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この項目では、福岡県福岡市東区の町の名前について説明しています。日本の城郭の構成要素については「曲輪#馬出」、「虎口#馬出」をご覧ください。 |
馬出(まいだし)は、福岡市東区の町名。現行の行政地名は、馬出一丁目から六丁目まで[1]。面積は108.80ヘクタール[2]。2022年9月末日現在の人口は10,124人、世帯数は6,634世帯[3]。郵便番号812-0054[4]。
地理
福岡市の都心部とされる中央区天神等の北東約3キロメートル、東区の南端、筥崎宮の南西に位置する。北西で国道3号を挟んで東浜と、北東で箱崎、筥松、郷口町及び社領と、南東で吉塚及び吉塚本町と、南西で博多区東公園及び千代と隣接する。町内の土地利用については、主な施設として九州大学病院が所在する。
河川
馬出六丁目の北東側に次の河川が横断している[5]。
子育て・教育環境
教育機関としては旧帝大の九州大学医学部、歯学部、薬学部をはじめとして、博多女子中学校・高等学校、福岡市立福岡中学校、福岡市立馬出小学校、認可保育園夢の木保育園が存在する。このほか九州大学生体防御医学研究所、附属感染防御研究センター、遺伝情報実験センターなどの研究機関が位置し全体として文教地区を形成する。
また保育施設(杉の子保育園、ひまわり保育園)のほか育児サークルとして「メリーゴーランド」(馬出会館)、「どんぐりらんど」(東市民センター)、子育て交流サロンとして「SUNさんサロン」などの活動も活発で、子育て世帯の人気が高い。
学校区として馬出校区は福岡市全体と比し高い出生率を誇っており、馬出校区の児童数は平成12年以降増加している[6]。
公園都市として
東公園[7]、馬出緑地、九大キャンパス、筥崎宮花庭園など緑地も多くガーデンシティとしても知られる。都市の一人当たりの公園面積においては福岡市は全国で上位に位置し[8]、とりわけ教育・研究施設が面積の多くを占め、人口密度の小さい馬出地区は一人当たりの公園面積で全国有数を誇る[9][10] 。
国際都市として
博多が国際都市として発展してきた歴史的経緯から外国人の居住も見られ、インターナショナル・スクールも存在する。ショッピングモールとして国道3号を挟んで隣接する東浜に衣食住140の専門店を含むゆめタウン博多[11]が存在し、休日には近隣地域から訪れる人も少なくない。
医療・福祉施設
地区内に12の医療機関が存在し、一人当たりの医師、看護師、病床数において全国平均を遥かに上回る値を誇っている[12]。
上記のような恵まれた教育・医療・福祉・衣食住のインフラストラクチャーの充実、治安や居住環境の良さ[13]から近年「住んでみたい街」として注目されつつあり、高層の集合住宅の建設が進んでいる[6]。
都市計画
都市計画に関しては、「福岡市都市計画マスタープラン」[14]において定められた方針については次のとおりである。交通ネットワークとして都市の骨格となる国道3号の沿道や幹線道路である福岡直方線や浜新建堅粕線(「妙見通り」)の沿道は、商業、業務、サービス施設や中高層住宅などが連続した「都市軸」や「沿道軸」に位置付けられている。宇美川(多々良川の支流)の河川沿いが散策・憩いの場となるとともに、緑と広がりのある景観が連続したゆとりと潤いのある水辺空間として「河川緑地軸」に位置付けられている。九州大学医学部や九州大学病院を含むゾーンは大規模施設が立地するゾーンとされている。九州大学等の周辺に接するゾーンは、戸建住宅などの低層住宅が大部分を占めるが、一部中高層住宅などが立地する「低中層住宅ゾーン」に位置付けられ、低層住宅と中層住宅の調和、狭隘道路の改善などがまちづくりの視点とされている。九州旅客鉄道(JR九州)の鹿児島本線及び篠栗線の東側に位置する馬出六丁目は、工場や倉庫、事業所などの工業系の施設と住宅が立地する「住工共存ゾーン」に位置付けられ、狭隘道路の改善、良好な市街地環境の保全・形成などがまちづくりの視点とされている。用途地域については次のとおりである[15]。福岡直方線、吉塚停車場線及び浜新建堅粕線(妙見通り)の道路境界線から概ね30メートルの範囲は商業地域に指定されている。馬出東浜線の道路境界線から概ね50メートルの範囲は第二種住居地域に指定されている。国道3号の道路中心線から東側で「馬出緑地」(西鉄福岡市内線跡)等に挟まれた範囲及び馬出六丁目のうち篠栗線の東側の範囲は準工業地域に指定されている。これら以外の範囲は第一種住居地域に指定されている。風致地区[注釈 1]については、筥崎宮の参道に面した範囲が指定されており[16]、造成や建築などを行うときには一定の制限がある。地区計画については、馬出一丁目の一部約0.5ヘクタールの範囲について「馬出一丁目地区」が定められており、計画的な機能更新により、教育機能及び居住機能の共存した土地利用を誘導し、歩行者空間や広場などのオープンスペースの創出することにより、良好な市街地環境の形成を図ることを目標とし、さらに建築物等に関する制限が加えられている。また、東区馬出一丁目、馬出五丁目、馬出六丁目、箱崎一丁目、箱崎三丁目、箱崎六丁目、筥松二丁目、筥松三丁目及び筥松四丁目の各一部並びに博多区吉塚本町の一部約28.0ヘクタールの範囲について「筥崎土地区画整理地区」が定められており、箱崎地区は商業、業務等の土地利用のための「商業ゾーン」として、駅前及び幹線道路沿いにふさわしい良好な施設の立地誘導を図ることを目標とし、建築物等に関する制限が加えられている[17]。
