期プロレスラーに憧れ、元プロレスラーの金子武雄が横浜駅東口で開いていたスカイ・ボディビル・ジム(横浜スカイジム)に通い、ミスター珍からトレーニングウェア一式をもらったことがある[4][58][59]。 2002年位までタバコを吸っていたが、後に禁煙に成功している。止めてから「肌も健康になりましたよ」とのこと[60]。 愛犬の名前は森川・ウィリアム・アクセル。犬種はラブラドール・レトリバーで、誕生日は2001年1月11日。立ち上がると森川の肩に届くほど大きい。犬を飼いだしてから、他人に対して面倒見が良くなり、人間の子供にも優しくなったと言う。2009年10月25日に8歳で永眠。 2006年秋から半年くらいの間に約10kg減量し、その後も肉体改造を続けている。小学生の頃少年野球チームに所属しており、横浜育ちなこともあって、野球では根強い横浜DeNAベイスターズのファン。また観戦していた時に突然中畑清監督(当時)に頼まれてスターティングメンバー発表をさせられたことがある[61]。また、2022年より、同じベイスターズファンである速水奨とニコニコ動画において『森川智之&速水奨の横浜DeNAベイスターズ応援チャンネル 〜モリモリSHOWTIME〜』というベイスターズ愛を語ったり、ベイスターズ戦の実況をするチャンネルを開設している[62]。 『戦国BASARA』で片倉小十郎役を担当した縁で、片倉の領地であった宮城県白石市を第二のふるさととして大切にしている。東日本大震災の折りには白石市を通じて個人で100万円を被災者へ寄付した他、同市で毎年行われる「鬼小十郎祭り」に手弁当で参加し、祭りを盛り上げることによって復興への協力をしている。震災が発生した2011年の「第4回鬼小十郎まつり」では、メインイベントである演武で使う「奥州片倉組演武口上」を自らの声で収録したゴールドディスクを贈り、また自らのファンクラブが主催するイベント「おまえらのためだろ!」で募った義援金を白石城修復のために託した。その後も「おまえらのためだろ!」では義援金を募っており、毎年のまつりで宮城県と白石市へ贈っている。「おまえらのためだろ!」の会場に用意される募金箱には、その回のイベント参加声優によるサインがメッセージとともに書かれるので、撮影するファンも多い。2014年参加の「鬼小十郎まつり」において、白石市アンバサダーに就任することが発表された。任期は2年である[63]。 2016年の熊本地震の後には、白石戦國武将隊奥州片倉組が熊本地震復興支援のために行った募金活動に参加し、また「おまえらのためだろ!」で募る義援金も白石市と相談の上、熊本のために集めると発表した。 『ルパン三世』に多大な影響を受けて声優になったものの[64]、そのアニメ本編にはまだ出演していない。 『バイオハザードシリーズ』の主要キャラクターの一人レオン・S・ケネディを担当しているが、アメリカ合衆国のエージェントとしてたくましく成長したあとのレオンを先に担当し、後にリメイクされた『バイオハザード RE:2』で新人警察官であった頃のレオンを演じたため、『RE:2』のレオンが一番しんどかったと語っている。様々な年代のレオンを演じているのでキャラクターの年齢感の調整は一番大変なところで、「やっぱり若くならないね」みたいに言われるとキツイところがあり、年齢が上がっていくとおじさん臭くなってしまう、分別がつくようになって説教くさくなってしまったりするため、メンタル面を作りこむのが大事だと述べている[65]。 祖父はパン屋であり、詩吟や老人会の会計もしていたため、近所のおじいさん、おばあさんが自宅に多く出入りしていたという[66]。両親は幸区の東芝小向事業所に勤めていた時期があり、それがきっかけで知り合ったという[4]。5歳下の弟がいる[4]。 交友関係吹き替えを担当しているトム・クルーズとは年々交流の機会が増えており、2023年にはトムから招待されたことで一緒に並んで映画を鑑賞することもあったという[67][68]。 勝田声優学院時代の同期の高木渉とは仲が良いが、高木によるとあいつには負けたくないようなどこかでライバル心があった[69]。森川は2枚目でヒーローで高木は3枚目であり、2人で同じ仕事をして飲みに行くと、「今日の森川の芝居は良かったね」、「渉の芝居には敵わないよ」と、競合しないからお互い褒め殺しており、森川とは話が合うと高木は語る[69]。 同時期にデビューした檜山修之と仲が良く、95年から「森川智之と檜山修之のおまえらのためだろ!」というトークライブを開催している[19]。森川にとっては「久しぶりに会ってもいくらでも面白い話ができる相方」でもある[70]。 藤原啓治が病気療養の休業により、『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし役を2016年8月26日放送分から代役として起用されたが、藤原がひろし役への復帰を果たすことなく2020年4月12日に逝去したため正式な2代目となった。藤原とはデビュー時期も近く、共演作も多い身近な存在だったため、「彼だったらこういう(芝居の)組み立て方をするだろうなという言い回しやお芝居の感覚は肌で感じていた」という。また、「今はキャストのみなさんに温かく迎えてもらい毎週楽しく収録している」とのこと[71]。 ひろし役の依頼を受けた際はスタッフを通じて藤原から「森川しかいないから、頼むぞ」といった旨の手紙を貰い、藤原の代名詞とも言えるキャラクターであることによるプレッシャーもあったため、2か月間は他のレギュラーとは混ざらずに別撮りでスタッフとディスカッションし、それから一緒に収録するようになった[72]。 藤原からの手紙を仕事場の机に入れており、現在も「自分としてのひろしの傍らに藤原のひろしもいて、2人で演じている気持ちがある」という[72]。 なお『クレヨンしんちゃん』以外にも藤原が受け持っていた役[注 3]を一部引き継いだ。 出演太字はメインキャラクター。 テレビアニメ
劇場アニメ
OVA
Webアニメ
ゲーム
吹き替え担当俳優
映画(吹き替え)
ドラマ
テレビ番組
アニメ
人形劇
オーディオドラマ
パチンコ・パチスロ
特撮
映画
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テレビドラマ
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付録・映像特典等
ラジオ※はインターネット配信。
ラジオドラマ
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CDドラマCDドラマCD出演作品
ゲーム派生ドラマCD*BL作品はBLCDを参照。 ゲーム派生ドラマCD出演作品
乙女向けシチュエーションドラマCD乙女向けドラマCD出演作品
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ラジオ・トークCDラジオ・トークCD出演作品
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ナレーション・CM
舞台
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ディスコグラフィ→2HEARTSでの活動については「2HEARTS」を参照
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