日本BS放送
日本BS放送株式会社(にほんビーエスほうそう、英: Nippon BS Broadcasting Corporation[3])は、BSデジタル放送を行っているビックカメラグループの衛星基幹放送事業者である。 2007年(平成19年)12月1日より[4]、「BS11デジタル」の名称で無料のBSデジタルハイビジョン放送を開始した。リモコンキーIDは名称通り「11」。 新聞のテレビ欄には「BS11 イレブン」(2011年(平成23年)3月31日までは「BSイレブン」、2016年(平成28年)5月31日までは「BS11」)と表記されている。 概要
当局は、東京キー局系BSデジタル放送局とは異なり、最初から標準テレビジョン放送局として開局したわけではなく、会社設立当初はデータ放送を「知求チャンネル」の名称でBSデジタル放送と東経110度CSデジタル放送において行なっていた。データ放送用の帯域であるため低画質ではあったが動画放送も行っていた。 2004年(平成16年)4月、総務省に認定の再申請を行い、CS放送においてデータ放送の代わりに標準テレビジョン放送を行う内容の認可を受けた。これに伴い同年9月28日にCSチャンネルをデータ放送から標準テレビジョン放送へ移行した。 さらに、同じくBSデジタル・CSデジタルにおいてデータ放送を行っていた毎日新聞社・角川書店出資のメガポート放送と2005年10月1日付で合併し、2005年(平成17年)12月、BSデジタルハイビジョン放送の委託放送事業者認定を受け、2007年12月1日にNHKアナログハイビジョン終了後の帯域を用いて、「BS11」としてBSデジタルハイビジョン放送を開始した。 その後BSデジタルハイビジョン放送事業に経営資源を集中するため、CS放送は2006年(平成18年)11月30日で廃止し、BS放送999chで行われていたデータ放送のサービスも、同様の理由により2007年(平成19年)9月30日24時をもって終了した。 開局時には数名の契約アナウンサーを採用し、当時本社があったパレスサイドビル4階(同じフロアに毎日新聞東京本社編集局がある)にニューススタジオ(通称・竹橋スタジオ、2007年〈平成19年〉9月完成、毎日映画社が設置・所有、ハイビジョン対応)を設け、2015年まで使用していた。また、開局から新本社スタジオ使用開始前までの間、ニュース以外の番組は、東京都千代田区神田練塀町3番(秋葉原)の富士ソフト秋葉原ビル内にあるアキバ映像スタジオ(ハイビジョン・3D立体映像対応、バーチャルスタジオ)を借りて使用していた。 2008年(平成20年)3月17日、本社を東京都千代田区神田駿河台二丁目5番地(御茶ノ水駅近く)の文化学院旧校舎跡に建設中の14階建ての新本社ビル[注 1]へ移転し、同年3月31日から新本社のスタジオの使用を開始した。 日本新聞協会、日本民間放送連盟(民放連)に加盟している。民放連へは、会社設立から11年半を経て加盟を果たしている[注 2]。 開局当初は、各社自主放送との「ショップチャンネル枠かぶり」を理由に、J:COMやスカパー!光(フレッツ・テレビを除く)などの一部のケーブルテレビ局や光放送では再送信が行われていなかったが[6]、J:COMでは一部の局を除き2010年11月1日から再送信を開始した[7]。 売上本放送から9か月時点の2008年8月期決算は、売上高約23億円、経常損失約15億円で、売り上げの伸び悩みと制作費の超過が目立ち、認知度向上と黒字化を課題とした[8]。 2010年(平成22年)に入ると、他のBSデジタル局とともに好況な話題が目立つようになる。8月期決算で初の単年度黒字を達成し、減資によって累積赤字を一掃[9]。その上で同年内に35億円の増資に踏み切り[10]、2011年には大幅改編などを行って攻めに転じる姿勢を表明した[11]。2010年以降は黒字計上を続け、2012年(平成24年)の8月期決算は売上高約62.5億円、経常利益約9億円となっている。2014年度の売上高は78.69億円となり引き続き好調を維持している[12]。 沿革
チャンネル内訳放送中チャンネル名は「BS11イレブン」。
放送終了BSデジタル放送
