長崎本線
長崎本線(ながさきほんせん)は、佐賀県鳥栖市の鳥栖駅から長崎県長崎市の長崎駅までを結ぶ九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(幹線)である。このほかに喜々津駅 - 長与駅 - 浦上駅間の別線を持つ。 概要鹿児島本線の鳥栖駅から分岐し、佐賀市の佐賀駅を経て長崎市の長崎駅まで延びる路線である。途中の江北駅(旧・肥前山口駅)から佐世保線を経由して西九州新幹線との接続駅である武雄温泉駅や、佐世保駅・ハウステンボス駅方面に向かう「リレーかもめ」「みどり」「ハウステンボス」など、福岡市の博多駅から佐賀県内各地や佐世保線から武雄温泉・佐世保方面を結ぶ特急列車が多数運転されている特急街道であり、2022年の西九州新幹線開業前の全国のJR在来線特急利用者数ランキングでは、上位4位に入っていた。 鳥栖駅 - 江北駅間は複線区間である。途中佐賀駅 - 久保田駅間では唐津線の普通列車も走行する(唐津線は久保田駅で分岐するが、全列車が佐賀駅を発着する)。また、江北駅では佐世保線が分岐する。佐賀駅付近は高架となっている。当区間は佐賀平野を通過する。この区間は線形が良く、特急列車は最高速度130 km/h、普通列車817系でも120 km/hで走行する。 江北駅 - 諫早駅間は単線である。全駅で列車交換が可能であり、駅間の長い多良駅 - 肥前大浦駅 - 小長井駅間には里信号場、土井崎信号場がある。肥前鹿島駅 - 諫早駅間では列車の本数が極端に少なくなっている。この区間は、有明海の入り組んだ沿岸部に沿って線路が通っているため、曲線区間が多く、特急列車の速度向上のために振り子式車体傾斜装置を搭載した885系電車が投入されていた。 所要時間短縮のため、駅構内の配線は原則として一線スルー配線に改良されているほか、曲線の度合いの強い区間のマクラギは通常のPCマクラギよりさらに太い強化型のものが使用されていることが多い。 諫早駅 - 喜々津駅間と浦上駅 - 長崎駅間は複線である。このうち諫早駅 - 西諫早駅間は上下線が国道207号を挟み離れたところを通っている。また、喜々津駅 - 浦上駅間は単線の2つのルートに分かれており、このうち大村湾沿いに走り、長与駅を経由する明治時代開業のルートを「旧線(長与経由)」と呼び、長崎本線内で唯一電化された事のない区間である。途中、列車交換は大草駅・長与駅のみ可能である[注釈 1]。長与駅 - 浦上駅間では市街地を走り、区間運転の列車が設定されている。一方で、1972年に開通した、長崎トンネルを通る電化されていたルートを「新線(市布経由)」と呼ぶ。旧線に比べ6.7km短縮され、高速運転に適した線形により、諫早駅 - 長崎駅間の所要時間を大幅に短縮した。途中肥前古賀駅以外は列車交換ができるほか、長崎トンネル内に肥前三川信号場がある。新線の大半はトンネルであり浦上駅側では市街地の地下を通り地上に抜ける。地上区間に入ると浦上駅までは高架となり、旧線としばらく並走(単線2並列)する。快速「シーサイドライナー」は全て新線を通っており、かつて運行していた特急列車も新線経由であった。浦上駅 - 長崎駅間では連続立体交差事業が進められ、2020年3月28日に高架化が完了した[3][4]。 鳥栖駅 - 江北駅間および諫早駅 - 長崎駅間(旧線・新線とも)はIC乗車カード「SUGOCA」の利用エリアに含まれている。なお、「福岡・佐賀・大分・熊本エリア」に含まれる鳥栖駅 - 江北駅間と「長崎エリア」に含まれる諫早駅 - 長崎駅間を跨っての利用はできない[5][6]。 一般向けリアルタイム列車位置情報システム「どれどれ」対応路線であり、「長崎本線」(鳥栖駅 - 市布駅 - 長崎駅間)と「長崎本線(長与経由)」(諫早駅 - 長与駅 - 長崎駅間)としてスマートフォン向けに配信されている[7]。 西九州新幹線との関係について→「九州新幹線 (整備新幹線) § 西九州ルートの沿革」、および「西九州新幹線 § 並行在来線の扱い」も参照
九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)が佐世保線の武雄温泉駅から長崎本線の長崎駅まで新幹線フル規格で建設され、「西九州新幹線」として2022年9月23日に開業した。これにより、長崎本線の江北 - 諫早間が並行在来線とされた。整備新幹線において並行在来線は新幹線開業時にJRから経営分離してもよいことになっており、当初はJR九州も経営分離する方針で佐賀・長崎両県による第三セクター方式の経営が計画されていた。しかし、経営分離区間の沿線自治体(鹿島市・江北町)の同意が得られなかったため着工の目処が立たず、他の整備新幹線に遅れをとっていた。そのためJR九州と佐賀・長崎両県は経営分離をせずに、両県が線路などの施設を保有し、新幹線開業後20年間はJR九州が運行を行う上下分離方式を採用することで合意し、着工が認可された。これにより2008年に武雄温泉駅 - 諫早駅間が、2012年には諫早駅 - 長崎駅間が着工された。 博多駅 - 新鳥栖駅では九州新幹線鹿児島ルートを使用し、新鳥栖駅 - 武雄温泉駅間について在来線を活用、武雄温泉駅 - 長崎駅間では新幹線規格の新線建設といった整備計画で、線路幅(軌間)の異なる新幹線と在来線を直通できる開発中の車両FGT(フリーゲージトレイン)を導入する予定であった。しかし、2014年にFGTの試作車両の鹿児島ルート及び鹿児島本線での走行試験中に重大な問題が発覚し、開発が長期に渡りストップした。これにより、仮にFGTが実用化されても、2022年度の開業までに運行に必要な数の車両の生産が間に合わないことが判明した。新幹線建設は計画通り進んでおり、完成した設備を年単位で放置できないこと、新幹線沿線自治体では2022年度の開業に合わせて大規模再開発が行われており開業の遅れは許されない状況であり、開業の前倒しを計画していただけに大きな問題となった。結果、2015年12月に2022年度開業のあり方として国やJR九州、長崎・佐賀両県の間で次の合意がなされた。
その後2016年12月に2年ぶりにFGT走行試験を再開するも、再度問題が発覚し、暫定開業時の先行導入車両の製造は間に合わない見通しとなった。運行主体のJR九州は2017年7月、一般の新幹線の2倍以上のコストがかかるFGTでの西九州ルート運営は困難としてFGT導入断念を決定した。これにより与党検討委員会は在来線活用予定であった武雄温泉駅 - 新鳥栖駅間の西九州ルートの整備をミニ新幹線方式または全線フル規格新幹線方式での整備を軸に調査を開始した。2018年度中に西九州ルートの整備方針が決定する予定とされていたが、長崎駅 - 武雄温泉駅間が開業した2022年9月23日時点でも関係各所の意見統一がなされていない状況となっている。 路線データ
鳥栖駅 - 肥前大浦駅間がJR九州本社鉄道事業本部、土井崎信号場 - 長崎駅間と長与駅経由の旧線が同社長崎支社の管轄となっており、佐賀県と長崎県の県境付近(肥前大浦駅 - 土井崎信号場間)に本社と支社の境界がある。 利用状況各年度の平均通過人員(人/日)および旅客運輸収入は以下のとおりである。
運行形態
優等列車西九州新幹線が開業した2022年9月23日以降は、優等列車における長崎駅方面と佐世保駅方面の分岐駅が江北駅から武雄温泉駅に移行したため、当路線の優等列車は江北駅から佐世保線に直通する列車が主体となっている。なお、定期運転の優等列車は全て鳥栖駅から鹿児島本線に直通して博多駅まで乗り入れている(一部列車はさらに博多駅以北に直通)。 佐世保線に直通する優等列車は、門司港駅・博多駅 - 武雄温泉駅間の特急「リレーかもめ」が下り18本・上り16本、博多駅 - 佐世保駅間の特急「みどり」が16往復(一部は大村線ハウステンボス駅発着の特急「ハウステンボス」を併結)運転されている。「リレーかもめ」全列車と「みどり」下り4本・上り6本は武雄温泉駅で長崎駅方面への新幹線「かもめ」と接続し、該当する「みどり」は「みどり(リレーかもめ)」の列車名で運転されている。 佐世保線に直通しない優等列車は、門司港駅・小倉駅・吉塚駅・博多駅 - 佐賀駅・肥前鹿島駅間の特急「かささぎ」が下り8本・上り9本(土曜・休日10本)運転されている。現在の「かもめ・リレーかもめ」が運行を開始した際に、従来の特急「かもめ」の停車駅であった肥前鹿島駅が「かもめ・リレーかもめ」のルートから外れることから、肥前鹿島駅発着の特急を7往復設定することが事前に発表されていたが、これに従来の「かもめ」の佐賀駅発着列車を統合した形で新設された。 このほかD&S列車として、全席グリーン車の特急「36ぷらす3」が、月曜日に博多駅 - 江北駅 - 佐世保駅間で運行される。このうち往路(佐世保駅行き)は経路の途中で江北駅 - 肥前浜駅間を往復する。また武雄温泉駅 - 長崎駅間を運行する特急「ふたつ星4047」は、午前便が江北駅 - 長崎駅間の下り線を、午後便が長崎駅 - 諫早駅間の上り線を、ともに旧線(長与駅)経由で運行する。 過去の優等列車→「長崎本線優等列車沿革」および「東京対長崎県内連絡列車沿革」も参照
関門トンネルが開通した1942年11月15日、東京駅 - 下関駅間を結んでいた特急「富士」の運行区間が東京駅 - 長崎駅間に延長され、長崎本線に初めて特急列車が乗り入れた(1943年10月1日に東京駅 - 博多駅間の運転に短縮)。上海航路運航日は、上り列車が1駅先の長崎港駅を始発とする形で運転された。ただし、この列車以前にも上海航路への接続列車として長崎駅から長崎港駅まで1駅延長運転されたものもあった。 1948年8月、東京駅 - 長崎駅間を大村線経由で運行する準急列車が運行開始。1949年に急行列車に格上げ、1950年には「雲仙」の列車愛称が与えられた。この愛称は、同時期に運行を開始した急行「西海」とともに、1980年まで用いられた。この間、様々な愛称の急行列車が運行を開始し、運行区間の変更や統廃合が行われた。 1957年10月1日、同年より東京駅 - 博多駅間で運行を開始した寝台特急「さちかぜ」の運行区間を長崎駅まで延長し、長崎本線の特急列車が復活。この列車は、1958年に「平和」、1959年に「さくら」へと改称した。また、1965年10月1日には、寝台特急「あかつき」が、新大阪駅 - 西鹿児島駅・長崎駅間で運行開始した。 1961年10月1日、京都駅 - 博多駅間を運行していた特急「かもめ」が長崎駅に乗り入れを開始、気動車による運行となる。1975年3月10日、山陽新幹線博多延伸に伴い、「かもめ」を廃止、線内を走る昼行特急列車がなくなった。 1976年7月1日、長崎本線・佐世保線電化により、電車によるエル特急として「かもめ」が、小倉駅・博多駅 - 長崎駅間で、「みどり」が小倉駅・博多駅 - 佐世保駅間で運転を開始した。その後、急行「出島」の特急格上げなどで増発が繰り返された。1992年3月25日には、特急「ハウステンボス」が博多駅 - ハウステンボス駅間で運転を開始した。 2000年代にかけて、夜行列車が次々と廃止されるようになり、東京駅 - 長崎駅間の寝台特急「さくら」は2005年3月1日のダイヤ改正で、京都駅 - 長崎駅間の寝台特急「あかつき」は2008年3月15日のダイヤ改正で廃止され、夜行列車や本州直通優等列車の運転はなくなった。 2022年9月23日の西九州新幹線開業に伴い、在来線特急の「かもめ」は、門司港駅・博多駅 - 武雄温泉駅間を走る「リレーかもめ」、門司港駅・小倉駅・博多駅 - 佐賀駅・肥前鹿島駅間を走る「かささぎ」に再編された[22][23]。これにより、肥前鹿島駅 - 長崎駅間を毎日運行する特急列車はなくなった。 また、2020年10月から博多駅 - 長崎駅間で運行されていた特急「36ぷらす3」は、肥前浜駅 - 長崎駅間の電化廃止により、2022年10月から運行区間を博多駅 - 佐世保駅間とし、博多駅発便のみ肥前浜駅に立ち寄る運行に改められた。 地域輸送概ね江北駅・肥前浜駅・諫早駅で運行系統が分かれている。 全線でワンマン運転を実施している。佐賀駅 - 諫早駅間のワンマン列車では、有人駅の佐賀駅・諫早駅および一部時間帯のみ有人の江北駅・肥前鹿島駅のみすべてのドアから乗降可能で、それ以外の無人駅では先頭車両での後乗り前降り方式となる。一部時間帯のみ有人の肥前鹿島駅は、みどりの窓口営業時間帯は有人駅扱い、営業時間外は無人駅扱いとなる一方、同一営業形態の江北駅は駅員の在席に関係なくすべてのドアから乗降できる。無人駅での乗車時には整理券を取り、下車時に乗車券・整理券と運賃を運転士に渡すか運賃箱に投入する。3両以上の電車による運行の場合は車掌が乗務するが、YC1系での運行の場合は3両以上でも2021年10月より全てワンマン運転となっている。 2006年3月18日から鳥栖駅 - 肥前山口駅(当時)間、および諫早駅 - 長崎駅間(新線・旧線)に「都市型ワンマン」が導入された。この区間では、ワンマン運転であっても、すべてのドアから乗り降りできる(YC1系の場合はドアは自動で開かないためドア横のボタンを押して開ける。いわゆる半自動式)。2022年9月23日より、佐賀駅 - 江北駅間は、上述の料金車内収受方式に変更となった[24]。 鳥栖駅 - 江北駅間普通列車は1時間に2本程度運転される。西側は朝の3往復が佐賀駅発着、半数強の列車が江北駅発着で、その他の列車は江北駅以西の長崎本線または佐世保線に直通している。東側は基本的に鳥栖駅発着だが、早朝に下り1本のみ佐賀発肥前浜行き(江北から神埼折り返しの回送列車で送り込み)も設定されているほか、朝夕の一部列車は鹿児島本線博多駅方面に直通し、上りのみ鳥栖駅で鹿児島本線久留米方面からの列車と併結する列車がある。なお鹿児島本線に直通する上り列車の一部は「区間快速」の種別だが、長崎本線内では快速運転は行わない。佐賀駅 - 久保田駅間は唐津線の列車も利用可能で、本数はさらに多くなり、最大で1時間に4〜5本が運転される。気動車列車は唐津線直通列車のみで、それ以外は電車で運行されている。後節のとおり2022年9月23日以降はこの区間から肥前浜駅を越えて諫早駅・長崎駅方面へ向かう列車は運行されていない。 江北駅 - 諫早駅間この区間は2022年9月23日のダイヤ改正により肥前浜駅 - 長崎駅間が非電化となったため運行形態が大幅に再編された。 江北駅 - 肥前浜駅間は電化設備が存置され改正前と同様に電車での運転が主体となり、佐賀方面との直通も継続される一方、電化設備が廃止された肥前浜駅 - 諫早駅間では全列車が気動車による運行となり、肥前浜駅で乗り換えが生じるようになった。江北駅 - 肥前浜駅間では日中は佐賀方面への直通列車が多いが、朝夕は大半の列車が江北駅で系統分割されており、非電化区間の肥前浜以南に直通する気動車列車も運行されている。2022年9月改正で江北駅 - 諫早駅間を通しで運行される列車(気動車)は下り4本・上り3本に、長崎方面との直通は下り5本・上り4本に削減されており、このうち1往復が江北駅 - 長崎駅間を直通する。 佐賀・長崎の県境を含むこの区間は、県境に近付くにつれて本数が少なくなり、肥前浜駅 - 諫早駅間の全区間を運行する普通列車は1日7.5往復のみである。そのためこの区間を移動する場合は、時間帯によっては佐世保線・大村線経由の方が早く着く場合がある[注釈 2]。なお、祐徳自動車が佐賀県側の鹿島バスセンター(肥前鹿島駅前) - 大浦駅前 - 竹崎港間に、長崎県交通局が長崎県側の諫早駅 - 小長井駅前 - 県界間にそれぞれ国道207号経由で長崎本線に並行する路線バスを運行しており、区間によっては長崎本線の普通列車よりも本数が多い[25]。 車両が電車からキハ47形気動車に代わったことで加減速性能が悪くなり最高速度も95km/hに引き下げられたが、対向列車との交換や特急の通過待ちによる停車が減ったため、この区間の所要時間は数分短縮されている列車が多い[注釈 3]。 諫早駅 - 長崎駅間都市間輸送となっており、朝夕のラッシュ時は数分おきの発車で、単線の区間では線路容量一杯である。ラッシュ時間帯以外では新線(市布駅経由)、旧線(長与駅経由)ともに1時間に1本の運転は確保されているが、旧線の喜々津駅 - 長与駅間および新線の快速通過駅では2時間程度間隔が空く時間帯がある。新線には途中駅折り返し列車は設定されていないが、旧線には長与駅で折り返す列車がある。日中、諫早駅から大村線に直通する普通列車は、長崎本線は基本的に旧線経由となる。 このほか、諫早駅 - 長崎駅間では新線経由で大村線直通の快速・区間快速「シーサイドライナー」が1時間に1本運転される。この区間内において、通勤時間帯に運転される「快速」は全駅に停車する一方で、日中時間帯の「区間快速」は諫早駅・喜々津駅・浦上駅・長崎駅のみに停車する。なお、2022年9月23日のダイヤ改正以前は、西諫早駅・市布駅・肥前古賀駅・現川駅を通過する「快速」もあった。「区間快速」は長崎本線内は最高速度110km/hで運転する。 以前は、新線および肥前鹿島方面が電化されていたため旧線・大村線直通列車以外は深夜の一部上り列車を除き電車で運行されていたが、2022年9月23日より全て気動車での運行となっている。 臨時列車長崎本線内で快速運転を行う定期列車は「シーサイドライナー」のみであるが、臨時列車ではゴールデンウィーク期間に運転される快速「有田陶器市号」が快速運転を行う。「有田陶器市号」のうち、博多・南福岡・鳥栖発着の線内の停車駅は通常この区間を運行する特急列車の停車駅に加え、神埼駅に停車する。また佐賀インターナショナルバルーンフェスタ開催時は、普通列車に加えて臨時快速「バルーンフェスタ号」が鳥栖方面 - 江北駅間に運転されることがある。「バルーンフェスタ号」は肥前麓駅・伊賀屋駅・鍋島駅を除く各駅に停車する。 かつて運行されていた長崎発着の「有田陶器市号」は快速「シーサイドライナー」に準じ諫早駅 - 長崎駅間は喜々津駅・浦上駅に停車していた。また、江北経由ではなく非電化の大村線経由で運転されていたため、2022年以前も気動車で運転されていた(喜々津駅 - 浦上駅間は新線経由)。2023年以降は西九州新幹線に接続するシャトル列車に変更となったため、運行を終了している。 団体専用列車「或る列車」が、「長崎コース」として大村線経由で長崎駅 - 佐世保駅間に運行される。長崎発、長崎着ともに旧線を経由する。また、「ハウステンボスコース」として、博多駅 - ハウステンボス駅間、「佐賀〜長崎〜佐世保コース」として、佐賀駅→長崎駅→佐世保駅間で運転している。 また、クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」が1泊2日コースで長崎駅に発着している。2015年3月からは長崎へ向かう往路の江北駅 - 諫早駅間で佐世保線・大村線、諫早駅 - 長崎駅間で旧線、長崎を出発する復路の長崎駅 - 諫早駅間で新線を経由している。 貨物列車日本貨物鉄道(JR貨物)の第二種鉄道事業区間である鳥栖駅 - 鍋島駅間で貨物列車が運行されている。2022年3月改正時点では、コンテナ車で編成された高速貨物列車が2往復(鹿児島本線福岡貨物ターミナル駅発鍋島駅行きが2本、鍋島駅発東海道本線東京貨物ターミナル駅行きが1本、鍋島駅発関西本線百済貨物ターミナル駅行きが1本)設定されている[26]。牽引機関車は、ED76形およびEF81形電気機関車。さらに農産物流通のピークである4 - 6月は、EF81形牽引の臨時高速貨物列車(通称タマネギ貨物)が1往復増発される。 線内の貨物列車の発着駅は鍋島駅のみだが、このほか長崎駅には近接して「長崎オフレールステーション」があり、コンテナを積載したトラックが鍋島駅との間を結んでいる。 使用車両車種はキハ、キロシ、YC1とあるのは気動車、他は特記なければ電車。 特急列車
普通・快速列車
鳥栖 - 江北間では、南福岡車両区所属の817系3000番台と821系(2022年9月改正で全車が熊本車両センターに転出後は不明)も813系の代走として運用されることがある。 団体臨時列車
過去の主な使用車両
歴史長崎本線は、九州鉄道の手により現在の佐世保線・大村線のルートで建設された。鳥栖 - 早岐間と長与 - 長崎間が開業した1897年より全通するまでの約1年間は、大村湾に連絡船を開設して暫定的な連絡機関としていた。 1907年の国有化を経て、現在のルート(有明線)が長崎本線となったのは1934年のことである。旧長崎本線(佐世保線・大村線ルート)は佐世保市・大村市といった長崎県内の各都市を結ぶ役割を果たす一方で、大回りとなるため福岡・佐賀方面と長崎市街との往来には長い時間が必要であった。このため、佐世保線・大村線ルートの短絡線として肥前山口(現在の江北) - 肥前鹿島 - 諫早(有明線)が建設され、長崎本線に編入された。旧長崎本線区間は佐世保線・大村線へと分離された。有明線は改正鉄道敷設法別表114号に「佐賀県肥前山口附近ヨリ鹿島ヲ経テ長崎県諌早ニ至ル鉄道」として規定されていた。 1972年、喜々津 - 市布 - 浦上間にも短絡線が建設されたが、旧線・新線共に長崎本線として運行されている。市布経由の新線は改正鉄道敷設法別表114号の2に「長崎県喜々津ヨリ矢上ヲ経テ浦上ニ至ル鉄道」として規定され、日本鉄道建設公団が主要幹線(C線)の浦上線(うらかみせん)として計画・建設した。 また、長崎港出島埠頭に発着する上海航路との連絡のため、1930年に長崎駅から長崎港駅までの1.1kmが延伸された。太平洋戦争の激化(1943年頃)により上海航路が廃止された影響で、1946年以降は貨物線として使われていた。正式に廃止されたのは1982年11月14日[27][28] である[注釈 4]。跡地は遊歩道や公園として整備されている。 年表九州鉄道 - 有明線編入前
