ケプラー90h (英語 :Kepler-90h)とは地球 からりゅう座 の方向に約2500光年 離れたところにある太陽 よりやや大きいG型主系列星 、ケプラー90 を公転 している8つの太陽系外惑星 の内のひとつである。ケプラー宇宙望遠鏡 は恒星面を惑星が通過することで恒星の光度がわずかに減光し、その減光から惑星の存在を間接的に検出するトランジット法 で発見した。
特徴
物理的特徴
大きさの比較
木星
ケプラー90h
ケプラー90hは表面が岩石から構成されていない巨大ガス惑星 である。質量は木星の1.2倍[ 3] 、半径は1.01倍であり[ 2] 、木星より若干大きい程度で、木星と非常に似た系外惑星である。
軌道
ケプラー90hはケプラー90から1.01AU の距離を331.6日かけて公転している[ 2] 。
居住性
ケプラー90hはケプラー90のハビタブルゾーン 内に位置する。半径が1.01 R J であり地表が岩石質であるためには大きすぎるため、この惑星自体は居住性が低いと考えられている。もしこの惑星が衛星を持ち、衛星の大気の状況や大気圧などが十分にあれば液体の水が存在し、生命が進化 している可能性がある。しかし、このような衛星は惑星周囲に形成されるものではなく、遠くから捕獲されたものである。木星型惑星 はふつう木星のガリレオ衛星 や土星のタイタン のような大きさの衛星を持つとされる。これらの衛星は自身の大気や磁場を保持することが可能であると考えられており、現にタイタンは大気が地球よりも厚く、ガニメデ は磁場を持っている。
衛星が安定した軌道をとる場合、衛星の惑星に対する公転周期 Ps と惑星の恒星に対する公転周期Pp の間では
P
s
<
1
9
P
p
{\displaystyle P_{s}<{\frac {1}{9}}P_{p}}
になることが知られている[ 5] [ 6] 。シミュレーションでは巨大ガス惑星や褐色矮星 の衛星で太陽に似た恒星から1 auほどの位置にある場合、公転周期は45日から60日が最適とされている[ 7] [リンク切れ ] 。ケプラー90hの場合はこれとほぼ同じになると考えられている。
潮汐力 による効果は衛星でプレートテクトニクス が起こる要因になると考えられており、火山活動による衛星の温度上昇[ 8] [ 9] や磁場の生成、いわゆるダイナモ効果 に関与している[ 10] 。
地球のような大気を46億年間支えるためには衛星の密度が火星程度で、最低でも0.07 M ⊕ を持つ必要がある。この大気を維持するためには恒星風 や放射線帯の影響を少なくするため磁場が必要である。NASAの探査機ガリレオ は木星の衛星ガニメデが0.025 M ⊕ であるが磁気圏を持つこと発見しており、衛星が大きいならば磁場があることを示唆している[ 7] [リンク切れ ] 。
恒星
この惑星は主系列星 ケプラー90 周囲を公転している。恒星は質量が太陽の1.13倍、半径が太陽の1.2倍でスペクトル分類ではG6またはF6と推測されている[ 2] 。年齢の詳細は不明で表面温度は6080+260 −170 K [ 2] と太陽の5778 K[ 11] より300 Kほど高い。恒星の地球からの視等級 は+14で[ 12] 肉眼では見えない。
発見
ケプラー90系と太陽系の比較。ケプラー90hは一番右側にある惑星で系内では最も大きい。
2009年、NASAのケプラー宇宙望遠鏡 は恒星面のトランジット を検出する光度計 の運用を終了した。最終調査においてはKepler Input Catalog(KIC)に登録された50000もの恒星が観測され、その中にはケプラー90も入っていた。系外惑星の候補がある恒星の観測は2009年5月13日から2012年3月17日まで行われた。ケプラー90系の惑星のトランジットの観測が終了した後、現在のケプラー90hによるトランジットは331日ごとに起こっていることが発覚し、最終的に系外惑星であると結論づけられた。この発見は2013年10月22日に提出され、2014年7月2日にarXiv で公表された後、2014年7月26日にアストロノミカルジャーナル で公表された[ 1] 。
脚注
^ a b Schmitt, Joseph R. et al.. “Planet Hunters. VI. An Independent Characterization Of KOI-351 And Several Long Period Planet Candidates From The Kepler Archival Data*”. The Astrophysical Journal 148 (2): 11. arXiv :1310.5912 . Bibcode : 2014AJ....148...28S . doi :10.1088/0004-6256/148/2/28 .
^ a b c d e f g h i Cabrera, J.; Csizmadia, Sz.; Lehmann, H.; Dvorak, R.; Gandolfi, D.; Rauer, H.; Erikson, A.; Dreyer, C. et al. (2014年1月20日). “The Planetary System to KIC 11442793: A Compact Analogue to the Solar System”. The Astrophysical Journal (1): 13. arXiv :1310.6248 . doi :10.1088/0004-637X/781/1/18 .
^ a b Santerne, A. et al. (2016). “SOPHIE velocimetry of Kepler transit candidates. XVII. The physical properties of giant exoplanets within 400 days of period”. Astronomy & Astrophysics 587 : 43. arXiv :1511.00643 . Bibcode : 2016A&A...587A..64S . doi :10.1051/0004-6361/201527329 .
^ a b c d “KOI-351 h ”. NASA Exoplanet Archive . NASA Exoplanet Science Institute. 2020年5月1日 閲覧。
^ Kipping, David (2009). “Transit timing effects due to an exomoon”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 392 : 181–189. arXiv :0810.2243 . Bibcode : 2009MNRAS.392..181K . doi :10.1111/j.1365-2966.2008.13999.x .
^ Heller, R. (2012). “Exomoon habitability constrained by energy flux and orbital stability”. Astronomy & Astrophysics 545 : L8. arXiv :1209.0050 . Bibcode : 2012A&A...545L...8H . doi :10.1051/0004-6361/201220003 . ISSN 0004-6361 .
^ a b Andrew J. LePage. “Habitable Moons:What does it take for a moon — or any world — to support life? ”. SkyandTelescope.com. 11 July 2011 閲覧。 ※リンク切れ
^ Glatzmaier, Gary A.. “How Volcanoes Work – Volcano Climate Effects ”. 2019年10月10日時点のオリジナル よりアーカイブ。2020年5月1日 閲覧。
^ “Solar System Exploration: Io ”. Solar System Exploration . NASA. 2020年5月1日時点のオリジナル よりアーカイブ。2020年5月1日 閲覧。
^ Nave, R.. “Magnetic Field of the Earth ”. 2020年4月28日時点のオリジナル よりアーカイブ。2020年5月1日 閲覧。
^ Fraser Cain (2008年9月15日). “Temperature of the Sun ”. Universe Today. 2020年5月1日時点のオリジナル よりアーカイブ。2020年5月1日 閲覧。
^ “Note for Planet Kepler-90 h ”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia (2019年9月7日). 2020年5月1日時点のオリジナル よりアーカイブ。2020年5月1日 閲覧。
関連項目
外部リンク