第31回東京国際映画祭(だい31かいとうきょうこくさいえいがさい)は、2018年(平成30年)10月25日(水)から11月3日(土・祝)の10日間に開催された東京国際映画祭[2]。
概要
第31回東京国際映画祭は、2018年(平成30年)1月11日に開催日とメイン会場が発表された[3]。
第31回東京国際映画祭は、2018年(平成30年)4月13日から7月13日の間にコンペティション部門の作品エントリーを受け付け[4]、109の国家と地域から1829作品が応募された[5]。
第31回東京国際映画祭は、まず2018年5月9日に、2018年のアニメーション企画が湯浅政明の特集上映「アニメーション監督 湯浅政明の世界」であること[6]、Japan Now部門にて役所広司の特集上映「映画俳優 役所広司」 を開催することが発表された[7]。
7月19日に、5回目となる国際交流基金アジアセンターpresents「CROSSCUT ASIA」のテーマを「ラララ♪東南アジア」と発表した[8]。第31回は東南アジア 音楽に注目した作品が上映される。
8月30日に、ハロウィンに合わせて10月26日(金)の夜にオールナイトイベント「ミッドナイト・フィルム・フェス!」を行うこと[9]、2つの野外上映企画を行うこと(1作品上映の「Tower Light Cinema」とスポーツ映画を上映する「Cinema Athletic 31!」)[10]、「観光×食」「ファッション」「音楽」「アニメ」「eスポーツ」「スポーツ」の6ジャンルとのコラボイベントを開催すること[11]、会場に東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場が加わること[12]が発表された。
9月12日に、オープニング作品・GALAスクリーニング作品・クロージング作品のラインナップの情報が解禁された[13]。
9月21日に、コンペティション部門に日本映画『半世界』、『愛がなんだ』が出品されることが発表された[14]。
9月25日に、各部門の全ラインナップ・審査委員・各イベントが発表され[5]、この発表記者会見の模様はYahoo!映画とGYAO!の特設ページによるライヴストリーミングで生中継された[15]。
10月1日に、追加上映・イベントが発表された[16]。
2018年の東京国際映画祭は、10月25日(木)から11月3日(土・祝)の10日間に開催された。初日が木曜日、最終日が土曜日なのは第28回(2015年)以来で3年ぶり。最終日が文化の日なのは、第29回(2016年)から3回連続。映画祭期間が11月にかかるのも第29回(2016年)から3回連続(それ以外には第10回(1997年)〜第15回(2002年)があるのみ)。開催期間が10日間なのは第28回(2015年)から4回連続。映画祭期間中に日曜日が1回しかないのは、第26回〜第31回の6回のみ。
東京の六本木・日比谷などで開催。六本木が主要会場になるのは、第17回(2004年)から15回連続。日比谷は今回が初めて。
上映会場には、第17回(2004年)から15回連続で会場となるシネコンのTOHOシネマズ六本木ヒルズ(スクリーン1〜3・6〜9、なおスクリーン8・9は2015年の改装前のスクリーン6・5)以外は、映画館ではない以下の4施設、第29回(2016年)に続いて3回目のEXシアター六本木と、六本木ヒルズアリーナ、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場、東京国際フォーラムが使われた。
映画祭のメインであるコンペティション部門の16作品は、全作品2回ずつの上映となる。日本映画以外の14作品は、TOHOシネマズ六本木ヒルズのスクリーン2 (344席)[17]とEXシアター六本木(920席)とで1回ずつ上映された。日本映画2作品は、TOHOシネマズ六本木ヒルズのスクリーン2 (344席)とスクリーン7 (531席)とで1回ずつ上映された。さらに最終日には、東京グランプリ受賞作品と観客賞受賞作品がTOHOシネマズ六本木ヒルズのスクリーン9(256席)にて再上映される。
部門は「コンペティション」、「アジアの未来」、「日本映画スプラッシュ」、「特別招待作品」、「Japan Now」、「ワールド・フォーカス」、「国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA #05 ラララ♪東南アジア」、「日本映画クラシックス」、「ユース」、「アニメーション監督 湯浅政明の世界」など。
第31回のコンペティション部門の最高賞の名称は、第29回(2016年)から使われている「東京グランプリ」(第2回(1987年)から第17回(2004年)までと第27回(2014年)も最高賞は「東京グランプリ」)。
この第31回から日本映画スプラッシュ部門で監督賞が創設された。
この第31回では、「観光×食」「ファッション」「音楽」「アニメ」「eスポーツ」「スポーツ」の6ジャンルとのコラボしたイベント「TIFFプラス」が創設された[11]。
オープニング作品は『アリー/ スター誕生』、クロージング作品は『GODZILLA 星を喰う者』。また、オープニングやクロージング作品と並ぶ映画祭期間中のハイライトとして、観客および世界に注目してほしい作品をセレクトして上映する部門としてGALAスクリーニングが新設され[18]、『人魚の眠る家』が上映された。クロージング作品に日本のアニメーション映画が選ばれるのは初めて。
この第31回では、オープニング作品『アリー/ スター誕生』、GALAスクリーニング『人魚の眠る家』、クロージング作品『GODZILLA 星を喰う者』、特別招待作品『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰 & Case.2 First Guardian』、TIFFプラス「新作公開記念!!『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』上映会」の5作品のみ、チケットの一般販売はなく、応募した人の中から抽選で当選した人のみに販売する試みを引き続き行うことが発表された[19]。
第31回東京国際映画祭アンバサダーには松岡茉優が就いた[20]。
コンペティション部門のプログラミング・ディレクターは矢田部吉彦。アジアの未来部門は石坂健治。
上映作品
ワールド・プレミアは世界初上映、インターナショナル・プレミアは製作国以外で初上映、アジアン・プレミアはアジアにて初上映となったことを意味する。
コンペティション
アジアの未来
上映題 (劇場公開題・DVD題)
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英語題 (原題)
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監督
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製作国
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備考
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冷たい汗 |
Cold Sweat (Aragh-e-Sard ) |
ソヘイル・ベイラギ |
イラン |
インターナショナル・プレミア上映
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母との距離 |
Distance |
ペルシ・インタラン |
フィリピン |
インターナショナル・プレミア上映
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はじめての別れ |
A First Farewell (第一次的离别) |
リナ・ワン |
中華人民共和国 |
ワールド・プレミア上映 作品賞
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海だけが知っている |
Long Time No Sea (只有大海知道) |
ツイ・ヨンフイ |
中華民国 |
インターナショナル・プレミア上映
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ミス・ペク |
Miss Baek |
イ・ジウォン |
大韓民国 |
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ソン・ランの響き |
The Tap Box (Song Lang) |
レオン・レ |
ベトナム |
インターナショナル・プレミア上映
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トレイシー |
Tracey (翠絲) |
ジュン・リー |
香港 |
ワールド・プレミア上映
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武術の孤児 |
Wushu Orphan (武林孤儿) |
ホアン・ホアン |
中華人民共和国 |
ワールド・プレミア上映 国際交流基金アジアセンター特別賞
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日本映画スプラッシュ
特別招待作品
特別上映
上映題 (劇場公開題・DVD題)
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英語題 (原題)
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監督
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製作国
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備考
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ノンフィクションW 野村家三代 パリに舞う~万作・萬斎・裕基、未来へ |
The Three Generations of the Nomura Kyogen Family Mansaku, Mansai and Yuki: Divine Dance in Paris |
稲垣綾子 |
日本 フランス |
ワールド・プレミア上映 2018年11月11日にWOWOWプライムにて放映[22]
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パリへの逃避行 |
The Escape |
ドミニク・サヴェージ |
イギリス |
「W座からの招待状」公開収録 & ジャパン・プレミア上映 2018年11月11日にWOWOWシネマにて放映[23]
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平昌2018冬季オリンピック公式映画:クロッシング・ビヨンド |
Crossing Beyond |
イ・スンジュン |
大韓民国 |
インターナショナル・プレミア上映
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太陽の王子 ホルスの大冒険 |
The Little Norse Prince Valiant |
高畑勲 |
日本 |
高畑勲監督特別上映会 1968年の作品 1968年7月21日に日本で劇場公開
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かぐや姫の物語 |
The Tale of The Princess Kaguya |
高畑勲 |
日本 |
高畑勲監督特別上映会 2013年の作品 2013年11月23日に日本で劇場公開
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熱狂宣言 |
Nekkyo Sengen |
奥山和由 |
日本 |
ワールド・プレミア上映 2018年11月4日に日本で劇場公開
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ワールド・フォーカス
イスラエル映画の現在2018
Japan Now
映画俳優 役所広司
国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA #05 ラララ♪ 東南アジア
ピート・テオ特集
日本映画クラシックス
上映題
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英語題
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監督
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製作国
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備考
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女は二度生まれる |
A Geisha's Diary |
川島雄三 |
日本 |
アジアン・プレミア上映 1961年の作品 1961年7月28日に日本で劇場公開 4Kデジタル修復版での上映
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雁の寺 |
The Temple of Wild Geese |
川島雄三 |
日本 |
アジアン・プレミア上映 1962年の作品 1962年1月21日に日本で劇場公開 4Kデジタル修復版での上映
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しとやかな獣 |
The Graceful Brute |
川島雄三 |
日本 |
アジアン・プレミア上映 1962年の作品 1962年12月26日に日本で劇場公開 4Kデジタル修復版での上映
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ユース
TIFFチルドレン
TIFFティーンズ
上映題 (劇場公開題・DVD題)
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英語題 (原題)
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監督
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製作国
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備考
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蛍はいなくなった |
The Fireflies Are Gone (La Disparition des Lucioles) |
セバスチャン・ピロット |
カナダ |
アジアン・プレミア上映
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ジェリーフィッシュ |
Jellyfish |
ジェームズ・ガードナー[要曖昧さ回避] |
イギリス |
アジアン・プレミア上映
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いい意味で小悪魔 |
Slut in a Good Way (Charlotte a du fun ) |
ソフィー・ロレイン |
カナダ |
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TIFFティーンズ映画教室2018 『カミサマノオトモダチ』(10分) 『煎餅』(9分) 『Birthday』(11分) 『15の夏 優しい嘘はだれを幸せにするのか』(11分) 『映画が生まれるとき~TIFFティーンズ映画教室2018~』 (33分) |
TIFF 2018: Teens Meet Cinema A Friend of Kamisama Senbei (Rice Cracker) Birthday Summer -15 years old Would thoughtful lies make anybody happy? When a Film is Born TIFF 2018: Teens Meet Cinema |