*が付いている駅は、のちに路線分離により長崎本線の駅ではなくなった駅。 有明線有明線編入後
民営化以後
電化と気動車長崎本線と佐世保線の電化は、もともと観光資源に恵まれ、旅客も増えていたことから、山陽新幹線開業を受けてエル特急の新設をはじめとする高速列車体系を整備するという意図で実施された。総工費125億円のうち89億円の利用債を長崎県、佐賀県が引き受け、1973年10月に着工された。当初は、山陽新幹線の岡山駅 - 博多駅間の開業と同じく1975年の電化完成を目指したが、実際には1年遅れの1976年であった。 電化と同時に実施された1976年7月1日のダイヤ改正で、485系交直流特急電車による、小倉駅・博多駅 - 長崎駅間の「かもめ」が7往復、小倉駅・博多駅 - 佐世保駅間の「みどり」が6往復設定された。ED76形交流機関車の投入で、客車・貨物列車の牽引機が一部を除いて電化された。一方で、気動車を使用した旅客列車も多数残存していた。電化直後の1976年7月時点における動力別の1日平均設定キロでは、長崎本線は旅客列車はDL(ディーゼル機関車牽引)3.5%、DC(ディーゼルカー、気動車)58.8%に対して、EL(電気機関車牽引)15.5%、EC(電車)22.2%、すなわちELとECを合わせた電化率は37.7%にすぎなかった。佐世保線も、同時期の電化率は45.3%と低かった。急行「出島」(運転区間は当時の「かもめ」と同じ)、「弓張」(運転区間は「みどり」と同じ)は、全走行区間が電化されていたにもかかわらず、気動車のままであった。ローカル普通列車は、1日2往復の快速を除いてすべて気動車であった。電化されたにもかかわらず、気動車のままの列車が多かったのは、当時の国鉄は財政事情が悪化していたために、十分な数の電車を用意できなかったことが原因である。長崎電化では、特急形の485系電車が89両投入されたが、急行形・近郊形の投入は無かった[53]。電化完成後も気動車のままという「架線下DC」は、同時期の国鉄では日本各地で存在しており、非電化区間との共通運用、電車を保守できる車両基地の能力不足、車両数の不足などの複合的な要因があった[54]。 長崎本線と佐世保線の架線下DCは、1982年以降に東北新幹線・上越新幹線が段階的に開業し、並行在来線で使用された485系が九州地方に転属したことで、急行が特急に格上げされたこと。583系寝台電車を近郊化改造した715系が普通列車に投入されたことで、非電化の旧線(長与経由)、大村線に直通する列車を除いて解消された。 2022年には、西九州新幹線開業にともない、長崎本線の肥前鹿島駅以南の区間で特急列車が廃止されたことから、肥前浜駅 - 長崎駅間で電化設備を廃止し、すべての定期旅客列車が気動車化された。電化区間を、肥前鹿島駅よりも1駅南隣の肥前浜駅までとしたのは、肥前鹿島駅が1面2線しかなく、特急が折り返しのために1線をふさぐと残り1線となってしまう手狭さと、肥前浜駅は2面3線を有しており従来から折り返し列車もあり、系統分離で接続に適した設備があったことが理由である[55]。長崎本線の肥前浜以南の区間が電化されていたのは、1976年から2022年までの46年間であった。 駅一覧
新線経由(市布経由)
上記以外の駅はJR九州サービスサポートの業務委託駅もしくは無人駅である。 旧線(長与経由)
廃止区間長崎駅 - 長崎港駅(1.1 km。1982年11月14日廃止) 過去の接続路線沿線
脚注注釈
出典
参考文献
関連項目 |
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