南風 (列車)
南風(なんぷう)は、四国旅客鉄道(JR四国)・西日本旅客鉄道(JR西日本)が岡山駅 - 高知駅間を、宇野線・本四備讃線(瀬戸大橋線)・予讃線・土讃線経由で運行している特別急行列車である。 瀬戸内海や太平洋、吉野川沿いの大歩危・小歩危などを走る風光明媚な列車として、また繁忙期の乗車率の高さでも知られる。[1] 臨時特急「ウィークエンドエクスプレス高知」と共に土讃線で運転されていた優等列車の沿革についてもここで記述する。 概要特急「南風」は1972年3月15日に山陽新幹線の新大阪駅 - 岡山駅間開業に伴って行われたダイヤ改正により、高松駅 - 中村駅間で運転を開始した。「しおかぜ」と共に、四国初の特急列車であった[2]。宇高連絡船を経由して寝台特急「瀬戸」と宇野駅で接続するダイヤを組んでいた。 1988年4月10日に本四備讃線が開業したことにより岡山駅発着になり、エル特急に指定された。高松駅発着列車は引き続き残されることになり、この列車は「しまんと」に改称された。1989年3月に振り子式車両である2000系気動車を投入して所要時間短縮を図り、1997年には土佐くろしお鉄道宿毛線への乗り入れを開始したが、運行系統の分割により2020年3月のダイヤ改正で取りやめとなった。 「南風」の名称は、1950年10月1日高松桟橋駅 - 須崎駅間の準急列車に四国鉄道管理局が「南風」と名付けたのが最初で、公募により決定された。1965年10月に急行列車化されたが1968年10月に「あしずり」に統合され、「南風」の名称は、1972年3月まで別府駅 - 宮崎駅・西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)・鹿屋駅間の急行列車で使用されていた。 運行概況2022年3月12日現在、岡山駅 - 高知駅間に14往復が運転されている。列車番号は30D+号数[3]。 2往復が岡山駅 - 宇多津駅間で特急「うずしお」と、2往復が宇多津駅・多度津駅 - 高知駅間で特急「しまんと」とそれぞれ併結運転を行う。併結時の原則として、「南風」が編成の高知側に連結されるため、「うずしお」を併結する時は上り基準で「うずしお」が先に宇多津駅に入り、「南風」が駅手前で信号待ちを行う。「しまんと」を併結する時は下り基準で「南風」が先に宇多津駅に入り、「しまんと」が駅手前で信号待ちを行う。 「しまんと」を併結しない「南風」は宇多津駅、丸亀駅、多度津駅において高松発着の快速「サンポート南風リレー号」と接続する。また、「しまんと」を併結する「南風」であっても多客期には「南風」を増結する為に本来併結する「しまんと」を区間運休し「南風」の単独運転となる場合がある。この場合、「しまんと」は高松駅 - 多度津駅(下り)・宇多津駅 - 高松駅(上り)間のみの運行となり、「南風」との接続列車として機能する[4][注 2]。 中村駅・宿毛駅発着の特急「あしずり」とは起終点駅である高知駅の同一ホームで接続する。 2019年3月15日まで運行されていた岡山駅 - 宿毛駅間の所要時間は最速で約4時間35分で、走行距離の318.0 km は2016年(平成28年)3月26日当時、在来線の特急列車としては全国第9位であり[新聞 1]、JR四国の車両で運行する特急列車としては最長であった。 2022年3月12日より、下りの最終となる南風27号はJR四国の特急列車の中で唯一日付をまたいで運行される特急となった(高知着0時06分)。 停車駅岡山駅 - 児島駅 - 宇多津駅 - 丸亀駅 - 多度津駅 - 善通寺駅 - 琴平駅 - 阿波池田駅 - 大歩危駅 - (大杉駅) - 土佐山田駅 - 後免駅 - 高知駅
使用車両・編成
JR四国の高知運転所・高松運転所に所属する2700系気動車を使用している。 うち、高松所属車は多客期の増結時に使用される。2000系時代、かつては1往復がN2000系による3両編成で運転されていたが、2011年3月のダイヤ改正で「うずしお」1往復と運用が入れ替わり、「南風」の基本編成は2000系量産車に統一されていた。2016年3月のダイヤ改正からは、8600系投入に伴う2000形の転用により、「南風」は定期列車全列車がグリーン席を設定し2021年3月12日まで運用され、2700系気動車に統一された現在も全列車グリーン席設定を踏襲している(ただし定員は18名から12名に減少している)。 