大王世宗
大王世宗(テワン セジョン、ハングル: 대왕 세종)は、韓国KBSにて2008年1月5日[脚注 1]から同年11月16日まで放送されたテレビドラマ(時代劇)。全86話。 概要KBS大河ドラマ(한국방송공사 대하드라마)放送作品のひとつ。韓国の放送界にて「イメージが固定されていて、ドラマ化しても成功は困難である」と言われていた[2]李氏朝鮮第4代国王世宗の生涯を本格的に取り扱っている。脚本はユン・ソンジュ、キム・テヒの2名が、演出はキム・ソングンおよびキム・ウォンソクの2名が担当した。製作費は約200億ウォン、主助演出演者は70人以上、エキストラは2万人以上が動員されている[3]。2007年10月9日(韓国におけるハングルの日)に撮影が開始された[3]。 当初はKBS1にて放送され、第1話放送時で22%の視聴率を挙げた[4]が、同年春の改編に伴って放送局がKBS2に変更された[5]ところ、他局で放送されていた『幸せです』と、KBS1で放送されていた報道番組と同時間帯になり、この結果、改編後は視聴率が低迷した[6][脚注 2]。 歌手活動に専念していたイ・ジョンヒョンが朝廷の女官イソン役で出演、女優業を再開した[9]が、声帯結節を患い中途で降板した[10]。また2000年に韓国国立劇場劇場長、2006年には大韓民国文化体育観光部長官に就任するため、1999年以後俳優業を休業していたキム・ミョンゴンの復帰作となった[11]。チェ・ミョンギルが『龍の涙』同様、元敬王后閔氏役で出演したことも話題となった[12][13]。 2009年度韓国放送大賞(한국방송대상)長編テレビドラマ・ビデオグラフィックスの2部門で大賞を受賞した[14]他、ユン・フェ役のイ・ウォンジョンと昭憲王后沈氏役のイ・ユンジが、2008年度KBS演技大賞長編ドラマ優秀演技賞を男女で独占した[15]。 あらすじ1-39話第3代国王太宗治世下の朝鮮。「書虫(本の虫)」の別名を持つ忠寧大君は、父太宗や長兄の世子(譲寧大君)とは違い、民のための政治を行うべきと考えていた[6]。外出先で偶然騒動に巻き込まれ、商人たちが窮境下にあることを知った彼は、申聞鼓を鳴らして太宗へと直訴するが、一蹴された上罰として側近が拷問にかけられ絶命してしまう[16]。朝廷の重臣たちに危険視され、追放を求められる忠寧大君を陥れようと、叔父ミン・ムグとミン・ムジル兄弟は怪文書事件を起こすが、見破られて元敬王后の嘆願にも関わらず処刑されてしまう[17]。 数年後。明の使者からの無理な要求を勅使との直接交渉で解決したり[18]、世子の醜聞に対して彼をかばったり[19]、奴婢の身分回復のために動いたりする[20]忠寧大君に対し、世子はだんだん敗北感を抱くようになる。元敬王后も、世子の存在を脅かしかねないほど成長した忠寧大君の存在に危機感を覚え、遠方に出すよう太宗に進言する[21]。その折、忠寧大君が襲撃され、その犯人が高麗復興勢力の中心人物オク・ファンであることが発覚。高麗王族が姓をワン(王)から変えて潜んでいた事に気づいた太宗は、オク(玉)とチョン(全、田)という姓を持ったすべての人を捕えるよう命令する[22]。高麗王族と姓が同じというだけで罪もない人々が殺されていくことに憤った[6]忠寧大君はオク・ファンと直接交渉を試みるが逆に捕えられ、世子に助けられる[23]。捕縛された復興勢力を処刑するよう命令された忠寧大君はその命令を批判し「王子をやめる」と一言。太宗の怒りを買い北三道に流刑されることとなった[6][24]。 2年後の北三道・鏡城。民からの信頼も厚い同地の将軍チェ・ユンドクが罷免され、都から派遣されたイ・チョンが実権を把握して女真族を挑発[25]。それをきっかけに世子は北伐を決意、太宗夫妻の不在時に独断で軍を動かして北伐を決行する[26]。鏡城に現れた世子を、忠寧大君は厳しく非難する[27]。その頃朝廷では、女真族を挑発した上、襲撃事件を機に独断で軍を動かした世子の責任問題が勃発。この事件の真相究明を担当していた領議政ユ・ジョンヒョンは、「長子ではなく賢者を選ぶべき」と発言した[27]。自暴自棄になった世子はますます自堕落な生活におぼれていき、太宗は世子を自分の後継者にすることを断念[28]、忠寧大君が新たな世子となる[29]。 40-74話忠寧大君は即位して王(世宗)となるが、即位式直後、軍事権を持つ上王太宗が対馬に対して宣戦布告する[30]。太宗は更に政敵の一掃をもくろみ、世宗の妃昭憲王后の父親シム・オンを標的とし、反逆者に仕立て上げる。世宗は悩んだ末、シム・オンの逮捕命令を下す。明への特使として派遣されていたシム・オンは「粛清は自分で最後に」と決意して帰国する[31]。「反逆者の娘」となった昭憲王后を廃位すべきだとの声が高まり、本人も王后の座を降りる決意をするが、世宗により慰留される[32][33]。 外交での解決が絶望的になり、世宗は自ら対馬遠征に身を投じる[34]。対馬側は内通による世宗暗殺計画の失敗[35]や、朝鮮と対馬を両天秤にかけていた九州側が対馬の味方にならなかったことから劣勢となっていく。征服を求める太宗や一部重臣をおさえ、世宗と集賢殿の学者たちは財政面の理由から和睦と撤収の道を選ぶ[36]。 