1995年 『南京の基督』
富田 靖子(とみた やすこ、1969年〈昭和44年〉2月27日 - )は、日本の女優。本名および旧芸名は冨田 靖子(とみた やすこ)[1][3]。神奈川県茅ヶ崎市生まれ、福岡県糟屋郡志免町出身[1][4]。神奈川県立港北高等学校卒業[5][6]。アミューズ所属。
1983年、中学在学中に映画『アイコ十六歳』のオーディションを受け、約127,000人の中からヒロインに選ばれる。同年12月に同映画でデビューし、同時に「オレンジ色の絵葉書」で歌手デビューも果たした。松下由樹、宮崎ますみも同じオーディションから輩出され、この映画に出演している。監督は今関あきよし。なお、このオーディションには岡田有希子と森口博子も参加していた[7]。
なお、富田は子供の頃から「靖子」という名前を何となくチープに感じており、あまり好きではなかったこともあって芸名でのデビューを希望していた。そこで、所属事務所・アミューズの大里洋吉会長宅にてスタッフとともに芸名会議を開くも、結局直感的に良いと感じるものが無く本名のままデビューとなった[注 1]。
デビュー作をプロデュースしていた大林宣彦監督の起用に応え、1985年の映画『さびしんぼう』に主演する。1986年には当時民営化されたばかりのNTTのCMに出演。親元を離れ東京で同居する三姉妹を描いた一連のシリーズCMが製作され、その三女を演じ、後に単発テレビドラマ化され、同様に三女を演じた。1987年には市川準監督の初監督映画『BU・SU』に主演し、横浜映画祭主演女優賞・高崎映画祭ベストアイドル賞を受賞した。『さびしんぼう』はキネマ旬報ベスト・テン5位(読者選出1位)、『BU・SU』は同8位(読者選出2位)と作品的にも高い評価を受け、しかも共に一枚看板的なヒロインを務めるという恵まれたスタートを切った。
しかし、テレビの連続ドラマでは期待されたほどの視聴率が取れず、1990年代に入り深津絵里や奥山佳恵ら事務所の後輩が台頭してきたこともあり、1995年の映画『南京の基督』で大胆なヘアヌードを披露し、イメージチェンジを図った。この作品で第8回東京国際映画祭最優秀女優賞を受賞。NHKは一時期、彼女のキャラクターを生かした正月特番ドラマを毎年用意するなど、重用していた時期もあった。また、毛利元就生誕500周年記念作品として製作した大河ドラマ『毛利元就』においては元就の正室・美伊の方を演じ、ドラマの要(原作では主人公)を担った。
1998年からは舞台に進出し、年1本のペースで出演している。現在は主演やヒロインを務めることは少なくなったが、ベテラン脇役(母親役など)として、家庭と仕事を両立しながら活躍している。
私生活では、2006年6月 - 同年7月に放送した日本テレビ『シャル・ウィ・ダンス?〜オールスター社交ダンス選手権〜』でペアを組んだダンスインストラクターの岡本裕治[8]との共演がきっかけで交際に発展した[9][10]。2007年6月に結婚、同年女児を出産したことを2008年に公表した(※社交ダンスに関するエピソードは後述)[9][10]。
2024年3月、自身のSNSにて3年前に離婚していたことを公表した[11]。
楽曲に関するエピソードはシングルに記された各曲を参照。
2006年に放送した『シャル・ウィ・ダンス?〜オールスター社交ダンス選手権〜』(日本テレビ)で、後に富田の夫となる岡本裕治(ダンスインストラクター)[8]と共演。予選のレッスンは1日あたり6時間以上となる日もあった。ある日、富田はダンスの練習時に岡本に振り付けの提案をし[注 11]、予選で踊るダンスのテーマを考えた。富田はこの時、「男がかっこよく見えることが女が一番素敵に見える」と語している。予選は「終わりのある恋」というテーマで社交ダンスを披露した後、富田は「先生たちの振り付けを覚えていくうちに…もしかしたらコレ、ラブストーリー?」と想像したことを話した後、「大好きラブストーリー」と続け、同番組で共演した南原清隆や勝俣州和らの笑いを誘った。南原は「振り付けではなく、ストーリーから入ることがいい」と感心した。
予選は6位で通過し、富田は「極限状態」と言いながら涙した。次のダンス収録までの期間は1週間しかなかったが、富田はこの間にドラマ収録(京都)があり、それとダンスレッスン(大阪)を並行するハードスケジュールとなったため、上手く踊ることができなかった。ステップを覚えることができない富田はダンスのレッスンを一時中断し、そのステップを文章にまとめ、ダンスをする時もメモを取りながら練習した。この時も富田が振り付けを提案し、「見つめ合うのはイヤ」と話した[注 12]。ちなみに、準々決勝で踊ったダンステーマは「もう少しそばにいさせて」であったが、ダンスを終えた後、本番前日に振り付けを忘れたことを(控室で)質問された富田は「やっちゃいましたー」と焦ったが、「最後までちゃんと踊れたのがすごく(嬉しい)」と話している。
