シャドウ・ザ・ヘッジホッグ (キャラクター)
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ(SHADOW THE HEDGEHOG)は、セガのビデオゲーム『ソニックシリーズ』に登場する架空のキャラクター。生みの親は飯塚隆と前川司郎[1]。シリーズキャラクターの中ではソニックに次ぐ人気キャラクターとなっている。 プロフィール
概要Prof.ジェラルド・ロボトニックによって生み出された「究極生命体」で、ハリネズミを擬人化したような容姿をしている。宇宙をさまよう戦闘民族「ブラックアームズ」の統率者であるブラックドゥームの血をひいており、彼と同じく「永遠の生命力」を持つ。ソニックと姿や特徴がとても似ていた為、ソニックがシャドウだと誤解され、当初はソニックからは偽者と呼ばれていたがシャドウ本人はソニックのほうが自分の偽物(フェイク)だと言い返したことがある。ソニックと似ている理由は不明。 初登場の『ソニックアドベンチャー2』では、連邦政府軍「GUN」の巨大戦闘兵器ホットショットを一瞬のうちに撃破したり、Dr.エッグマンと共謀して連邦政府大統領に直接脅迫をかけるなど「人類を滅ぼす最高機密兵器」として恐れられていたが、彼を主人公にしたスピンオフ作品『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』では、本当はブラックアームズの脅威からこの星を守るために作られた、「人類の最終手段」であることが発覚した。 『ソニックアドベンチャー2』のラストストーリーで散る姿が見られる通り、当初の設定では登場は一作限りだったのだが、ダークヒーロー的な側面を持っており、想像を超える人気の高さゆえに次作の『ソニック ヒーローズ』以降も出演することとなった。『ソニック ヒーローズ』では、連邦政府「GUN」エージェントのルージュと彼女が見つけた(Eシリーズ最強のメカ)E-123オメガの3人でチームダークを結成し、この2人は『ソニック ヒーローズ』以降の作品でもシャドウと共に行動することが多かった。2006年以降の作品では、シャドウはパーティーゲームのゲストやそっくりさんとして出演することが大半だったが、『ソニック フリーライダーズ』で久々に登場し、ソニックに挑戦するため、ルージュと彼女が見つけたE-10000B(メタルソニック)とチームダークを結成する。『ソニック ジェネレーションズ』ではライバルとして登場し、青の冒険では、過去のシャドウがソニックと競争し、白の時空ではソニック達と同様、事件に巻き込まれた本人と勝負することになり、知らない場所であろうとソニックと決着をつけたかったらしい。スピードでは僅かにソニックに劣るが足場が不安定なため、カオスブーストで常に宙に浮き、スピードを落とさず移動し、ソニックとエナジーコアを奪い合う。パワーアップするとお馴染みのカオスコントロールやカオススピアを駆使し、ソニックを苦しめる。タイムイーターとの戦いでは、「お前の力を見せてみろ」と挑発的だがルージュとともにソニックの応援に駆けつける。その後、場の流れでソニックの誕生日会に飛び入りという形で参加することになった。 キャラクター制作初登場作品の『ソニックアドベンチャー2』のシナリオを手掛けた前川司郎によると、「黒いハリネズミ」「ソニックと同じかそれ以上にカッコイイキャラ」というオーダーで制作された[2]。前川はシャドウを「すごく繊細で純粋なキャラクター」として捉えていたことから一人称を「僕」に設定したが、開発チームでは当初その一人称が不評だったという[2]。 開発段階のキャラクター名は「テリオス」で、目の傷と粋なスカーフが印象的な黒いハリネズミとしてデザインされていた[3]。 生い立ちその誕生の真相はブラックアームズの指導者・ブラックドゥームとDr.エッグマンの祖父Prof.ジェラルド・ロボトニックとの取引にある。ブラックドゥームが細胞を提供する代わりに、50年後に彼等が再び戻ってくる際に7つのカオスエメラルドを差し出すという内容である。しかしブラックドゥームが星の征服を目的としていることを悟ったジェラルドが、それらを撃退し得る「究極生命体」として生み出したのが「シャドウ」である。同時にジェラルドは侵略者に対抗するため、アーク内に様々な兵器を遺している。ジェラルドは孫娘のマリアの病を治すため「不老不死の研究」を目的に進められた極秘計画「プロジェクトシャドウ」に携わっていたが、その研究の中で「究極生命体」を生み出す、すなわちシャドウを開発する研究も行われていた。プロジェクト名と彼の名前である「シャドウ」は「存在しないもの」「実体が無いもの」という意味が込められている。GUNがアークを襲撃した際マリアを連れてアークからの脱出を試みるが、脱出ポッドにもう少しでたどり着こうとした所でマリアが撃たれてしまい、マリアによってアークから独り脱出させられる。 