5往復はアンパンマン列車として運転され、1号車の指定席が「アンパンマンシート」である。JR四国所属の「あか」と「きいろ」がそれぞれ4両1編成あり、通常期の平日は指定席を1両減らした3両編成で運転されている。2000系気動車で運転されていた過去使用列車は2020年7月18日までは土佐くろしお鉄道所属のオレンジ(4両編成)と2019年3月15日まではJR四国所属のグリーン(改正前の下り3・25号/上り2・24号、3両編成)も使用されていて、土曜に指定席1両を増結し、4両編成で運転されていた。 なお、善通寺駅・大歩危駅では、駅ホームの長さが不足するためドアカットが行われる場合がある。「しまんと」を併結する列車では、これらに加えて大杉駅・後免駅でもドアカットが行われる場合がある。
過去の使用車両
利用状況当列車が岡山駅発着となってから、競合が想定される交通機関には以下のような環境の変化があった。
JR四国では高速道路の延伸への対抗として、吉野川を縫うように進みカーブが多い土讃線での高速化のため、振り子式の2000系気動車を導入し、1991年までに「南風」全列車の置き換えを完了した。 1998年(平成10年)に土讃線で発生した路盤崩落で約3か月間不通になったことで乗用車や高速バスに一部の利用者が流れた[要出典]。 高知 - 京阪神間だけでもJRバスグループのJR四国バス・西日本JRバスやとさでん交通・阪急バス・神姫バスの運行する高速バスが合計29往復(2019年8月現在)運行されており、これらとシェアを争う形になっている。「南風」の利用者数は高知道開通前に比べると減少しており、同じく岡山発着の予讃線特急「しおかぜ」と比べると利用者は4割程度となっている[要出典]。 その対策として、2000系車両にアンパンマンのキャラクターを描いた「アンパンマン列車」を運行したり、京阪神方面の利用回復を狙った「阪神往復フリーきっぷ」などの特別企画乗車券の発売、岡山駅での新幹線接続の改善などをおこなった。2000年と2005年の大阪府と高知県の間の旅客輸送シェアを比較した調査においては、鉄道はこの両年でほぼ同じ比率となっている[6]。 高知市 - 岡山市間には所要時間が互角で、料金はほぼ半額の高速バス龍馬エクスプレスも運行されている。これに対して、JR四国とJR西日本は高速バスとほぼ同額で利用できる往復割引のトクトクきっぷを発売して対抗している。 臨時列車ウィークエンドエクスプレス高知金曜・土曜のみ運転する臨時列車として「ウィークエンドエクスプレス高知」が、高知発土佐山田行きと土佐山田発須崎行きでそれぞれ1本ずつ運転されていた。高知発土佐山田行きの走行距離は15.3kmで、博多南線を除くJRグループの特急列車としては最短となっていた。 2006年12月から運転を開始し、当初から金曜日・土曜日のみ運転されていた。同年8月25日に起こった福岡海の中道大橋飲酒運転事故で飲酒運転が社会的な問題になった中、忘年会シーズンに合わせて土佐山田行き、須崎行きとも本来の最終列車の後に運行された。2007年3月1日からは日曜・休日を除く毎日運転の臨時列車「ホームエクスプレス高知」として運行された。 この列車は2008年3月14日まで運行されたが、翌15日からは名前を「ウィークエンドエクスプレス高知」に戻し、運転日も当初と同様金曜・土曜のみとなり、2009年3月14日のダイヤ改正に伴い廃止された。 なお2006・2007年度ダイヤの「ホームエクスプレス高知」として運行されていたころは、後免駅で土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の臨時普通列車「ホームライナーあき」と接続していたが、「ウィークエンドエクスプレス高知」への変更と同時に廃止された。 車両は「しまんと」9号として高知駅まで運行されるN2000系気動車3両編成を充当しており、全車自由席の設定で、ヘッドマークは「臨時」となっていた。また、折り返し時の座席の回転を省略するため座席を向かい合わせた状態で運行していた。
土讃線優等列車沿革戦後の展開
土讃本線優等列車の気動車統一以降
特急「南風」の設定以降
瀬戸大橋線開業以降
2000年代の動き
2010年代の動き
2020年代の動き
脚注注釈出典
報道発表資料
新聞記事
参考文献
関連項目外部リンク
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