集中豪雨による水害など問題が絶えないのは国王のせいだとチョ・マルセンは世宗を責める[37]。世宗は日食の日に儀式を行おうとするが、日食が起こらなかったために立場がますます危うくなる。マルセンの不正について集賢殿の長官パク・ウンは調査を開始するが、ユ・ジョンヒョンからの要求もあり、集賢殿を守るために世宗はパク・ウンを罷免する[38]。一方、日食の予測を調査していたチャン・ヨンシルは、明と朝鮮とで天文図が違うことを発見。世宗は朝鮮独自の暦を密かに進める[39]。帰国したヨンシルを世宗は天体観測器製作の責任者に任じようとするが、奴婢階級出身であることを理由に技術者や官吏たちが反発。世宗は重臣たちの反対を押し切り、ヨンシルに官位を与える[40]が、重臣たちの反発を受け、ヨンシルは官位の返還を決意[41]。雨の中座り続けるヨンシルを、「500年後の朝鮮のためにも必要な人材だ」と世宗はかばいつづけ、その姿を見た重臣たちは考えを改めていく[42]。 女真族が国境を越えて朝鮮に渡ってくる。彼らを受け入れようとする世宗と、他族との混血を嫌うチョ・マルセンらが対立[43]。都で起きた火災事件について「北方からの民による放火が原因」とのうわさが流れ、都の民が北方民を襲うようになる[44]。王宮に、濡れ衣を着せられて都の民の標的になっている北方民たちが押し寄せ、世宗は彼らの前で跪いて詫びる[45]。一方騒動の中、不正によりチョ・マルセンが流刑になる[46]が、女真族の攻撃に対する北方遠征の計画に伴い世宗に呼び戻される[47]。同じ頃ヨンシルらが発明した「簡儀」により、首都漢城の北緯計測に成功[48]。世宗は機密を2人の王子たちに暗記させて記録を破棄することで守ろうとするが、明との関係悪化を恐れた学者のひとりチェ・マルリが明に記録を渡す[49]。このことで世宗はマルリに対して厳しい人事を行うが、これに反発した世子は申聞鼓を叩いて内政重視を主張する[50]。 75-86話世子の進言に従い、晋陽大君と共にお忍びで都に出た世宗は、奴婢の男に刀を突きつけられる。字が読めないために主人殺しの汚名を着せられた奴婢の無実証明のため世宗は奔走。この出来事をきっかけに、世宗は民の誰もが読める文字の必要性を痛感する[51]。音韻書の集賢殿への配布に始まり、民に対する法典の翻訳版配布を語る世宗に重臣たちは反発するが、世宗の熱意を知った領議政ファン・ヒが翻意し、世宗支持に回る[52]。 文字創製の研究に没頭する世宗だが、眼が見えなくなり始めていた。ある日昭憲王后の一言で、世宗は朝鮮の言葉には3種類の音 - 初声、中声、終声があることに気づく[53]。文字創製に反対し続けるマルリの工作が続く中、世宗は人体を解剖し、発声のメカニズムを調べるようとする。遺体を探して奔走するヨンシルと師匠チェ・ヘサンが追っ手に追われ、ヘサンは生命を落としてしまう。遺言に従い、世宗はアラブ人医師と共にヘサンの遺体を解剖[54]。研究がすすめられ、ついに訓民正音が完成した[55]。 視力を完全に失った世宗は、賢くなった民が政治に参加するのを嫌う学者たちや、独自の文字普及による朝鮮の発展をおそれた明の反発を受けるが、彼らに立ち向かい、説得を続ける[56]。最後まで強硬に反対していたマルリが訓民正音をついに容認[57]、国内に頒布されることになる。 登場人物朝鮮王室
世宗の子女たち母はいずれも昭憲王后。
王室その他
朝廷・親世宗派
朝廷・親太宗派
朝廷・その他
明
高麗
日本対馬遠征のシーンで登場する。
韓国国外での放送日本2008年8月26日よりCS局のKBS worldにて放送された後、民放BS局のBS日テレにて2009年8月27日より放送を経て[92]、BS11にて2013年4月5日よりノーカット版を90分枠での放送、BS-TBSにて2015年7月24日より放送された。 盗作疑惑2008年10月、小説家のキム・ジョンノクが、2005年に発表した自著『チャン・ヨンシルは空を見た』からストーリーやアイディアが盗用されたとの理由で放送禁止の仮処分申請を起こし、脚本家のひとりユン・ソンジュが盗作を認めたとの報道がなされた[93]。また同月、小説家のキム・ミスクが、自著『小説チャン・ヨンシル』より登場人物設定が複数にわたり盗用されたと訴えた[94]。 これにより諮問委員会が立ち上げられたが、調査の結果問題がないとの発表がなされた。またユンが盗作を認めたと報道した中央日報は、翌2009年2月、これを誤報であるとして謝罪した[95]。 主題歌
関連商品DVD韓国ではDVDは未発売であり[6]、日本と香港でDVDが発売されている。日本版は2009年7月にメディアファクトリーから[97]、香港版は同年12月に発売された[98]。 CD韓国では2008年7月にイェダンからサウンドトラックCDが発売された[96]。 書籍原作をユ・ギョンウォン、作画をキム・ジェヨンが担当した全5冊のコミックが2008年に科学東亜ブックスから発売された[99]。 脚注
文献
外部リンク
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