ミッション:インポッシブル3
『ミッション:インポッシブル3』(M:i:III、原題: Mission: Impossible III)は、2006年のアメリカ映画。J・J・エイブラムスが監督、アレックス・カーツマンとロベルト・オーチーとエイブラムスが脚本を務め、トム・クルーズが主人公イーサン・ハントを演じる。2000年の『M:I-2』に続く、「ミッション: インポッシブル」シリーズの3作目。 ストーリーIMF(不可能作戦部隊)のエージェントであるイーサン・ハントは、現在は現場第一線を退き、訓練教官を務めるかたわら本業を秘密にして婚約者のジュリア・ミードと幸せな生活を送っていた。ある日、イーサンの元に教え子の女エージェントのリンジー・ファリスが、ブラックマーケットの商人であるオーウェン・デイヴィアンの監視任務中に拉致され、ベルリンの廃工場に捕らえられているとの情報が上司のジョン・マスグレイブから伝えられる。イーサンは再び危険な現場に戻ることに迷いながらも最終的にリンジー救出作戦への参加を決め、ルーサー・スティッケル、ゼーン・リー、デクラン・ゴームリーらとチームを組みリンジー救出を成功させるが、彼女は頭の中に仕掛けられていた小型爆弾により死亡してしまう。 しかし、廃工場より持ち帰った端末からデイヴィアンに関する情報を得たイーサンらはバチカンでデイヴィアンを拉致し、彼が取引しようとしていた「ラビットフット」なる物品の情報をも得る。それとは別にリンジーが密かにイーサンに託していたファイルにより、IMF局長のセオドア・ブラッセルが裏でデイヴィアンと連絡を取り合っていたことを知る。戸惑うイーサンだったが、そんな中デイヴィアンを護送していた車列が謎の武装集団に襲撃され、彼の逃亡を許してしまう。逃亡したデイヴィアンは手下にジュリアを拉致させると、彼女と引き換えに48時間以内にラビットフットを入手するようイーサンに要求する。 早速ラビットフット入手に動こうとするイーサンだったが、突如IMFのエージェントにより拘束され、IMF本部でブラッセルにバチカンでの作戦を無断で実行していたことなどを咎められる。一方マスグレイブは、イーサンに上海のとあるアパートに向かうよう暗に指示した上で、逃走するよう仕向ける。IMF本部から逃走したイーサンが指示されたアパートに向かうと、マスグレイブから連絡を受けていたルーサーらが合流し、ラビットフットがアパートからほど近いビルに保管されていることを告げられる。イーサンは3人の手を借りビルに侵入しラビットフットを奪うとデイヴィアンに連絡。指示された場所に向かい、現れたデイヴィアンの手下に示された薬を飲み眠りに落ちる。 眠りから覚めたイーサンは、デイヴィアンの手下にリンジーが仕込まれたのと同様の小型爆弾を頭に仕込まれる。次にマスグレイブが現れ、自分がブラッセルの仕業に見せかけてデイヴィアンと連絡を取り合い結託していたことと、中東のバイヤーにラビットフットを売り渡し、それをきっかけにして国による軍事介入と内政干渉が行われる計画を明かす。更に彼はリンジーが密かに託していた情報について話す代わりにジュリアを解放することを提案するが、イーサンは一瞬の隙をついて逃走。ラビットフットに取り付けておいた発信機の情報を頼りにその保管場所に向かうと、そこにいたデイヴィアンを倒しジュリアを救出、更に彼女の手を借り電気ショックにより頭の爆弾を無効化する。イーサンが電気ショックで気絶している間にジュリアが後からやってきたマスグレイブを射殺し、息を吹き返したイーサンがラビットフットを無事確保する。 任務終了後、イーサンは全てを知ることになったジュリアとともにIMFの面々の祝福を受け、ハネムーンに出かける。 登場人物
キャスト
スタッフ
日本語版
製作製作費1億5000万ドルである[1]。 J・J・エイブラムスにとって、初映画監督作品である。エイブラムスは自分が製作した『エイリアス』の第1シーズンDVDボックスをトム・クルーズに進呈して売り込み、監督の座を獲得した[3]。クルーズは本シリーズの映画製作権を持っており、また毎回、監督を替えるという方針を貫いている。 この映画を製作する上でまずエイブラムスが重要視したのが、テレビシリーズの特色の一つでもあった作品中の「チームワーク」である。1は序盤のテレビシリーズの構図が次第に崩壊しトム・クルーズ演じるイーサン・ハントが苦悩する展開であり、その終盤と続作の2の見せ場はイーサンの独擅場となっていた。