青チーム 赤チーム 黄チーム 緑チーム 吉川麻衣子 |
日本 |
ワールド・プレミア上映
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「PFFアワード2018」グランプリ受賞作品上映
「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018」受賞作品上映
上映題 (劇場公開題・DVD題)
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英語題
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監督
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製作国
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備考
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岬の兄妹 |
Siblings of the Cape |
片山慎三 |
日本 |
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018 国内コンペティション長編部門優秀作品賞 受賞作品[24] SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018 国内コンペティション(長編部門)観客賞 受賞作品[25]
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アニメーション監督 湯浅政明の世界
イベント
アジア三面鏡
上映題
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英語題
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監督
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製作国
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備考
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アジア三面鏡2018:Journey 『海』 『碧朱』 『第三の変数』 |
Asian Three-Fold Mirror 2018: Journey The Sea Hekishu Variable No. 3 |
デグナー 松永大司 エドウィン |
日本 |
ワールド・プレミア上映 2018年11月9日に日本で劇場公開
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トリビュート・トゥ・コメディ supported by BS10スターチャンネル
ミッドナイト・ フィルム・フェス!
WOWOW映画工房「ファッション・ドキュメンタリー・セレクション」 in 東京国際映画祭
ゲスト:斎藤工、板谷由夏、中井圭
DEVILMAN crybaby
上映題
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英語題
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監督
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製作国
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備考
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DEVILMAN crybaby |
DEVILMAN crybaby |
湯浅政明 |
日本 |
2018年の作品 2018年1月5日にNETFLIXで配信
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GOAL! GOAL! GOAL! -フットボール映画ベストセレクション-
ゲスト:中村和彦(映画『蹴る』監督)、浜田 満(株式会社Amazing Sports Lab Japan代表取締役)、菅原慎吾(株式会社ジェイ・スポーツ 中継制作部第2制作チーム プロデューサー) MC:小澤一郎(サッカージャーナリスト)
プログラム:ヨコハマ・フットボール映画祭
『アリー/ スター誕生』オープニング記念 歌姫たちの夜
ゲスト:LiLiCo
金曜洋画劇場 in '80s
TIFF マスタークラス
イベント題
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英語題
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登壇者
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備考
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「アジア三面鏡」シンポジウム |
Asian Three-Fold Mirror Symposium |
松永大司 デグナー エドウィン |
事前申し込み制の入場無料
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岩代太郎 - 映画音楽人生論 |
Taro Iwashiro - Life as a Film Music Composer |
岩代太郎 |
事前申し込み制の入場無料
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アミール・ナデリによる演劇論と俳優ワークショップ |
Dramatrugy and Acting Workshop by Amir Naderi |
アミール・ナデリ |
事前申し込み制の入場無料
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『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のプロデューサー、ブライアン・バーク氏による「ハリウッドでのプロデュース業」 |
Producing in Hollywood" by Bryan Burk, producer of Star Wars: The Force Awakens |
ブライアン・バーク |
事前申し込み制の入場無料
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映像表現の今、そして未来 |
The Future of Advanced technology and Digital Image |
安生健一 塩田周三 越野創太 |
入場は有料
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TIFFプラス
- FASHION GALA ~BEAMSと GQ JAPANで創る大胆素敵なファッションショー~
- 2018冬季オリンピック公式映画:クロッシング・ビヨンド
- 高畑勲監督特別上映会
- 新作公開記念!!『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』上映会 & THUNDER STORM SESSION DJ Party!!! Presented by DJ KOO
出演:DJ KOO、寺島惇太、永塚拓馬
- JAMLAB. Presents JAPAN ANIME MUSIC SHOWCASE 2018
出演:KiRaRe、JAM Project、BACK-ON、halca
ゲスト:岩村明憲、TOKYO DIME、Lazy Lie Crazy【レイクレ】
- FOOD TRAVEL ~日本の「観光」×「食」を世界へ 笑顔の連鎖!~
Cinema Athletic 31 映画はスポーツだ!スポーツは映画だ!
