士別市(しべつし)は、北海道上川地方北部にある市。
概要
最後の屯田兵村の一つであり[1]、農業の集散地として発展してきた。士別駅付近には多数のレンガ造りの農業倉庫があり、現在でも使用されている。また、羊のまちでもあり、郊外の観光施設「羊と雲の丘」「めん羊牧場」では、めん羊の放牧や飼育風景を見ることができる。士別剣淵インターチェンジの東にある「かわにしの丘」には丘陵風景が広がっている。スポーツ合宿が盛んで、夏には実業団・大学など多くのスポーツチームが、涼しい気候を求めて合宿にやって来る。
地名の由来
- アイヌ語の「シペッ」(大いなる川)から地名がついた。
地理
中心市街地は名寄盆地の南部、天塩川と剣淵川の合流点付近にある。市の東部は北見山地に、西部の温根別地区は天塩山地に続く山地となっている。市の東部にある岩尾内湖は天塩川の最上流である。道内の根室管内に同じ読みの標津町があるため、「しべつし」と市を加えたり「(漢字から)サムライ士別」と読んで区別する場合がある。
地形
山地
- 主な山
河川
- 主な川
湖沼
- 主な湖
地域
住宅団地
消滅集落
2015年国勢調査によれば、以下の集落は調査時点で人口0人の消滅集落となっている[2]。
人口
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士別市と全国の年齢別人口分布(2005年)
|
士別市の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 士別市 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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士別市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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38,145人
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1975年(昭和50年)
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33,741人
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1980年(昭和55年)
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32,103人
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1985年(昭和60年)
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30,459人
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1990年(平成2年)
|
28,162人
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1995年(平成7年)
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26,403人
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2000年(平成12年)
|
24,991人
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2005年(平成17年)
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23,411人
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2010年(平成22年)
|
21,797人
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2015年(平成27年)
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19,914人
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2020年(令和2年)
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17,858人
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総務省統計局 国勢調査より
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隣接している自治体
- 北海道
気候
ケッペンの気候区分によると、士別市は亜寒帯湿潤気候または湿潤大陸性気候に属する。寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい顕著な大陸性気候である。降雪量が多く、周辺の自治体と同様に特別豪雪地帯に指定されている。
冬季は-30℃前後の気温が観測されることが珍しくなく、近年でも2014年2月8日に-31.2℃、2020年2月9日に-31.7℃を観測している。
士別(1991年 - 2020年、標高135 m)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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6.8 (44.2)
|
11.8 (53.2)
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14.4 (57.9)
|
26.6 (79.9)
|
32.8 (91)
|
36.3 (97.3)
|
36.2 (97.2)
|
37.0 (98.6)
|
31.8 (89.2)
|
26.6 (79.9)
|
19.9 (67.8)
|
11.1 (52)
|
37.0 (98.6)
|
平均最高気温 °C (°F)
|
−4.3 (24.3)
|
−2.8 (27)
|
1.9 (35.4)
|
9.5 (49.1)
|
17.5 (63.5)
|
22.0 (71.6)
|
25.4 (77.7)
|
25.6 (78.1)
|
21.2 (70.2)
|
14.1 (57.4)
|
5.4 (41.7)
|
−1.8 (28.8)
|
11.2 (52.2)
|
日平均気温 °C (°F)
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−8.5 (16.7)
|
−7.7 (18.1)
|
−2.8 (27)
|
4.2 (39.6)
|
11.2 (52.2)
|
15.8 (60.4)
|
19.7 (67.5)
|
20.1 (68.2)
|
15.5 (59.9)
|
8.8 (47.8)
|
1.7 (35.1)
|
−5.2 (22.6)
|
6.1 (43)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−14.5 (5.9)
|
−14.2 (6.4)
|
−8.5 (16.7)
|
−0.9 (30.4)
|
5.2 (41.4)
|
10.5 (50.9)
|
15.0 (59)
|
15.7 (60.3)
|
10.6 (51.1)
|
4.0 (39.2)
|
−1.9 (28.6)
|
−9.9 (14.2)
|
0.9 (33.6)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−35.1 (−31.2)
|
−34.2 (−29.6)
|
−28.9 (−20)
|
−13.0 (8.6)
|
−5.0 (23)
|
0.4 (32.7)
|
4.6 (40.3)
|
4.5 (40.1)
|
0.2 (32.4)
|
−6.4 (20.5)
|
−20.4 (−4.7)
|
−29.0 (−20.2)
|
−35.1 (−31.2)
|
降水量 mm (inch)
|
64.2 (2.528)
|
49.2 (1.937)
|
52.2 (2.055)
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46.7 (1.839)
|
62.9 (2.476)
|
66.3 (2.61)
|
130.5 (5.138)
|
152.3 (5.996)
|
148.8 (5.858)
|
116.0 (4.567)
|
125.7 (4.949)
|
102.3 (4.028)
|
1,117.6 (44)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
17.4
|
14.6
|
14.7
|
10.8
|
10.7
|
10.0
|
11.7
|
12.3
|
13.9
|
15.8
|
19.7
|
21.5
|
172.9
|
平均月間日照時間
|
47.6
|
75.0
|
117.2
|
159.3
|
189.8
|
168.4
|
162.6
|
152.2
|
147.2
|
114.6
|
48.0
|
31.8
|
1,410.1
|
出典1:Japan Meteorological Agency
|
出典2:気象庁[3]
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朝日(1991年 - 2020年、標高225 m)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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8.3 (46.9)
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14.6 (58.3)
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15.9 (60.6)
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26.7 (80.1)
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32.8 (91)
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36.4 (97.5)
|
36.9 (98.4)
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37.2 (99)
|
32.0 (89.6)
|
26.6 (79.9)
|
20.3 (68.5)
|
12.4 (54.3)
|
37.2 (99)
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平均最高気温 °C (°F)
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−3.9 (25)
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−2.8 (27)
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1.8 (35.2)
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9.4 (48.9)
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17.5 (63.5)
|
22.1 (71.8)
|
25.6 (78.1)
|
25.6 (78.1)
|
21.2 (70.2)
|
13.9 (57)
|
5.3 (41.5)
|
−1.6 (29.1)
|
11.2 (52.2)
|
日平均気温 °C (°F)
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−8.0 (17.6)
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−7.4 (18.7)
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−2.9 (26.8)
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3.9 (39)
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10.9 (51.6)
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15.8 (60.4)
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19.7 (67.5)
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20.0 (68)
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15.2 (59.4)
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8.3 (46.9)
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1.5 (34.7)
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−5.0 (23)
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6.0 (42.8)
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平均最低気温 °C (°F)
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−13.2 (8.2)
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−13.3 (8.1)
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−8.5 (16.7)
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−1.6 (29.1)
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4.5 (40.1)
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10.1 (50.2)
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14.8 (58.6)
|
15.4 (59.7)
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10.0 (50)
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3.4 (38.1)
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−2.3 (27.9)
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−9.3 (15.3)
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0.8 (33.4)
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最低気温記録 °C (°F)
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−28.8 (−19.8)
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−29.0 (−20.2)
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−27.0 (−16.6)
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−14.7 (5.5)
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−4.8 (23.4)
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−0.7 (30.7)
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3.5 (38.3)
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4.6 (40.3)
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0.1 (32.2)
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−5.8 (21.6)
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−17.1 (1.2)
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−26.3 (−15.3)
|
−29.0 (−20.2)
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降水量 mm (inch)
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48.2 (1.898)
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37.1 (1.461)
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47.3 (1.862)
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49.4 (1.945)
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69.5 (2.736)
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73.1 (2.878)
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139.2 (5.48)
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149.1 (5.87)
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151.0 (5.945)