歴史
鎌倉時代の元寇の際、海に面していたこの地は文永の役(1274年)で元軍の被害を受け、そののち防塁が馬出にも築かれた。
海岸一帯は松原であった。九州征伐を終えた豊臣秀吉がここに陣を置き、千利休に命じて天正15年(1587年)に野点をおこなった。利休が茶釜を掛けたとされる松(利休釜掛松)が現存する。
江戸時代までにこの地は曲物や屋根の葺き板を作る家が多くあった。これは三方などの筥崎宮の祭具を作っていたことにちなむ。
明治になり、賛生館の流れを汲む福岡県立福岡病院を母体に1903年京都帝国大学の分科大学として福岡医科大学が設置された。その後九州帝国大学医学部および付属病院が設置され、戦後には九州大学に至り、カレッジタウンとして殷賑してきた。
地名の由来
筥崎宮の神幸の参加者に乗馬を出したことにちなむとされる。かつては那珂郡に属し、馬屋出とも記された。
町域の変遷
人口
馬出一丁目から馬出六丁目まで合わせた人口の推移を福岡市の住民基本台帳(公称町別)[3]に基づき示す(単位:人)。集計時点は各年9月末現在である。
- 2001年(平成13年):7,468
- 2002年(平成14年):8,053
- 2003年(平成15年):8,000
- 2004年(平成16年):7,875
- 2005年(平成17年):7,644
- 2006年(平成18年):7,736
- 2007年(平成19年):8,029
- 2008年(平成20年):7,929
- 2009年(平成21年):8,351
- 2010年(平成22年):8,709
- 2011年(平成23年):8,800
- 2012年(平成24年):9,037
- 2013年(平成25年):9,217
- 2014年(平成26年):9,344
- 2015年(平成27年):9,474
- 2016年(平成28年):9,554
- 2017年(平成29年):9,654
- 2018年(平成30年):9,616
- 2019年(令和元年):9,670
- 2020年(令和2年):9,881
- 2021年(令和3年):9,955
- 2022年(令和4年):10,124
施設
公共・公益施設
-
九州大学病院
-
九州大学医学歴史館
-
創立75周年記念庭園(九大医学部)
-
博多税務署
-
東福岡年金事務所
教育施設
幼稚園
幼稚園については次の通り。
公立小・中学校
小・中学校については次の通り[22][23][24]。
私立学校
大学
その他の施設
史跡・文化財
- 史跡
- 指定文化財
- 木造釈迦如来坐像
- 木造弥勒如来坐
- 木造不動明王坐
- 喚鐘
- 枯野
-
利休釜掛松
-
正門門衛所(九州大学)
-
高松高橋稲荷大明神(県営東公園内)
-
三隅神社
-
旧福岡市動植物園正門
交通
道路
主な幹線道路は次の通り。
都市高速道路
都市高速道路としては、南方に福岡高速環状線が、東方に福岡高速1号香椎線が通っており、最寄りの出入口は次の通り。
国道
国道は次の通り。
県道
県道は次の通り。括弧内は福岡市道路愛称等。
市道
市道は次の通り。
- 馬出東浜線
- 吉塚通線
- 吉塚駅前線[注釈 18]
- 原田吉塚線
- 筥松吉塚線
鉄道
鉄道については、福岡市交通局が運営する地下鉄の福岡市地下鉄箱崎線が地区の北側に通っており、次の駅がある。
なお、馬出三丁目の南西端からは次の駅のほうが近い。
- 千代県庁口駅(所在地:千代一丁目から千代四丁目まで及び東公園に跨る位置)
また、九州旅客鉄道(JR九州)の鹿児島本線及び篠栗線が町内を通っており、町外であるが、最寄りの駅は次のとおりである。
なお、馬出の北部の一部からは次の駅のほうが近い。
路線バス
バスについては、西日本鉄道株式会社が運営する西鉄バスが運行しており、次の停留所がある[28]。
- 福岡直方線沿い:県庁前、警察本部前・九大病院入口
- 馬出4586号線、馬出4587号線及び馬出4588号線(通称:「馬出通り」)沿い:馬出通り、箱崎
なお、「馬出通り」沿いは西鉄福岡市内線貫線の廃線跡を転用したバス専用道路(馬出4586号線、馬出4587号線及び馬出4588号線)となっている。
また、JR九州バス株式会社が運営するJRバスの直方線[注釈 21]も運行しており、次の停留所がある[29]。