50年後、GUNの監獄でコールドスリープ状態で保管されていた所をエッグマンによって目覚めさせられる。マリアをGUNに殺されたジェラルドに記憶を弄られたこともあり、当初は慕っていたマリアの復讐の為にジェラルドの意志を継ぎ、全ての人類に復讐しようと自分の封印を解いたエッグマンに忠誠を誓ったふりをし、世界征服を企む彼を唆し、人類を滅ぼそうと企んでいたが、エミーの説得をきっかけにマリアの本当の願いを思い出し改心する。その後、ソニックと共にアークの地球激突を阻止するも、カオスエメラルドの力に肉体が耐えきれず地球へと墜落していった。 前述の理由で死亡したと思われていたが、『ソニック ヒーローズ』でルージュによって経緯は不明ながらカプセルに入った状態で発見され、そのまま彼女によって目覚めさせられるという形で再登場を果たす。当初は墜落時の衝撃のせいか「シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」という自分の名前と、「マリアという少女が殺された」ということ以外思い出せない状態になっており、自分を模したアンドロイドの姿に苦悩することもあった(ただし、『ソニック ヒーローズ』のチームダーク編のラストで僅かながらルージュのことを覚えている節を見せた)。この記憶喪失の設定は後述するスピンオフ作品『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』にも引き継がれた。 『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』ではブラックアームズの指導者・ブラックドゥームから「約束を果たしてもらう」「記憶を知りたければ7つのカオスエメラルドを探し出して渡せ」と言われ、再びカオスエメラルドを集めて自分の真実を知ろうと奮闘する。記憶が戻ると共にブラックドゥームの野望を知り、生みの親の一人である彼と最終的には真っ向から対峙し、倒すことに成功する。ちなみにこの戦いの際、ジェラルドとマリアの遺した思いを果たし、二人のことを吹っ切った描写があり、以降は誰のためでもなく自分の生きる道を模索するようになった。その後はパートナーであるルージュと同じく連邦政府大統領専属エージェントとして数々の難ミッションをこなしているとされているが、そういった背景が明確に描かれているのは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ (2006年のゲーム)』が主であり、その他の作品ではそういった活躍については描かれていない。 上記の復活したシャドウは、エッグマンが作ったアンドロイドとされていたが、『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』にて実は大気圏突入時にエッグマンがロボットを送って救助していたことが後に明かされる。その際の衝撃による後遺症で前述のように多くの記憶を失ったものの、その発言でオリジナルのシャドウが生存していることが証明された[注 2]。 シャドウに「シャドウ」という名前を名付けたのはマリアである[4]。『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』ではマリア本人の口から、名前に込められた大事な意味をシャドウは教えてもらった。 性格クールで冷静、とても無口で必要最低限の発言しかしない。怜悧な頭脳を持ち、冷徹な態度を取り、強気でプライドが高いため、周囲の人々を見下すような態度をとることが多い。 出来るだけ早く確実に目的を達成しようとする傾向があり、目的のためなら手段を問わない危ういまでの純粋さがある。一方で、対決した相手を見下して手加減をする傾向や、プライドを傷付けられると当初の目的を無視して傷付けた相手を返り討ちにしないと気が済まない性分も併せ持つ。時折クールな性格に見合わない行動を取ることもあり、エッグマン基地内のコンピュータに潜入を試みた際は端末を殴るという乱暴な手段を取ったことがある(結果としてワープホールが出現し、潜入には成功している)。また当初はマリアのことで一心だったためか、時折感情的な一面も見せたが、記憶を失った後はそれらしい部分はほとんどない。 誰にも従わず、誰の意見も取り入れようとしないなどやや協調性に欠けており、人の話を無視する場面も多々見られる。しかし、姉弟のように育った不治の病を持つマリアを気遣ったり(『ソニックアドベンチャー2』では意思を誤解しているとはいえマリアのために行動していた)、度々行動を共にしているルージュを助けたり(『ソニックアドベンチャー2』の時は「目的のため」と言い放っていたが、『ソニック ヒーローズ』では純粋にオメガの攻撃からルージュを庇った)、『ソニックバトル』では「悲劇を繰り返させないため」「自分のような思いをするのは自分一人で十分だ」という思いからエメルを破壊しようとするなど、不器用な優しさも持っている。 