TRAPPIST-1f (トラピスト 1f)は、地球 から見てみずがめ座 の方向に39.4光年離れた位置にある赤色矮星 TRAPPIST-1 を公転している太陽系外惑星 である。
発見
2016年 9月19日 から9月20日 にかけて、スピッツァー宇宙望遠鏡 がTRAPPIST-1を観測した際に発見された[ 6] 。発見時には、すでにTRAPPIST-1系には、TRAPPIST-1b 、TRAPPIST-1c 、TRAPPIST-1d の3つの惑星の存在が知られていた[ 7] [ 8] が、この時のTRAPPIST-1dの公転周期などの軌道要素が確定されていなかった。しかし、次の観測で、dの確定しなかった軌道要素がTRAPPIST-1d、TRAPPIST-1e 、TRAPPIST-1f、TRAPPIST-1g の4つの惑星によるものだった事が判明した[ 2] 。
特徴
大きさの比較
地球
TRAPPIST-1f
TRAPPIST-1系(真ん中)、太陽系 の内惑星系(下)、木星 のガリレオ衛星 (上)の軌道を比較した図
TRAPPIST-1fの表面の想像図。空には主星TRAPPIST-1と他の惑星が見える。
TRAPPIST-1fは、半径 が地球の1.045倍で、質量 は2月の発表では0.68倍となっていた[ 2] が、4月の発表では、0.36倍となった[ 3] 。その大きさから、TRAPPIST-1fは地球のような岩石惑星 であると推測されている。また、半径と予想される密度から、重力は地球の0.62倍になると推定されている。主星のTRAPPIST-1からは0.0371au (約550万km)しか離れておらず、これは太陽から水星 までの距離(0.387au[ 9] )の約10分の1しかない。しかし、主星のTRAPPIST-1が「超低温矮星」と呼ばれる、恒星の中でも最小級の分類に属されるため、主星から受ける熱やエネルギーはそれほど大きくないであろう。公転周期は約9日で、f:e=3:2、g:f=4:3という軌道共鳴 の関係が見られる[ 2] 。
TRAPPIST-1fはTRAPPIST-1のハビタブルゾーン 内を公転しているとされ、表面温度は219K (-54℃)である。仮に水が存在するとしても、これは水が氷 に凍ってしまう温度になる。しかし、仮に自転と公転の同期 が発生しているとすると、惑星の片面は常に恒星にさらされるため、氷が解けて海 を形成しているかもしれない。この条件が整っている場合、生命が誕生している可能性も考えられる。しかし、自転と公転が同期していれば、惑星全体で昼側から夜側への強風が吹き、地球とは環境が大きく異っている可能性もある[ 6] 。地球にどれだけ組成が似ているかを示すESI の値は、0.68である[ 10] 。
脚注
注釈
^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
出典
^ “Planet TRAPPIST-1 f ”. The Extrasolar Planet Encycloapedia . 2017年5月8日 閲覧。
^ a b c d e f g Gillon, Michaël; Triaud, Amaury H. M. J.; Demory, Brice-Olivier; Jehin, Emmanuël; Agol, Eric; Deck, Katherine M.; Lederer, Susan M.; de Wit, Julien et al. (2017). “Seven temperate terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf star TRAPPIST-1” . Nature 542 (7642): 456-460. doi :10.1038/nature21360 . ISSN 0028-0836 . http://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso1706/eso1706a.pdf .
^ a b c d e f Wang, Songu; Wu, Dong-Hong; Barclay, Thomas; Laughlin, Gregory P. (13 April 2017). "Updated Masses for the TRAPPIST-1 Planets". arXiv :1704.04290 [astro-ph.EP ]。
^ a b c d e f g h “2MASS J23062928-0502285 -- High proper-motion Star ”. SIMBAD . 2017年5月8日 閲覧。
^ Luger, Rodrigo; Sestovic, Marko; Kruse, Ethan; Grimm, Simon L.; Demory, Brice-Oliver; et al. (12 March 2017). "A terrestrial-sized exoplanet at the snow line of TRAPPIST-1". arXiv :1703.04166 [astro-ph.EP ]。
^ a b “超低温の矮星の周りに、生命が存在しうる地球サイズの惑星3つを発見 ”. AstroArts (2016年5月9日). 2017年5月8日 閲覧。
^ “Could these newly-discovered planets orbiting an ultracool dwarf host life? ”. ガーディアン (2016年5月2日). 2017年5月9日 閲覧。
^ “Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star ”. ヨーロッパ南天天文台 (2016年5月2日). 2017年5月8日 閲覧。
^ “Mercury fact sheet ”. NASA . 2017年5月8日 閲覧。
^ “Habitable Exoplanets Catalog ”. Planetary Habitability Laboratory . プエルトリコ大学アレシボ校 . 2017年5月8日 閲覧。
関連項目
出来事・事物 シグナル 地球外天体
探査 交信 仮説 惑星の居住可能性 関連項目
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