東京国際映画祭×11月3日はビデオの日コラボイベント “映像 百花繚乱”上映会
日比谷オープニングイベント
六本木ヒルズアリーナで行われるレッドカーペットを特設大型ビジョンで生中継し、下記の映画が上映される。
その他
- オープニングイベント レッドカーペット
- 「セカイ系バラエティ 僕声」SPトークショー2018 in 東京国際映画祭
ゲスト:小野賢章、濱健人、森久保祥太郎、住田崇、オークラ
MC:岩井勇気(ハライチ)
出演:篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、川栄李奈、山口紗弥加、堤幸彦
- ゴジラ・フェス2018
- TOWER LIGHT CINEMA
共催・提携企画
- BS10 スターチャンネル 映画アカデミー: 今どきのヒット映画の裏側
- みなと上映会
- MPAセミナー
- 「映画・映像の未来」鑑賞の新たなスタンダードに向けて -広がるバリアフリー視聴環境-
- 京都フィルムメーカーズラボ
- MPTE AWARDS 2018 第71回表彰式
- 26th キネコ国際映画祭
- 映画業界本音ガイダンス2018 ~映画の配給・宣伝ってどんな仕事?~
- 映文連 国際短編映像祭 映文連アワード2018
- 2018東京・中国映画週間
- コリアン・シネマ・ウィーク 2018
- 第15回ラテンビート映画祭
- 2018東京台湾未来映画週間
- ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2018 秋の上映イベント
- 第12回 田辺・弁慶映画祭
- ポーランド映画祭2018
受賞結果
11月2日に東京・EXシアター六本木で行われたアウォード・セレモニーにて各賞が発表された[27]。
- コンペティション
- 東京グランプリ: 『アマンダと僕』 (監督: ミカエル・アース)
- 審査委員特別賞: 『氷の季節』 (監督: マイケル・ノアー)
- 最優秀監督賞: エドアルド・デ・アンジェリス (『堕ちた希望』)
- 最優秀女優賞: ピーナ・トゥルコ (『堕ちた希望』)
- 最優秀男優賞: イェスパー・クリステンセン (『氷の季節』)
- 最優秀芸術貢献賞: 『ホワイト・クロウ』 (監督: レイフ・ファインズ)
- 最優秀脚本賞 Presented by WOWOW: ミカエル・アース、モード・アメリーヌ (『アマンダ』)
- 観客賞: 『半世界』 (監督: 阪本順治)
- アジアの未来
- アジアの未来 作品賞: 『はじめての別れ』 (監督: リナ・ワン)
- 国際交流基金アジアセンター特別賞: ホアン・ホアン (『武術の孤児』)
- 日本映画スプラッシュ
- 東京ジェムストーン賞[28]
- 木竜麻生 (『鈴木家の嘘』、『菊とギロチン』)
- リエン・ビン・ファット (『ソン・ランの響き』)
- カレル・トレンブレイ (『蛍はいなくなった』 )
- 村上虹郎 (『銃』)
審査員
コンペティション
アジアの未来
- ジェレミー・スゲ (ユニフランス 日本・韓国・東南アジア担当)
- ピート・テオ (ミュージシャン/俳優/映画監督)
- 山下敦弘 (映画監督)
日本映画スプラッシュ
- パオロ・ベルトリン(カンヌ映画祭監督週間プログラマー)
- ノア・コーワン(SFFILMエグゼクティブ・ディレクター)
- 入江悠 (映画監督)
脚注
外部リンク