瀬戸大橋線
瀬戸大橋線(せとおおはしせん)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)と四国旅客鉄道(JR四国)が運営する鉄道路線のうち、岡山県岡山市北区の岡山駅から瀬戸大橋を通り香川県高松市の高松駅に至る区間の愛称である[2]。以下の路線から構成されている。 旅客案内では、原則として本四備讃線に入る列車に対してのみ瀬戸大橋線の呼称が使用されているが、茶屋町駅から岡山方は瀬戸大橋線系統が本線扱いとなっているため、2020年(令和2年)ダイヤ改正時点では同区間でのみの折り返し運転列車についても瀬戸大橋線として案内され、茶屋町駅から四国へは向かわず宇野駅方面に入る列車のみを「宇野みなと線(宇野線)」として案内している[注釈 1]。 概要
1988年(昭和63年)3月20日、瀬戸大橋博覧会開催により茶屋町駅 - 児島駅間が暫定開業した。そして同年4月10日に全面開業し、従来運航されていた宇高連絡船に代わって本州と四国を結ぶ幹線鉄道として機能している。 岡山駅で山陽新幹線に連絡し、同駅と四国各地を結ぶ特急列車が多数運行されているほか、首都圏と四国を結ぶ寝台列車「サンライズ瀬戸」も運行されている。優等列車以外では岡山駅 - 高松駅間の快速「マリンライナー」の設定もある。また日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車の運行も行われている。 全区間が直流電化され、本四備讃線区間は全線複線で整備されている[注釈 2]。ただし、岡山県内の宇野線区間には一部単線の区間があり、これが列車増発や所要時間短縮のボトルネックとなっている。そのため、瀬戸大橋線の輸送改善のため宇野線内で部分複線化および、高速化が行われている。だが開通後に、瀬戸大橋の橋脚が建つ桁下の島々の住民から、列車通過時の騒音公害を提起され社会問題となったため、環境影響評価書の80ホンを超えないよう、減速運転をすることで決着した[4]。 なお香川県は1990年度(平成2年度)から2年間をかけ、岡山駅 - 高松駅間のミニ新幹線化につき調査を実施したが、瀬戸大橋を中心に建設費が1,600億から1,800億円かかり、収支が楽観できないという結果が出たため、断念している[5]。 全線がIC乗車カード「ICOCA」および「SHIKOKU ICOCA」の利用可能エリアに含まれている[6][7]。2020年(令和2年)12月末時点で全国のJR会社境界がある路線の中で唯一、会社間を跨いでICカードを利用出来る路線となっている。また道路部分の債務償還が思うように進まず、鉄道部分の乗車が好調だったことから、児島駅 - 宇多津駅間は「公平性の担保」として、1996年(平成8年)1月10日から加算運賃(2019年10月1日時点で110円[8])が設定され、2001年(平成13年)に鉄道部分の債務4,900億円の償還完了後からは、道路との瀬戸大橋共用部の維持費として支払われる「本四利用料」や軌道維持費の一部に充当されている[9]。 なお、瀬戸大橋区間には保安上の理由から下窓上昇式窓の車両や、橋上で長時間の緊急停車を余儀なくされる事態を考慮して、トイレ非設置の車両は営業運転できない(例外として、一段上昇窓を持つJR四国のキハ58系の一部には乗り入れ対応車が存在した)。そのため現在JR西日本から乗り入れてくる115系も下段固定窓に改造した車両のみ乗り入れるよう運用が限定されており、当初の「瀬戸大橋ブーム」の際に臨時で乗り入れた165系・167系にも同様の改造がされ、117系も一段下降窓を装備する100番台限定で使用された。またJR四国側も開業当時の普通列車の主力車両だった121系電車は乗り入れできない。このため、当初は東日本旅客鉄道(JR東日本)で廃車になっていた111系、後に113系を購入したり、乗り入れに特化した6000系電車を導入しなければならなったりするといった事情が存在する。 路線データ
運行形態優等列車昼行特急列車として、岡山駅と松山方面とを結ぶ「しおかぜ」15往復、岡山駅と高知方面とを結ぶ「南風」14往復、岡山駅と徳島駅とを結ぶ「うずしお」2往復(岡山駅 - 宇多津駅間で「南風」と併結)が運転されている。 また夜行列車として東京駅 - 高松駅間の寝台特急「サンライズ瀬戸」が1往復運転されている。
快速「マリンライナー」→詳細は「マリンライナー」を参照
岡山駅 - 高松駅間で運転される快速列車。日中には毎時2本・30分間隔の運転を基本としている。宇野線区間では妹尾駅か早島駅のいずれか一方に必ず停車するが、朝・夜にはこの2駅双方とも停車する列車もある。また早朝・深夜には大元駅や備前西市駅に停車する列車もある。本四備讃線区間・予讃線区間(茶屋町駅 - 高松駅間)では途中で児島駅と坂出駅のみに停車するが、早朝・深夜の列車は本四備讃線区間内が各駅停車、予讃線内坂出駅- 高松駅間でも一部の途中駅に停車する(駅一覧参照)。
本州内の快速2020年3月14日のダイヤ改正より新設された快速列車。岡山駅 - 茶屋町駅間で、12時台と13時台にそれぞれ1往復ずつ運転される。岡山駅 - 妹尾駅間は各駅に停車し、妹尾駅 - 茶屋町駅間の途中駅は無停車となる。
普通→四国内のみを走る列車については「予讃線 § 地域輸送」を参照
各駅に停車する普通列車は、岡山駅 - 児島駅間の列車のほか、茶屋町駅から宇野線宇野駅方面へ直通する列車も運転されている。運転間隔は岡山駅 - 児島駅間で1時間に1 - 2本である。11時台にはこれに加えて、岡山駅 - 備前西市駅間の区間運転が1往復運行される。なお、以前は宇多津駅から予讃線多度津駅方面へ直通する岡山駅 - 観音寺駅・土讃線琴平駅間の列車が運転されていたが、2019年3月16日のダイヤ改正により廃止された[12]。
観光列車休日を中心に瀬戸大橋アンパンマントロッコが岡山駅 - 高松駅間、岡山駅 - 土讃線琴平駅間で各1往復運転されている。 2016年7月1日からはそれまで岡山駅 - 宇野線宇野駅間で運転されていたLa Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)が、あらたに岡山駅 - 高松駅間でも運転されることとなり、列車名「ラ・マルせとうち」として週1本運転されていた[13]。2017年春から岡山駅 - 琴平駅間に「ラ・マルことひら」も設定され[14]、同年秋からは岡山駅 - 高松駅間の「ラ・マルせとうち」に代わり、岡山駅 - 琴平駅間で「ラ・マルことひら」が祝日に運転されている[15][16]。
貨物列車→「宇野線 § 貨物列車」を参照
利用状況2009年(平成21年)10月22日に瀬戸大橋線の利用者が2億人に達した。瀬戸大橋線の年間利用者数は、1993年度(平成5年度)にピークになった1,094万人から下がりはじめ[17]、1998年度(平成10年度)の神戸淡路鳴門自動車道開通や、2008年度(平成20年度)の高速道路休日1,000円、2010年度(平成22年度)には瀬戸中央自動車道の料金割引の影響により、過去最低の720万人にまで減少した[18]。その後は徐々に回復し、横ばい傾向がみられる。
駅一覧予讃線内は、快速「マリンライナー」の停車駅および貨物駅のみを記載。これ以外の駅については「予讃線#駅一覧」を参照。
脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク |