登別市(のぼりべつし)は、北海道中南部(道央地方)に位置し、胆振総合振興局に属する市。
概要
1869年(明治2年)、太政官布告により仙台藩白石城主の片倉邦憲に幌別郡支配を命じ、翌年に片倉旧臣・職人が移住してきたのが登別市のはじまりである。北海道有数の温泉地である登別温泉は江戸時代から知られており、最上徳内著の『蝦夷草紙』にも記されている。市東部の登別温泉・カルルス温泉がある地域は支笏洞爺国立公園となっており[2]、「観光都市」としての色合いが強い[注 1]。丘陵地では酪農も行っている。一方、市中西部は室蘭市からの市街地が続いており、「工業都市」の一翼を担っている。
地名の由来
市名はアイヌ語の「ヌプㇽ・ペッ」(ラテン文字表記:nupur-pet 色の濃い・川)に由来しており[3]、これは石灰質の温泉が川に流れ込んで川の色が白く濁っていることによるものである。
地理
東南部の海岸沿いに平地があり、内陸部は台地と丘陵地・山地になっている。海岸線のほとんどは砂浜で、北東部にある蘭法華岬周辺や南西端の鷲別岬周辺に岩地がある。日和山は活火山で湯気を上げており、付近は気象庁の常時観測火山「倶多楽(登別火山)」となっている[4]。キウシト湿原は環境省による「日本の重要湿地500」に選定されている[5]。
地形
山地
- 主な山
- 来馬岳(1,040.1 m)
- 鷲別岳(室蘭岳 911.0 m)
- 加車山(897.5 m)
- カムイヌプリ(750.1 m)
- 幌別岳(736.1 m)
- 四方嶺(クマ山 549.3 m)
- 日和山(377 m)
- ポントコ山(224 m)
河川
- 主な川
湖沼
- 主な湖
- 主な沼
- 主な池
海岸
- 主な岬
湿地
- 主な湿地
-
来馬岳(2012年8月)
-
カムイヌプリ(2009年11月)
-
日和山と大湯沼(2014年6月)
-
クスリサンベツ川(2004年3月)
-
胆振幌別川(2012年8月)
-
鷲別川(2012年6月)
-
幌別ダム(2012年8月)
-
蘭法華岬(2004年3月)
気候
ケッペンの気候区分によると亜寒帯湿潤気候(Dfb)の気候型になる。1月の平均気温は-4.1℃で、8月の平均気温は19.6℃。年間平均気温は7.4℃。7・8月の盛夏でも気温が25度を超える夏日は少ない。冬は気温の日較差が少なく最低気温も-10℃以下になることはほとんどない。北海道の中では比較的温暖で雪が少ない地域となっている[6]。ただ、山間部のカルルス地区は雨量が多く、降り始めからの降水量の多さは北海道内有数となっている。
登別(1991年 - 2020年)の気候
|
月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
最高気温記録 °C (°F)
|
9.1 (48.4)
|
11.4 (52.5)
|
15.0 (59)
|
23.5 (74.3)
|
29.4 (84.9)
|
29.1 (84.4)
|
32.4 (90.3)
|
32.4 (90.3)
|
30.3 (86.5)
|
25.6 (78.1)
|
21.0 (69.8)
|
12.9 (55.2)
|
32.4 (90.3)
|
平均最高気温 °C (°F)
|
−1.2 (29.8)
|
−0.6 (30.9)
|
3.0 (37.4)
|
9.3 (48.7)
|
15.0 (59)
|
18.3 (64.9)
|
21.7 (71.1)
|
23.3 (73.9)
|
20.9 (69.6)
|
15.0 (59)
|
7.8 (46)
|
1.0 (33.8)
|
11.1 (52)
|
日平均気温 °C (°F)
|
−4.1 (24.6)
|
−3.8 (25.2)
|
−0.4 (31.3)
|
5.1 (41.2)
|
10.3 (50.5)
|
14.0 (57.2)
|
17.9 (64.2)
|
19.6 (67.3)
|
16.7 (62.1)
|
10.8 (51.4)
|
4.2 (39.6)
|
−1.9 (28.6)
|
7.4 (45.3)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−7.3 (18.9)