東経110度CSデジタル放送放送局概要データ放送は2000年の開局当初(知求チャンネル時代)から実施している。当初はニュース・大都市圏の交通情報・天気予報などを放送していたが、後に廃止された。ただし『宝くじドリームサテライト』での宝くじ(ナンバーズ・ロト6)当選番号表示や、JRA競馬中継時のオッズ等の各種情報表示に関しては、極めて厚く行う。なお、デジタルラジオ放送は行ったことがない。 かつてのステーションコンセプト「ゆったりじっくりオトナチャンネル」(Mature & Sophisticated Channel)が示す通り、基本的には50代以上の視聴者を主なターゲットとしている。「テレビの原点に立ち返る」という編成方針で、ニュース・報道コンテンツやトーク番組が比較的多いのも特徴である。一方では、全国放送かつ地上波民放キー局を親会社に持たない、という特性を活かし、地方在住の10〜20代をターゲットにした「深夜アニメの大量投入」方針も明確である。また、独自の報道部門(報道局)を持っており、これは独立系民放局としては極めて珍しい。 放送時間は、開局当初は原則として毎日3:00 - 4:00を除く23時間放送だったが、2008年3月31日からは毎日4:00基点の24時間放送(月曜3:00 - 4:00を除く。その後2010年4月から休止時間が月曜4:00 - 5:00に変更、2014年4月から3:30 - 5:00、同年10月からは3:00 - 5:00、2015年4月からは4:00 - 5:00に放送休止)となっている。タイムテーブルでは月曜4:00 - 4:01に「エンディング」、4:59 - 5:00を「オープニング」としている)。 通販番組も原則的にはハイビジョン放送である。なお、2008年4月から気象警報の速報テロップ表示を地域を問わず行っていたが、2011年7月より掲出は中止された(民放BSデジタル放送では、BS朝日が全国の気象速報掲出を従前より行っており、トゥエルビが東日本大震災後、全国気象速報掲出を開始した。その後、BSジャパン〈現・BSテレ東〉、Dlife〈2019年のデータ放送開始と同時にテロップ掲出は中止〉でも送出を開始している)。地震情報テロップは震度4以上を表示している(トゥエルビ、Dlifeも同様。なおキー局系BSでは震度3以上を表示している)。 主な受賞歴に『北斎ミステリー幕末美術秘話 もう一人の北斎を追え!』で2018年日本民間放送連盟賞番組部門テレビエンターテイメント番組で最優秀賞を受賞した。同局が日本民間放送連盟賞を受賞するのは初めてだったほか初めて中央審査に進んだ番組がいきなり最優秀賞を受賞する快挙だった[19]。また、『BS11開局15周年スペシャルドラマ「恋は50を過ぎてから」』が2023年日本民間放送連盟賞番組部門テレビドラマ優秀賞を受賞した[20][21]。 編成前述の通り、初年度に大きな赤字を出したこともあり、コストのかかる生放送重視路線を転換。開局時の目玉番組『大人の自由時間』を終了させ、外部調達を強化した。ブーム以前から注力してきた韓流ドラマやショップチャンネルのサイマル放送枠を拡大したり、FOXインターナショナル・チャンネルズと提携し常設枠「FOX11」を設置(その後、FOXがライバル局のビーエスFOXを開局したため提携は解消され、放送終了)、さらに地上波キー局、準キー局制作の過去放送ドラマや、地上独立テレビ局制作の番組(東名阪ネット6との共同制作やネット番組を含む)、CS放送で放送された番組なども積極的に取り入れている。 自社制作では、JRA競馬中継や住之江競艇などの公営ギャンブル中継にも参入。紀行、演芸、音楽、トークバラエティー、ドラマなどを複合した大人向けの「総合エンターテインメント路線」に舵を切っている。さらに、アニメマニア向けのコンテンツを、深夜枠に連日積極的に編成している。 業績の大幅な改善により、自社制作番組枠は、2011年4月改編を境に再び増加している。また、全番組に占める通販の割合は2011年10月時点で45%程度であったが[22]、2011年7月に放送法が改正されたことを受け、通販番組を30%まで減らす方針を表明した[23]。 また、2011年10月よりBSパワー調査に参加したことで、それまで同社が想定していた視聴者層と実際の視聴者層に乖離が生じていることが(特に居住地域の想定が異なり、大都市圏より地方での視聴者層の方が広かった)判明したとして、2012年4月改編においては看板番組の『INsideOUT』の放送時間前倒しやプロ野球中継からの完全撤退など、大幅に編成方針を変更し、「ゾーニング編成の徹底」を主軸とした改編を行うなど[24]、2012年現在も編成に関しては入れ替えを重ねている。2013年4月改編では大幅な改編はなかったが、逆にエンターテインメント番組の制作が減少し、紀行番組の制作に力を入れるようになった。また、当局が力を入れているアニメに関しては、月曜日を除く24時台が深夜アニメ枠「ANIME+」の放送で統一、続く同年7月期には残る月曜日にも同枠を新設し、更に同年10月期には全ての曜日の24時台が同枠「ANIME+」で統一された。 報道局無料BS放送局(地上波キー局系含む)としては異例とも言える「報道局」を社内に維持しており、政治報道番組には開局当初から一定の時間枠と取材力を割く。重要政局や国政選挙前後には特別番組を編成するなど、一貫して力を入れている。党首クラスを含むその時々の注目の政治家や、地上波に出演しない(できない)政治家、政治活動家、ジャーナリストの出演も目立ち、番組内での発言は、全国紙や通信社など他のメディアで報道されることもしばしばである。毎日新聞系のメガポート放送が前身の一つであるため、報道番組が毎日新聞の協力を得ている。 スタジオ
