日本農業新聞
日本農業新聞(にほんのうぎょうしんぶん)は、世界で唯一の日刊農業専門紙「日本農業新聞」の発行をはじめ、食と農の総合情報メディア、JAグループの情報受発信センターとして、多様な媒体を用いた情報発信を行っている新聞社、多メディア企業で[1]、また、それが発行する新聞のことである。 概要発行部数は28万2,022部(2023年10月、日本ABC協会調べ)。日本新聞協会加盟。北海道版は日曜日休刊である。 最も多くの読者に読まれている専門紙の一つである。また、日本ABC協会加盟紙の中で、一般紙である全国紙(五大紙)、ブロック紙、一部の地方紙に次ぐ読者数を誇る。 世界恐慌が農村部にも波及、商人の農産物買い叩きが横行し農家が困窮の極みにある中、その窮状を救うべく、1928年(昭和3年)3月20日に農産物市況を伝えるために発行した「市況通報」が日本農業新聞の前身である。戦中・戦後の混乱期を乗り越え、農業・農村の歴史を刻んできた。 1947年(昭和22年)11月19日付で農業協同組合法が施行されたことにより翌1948年(昭和23年)、それまで日本農業新聞の発行母体だった全国農業会(現・JA全農)が解散。これを受けて群馬、山梨、東京の農協中央会・経済連代表が連合会設立の世話人会を開催、日本初の全国連となる全国新聞情報農業協同組合連合会を設立して新聞発行を引き継いだ。これにより農協系統組織が農業専門紙を有することとなった。 週刊から週2回発行に前進する中、日刊化を急ぐべきとの系統組織内からの声が高まり、1957年(昭和32年)7月に松山市で開かれた全国農協役職員盟友大会で「日本農業新聞の日刊発行体制の確立を促進すべき」とする緊急提案がなされ、満場一致により採択されたことにより、全国日刊化へ大きく動き出した。 1967年(昭和42年)に東日本から日刊がスタート。7月1日付紙面には当時の内閣総理大臣佐藤栄作が「この日刊化は農業近代化に資する新聞の役割を前進させるもので国民的見地からも重要な意義がある」と寄せている。 第一次オイルショックにより、用紙事情のひっ迫、制作資材費の上昇などにより苦境に直面したが、1978年(昭和53年)4月1日に国内唯一となる全国日刊の農業専門紙が誕生した。現在に至るまで、日刊の農業専門紙は世界唯一となっている。 公正・中立報道をうたい、新聞報道の自由と責任を守る日本新聞協会には1948年(昭和23年)に加盟している。 法人税法により本来事業に対する非課税や、収益企業に対して税率の軽減等を受けている公益法人等に該当する組織や、協同組合などに対する規制が強化され、これら組織の営利事業については原則として会社法に基づいて設立される株式会社や合同会社の形態により行わなければならなくなったことから、2002年に株式会社化するための受け皿として“株式会社日本農業新聞”が設立され、JA新聞連から大半の事業が譲渡された。 →「協同組合 § 日本の協同組合」、および「公益法人等 § 法人税法 別表第2の法人」も参照
農業関係者向けの関連ニュースだけでなく、一般の読者にもわかりやすく農業や食の問題について解説できるように紙面を工夫している。またスポーツ紙以外の専門紙では珍しく天気予報やテレビの番組表が掲載されている。日本経済新聞が2008年11月に沖縄での現地印刷を開始するまで、一般の全国紙も実現していない、沖縄県を含めた全国への即日宅配を唯一行っている新聞だった。 内閣記者会、八日会(国会記者クラブ)、農政クラブ(農林水産省)、霞クラブ(外務省)、財政クラブ(財務省)、兜クラブ(東京証券取引所)、環境問題研究会(環境省)、国土政策研究会、気象庁記者クラブ、文科省記者クラブ、大田記者会など33の記者クラブで活動している[2]。 全国17か所の契約印刷拠点、北海道から沖縄県まで約8,400の新聞販売店から宅配を行う。 朝日新聞社や日刊スポーツ新聞社などと一部業務の協力関係がある他、西日本新聞社などと災害時の協定を結んでいる[3]。 沿革
紙面・論調日本の農業、および農業者を保護する立場をとっており、TPP(環太平洋経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)締結や世界貿易機関(WTO)交渉などが行われる際、農産物の関税低減・自由化や輸入枠拡大は国内農業を脅かす、として反対する傾向にある。 また専門紙として、農産物の市況や生産技術などの報道も力を入れている。東京・秋葉原の本所のほか、大阪、名古屋、札幌、仙台、広島、福岡に支所を、長野、松山に支局を、新潟に駐在を置いている。また日本新聞協会に加入し、国会や農政など主要記者クラブに加盟。面建ては「総合(農政、経済、営農)」「JA」「流通経済・市況」「食農・園芸」「総合営農」「くらし・女性」「直売」「地方版」「天気」などで構成されている。 前述の通り、スポーツ紙以外の業界・専門紙では珍しく天気予報・気象記事を充実させており、1面に気象概況・天気図・発行日当日の主要47都市(熊谷・銚子・彦根・下関以外は各都道府県庁所在地)の予報を掲載しているほか、別面に週間予報も掲載し、更に別途天気面を設けて気象解説など天気・気象関連の記事を載せている。 各地方版の記事(各地の会議やイベントなど)などは、全国に約1,700人いる通信員(農業協同組合の職員など)が取材している。また、海外特約通信員(米国、フランス、スイス)、海外特約通信社(米国、韓国、中国)がある。 日農INDEX全国の農産物の市況情報を伝える独自指標として「日農INDEX」を公表している。日農INDEXは「日農平均価格」と「NOPIX(日農市況指数;ノピックス)」の2つから構成され、紙面の市況欄に掲載されるほか、購読者向け無料会員登録制ウェブサイトのnetアグリでより詳しい市況を公示している[6]。 日農INDEXは青果・花それぞれで主要7地区(東京・大阪・名古屋・札幌・仙台・広島・福岡])の計14卸の相場情報を独自に集計。「日農平均価格」は集計先青果・花き各7卸の当日の野菜・果実および花きの総販売量の平均価格・販売トン数を例年値つきで表示するなどし、生産者・出荷者が市況動向を敏感に読み取れるように工夫している。 日農INDEXの構成銘柄(集計先)は次の通り
組織
ラ・テ欄南関東版(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、山梨県向け)
※北関東版(茨城県、栃木県、群馬県)は、とちぎテレビと群馬テレビのみ掲載。 近畿版(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県向け)
※BSは南関東版と同じ。 日中の番組を中心にいわゆる「汎用タイプ」(テレビ雑誌に掲載されるような当日の内容ではなく番組の概要紹介)が掲載されることが多い[独自研究?]。 脚注
外部リンク |
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