準々決勝は4位で通過し、準決勝に進出した。練習の時、岡本は「ダンスは楽しむものだよ」と言って富田をフォローしたが、富田は「楽しめるわけがない」という旨の話で返したことを準決勝進出者発表後のインタビューで明かした後、「(ダンスが)ちょっと楽しかったです」と続け、それを聞いた岡本は苦笑いした。富田は予選の審査後に「極限状態」と話すなど、プレッシャーに負けそうになったが、岡本は「楽しんでいきましょう!」と言って富田を励まし、準々決勝は笑顔で踊ることができた。準決勝もドラマ収録(京都)と並行してダンスレッスンを行ったが、このレッスンの時、富田は笑顔を見せ、練習を楽しんだ。準決勝のダンステーマは「胸はずむ初恋」であり、キューティーハニーのテーマ曲(歌:前川陽子)に合わせてジャイブを踊った[注 13]。ダンスを終えた富田は「先生(岡本)と一緒に踊るということがどれだけ素敵なことで(中略)大切なことで大変なことなのかをすごく感じた1週間でした」と話し、審査員による採点の合計点が24点となったことに驚いた。
準決勝を3位で通過した富田は決勝戦の前に「ここ(決勝戦)に居るのがウソみたい」と話し、これまでのことを振り返った。富田は決勝戦の前に受けたインタビューの後、原田泰造から届いた応援メッセージ[注 14]を聞いたが、(内容の薄さに)苦笑いした。決勝戦の前に流れたVTRで、富田は自分が変わった理由を「大阪に来れたのが良かった」と話している[注 15]。決勝戦で踊ったダンステーマは「楽しい時間(とき)をありがとう」であり、ダンスを終えた富田はインタビューで「(岡本)先生と踊れてすごく楽しかったです」と話したが、「日頃の練習の成果は出せなかった」という旨も話した。勝俣は「完璧すぎるんですよ、充分伝わってますよ」とフォローしたが、富田は「いや、(練習の時に)もうちょっと良かったことがありましたよね?」と岡本に聞くと、「いえ、今日が最高です」と言って富田の頑張りをほめた。富田はこの時、照れ笑いを浮かべた。決勝戦の審査員の1人、天野博文[26]は採点する前のインタビューで「上達度はナンバー1だと思います」と語している。ちなみに、決勝戦の採点は24点であった。採点結果を聞いた富田は笑顔で「ドラマの撮影現場に帰れます!これで」と言い、南原は富田の上達に驚いたことを話した。
決勝戦の出場者全員でウィンナ・ワルツを踊った後のインタビューで富田は「こんな私をここまで引っ張り上げてくださったことをとても感謝してます」と話した後、岡本は「楽しかったです。本当、ありがとうございました」と話し、富田に感謝した。富田・岡本ペアは優勝を逃したが、当番組での共演をきっかけに交際を始め、2007年6月に結婚[9][10]。同年、富田は女児を出産した。ちなみに、結婚と出産を公表したのは2008年のことである[9][10]。
この番組でペアとして出場した富田と岡本の成績は下表のとおり。なお、各審査員の氏名や点数はすべて省略し、「採点」は各審査員の合計点を記した。
2023年にインタビューを受けた富田は『めんたいぴりり』(2013年放送)のオファーが来た時、「最後の出張かな?」と思ってオファーを受けた[27]。この当時、富田は子育てをしていたため、「最後の出張」をテーマに芸能活動をしていた[27]。富田は同作品への出演を機に出張しないことを決断した(舞台を含む。ただし、後述するテレビ番組の一部(※対象となった番組はすべてゲスト出演)を除く)[27]。同作の撮影をする時は富田の子供を(富田の)実家に預け、撮影が行われた[27]。
富田は「はじめのうちは小さなモニターを見ながら従業員全員でアフレコをしたこと」・「(撮影現場の)セットが狭く、居場所が無かったので、皆が何をしているのか一目で分かったこと」を語り、「『振り返れば誰かが居る』という環境は、家族の疑似体験を受け入れやすいと思う」と語った[27]。作品に関しては「役者同士が助け合って作り、みんなで支え合いながら作りました」と語り、結束力が生まれた切っ掛けは「役者同士が助け合って(『めんたいぴりり』を)作った」と語っている[27]。
このインタビューで「今、自分が大切にしていることは何ですか?」と聞かれた富田は「"無限ではない"ということを認識しました。(中略)終活ではありませんが、自分の役者としての終わりを見据えるようになりました。だからこそ今は、"怖がらずに色々な作品に出演したい"と思っています」と話した後[28]、「"これで終わり"と思った時に後悔はすると思いますが、『たくさんやった、楽しかった』といって区切りをつけることが出来るように1つ1つの作品を楽しむと共に、"色々な方たちと仕事をしたい"と思っています」(原文ママ)と続けた[28]。
下記の各CMを含む多くのテレビCMに出演したが、ナレーションを兼ねたCM・声の出演(ナレーションまたは吹き替え)のみとなったCMが混在する。一部は商品カタログなどの広告(テレホンカードを含む)やラジオCMにも起用された。
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