ケプラー69c (英語 : Kepler-69c [ 5] [ 9] [ 10] )、またはKOI-172.02 [ 4] [ 6] は、地球 から見て、はくちょう座 の方向に約2,700光年 離れた位置にある太陽 に似たG型主系列星 、ケプラー69 を公転 している2つの太陽系外惑星 うちの1つである。NASA のケプラー宇宙望遠鏡 の観測により発見された。ケプラー69cは岩石で構成された、地球より数倍大きな惑星、スーパーアース の可能性が高いとされている。惑星が恒星の前を通過する現象を捉える、トランジット法で発見され、最初の発見は2013年 1月7日 に公表された[ 11] [ 12] 。そして、同年4月18日 にケプラー69cがハビタブルゾーン の中を公転している事が発表された[ 13] 。しかし、現在では、金星 のように分厚い大気に覆われ、暴走温室効果 が発生する「スーパービーナス」であると考えられており、生命や液体の水が存在する可能性は低くなっている[ 14] 。
特性
質量・半径・温度
大きさの比較
海王星
ケプラー69c
ケプラー69cは、質量、及び半径が地球よりも大きく、天王星 や海王星 よりは小さなスーパーアースだとされている。質量は推定で地球の6倍、半径は1.71倍である。表面温度は299K(26℃)と、生命が存在するには快適な温度である。しかし、半径の割に推定質量が大きいため、金星のように大量の大気を保持して、過剰な温室効果が発生している可能性がある。その場合、表面温度は548K(275℃)まで上昇してしまう。このような惑星は「スーパービーナス(Super Venus)」と呼ばれる。
主星
主星のケプラー69 は太陽に似た恒星で、ケプラー69cを含めて2つの惑星を持っている。質量は太陽の0.81倍で、半径は太陽の0.93倍。表面温度は5638Kで、これは太陽の5778K[ 15] よりもやや冷たい。年齢は約4億年で、太陽の約46億年[ 16] よりもかなり若い。
視等級は13.7等しかなく[ 5] 、肉眼で観測する事は出来ない。
軌道要素
ケプラー69cは、主星から0.64auの距離を242日周期で公転 している。太陽系 に当てはめると、金星の軌道要素とよく似ている[ 2] 。
居住の可能性
惑星が金星に似た環境か、あるいは地球に似た環境かでのそれぞれの惑星の想像図。ケプラー69cは近年の観測で、金星に類似した環境で、生命が存在するには過酷な惑星だという説が有力になっている。
ケプラー69cは、ケプラー62e とケプラー62f と共に、ハビタブルゾーン 内を公転している惑星として発表された。そのため、表面に液体の水 を有する可能性がある。地球型惑星 の可能性が高い事も観点に入れて、天文学者は「地球外生命 が存在出来る、最有力候補の惑星」としている[ 12] 。
主星のパラメータの不確実性 により、放射束 は地球の1.91+0.43 −0.56 倍と、非常に大きくなっている。それは、たとえケプラー69cがハビタブルゾーンの中を公転していたとしても、主星に近い為に、生命が存在するには主星に近すぎる可能性がある事を示す[ 17] 。放射束は、最低でも地球に1.35倍になる。これは、表面にある海 が蒸発してしまうのには十分な数値である。より最近の分析では、ケプラー69cは、太陽系で最も過酷な環境を持つ天体の一つである、金星と類似した環境になっている事が示されている[ 14] 。
惑星の質量が大きいと、表面で暴走温室効果 が発生してしまう。すると、表面上の海は、すぐに蒸発してしまい、表面温度は約322K(49℃)に上昇する。また、海が蒸発する事によって生じた水蒸気 が、温室効果ガス となり、さらに温室効果を激化させ、表面温度は約500K(227℃)まで上昇する可能性もある[ 18] 。
発見
ケプラー69cを発見したケプラー宇宙望遠鏡は2009年 に観測を開始した。ケプラーは、惑星が主星の手前を通過する、「トランジット」によって減光される恒星の視等級 を観測する事によって、惑星を発見する。ケプラーは主星ケプラー69に約242日毎に、惑星候補によって減光している事を観測し、そのデータはケプラーのミッションチームに送信した。ミッションチームは、これが実在する惑星であると結論付け、ケプラー62 系を含む、他の惑星と共に、2013年4月18日に発表された[ 5] 。
2013年5月9日 にアメリカ合衆国下院 で行われた議会の公聴会 で"Exoplanet Discoveries: Have We Found Other Earths? "という議題で、太陽系外惑星ケプラー62eとf、ケプラー69cに関して議論が行われた。発見は、雑誌サイエンスの特集号 で公開されていたが、改めて惑星についての説明が行われた[ 19] 。
ケプラー69cと、ケプラーが発見した惑星
地球との大きさの比較。左から順にケプラー69c、ケプラー62e 、ケプラー62f 、地球 。 地球以外の惑星は想像図である。
銀河系 における、ケプラー宇宙望遠鏡の捜索範囲。(黄色部分)
ケプラー69b 、cと水星 、金星、地球、火星 との大きさと軌道、そして各惑星系のハビタブルゾーンの位置の比較を表した図。
脚注
注釈
^ Based on improved models of Kepler-69c after it was found to be uninhabitable.
出典
^ Walker, John (2003年4月4日). “Your Sky - The Virtual Telescope ”. fourmilab.ch. 2016年11月7日 閲覧。
^ a b “ハビタブルゾーンに地球の1.4倍の惑星 ”. AstroArts (2013年4月19日). 2016年11月17日 閲覧。
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^ “Special Issue: Exoplanets ”. Science (3 May 2013). 2016年11月8日 閲覧。
関連項目
外部リンク
探査機 主な恒星 主な惑星 K2ミッションで発見された主な惑星 一覧 公式サイト
出来事・事物 シグナル 地球外天体
探査 交信 仮説 惑星の居住可能性 関連項目
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