2008年のロードレース世界選手権
2008年のロードレース世界選手権は、FIMロードレース世界選手権の第60回大会となる。 シーズンの概要MotoGPクラスダンロップがMotoGPクラスから撤退し、タイヤはミシュランとブリヂストンの2社供給となった。特に、バレンティーノ・ロッシがブリヂストンへのスイッチを熱望し、MotoGPの主催者側までもを動かしブリヂストンに圧力をかけてきたため、ブリヂストンは「ヤマハとホンダのワークスにはタイヤ供給しない」としていた方針[1]を覆し、ロッシへのタイヤ供給を行うこととなった。ただ同じヤマハのホルヘ・ロレンソはミシュランを使用するため、ロッシとロレンソは同じチームながらピットを完全に2つに分け、スタッフ間の情報交換も禁止するなど、ブリヂストンが求めた情報漏洩対策に従わなければならなかった[2]。 開幕戦のカタールGPは選手権史上初のナイトレースとなった。ルーキーのロレンソがポールポジションを獲得したが、レースを制したのはドゥカティのケーシー・ストーナーだった。第2戦スペインGPではストーナーがマシントラブルに苦しんで11位に沈み、ダニ・ペドロサがシーズン初勝利を遂げた。第3戦ポルトガルGPではポールポジションからスタートしたロレンソがMotoGPクラス初勝利を果たす。 週末を通して雨となった第4戦中国GPではロッシがシーズン初勝利。続くフランスGP、イタリアGPも制して3連勝を遂げた。対してストーナーも第8戦イギリスGPからダッチTT、ドイツGPと3連勝を果たす。3戦ともポールポジションからスタートし、ファステストラップも記録する完全な勝利だった。 シリーズチャンピオンはこの2人によって争われることになった。 迎えた第11戦、ラグナ・セカでおこなわれたアメリカGPはシーズンの大きなターニングポイントとなった。レース前の時点でのチャンピオン争いはストーナーが20ポイント差でロッシを追いかける状態となっていた。決勝ではポールポジションからスタートしたストーナーを1周目にロッシがオーバーテイクする。レース中2人は激しいバトルを繰り広げるが24周目の最終コーナーでグラベルにつかまったストーナーは転倒し、その後復帰したもののロッシに大きく差を開けられて2位に終わる。ストーナーは続くチェコGP、サンマリノGPでも転倒、一方のロッシはラグナセカから5連勝を果たすことになる。 第14戦インディアナポリスGPは、インディアナ州に到達したハリケーン・アイクの影響で低温・風雨の中での決勝となった。ロッシと元チャンピオンのニッキー・ヘイデンの優勝争いとなったが、風が強くなったためレースは規定周回の2/3ほどを経た時点で、ロッシがリードを保ったまま終了となった。 2週間後の第15戦日本GP、ロッシは自身6回目の最高峰クラスチャンピオンを、自らの優勝で確定させた。第17戦マレーシアGPでもロッシは優勝、シーズン9勝を果たした。一方のストーナーは地元オーストラリアGPと最終戦バレンシアGPに勝利し、シーズン6勝を記録した。 250ccクラス開幕戦ではルーキーのマッティア・パシーニがデビュー戦優勝の快挙を遂げた。またシーズン序盤はKTMを駆るミカ・カリオが4戦中2勝・3位2回と強さを見せた。しかしその後は7戦連続表彰台に立ったマルコ・シモンチェリが猛追する。当初シモンチェリにはカスタマー仕様のジレラ・RSW250LE(同じピアジオ傘下のアプリリアのマシンと同一のもの)が与えられていたが、活躍が認められて実質ワークスライダーに昇格、シーズン途中から最新のRSA250を駆ることになった。 一方のKTMのカリオは、シモンチェリらピアジオ勢のマシンの速さに歯が立たずチャンピオン争いから脱落。代わってアプリリアのアルバロ・バウティスタが第7戦カタルニアGPから10戦連続で表彰台に立つ活躍を見せるが、コンスタントに勝利を重ねるシモンチェリには追いつけず、残り2戦となったマレーシアGPで表彰台に立ったシモンチェリが初のシリーズチャンピオンに輝いた。 125ccクラス前年度に上位の成績を収めた多くのライダーが250ccクラスにステップアップする中、チャンピオンのガボール・タルマクシは125ccクラスに残留することになった。シーズン開幕前、タルマクシのライバルとしてはブラッドリー・スミス、シモーネ・コルシ、マイク・ディ・メッリオらが挙げられた。 タルマクシは新しいマシンの信頼性に問題を抱え、序盤戦でつまづく。一方コルシが開幕6戦で3勝する活躍を見せ、チャンピオン争いに名乗りを上げた。しかしディ・メッリオは第12戦でリタイヤするまで全戦完走、3勝を挙げる抜群の安定度でリードを奪い、第15戦オーストラリアGPで4勝目を収めてシリーズチャンピオンに輝く。 最終戦ではシリーズ2位を賭けたバトルが展開されたが、タルマクシとステファン・ブラドルがリタイヤする中、シーズン4勝目を収めたコルシがシリーズ2位を獲得した。 2008年シーズンは、8人もの勝者を生むことになった。タルマクシ、コルシ、ディ・メッリオ、セルヒオ・ガデア、そして初優勝を遂げたのがアンドレア・イアンノーネ、ブラドル、ニコラス・テロル、スコット・レディングの4名だった。レディングは15歳と170日での初優勝となり、マルコ・メランドリの持っていた史上最年少優勝記録を更新した。 またマシン面ではピアジオグループ(アプリリア、デルビ、ジレラ)がシーズンを席巻し、KTMのマルク・マルケスがイギリスGPで3位に入ったのを除いて、全ての表彰台を独占することになった。 グランプリ2008年のグランプリカレンダーは2007年7月に発表された[3]。後に、オーストラリアGPの開催予定日がAFLグランドファイナルと重なっていたのを理由として、日本GPとの開催順を入れ替えることになった。他にもポルトガルGPとバレンシアGPの開催週が変更になっている[4]。
ポイントランキングポイントシステム上位15名のライダーにポイントが与えられる。ポイントの授与はレースを完走することが条件となる。
ライダーズ・ランキング
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250ccクラス
250ccクラス ワイルドカード/代理ライダーの成績
125ccクラス
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出典
外部リンク
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