- 福岡直方線沿い:九大病院・県庁前(九州大学医学部正門附近)
出身・ゆかりのある人物
脚注
注釈
出典
- ^ 福岡市. “福岡市区の設置等に関する条例”. 2022年11月1日閲覧。→別表第1
- ^ 福岡市統計調査課. “平成27年(2015年)国勢調査の結果”. 2022年11月1日閲覧。
- ^ a b 福岡市統計調査課. “登録人口(公称町別)- 住民基本台帳(日本人)男女別人口及び世帯数”. 福岡市. 2022年11月1日閲覧。
- ^ 日本郵便株式会社. “郵便局”. 2022年10月7日閲覧。→「郵便番号を調べる」→キーワード検索等
- ^ 福岡市河川計画課. “福岡市の河川概要”. 福岡市. 2022年11月2日閲覧。より「河川図」参照
- ^ a b 福岡市東区馬出校区(福岡市役所)pdf
- ^ ただし敷地は東公園と馬出に跨っている。
- ^ [1]
- ^ 公園名と敷地面積は馬出東2525m2、馬出南997m2、米田2392m2、馬出1号597m2、馬出2号249m2、馬出3号371m2、馬出緑地7325m2、東4945m2、東御所の内2435m2.
- ^ 馬出キャンパス650000m2と筥崎宮花園7000m2を加えた一人当たり公園面積は10.79m2で全国平均を大きく上回り、政令指定都市の比較では札幌に次ぐ面積である。ただし馬出キャンパスは敷地の全てが緑地ではないが市民の散策可能な準緑地として見なす。
- ^ 開設は平成12年6月22日,住所は東浜1丁目であるが学区は馬出内である。
- ^ 個人病院を除いた病床数は1,452床であり、1000人当たりの病床数において全国平均13.2人を10倍以上回る。
- ^ 近隣地域と比較して東区は比較的犯罪発生率は低い。福岡県警察・犯罪統計より
- ^ 福岡市都市計画課. “福岡市都市計画マスタープラン”. 福岡市. 2022年11月2日閲覧。、都市計画法第18条の2に基づき市町村が定める都市計画に関する基本的な方針
- ^ 福岡市. “福岡市WEBまっぷ”. 福岡市. 2022年11月2日閲覧。→「都市計画情報」
- ^ 福岡市住宅都市局公園部活用課. “風致地区”. 2022年11月2日閲覧。→「福岡市Webまっぷ」→「都市計画情報」
- ^ 福岡市都市計画課. “地区計画決定状況一覧”. 福岡市. 2022年10月21日閲覧。→「再10」及び「東14」
- ^ 国税庁(National Tax Agency). “国税庁”. 2022年11月3日閲覧。→国税庁等について→組織→福岡国税局→税務署所在地・案内→福岡県→博多
- ^ a b c 国税庁長官官房企画課法人番号管理室. “国税庁法人番号公表サイト”. 2022年11月26日閲覧。→検索
- ^ 福岡市道路下水道局. “下水道事業の概要”. 福岡市. 2023年1月23日閲覧。 →「福岡市の下水道」(令和4年度版、PDFファイル、32ページ)
- ^ a b c d “公園等検索”. 公益財団法人福岡市緑のまりづくり協会. 2022年11月2日閲覧。
- ^ 福岡市教育委員会. “福岡市通学区域”. 福岡市. 2022年11月26日閲覧。
- ^ 福岡市. “福岡市立小学校設置条例”. 2022年11月26日閲覧。
- ^ 福岡市. “福岡市立中学校設置条例”. 2022年11月26日閲覧。
- ^ 福岡市. “福岡市文化財保護条例”. 2023年1月11日閲覧。第35条第2項第1号
- ^ 福岡市経済観光文化局文化財活用部文化財活用課. “旧福岡市動植物園正門”. 2023年1月11日閲覧。
- ^ 福岡市. 旧市立動植物園の門 (現地説明板) (Report). 福岡市東区馬出一丁目12番27号. ;
- ^ 西日本鉄道株式会社. “西鉄バス 路線図”. 2022年10月30日閲覧。→東区版→路線マップ(PDF)
- ^ JR九州バス株式会社(JR KYUSHUBUS COMPANY). “JR九州バス”. 2022年11月1日閲覧。→路線バス→福岡直方線・本線
- ^ 『翼賛議員銘鑑』393頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2021年9月26日閲覧。
- ^ a b c d 『政治家人名事典』498 - 499、501頁。
参考文献
- 『翼賛議員銘鑑』議会新聞社、1943年。
- 『政治家人名事典』日外アソシエーツ、1990年。
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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一覧は「福岡市区の設置等に関する条例」(昭和47年条例第1号)に基づく
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