|
−7.2 (19)
|
−3.8 (25.2)
|
1.2 (34.2)
|
6.1 (43)
|
10.4 (50.7)
|
15.0 (59)
|
16.6 (61.9)
|
12.8 (55)
|
6.5 (43.7)
|
0.6 (33.1)
|
−4.9 (23.2)
|
3.8 (38.8)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−18.1 (−0.6)
|
−19.4 (−2.9)
|
−14.5 (5.9)
|
−8.5 (16.7)
|
−2.0 (28.4)
|
0.1 (32.2)
|
6.7 (44.1)
|
7.7 (45.9)
|
2.9 (37.2)
|
−2.1 (28.2)
|
−9.9 (14.2)
|
−14.1 (6.6)
|
−19.4 (−2.9)
|
降水量 mm (inch)
|
53.8 (2.118)
|
53.5 (2.106)
|
75.8 (2.984)
|
110.1 (4.335)
|
167.0 (6.575)
|
183.0 (7.205)
|
251.7 (9.909)
|
297.9 (11.728)
|
259.3 (10.209)
|
176.1 (6.933)
|
113.2 (4.457)
|
70.0 (2.756)
|
1,811.2 (71.307)
|
降雪量 cm (inch)
|
127 (50)
|
117 (46.1)
|
94 (37)
|
19 (7.5)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
11 (4.3)
|
82 (32.3)
|
454 (178.7)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
9.4
|
9.4
|
10.8
|
10.4
|
11.2
|
11.0
|
14.2
|
14.6
|
12.9
|
12.5
|
12.4
|
10.8
|
139.5
|
平均月間日照時間
|
109.6
|
114.1
|
157.6
|
185.7
|
192.8
|
142.8
|
111.4
|
125.4
|
150.1
|
157.7
|
117.4
|
101.9
|
1,666.5
|
出典1:Japan Meteorological Agency
|
出典2:気象庁[7]
|
カルルス(1991年 - 2020年)の気候
|
月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
降水量 mm (inch)
|
100.5 (3.957)
|
88.3 (3.476)
|
116.5 (4.587)
|
152.9 (6.02)
|
216.4 (8.52)
|
199.9 (7.87)
|
267.6 (10.535)
|
310.8 (12.236)
|
341.9 (13.461)
|
242.0 (9.528)
|
186.5 (7.343)
|
118.2 (4.654)
|
2,353.5 (92.657)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
13.7
|
12.2
|
14.2
|
12.1
|
11.8
|
10.6
|
13.8
|
14.9
|
14.1
|
14.5
|
14.8
|
14.6
|
161.1
|
出典1:Japan Meteorological Agency
|
出典2:気象庁[8]
|
人口
|
登別市と全国の年齢別人口分布(2005年)
|
登別市の年齢・男女別人口分布(2005年)
|
■紫色 ― 登別市 ■緑色 ― 日本全国
|
■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
|
登別市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
|
46,526人
|
|
1975年(昭和50年)
|
50,885人
|
|
1980年(昭和55年)
|
56,503人
|
|
1985年(昭和60年)
|
58,370人
|
|
1990年(平成2年)
|
55,571人
|
|
1995年(平成7年)
|
56,892人
|
|
2000年(平成12年)
|
54,761人
|
|
2005年(平成17年)
|
53,135人
|
|
2010年(平成22年)
|
51,540人
|
|
2015年(平成27年)
|
49,625人
|
|
2020年(令和2年)
|
46,391人
|
|
|
総務省統計局 国勢調査より
|
隣接する自治体
- 胆振総合振興局
歴史
「NOBORIBETSU GUIDEBOOK きらり登別」参照
江戸時代には松前藩によって「ホロベツ場所」が開かれ、1838年(天保9年)には岡田半兵衛が場所請負人となった。1845年(弘化2年)に松浦武四郎が現在の登別温泉を初めて立ち寄り、1857年(安政4年)になると岡田半兵衛が登別温泉までの新道を私費で整備し、翌年に湯治止宿小屋を建てた。また、同年には滝本金蔵がホロベツに移住した。
沿革
。
政治
行政
役所
市長
- 歴代市長
代
|
名前
|
就任日
|
退任日
|
備考
|
初代
|
高田忠雄
|
1970年(昭和45年)8月1日
|
1975年(昭和50年)3月16日
|
1967年(昭和42年)5月1日から町長として任務していた
|
2代
|
田村仙一郎
|
1975年(昭和50年)4月27日
|
1979年(昭和54年)4月26日
|
|
3代
|
中浜元三郎
|
1979年(昭和54年)4月27日
|
1988年(昭和63年)7月21日
|
市役所で発生した汚職事件の責任をとるとして辞職
|
4代
|
上野晃
|
1988年(昭和63年)8月28日
|
2008年(平成20年)8月27日
|
|
5代
|
小笠原春一
|
2008年(平成20年)8月28日
|
|
|
市民憲章
登別市民憲章
- わたしたちは 古い歴史と美しい自然に恵まれた登別の市民です
- ここに わたしたちの心がまえを定めてよりよいまちをつくることに努めます
- 1 心身をきたえよく働いて 活気あふれる豊かなまちをつくりましょう
- 1 親切をつくし きまりを守って 明るく住みよいまちをつくりましょう
- 1 自然を愛し 力をあわせて 緑と空気と太陽のいっぱいあるきれいなまちをつくりましょう
- 1 未来をつくる青少年の 健全な夢の育つまちをつくりましょう
- 1 教養をつみ 視野を広げて 平和で文化のかおり高いまちをつくりましょう
— 昭和43年9月20日制定[24]
議会
市議会
「登別市議会」参照[25]
議員定数
議会
委員会
- 議会運営委員会
- 常任委員会
- 総務・教育委員会
- 生活・福祉委員会
- 観光・経済委員会
- 広聴・公開編集委員会
- 予算・決算委員会
- 議会運営委員会
|
会派
令和元年5月現在
会派名
|
人数
|
市民・前進
|
7
|
市政クラブ21
|
6
|
公明党
|
3
|
日本共産党
|
2
|
市民ネットワーク
|
1
|
|
国家機関
国土交通省
防衛省
- 自衛隊
道の機関
独立行政法人
地方公営企業
施設
警察
- 室蘭警察署新生交番、登別交番、登別東交番、登別温泉交番
消防
- 本部
- 消防署
- 登別市消防署
- 登別温泉支署、登別支署、鷲別支署、幌別分遣所、富士分遣所、美園分遣所
医療
- 主な病院
郵便局
- 主な郵便局
- 登別郵便局:幌別・鷲別・登別地区
- 登別温泉郵便局:登別温泉・カルルス地区
公共施設
- 登別市民会館
- 登別市立図書館[26]
- 登別市市民活動センター のぼりん[27]
- 登別市総合福祉センター しんた21[28]
- 登別市老人福祉センター
- 登別市労働福祉センター
- 登別市婦人センター
- 登別市郷土資料館
- 登別市ネイチャーセンターふぉれすと鉱山
- 登別温泉ふれあいセンター
- 登別市鉄南ふれあいセンター
- 登別市若草つどいセンター
- 鷲別公民館
- 登別公民館
- 登別温泉公民館
- 登別市葬斎場
- 登別市クリンクルセンター
|
運動施設
- 登別市総合体育館