その他2010年代前半頃までは通販番組など一部の番組を除き、番組開始時にはCIのCMが放送されていた(15秒)。 開局当初〜2011年3月までの内容は、画面左半分に「BS」と表示し、右半分に人物シルエットのアニメーションからBS11の「11」に変化するもの。映像には以下の4パターンがあり、おおむね番組のジャンルごとに使い分けられてきた。CM明けにも後半の5秒間が流れた。
なお、上記のアニメーションは放送開始・終了時にジャンクションとして全パターン放送されていた。 この他、鈴木一泰(プロ野球選手・イチローの実兄)デザインのキャラクター「BEAMO」(赤いシルクハットの様な姿をしたキャラクター)が跳びはねた後に「ゆったりじっくりオトナチャンネル」というキャッチフレーズが表示される5秒CMもあった。 2011年4月よりCIが変更され、公式マスコットキャラクター「じゅういっちゃん」[注 7]のアニメーションになった。テレビ業界に関する自虐的なセリフが数十パターンある[注 8]のと、耳が「11」をかたどっているのが特徴である。同時にウォーターマークのロゴも変更され、開局以来「11」にアンダーラインを引いた赤文字だったロゴが、「BS11」と書かれた大きめの白文字となった。また番組の制作・著作クレジットの局名表記も「日本BS放送」から「BS11」に変更された。受信機表示アイコンはCI変更から約半年遅れて9月14日に変更された[注 9]。2014年10月にCIが再度変更、オリジナル曲をBGMに前述のウサギが踊るアニメーションに「チャンネルはそのまま!」「まもなく始まるよ!」などメッセージが表示される映像となっている(2010年代末頃からは滅多に放送されていない)。なお、CI変更当初と名称公募以降とでは声が違っている。 番宣CMでは原則として画面右上もしくは左上に「BS11」のロゴを、「アニメ+」「ANIME+」「キッズアニメ∞」枠の番宣CMではそれのロゴを表示している。 資本構成株式の6割を保有するビックカメラの影響が強く、ビックカメラ・ソフマップ・コジマの店頭で当局の番宣ポスターを配布したり、コマーシャルにおいてもビックカメラ・コジマの合同CMが頻繁に見られたりしている。また、フィクション以外の番組において、ある程度確保できる番組を除き、最低1社をビックカメラが提供している(CM枠は30秒間が大半)。提供スポンサーが無く、CMが全てパーティシペーションの番組が非常に多いBS民放他局と異なり、BS11の当該番組で提供スポンサーが無い番組は少なめ。 2023年8月31日出典:[27]
過去の資本構成主な番組生放送番組は、同社公式サイトの番組表やEPGの番組名の最初に「生」と表記されているほか、2008年3月31日からは画面右上に表示されているウォーターマークの下側に「LIVE」という文字[注 10]を添えていたが、ロゴ・ウォーターマークが変更されてからは廃止されている。 上記の記号については「[字]」マークを除き、新聞番組表には原則記載されない。 ニュース・経済「INsideOUT」「ONZE」等の報道系番組は毎日新聞グループの協力で制作。番組で使用する映像や写真は、毎日新聞や共同通信の撮影したものを使用することが多いが、国会などでは独自に撮影・取材を行っている。 ニュース番組については開局以降、竹橋のニュースセンターをスタジオとして使用してきたが、2014年4月以降はお茶の水本社スタジオに移行している。
情報・エンタメ・音楽開局時には長時間生放送「大人の自由時間」を局の目玉番組の一つに据えるなどエンタメ番組を重視していたが、現在はラインナップを絞り込んでいる。
ドラマ開局以来、韓国ドラマを中心とした海外ドラマを放送してきたが、2012年4月期からは、かつて地上波局で放映された国内ドラマも放送している。2012年からしばらくは、現代劇を月曜から木曜の19時台に曜日別に放送していた。 2020年4月改編より中国ドラマと台湾ドラマ、2021年1月改編よりヨーロッパドラマの放送比率が増えており、韓国ドラマの放送比率が大幅に減少している[注 11]。海外ドラマは2か国語放送ではなく、全てオリジナル言語のみと字幕スーパー版で放送される。 2023年10月よりU-NEXTにて配信されている韓国ドラマを厳選し、『韓流セレクション Supported by U-NEXT』として放送している[29]。