本作はチーム要員を編成し、前2作より『スパイ大作戦』の映画化らしい出来にする、という前置きがあり、それに従いテレビシリーズの構図に近い出来となっている。 音楽には、『エイリアス』『Mr.インクレディブル』でスパイ・アクション音楽の経験があり、エイブラムスと組むことが多いマイケル・ジアッキーノが起用された。オープニング曲は、テレビ版のテーマ曲(ラロ・シフリン作曲)をジアッキーノがアレンジしたものである。 撮影は2005年6月にイタリアで開始され、ベルリン、ローマ(イタリア)、バチカン、上海、西塘(浙江省)、ヴァージニア州、カリフォルニア州などでロケが行われた。撮影中にスタントマンが事故で負傷し、映画制作会社を訴える騒動があった。 プロモーション日本2006年6月1日、主演のトム・クルーズが、東京 - 新大阪間の新幹線「のぞみ」を借り切った来日キャンペーンを行うことが明らかになり、6月21日に実施された。時刻表にない特別ダイヤで運行し、出発時刻などは混乱を避ける目的で非公開となった。この企画の経費は、「のぞみ」の貸切り料金1,500万円などを含め、約3,000万円とされる。DVDに収録もされた。 トム・クルーズは「第4作はぜひとも日本を舞台にしたい」と述べたが、実現しなかった。 公開2006年5月5日にアメリカ、イギリス、カナダで公開された。当初は2004年5月に公開される予定だった。日本盤DVDは2006年11月17日に発売された(のちにBlu-ray版も発売される[4])。 日本での配給会社であったユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ日本法人が約1年半後の2007年12月に解散したため、本作が最後の配給となった。次回作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』と第5作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』はパラマウント・ジャパン、第6作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』より東和ピクチャーズが配給することとなった。 評価エイブラムスが得意とする巧みなストーリーテリングや、1作目と2作目を足して割ったようなバランスの良いアクションシーンなどビジュアル面でのブラッシュアップもあり、アメリカの大手映画批評サイトRotten Tomatoesでは70%の評価を獲得している[5]。ただし北米での興行収入は前作よりも8000万ドルほどランクダウンした1億3402万9801ドル[1]と、大ヒットシリーズの続編としてはやや期待はずれな結果になってしまった。これは『宇宙戦争』でのプロモーション中にトム・クルーズが起こした一連の奇行が原因ではないかと言われている。 地上波テレビ放映履歴
続編第4作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』が2011年12月16日に封切られた。 ラビットフット本作品では「ラビットフット」なる兵器(生物兵器の模様)が登場するが、詳細は明かされない。本作に於けるマクガフィン。 続編であるミッション:インポッシブル/ローグ・ネイションでは、冒頭にてイルサが手にする手錠の鍵に「ウサギの足」のキーホルダーがついており、セルフオマージュとなっている。このことは同作の映像ソフトにおける特典映像でも語られているが、翻訳ミスにより「手錠の鍵がラビットフットの正体」と誤解される要因となった。 そもそも、手錠の鍵がラビットフットだとすれば、ミッション:インポッシブル3のストーリーの辻褄が合わない。あの程度の鍵ならば簡単に複製できるため、リスクを冒し、大枚をはたいてまで手に入れる意味がない。また、デイヴィアンがラビットフットの件でイーサンを尋問していたのはマスグレイブの策略(イーサンに精神的ダメージを与え、妥協を引き出すため)であり、マスグレイブも「ラビットフットが本物か確かめたが、本物だった」と語っている。極めつけに、物語の中で何度も登場し、なおかつ最初に示された「ラビットフットの図」とも符合し、最後の取引現場でマスグレイブが持っていた「生物兵器のようなもの」がラビットフットでないなら、その生物兵器のようなものは何なのかという話になる。 脚注注釈出典
関連項目
外部リンク |
Portal di Ensiklopedia Dunia