- 登別市民プール らくあ[29]
- 登別市営陸上競技場
- 川上公園野球場
- 岡志別の森運動公園
|
対外関係
姉妹都市・提携都市
海外
- 提携都市
国内
- 姉妹都市
経済
市東部は観光業・漁業・酪農が盛んであり、市中西部は海岸沿いを中心に製造業・建設業の工場が立地している。
組合
第一次産業
第二次産業
第三次産業
商業
物流
- ヤマト運輸千歳主管支店
- 登別センター・登別東センター(室蘭センター・室蘭西センター併設)
- 佐川急便室蘭営業所(所在地は室蘭市)
登別市に拠点を置く主な企業
金融機関
情報・通信
マスメディア
新聞社
放送局
- ラジオ
中継局
通信
- 市外局番は0143。室蘭市とは市内局番から電話をかけることができる。
- 市内局番は登別温泉地区は84、それ以外は50・80 - 83・85 - 88。
生活基盤
ライフライン
水道
- 登別温泉浄水場
- 幌別浄水場
- 千歳浄水場(室蘭市と共同使用)
- 若山浄化センター
教育
専修学校
- 私立
高等学校
- 道立
中等教育学校
- 道立
中学校
- 市立
小学校
- 市立
幼児教育
保育所
幼稚園
その他教育施設
廃校となった学校
一覧
高等学校
|
中学校
|
小学校
- 登別市立登別温泉小学校
- 登別市立札内小学校
- 登別市立カルルス温泉小学校
- 登別市立幌別鉱山小中学校
|
交通
鉄道
- 北海道旅客鉄道(JR北海道)
索道
バス
路線バス
- 道南バス(若山営業所を設置)
- 市内線(登別・室蘭市内)
- 郊外線(室蘭港、白老、苫小牧方面)
都市間バス
タクシー
小型車初乗り運賃は550円。中型車初乗り運賃は570円(距離制)[36]
道路
高速道路
国道
道道
観光
文化財
国指定
市指定
- 文化財
- 円空作観音像
- 円空作聖観音像 - 観音山聖光院
- 高村東雲作観音像 - 観音山聖光院
- 日野愛憙の「明治2年以降片倉家北海道移住顛末」 - 登別市郷土資料館蔵
- 黒澤家史料 - 登別市郷土資料館蔵
- 幌別鉱山獅子舞 - 幌別鉱山獅子舞保存会
- 札内神楽獅子舞 - 札内神楽獅子舞保存会
- 登別化石林の炭化木(トドマツ)
観光スポット
文化・名物
祭事・催事
- 元旦縁起もちつき(元日)
- 登別温泉湯まつり(2月)
- カルルス温泉冬まつり(3月)
- 地獄の谷の鬼花火(6月から8月)
- 鷲別神社祭(6月)
- わくわく広場のぼりべつ(7月)
- のぼりべつ夏まつり(8月)
- 刈田神社例大祭(8月)
- 登別地獄まつり(8月)
- 登別漁港まつり(9月)(2018年から中止が続いている)
名産・特産
2009年(平成21年)に市内の特産品の信頼と知名度を高めることを目的とした「登別ブランド推進協議会」が発足した[38]。
- 熊まんじゅう
- 木彫り民芸品
- わさび漬
- 文志郎の納豆
- らんぼっけのたらこ
- 登別閻魔らーめん
- 登別閻魔やきそば
- プレミアムビール 鬼伝説(地ビール)
- のぼりべつ牛乳
- のぼりべつ牛乳プリン
- 湯の香ひょうたん飴
登別市を舞台とした作品
音楽
- 歌
テレビドラマ
映画
小説
漫画
出身・関連著名人
50音順
出身著名人
ゆかりのある人物
脚注
注釈
出典
参考資料
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
登別市に関連するカテゴリがあります。
外部リンク
行政
産業
観光
|
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| 鷲別地域 | | |
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幌別地域 | |
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登別地域 | |
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登別温泉地域 | |
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カテゴリ |