アニメBSの無料民放局では最も多くのアニメを放送している。外部でアニメプロデューサーを務めていた大和田智之を開局時に迎えており、新作の深夜アニメ(UHFアニメ)の放送や旧作の再放送にも力を入れ、地上波放送ではTOKYO MXでしか放送しなかった作品のほか、『黒子のバスケ』シリーズや『アオハライド』などのように製作委員会に積極的かつ果敢に参加している(制作委員会に参加した作品はBS11のテレビアニメを参照)。アニメを成長への5本の矢として捉えており、「アニメといえばBS11」と今後も重点的にアニメ番組に出資していく方針を示している[30]。但し、旧作については2018年4月改編より枠が縮小されている。 「部屋を明るくして離れて見るよう」注意テロップについては、深夜(ANIME+)は漢字表記で、夕方(17時台から19時台)ではひらがなとカタカナで表記される。深夜アニメにもこの注意テロップを表示している[注 12]。
紀行・教養・ドキュメンタリー多くがゴールデンタイムに放送されており、現在の主力ジャンルである。地上波ローカル局で遅れネットされることもある。
スポーツ現在は公営競技の中継に力を入れており、2011年からは、地上波独立局が放送してきたJRA競馬中継の放映権を獲得、全国放送を行っている。 先述の通りかつては、プロ野球(主に楽天、ロッテ主催試合)を2008年のシーズンの途中から2011年のシーズン終了まで中継していたが、BCリーグ(群馬、新潟主催試合)も2008年のみ中継していたことがある。 2021年10月10日には、スタンレーレディースゴルフトーナメントの決勝ラウンド最終日を19:00~21:00まで録画中継した。開局以来初めてJLPGAツアーの中継を行った。
通販番組
終了した番組3D立体映像放送BS11では、通常のハイビジョン放送とは別に3D立体映像(以下“3D”)放送を家庭に普及拡大することを目指しており、開局時から2009年3月まで日本初の3D番組『3D立体革命』を放送していた(後に『3Dプラネット』『リフレッシュ3D』を放送)。2008年夏からは3D映像に対応したスポーツ中継や映画を放送する準備を進めているとの報道もあったが、その後は独自に制作した短いコンテンツのみを放送した。2010年5月16日、特別番組『3D挑戦!三社祭TV』にて、NHKメディアテクノロジーの技術協力で日本初の3D立体映像による生放送を実施[注 16]。しかし2015年9月30日深夜をもって『3D紀行』を終了したため、無料民放局での3Dの定時番組はなくなった。 BS11における3D映像は、左目用と右目用それぞれにカメラを撮影し、いわゆる立体視(ステレオペア)の方法を用いて3D映像化を行う「サイド・バイ・サイド」方式を採用していた。この3D映像は、現行の仕様ではハイビジョン映像にはならない。放送方式としては、NHKメディアテクノロジーが開発したMT式を採用している。また、3D番組の前に自動識別信号を送出している唯一の局でもあった。 一般的なテレビで3D放送を見ても、左・右用の映像が2画面縦長に映るだけで立体には見えない。このため、専用の受像機とメガネが必要となった。
報道・バラエティ
情報・エンタメ・音楽映画
音楽
スポーツ
紀行・教養・ドキュメンタリー他局制作の番組
ドラマ
アニメBS11が製作委員会に参加した作品はCategory:BS11のテレビアニメを参照されたい。 通信販売知求チャンネルの主な番組
アナウンサー
元アナウンサーほか☆は遅くとも2016年3月まで「アナウンサー」として公式サイトに掲載されていた人物。阪中香織を除きいずれも契約出演で、所属事務所は別である。2016年春の改編で報道番組を刷新した関係で、公式サイトから「アナウンサー紹介」ページが削除された。
不祥事BPOの放送倫理違反日本BS放送 (BS11) で、2011年1月から3カ月間放送された「“自”論対論 参議院発」では、自民党の山本一太、丸川珠代両参議院議員が司会を務め、毎回、自民党の参議院議員をゲストに招いて討論を行った。これについて、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は、2011年6月30日に、「3か月にわたって同一の政党に属する議員が司会者とゲストを占めるという形式で放送され、一党一派に偏して政治的公平性を損なっており、放送倫理に違反する」とする意見書を公表した。自民党議員に番組制作を事実上丸投げしていたも同然の状態で、日本BS放送が政治的公平性を確保するための工夫を差し挟む余地がなかったとも指摘した[44][45][46]。日本BS放送は「意見を真摯に受け止めてさらなる公平性のあり方の検証や議論を進めていきたいと思います」とのコメントを発表した。 脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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