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123.1 (4.846)
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104.8 (4.126)
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76.2 (3)
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1,067.9 (42.043)
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平均降水日数 (≥1.0 mm)
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17.2
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13.8
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14.5
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11.6
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11.5
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9.7
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11.3
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11.9
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13.5
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16.4
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19.0
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20.0
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170.4
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平均月間日照時間
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59.5
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77.8
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117.3
|
154.4
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193.1
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172.5
|
166.1
|
156.4
|
151.2
|
118.6
|
53.3
|
38.1
|
1,460.6
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出典1:Japan Meteorological Agency
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出典2:気象庁[4]
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歴史
沿革
旧士別市歴代市長
代 |
氏名 |
就任年月日 |
退任年月日
|
初代 |
三浦満吉[6] |
1954年8月9日 |
1956年6月9日
|
2代 |
佐々木良五郎[6] |
1956年8月10日 |
1964年8月9日
|
3代 |
木村伊三郎[6] |
1964年8月10日 |
1974年4月18日
|
4代 |
國井英吉[6] |
1974年5月25日 |
1990年5月24日
|
5代 |
樫木実[6] |
1990年5月25日 |
1998年5月24日
|
6代 |
田苅子進[6] |
1998年5月25日 |
2005年8月31日
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行政
市長
士別市長(しべつしちょう)は、北海道士別市の首長。
歴代市長
代 |
氏名 |
就任年月日 |
退任年月日 |
備考
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初代 |
田苅子進 |
2005年9月25日 |
2009年9月24日 |
旧士別市長
|
2代 |
牧野勇司 |
2009年9月25日 |
2021年9月24日 |
|
3代 |
渡辺英次 |
2021年9月25日 |
|
|
施設
警察
- 警察署
- 交番
- 駐在所
- 朝日駐在所(士別市朝日町中央4520)
- 温根別駐在所(士別市温根別南1線6362-1)
- 上士別駐在所(士別市上士別16線南3)
- 多寄駐在所(士別市多寄36線西4)
- 中士別駐在所(士別市中士別4線東3)
消防
- 本部
- 消防署
- 支署
- 分遣署
- 上士別分遣署(士別市上士別町16線南2)
- 中士別分遣署(士別市中士別町4線東)
- 温根別分遣署(士別市温根別町7297-4)
- 多寄分遣署(士別市多寄町36線西4)
医療
- 主な病院
郵便局
- 士別中央通郵便局
- 士別大通郵便局
- 中士別郵便局
- 多寄郵便局
- 温根別郵便局
- 上士別郵便局
- 士別東簡易郵便局
- 下士別簡易郵便局
- 武徳簡易郵便局
- 川南簡易郵便局
対外関係
姉妹都市・提携都市
日本国外
国内
経済
第一次産業
第一次産業が主たる産業であり、農業、林業、畜産業が経済の中核を担っている。大正時代には澱粉製造、昭和初期からは製糖が盛んとなり、現在も甜菜糖の工場があり、主要な産業となっている。
- 農業
- 畜産業
- 「サフォークランド士別」をキャッチフレーズに羊の牧畜に力を入れており、市営の牧場にはサフォーク種を中心に約30種類のめん羊が飼育されている。
- 農協
第二次産業
自動車・タイヤメーカーの試験場がつくられ、冬の厳しい寒さを利用した寒冷地試験が行われている。ミシュランのスタッドレスタイヤが当地で開発されたことから、ミシュランからは「スタッドレスの聖地」と呼ばれている[9]。
- 立地企業
第三次産業
- 主な金融機関
- 物流
- 北海道士別センター
情報・通信
マスメディア
中継局
新聞社
教育
高等学校
- 道立
- 市立
中学校
- 市立
- 士別市立士別中学校
- 士別市立士別南中学校
- 士別市立上士別中学校
- 士別市立多寄中学校
- 士別市立朝日中学校
小学校
- 市立
幼児教育
- 保育
- 市内には公立の認可保育所が3つ、僻地保育所が5つ、認可外保育所が4つある。認可外保育所のうち、こぶたの家保育園(NPO法人)では、乳児保育や給食を実施。休日保育・延長保育・一時保育・学童保育をこぶたの家保育園で実施している。つくも保育園(宗教法人)は2008年3月末に休止した。
交通
空港
- 最寄りの空港
鉄道
バス
路線バス
高速バス
道路
高速道路
国道
道の駅
名所・旧跡・観光スポット
名所・旧跡
- 主な寺院
博物館・文化財
観光スポット
- つくも水郷公園 - 天塩川横にある公園
- 羊と雲の丘 - 市西部の小高い丘。めん羊が放牧されている。市内が一望できるレストランもある。
- めん羊牧場 - 羊と雲の丘に隣接。様々な品種の羊が飼育されている。2007年7月から放送の『牛に願いを』のロケ地にもなった。
- かわにしの丘 - 士別剣淵ICの東に位置する美しい丘陵地帯。
- 岩尾内湖 - 天塩川をせき止めて出来たダム湖で、釣りやキャンプが楽しめる。
- 大和牧場 - 上士別町の山間にある542 haの広大な市営牧場。牛、及び馬の放牧が見られる。
- 三望台シャンツェ - 旧朝日町にあるスキージャンプ競技場、夏・冬通じて競技会や合宿が行われる。
- 道の駅羊のまち 侍・しべつ - 道内129番目の道の駅として、2021年5月1日にオープンした。
文化・名物
祭事・催事
名物・名産
スポーツ
娯楽
日本の映画館数がピークを迎えたのは1960年(昭和35年)であり、同年の士別市には士別劇場(西2条7丁目)、士別映劇(東1条4丁目)、上士別劇場(上士別町南二番)、栄座(上士別町)、温根別栄座(温根別町)、多寄劇場(多寄町)、テアトル銀映(東3条8丁目)の7館の映画館があった[12]。士別市で最後まで残った映画館は1983年(昭和58年)閉館のテアトル銀映であり、映画のほかには旅芝居、浪曲、歌謡ショー、ストリップなどの興行が行われたこともあった[13]。2014年(平成26年)、テアトル銀映で使用されていた1963年(昭和38年)製カーボンアーク式35ミリフィルム映写機1台が札幌市の北の映像ミュージアムに展示された[13][14]。
出身・関連著名人
政治
経済
文化
芸能
スポーツ
名誉市民
- 秋山孝太郎(馬鈴薯栽培の実績と地方議員としての功績)
- 國井英吉(第3代市長)
- 佐々木良五郎(第2代市長)
- 中西秀利(岩尾内ダム建設推進における功績)
- 久光鷹士(地方議員としての功績)
- 山崎永太(山崎糯開発者)
その他
脚注
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
士別市に関連するカテゴリがあります。
- 行政
- 観光