2016年J2第41節・最終節2016年J2第41節・最終節では、2016年11月12日に行われたJ2リーグ第41節と、同年11月20日に行われたJ2リーグ第42節(最終節)について記す。なお、本項では特に、J1自動昇格の可能性のあった北海道コンサドーレ札幌・松本山雅FC・清水エスパルス、及びJ3リーグへの自動降格とJ2・J3入れ替え戦への進出の可能性のあったFC岐阜・ギラヴァンツ北九州・ツエーゲン金沢の6チームの絡む試合を中心に記す。 第41節に至るまでの経緯→「2016年のJ2リーグ § リーグ概要」も参照
開幕前に昇格候補と目されたのは、前年J1昇格プレーオフ決勝で涙をのみ、オフに柿谷曜一朗が復帰したセレッソ大阪[1]、24選手が退団し19選手が加入するという大幅な選手入れ替えを行なったジェフユナイテッド千葉[2]、それに1993年のJリーグ初年度からJ1に所属したオリジナル10の一員で、前年降格するも主力の大半が残り「昇格請負人」小林伸二監督の下で1年でのJ1復帰を目指す清水エスパルス[3]であった。 開幕からしばらくは首位が入れ替わり続けた。ルーキーのMF瀬川祐輔の活躍で開幕2連勝で序盤の首位を奪ったザスパクサツ群馬[4]はその後失速、直後にクラブ初の首位に立ったロアッソ熊本は熊本地震により1ヶ月間の試合中止を余儀なくされコンディションを落とし[5]、序盤から中盤にかけて首位を争ったのは開幕8戦負け無しのC大阪、下部組織を長年指導した四方田修平の下でヘイス、マセード、ジュリーニョが加わりエースFW都倉賢を中心とした前線の高い決定力を誇る札幌[6]、4年振りのJ2でもJ3時代に培った高い守備力を堅持しつつもFW中島裕希が加わって攻撃力が増し、第9節には8戦無敗でクラブ初のJ2首位に立ったFC町田ゼルビア[7]だった。しかし要所要所で勝ち点を取りこぼし順位を下げたC大阪・町田に対して、札幌は第11節で首位に浮上すると1-0の勝利が11試合という安定した試合運びを見せ、特にホームでは開幕から18試合負け無し(16勝2分)、前年からJ2タイ記録の23試合負け無し[8]と圧倒的な強さを見せ首位を独走する。 そのまま9月まで首位を続けていた札幌だったが、10月に入るとシーズン初の連敗を含む1勝2分2敗と失速。第40節が終わった時点でも自動昇格が決定しておらず、FW高崎寛之・MFパウリーニョの加入などで後半16戦無敗(9勝7分)の松本[9]が札幌と勝ち点差なしの2位、エースFW大前元紀が大怪我から復帰、J2得点ランク1位の鄭大世との2トップを中心に得点を量産し7連勝で猛追する清水[10]が札幌と勝ち点差3の3位まで迫ってきた。 一方の残留争いは、清原翔平ら主力を引き抜かれ開幕から10戦未勝利(2分8敗)で大きく躓いた金沢[11]、新スタジアム開場を来年に控えて地元出身のMF本山雅志やFW池元友樹を加えるも開幕戦以降11戦勝利なしの北九州、後半にDFに怪我人が続出してベストメンバーを組めなくなったカマタマーレ讃岐、4連勝直後に7連敗するなど好不調の波が激しくラモス瑠偉監督の解任に踏み切ったものの、依然調子の上向かず一時は最下位まで転落した岐阜[12]を中心に、モンテディオ山形、東京ヴェルディ、熊本などが加わる展開となり、第40節終了時点では7チームに降格の可能性があった。
最終更新は2016年11月6日の試合終了時. 出典: J.LEAGUE Data Site
順位の決定基準: 1) 勝点、2) 得失点差、3) 総得点 第41節昇格争い11月12日に開催。昇格を争う3チームの対戦カードは以下の通り。