一匹狼の印象が強かったが、シリーズを重ねるごとにルージュへ協力を求めたり、オメガに対しては強い仲間意識を持ったり、メタルソニックを相棒のように接するなど変化が見られる。エッグマンとは立場上対立することがあるが、過去の協力や恩があるためか『ソニック ライバルズ』などのように手を組んだり助け合うこともあり、微妙な距離はあるものの度々協力している。ソニックの事は「気に食わない」ということも多いが、力は認めており共闘することも少なくない(『ソニックアドベンチャー2』の最終決戦でもソニックを「本当の究極生命体なのかもしれない」と認める場面があった)。『マリオ&ソニック AT ロンドンオリンピック』では、ジェットの実力を認め、クッパとエッグマンと戦うマリオとソニックに「究極の勝利をしろ」というなど、マリオに対してもソニックと同等の実力を持っていることを認めている。 一方で内向的で繊細な一面もあり、アークに居た頃はマリアに自分の存在意義が分からず悩んでいることを嘆いたこともある。エメルは「強がっているけどクヨクヨ悩むから」と、ルージュにシャドウの面倒を見てくれ、と最期の言葉で呟いている。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ (2006年のゲーム)』では、ソニックが殺害された上に時空が消失したという壊滅的な状況において、どうにかならないのかという周囲の声に対し「彼(ソニック)が生きていたらの話だ」と弱音を吐いた。 育った環境故か、自然に囲まれている所より、機械や配管などといった人工物に囲まれた所が落ち着くらしい。この性質は記憶喪失状態においても骨身まで染み付いている模様。 ソニックとの違い大きな違いは、ソニックが青い体色をしているのに対し、シャドウは黒い体色に赤い線が入っていることである。また、ソニックの針が寝かせ気味になっているのに対し、シャドウの針はそり上がっていて針の内側半分が赤く染まっている。瞳(虹彩)の色も異なり、ソニックが緑色なのに対し、赤色である。その他ソニックのソープシューズに対するシャドウのエアシューズ、胸毛の有無など、ところどころ小さな違いが見られる。 また、泳げないソニックとは違って(ソニックは水泳競技で救命胴衣を付けている)『マリオ&ソニック AT 北京オリンピック』では普通に泳いでいる。ただし、従来のソニックシリーズでは他のキャラ同様、水に落ちるとミスになってしまう。 シャドウの能力シャドウはソニックと同様に音速で駆けることができるが、最高速度では実際には走っておらず、ホバーシューズから放出される空気で地面との接触を避け、アイススケートのように滑走している。作品によってはソニックより遅いこともあり、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ (2006年のゲーム)』や『ソニックと暗黒の騎士』のようにブレイズよりも最高速が遅い作品もある。また、エアの調整次第では宙に浮き続けるホバリングが可能。『ソニックバトル』ではホバーシューズから噴出される炎を利用して攻撃したり、『ソニックライダーズ』ではギアのデフォルトがホバーシューズとなっていることから、その性能の高さがうかがえる。銃火器や特殊車両などを使いこなすことができるが、基礎戦闘力も非常に高く、その真の戦闘能力はソニックをはるかに上回る。 両の手首・足首に金色のリングのようなものがついているが、それは自分の力を制御するためのリミッターである[注 3]。リミッターを外したときの強さは計り知れないが、自らの制御ができなくなるため、体力を使い果たしてしまうことがある。 特殊能力カオスコントロールを利用した攻撃を使うが、下記には主に使うものを記述する。
ドゥームパワーその他のシャドウストーリーブックシリーズではあくまで「良く似た人物」であり、本人ではない。声はシャドウの声優である遊佐浩二がそのまま演じている。
実写映画版2022年公開の『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』のポストクレジットシーンに登場した。2024年公開の『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』にてヴィランとして登場し、シャドウ役をキアヌ・リーブスが務める。日本語版吹き替えは森川智之が務める。 能力(実写映画版)ゲーム版と違い、カオスエメラルドを持っていなくてもある程度の距離ならワープができる。ゲームと同様に、バイクや銃を使いこなすこともでき、スーパー化も可能で、カオススピアを放つことができる。手首のリングを外すと更なる力が解放されるというTVアニメ作品ソニックX由来の能力を持っている。 本作の動向(実写映画版)
キャストメイン
その他
登場作品ゲーム
アニメ
映画
脚注注釈出典
外部リンク
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