首位の札幌と2位の松本は条件次第でJ1自動昇格となる2位以上になる可能性を持っていた[13][14]。清水が敗れて札幌・松本がそれぞれ引き分け以上、または清水が引き分けて札幌・松本が勝てば、共に来季のJ1自動昇格が確定する。清水が勝った場合は最終節に決着がもつれ込む。
2016明治安田生命J2リーグ 第41節 第1日
残留争い11月12日に開催。残留争いの7チームに絡む試合は以下の通り。
山形・熊本・東京Vは引き分け以上で他チームの動向に関係なく自力で残留確定。逆に北九州と金沢は勝てなければ讃岐と岐阜の結果次第では21位以下(J3自動降格もしくはJ2・J3入れ替え戦参戦)が決定する状況でもあった[14]。 13時に横浜vs金沢(ニッパツ)と山口vs山形(維新公園)の試合がキックオフ。ニッパツの金沢は序盤こそ押し込まれるも20分過ぎからは横浜FCゴール前に攻める展開を見せ[11]、26分にDF馬渡和彰のクロスにFW中美慶哉、同30分にはMF熊谷アンドリューがミドルシュートでゴールを狙うが、横浜FCのGK渋谷飛翔がファインセーブを見せ[20]、前半はスコアレスで終わる。一方、維新公園では40分に山形MF川西翔太の浮き球のパスにFW大黒将志が頭でトラップして落ち球をダイレクトでシュートし山形が先制するも、山口も前半アディショナルタイムにMF福満隆貴のクロスをMF鳥養祐矢がダイレクトボレーで決めて同点に追いつき、前半を1-1で終える。 14時には熊本vs岐阜(うまスタ)と北九州vs水戸(本城)もキックオフ。本城の北九州は序盤から激しく攻撃を仕掛けるが、水戸に冷静に跳ね返され前半は得点を奪えずスコアレスで前半を終える。一方、うまスタではどちらも失点を防ぎたい慎重な立ち上がりになるが、熊本が35分にDF園田拓也のクロスをMF清武功暉が合わせて先制点を奪い、前半は1-0で熊本リードで折り返す。 一方、ニッパツでは70分に、金沢MF熊谷がMF嶺岸佳介とのパス交換でペナルティエリア内に進入すると、相手DFに後ろから倒されてPKを獲得[11]。しかし、FW中美のPKを横浜FCのGK渋谷がセーブし得点ならず。しかしその後金沢はしっかり守り切ってスコアレスドローで勝ち点1をもぎとった[20]。維新公園の山口vs山形では58分にMF福満のミドルシュートで山口に勝ち越しを許し、さらに73分に山形MFアルセウがこの日2枚目のイエローで一人少なくなるが、79分に左サイドからのクロスを山口GK村上昌謙がパンチングでクリアしたボールを山形MF山田拓巳が頭で押し込んで同点に追いついて2-2のドロー決着。勝ち点1を積み上げて自力でJ2残留を確定させた[21]。 2016明治安田生命J2リーグ 第41節 第1日
うまスタでは後半、岐阜は風間宏矢・高地系治と攻撃的MFを相次いで投入。ボールを持つ時間は増えるも、FW巻誠一郎・MF上原拓郎を投入しフォーメーションを「4-1-4-1」に変更して中盤の守りを固めた熊本に対して最後まで守備陣を崩せず0-1で敗戦。これにより熊本の自力でのJ2残留も確定した[22]。一方、本城では62分、北九州MF本山のバックパスを水戸MF佐藤和弘に奪われると、最後はMFロメロ・フランクが決め水戸が先制する。さらにその2分後には水戸MF佐藤のコーナーキックを途中出場のMF白井永地に右足で決められ、北九州は2点ビハインドという苦しい展開となる。しかし、水戸DF福井諒司が70分にこの試合2枚目のイエローで退場となると、北九州は原一樹・小松塁の2トップに加えFW登録のロドリゴと池元を前線に投入して4トップのパワープレーに転じる。90分に北九州FWロドリゴがFW小松の落としたボールを流し込み1点差に、さらにアディショナルタイムにはクロスから最後はFW池元がゴールし同点に追いつき土壇場で試合を引き分けに持ち込んで勝ち点1を奪い取った。 2016明治安田生命J2リーグ 第41節 第1日
東京Vは、北九州と金沢が引き分けで勝ち点38としたため、試合前に残留も確定した。なお試合は、J1昇格プレーオフに向けて調子を上げたいC大阪の前にキックオフ直後と74分に失点。後半アディショナルタイムに1点返すも1-2で敗戦している。 讃岐は18時に長崎と試合開始。すでに他会場の試合が全て終了しており、勝てば自力残留が決まることを知っている状態でキックオフを迎えた。21分にこぼれ球を長崎MF岸田翔平に押し込まれて先制点を許したが、58分にからFW我那覇和樹・MF山本翔平の2人を投入してパワープレーを開始すると、60分にFW木島徹也が、その5分後にはMF永田亮太が相次いで得点し、讃岐が逆転勝ちで自力残留を決めた[23]。
最終更新は2016年11月12日の試合終了時. 出典: J.LEAGUE Data Site
順位の決定基準: 1) 勝点、2) 得失点差、3) 総得点 この結果、最終節を前にして優勝・自動昇格・入れ替え戦出場・自動降格のいずれも確定しないという稀に見る大混戦の状況となった[24]。 最終節11月20日14:00に開催。6チームの対戦は以下の通り。札幌対金沢は昇格・降格の両方に関わる試合となった。
各チームの優勝・自動昇格は以下の通り[25]。 札幌は第41節時点で清水・松本より勝ち点が3多く、最終節引き分け以上でJ2優勝。負けた場合は清水・松本の最終節結果で順位が確定する。 清水は第41節時点で札幌とは15点、松本とは18点得失点で上回っている。札幌・松本と勝ち点で並んだ場合には清水の順位を上回ることはほぼ不可能のため、本項では同じ勝ち点の場合は清水が上位になる前提で記載する。
条件に関する注釈
一方残留争いは、各チームとも以下の条件となっていた[25]。
条件に関する注釈
自動昇格争いは、得失点差で優位に立つ清水が自力での自動昇格を決められる立場になった一方で松本は他チームの結果次第という苦しい状況に追い込まれた。一方、残留争いは北九州と金沢のお互いの試合展開次第となり、札幌の「引き分けでも優勝」という条件と相まって、札幌ドームでの試合展開そのものに大きな影響を及ぼすことになる。 前半全試合14:04に一斉キックオフ。最初に試合が動いたのは松本vs横浜FC(アルウィン)で、9分に横浜FCはFWイバの落としたボールにMF野村直輝がスルーパスを送り、これをMF野崎陽介が左足でゴールを挙げ、松本は苦しい立ち上がりを強いられる[26]。 次に試合が動いたのは岐阜vs東京V(長良川)。23分に東京VはFW高木善朗のフリーキックにDF平智広が飛び込み、岐阜が先制点を許す[27]。しかしその5分後には、岐阜がコーナーキックの流れからFWレオミネイロが押し込み同点に追いつく。さらにその7分後には東京VがFW高木大輔のゴールで再度突き放すが、そのわずか2分後には岐阜がFWレオミネイロのシュートのこぼれ球をMF風間が押し込んで再度同点に追いつき[27]、わずか12分間に4ゴールが生まれる試合展開となる。 約4千人の清水サポーターがアウェーに詰めかけた徳島vs清水(鳴門大塚)では29分、清水FW大前元紀のFKにDF犬飼智也が合わせ清水が先制するも、その6分後には徳島もコーナーキックの流れからDF藤原広太朗のミドルシュートで同点に追いつく[28]。 5シーズン振りに3万人を超える観衆が詰め掛けた札幌vs金沢(札幌ドーム)では、30分のヘイスの直接FKや35分の都倉のGKとの1対1でのシュートなど、チャンスは作りながら引き分け狙いを意識しすぎないバランス重視の札幌の試合運びに乗った形で進む[29]。 山形vs北九州(NDスタ)では出場停止でMFアルセウを欠く山形と試合前の練習中での怪我[注 1]でMF本山を欠く北九州が両チームとも失点を恐れて守備的な展開となる[31]。 各会場ともこのまま前半が終了するかと思われたが、1点ビハインドの松本が前半終了間際に相手のエリア内でのハンドでPKを獲得。FW高崎寛之がこれを冷静に沈めて同点に追いついて前半を終了[26]。その他の会場もすべてタイスコアとなって前半を終了した。
後半後半に入ると各会場で得点が動く。 山形vs北九州(NDスタ)では後半開始から山形が攻勢を強め、49分にDF宇佐美宏和のクロスにMFディエゴがファーサイドで合わせ北九州が先制点を許す[31]。 松本vs横浜FC(アルウィン)でも50分に松本FW高崎がMF工藤浩平のパスを生かしながら相手DFを振り切って逆転ゴールを挙げる。しかしその4分後、横浜FCにコーナーキックを与えるとこれをDF西河翔吾が頭で合わせて再び同点とされる[26]。 岐阜vs東京V(長良川)では前半終了間際の勢いそのままに岐阜が攻勢をかけ、52分にショートカウンターからFW難波宏明が勝ち越しゴール、63分にも難波がこの日2点目を決めて勝利を手繰り寄せる[27]。 山形vs北九州(NDスタ)では59分、山形MF山田のアーリークロスをエリア内で受けたFW大黒が追加点を挙げ山形が突き放し、北九州は苦しい立場に立たされる[31]。
その頃、札幌vs金沢(札幌ドーム)では前半から飛ばした金沢の運動量がやや落ち、札幌がボールを動かす局面が続くもお互いに決定機になかなか踏み込めない展開が続く。金沢は守備的MF秋葉勝とDF阿渡真也を、札幌もFW内村と守備的MF前寛之を投入してお互いに攻守のバランスを保ちながら「隙あらばカウンター」というシチュエーションを作り出そうとするが、なかなかその場面に持ち込めない[29]。 一方、勝ち越し点を奪えば自動昇格に大きく近づく清水とその清水が引き分けており勝利するしかない松本も攻撃的な交代起用を行う。すると73分、清水はFW鄭大世のクロスを交代直後のFW金子翔太が左足で合わせて勝ち越す[28]。 試合終盤にさしかかり、山形vs北九州(NDスタ)では79分に北九州DF川島大地の直接FKもクロスバーに阻まれ、逆にその直後の81分に山形MFディエゴのパスを受けたFW大黒のループシュートが決まり、試合を決定付ける3点目を挙げる[31]。 松本vs横浜FC(アルウィン)でも82分、松本の途中出場MF宮阪政樹のCKに交代出場直後のFW三島康平がニアで頭で合わせて勝ち越す[26]。 札幌vs金沢(札幌ドーム)では、ベンチ内にも他会場の経過が入っていたのか、結果的に両チームが「引き分けでも(負けなければ)OK」という状況になった[注 2]こともあり、さらに消極的な展開となる[29]。後半アディショナルタイム前からは、札幌が最終ラインでボールを保持しつつも金沢の前線が積極的に奪いに行かないという「引き分け狙い」の展開が続き、タイムアップを迎えることとなった[32]。また、他会場も試合終了となった。
最終更新は2016年11月20日の試合終了時. 出典: J.LEAGUE Data Site
順位の決定基準: 1) 勝点、2) 得失点差、3) 総得点 (C) 優勝; (P) 昇格; (Q) 出場権獲得; (R) 降格; (T) 出場権獲得だが、出場ラウンドは未確定.
試合記録(最終節)
2016明治安田生命J2リーグ 第42節 第1日
2016明治安田生命J2リーグ 第42節 第1日
その他
脚注注記出典
関連項目 |
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