小山 怜央(こやま れお、1993年7月2日 - )は、日本の将棋棋士である。棋士番号は335。岩手県釜石市出身[1][2]。北島忠雄七段門下。
2023年2月に棋士編入試験に合格し、2023年4月1日付で日本将棋連盟所属のプロ棋士となった[1][2]。奨励会の経験なくプロ入りした戦後初の棋士である[1][2][注釈 1]。
棋歴
小学2年生(8歳)の時に将棋を指すようになった[1]。2004年と2005年に倉敷王将戦高学年の部岩手県代表として出場した[4]。2006年には全国中学生選抜将棋選手権大会で3位入賞した[5]。2008年には中学生将棋名人戦で3位入賞した[6]。奨励会を受験するも不合格となった[7]。その後はアマチュアとして活動し、2014年に岩手県立大学3年で第70回全日本学生名人戦に優勝[8]、2015年にアマチュア名人戦で優勝した。これにより、奨励会三段編入試験の権利を得て受験(北島忠雄を師匠とした)した[9]が、2勝3敗で不合格に終わった[10]。アマチュアとしての実績は、2016年アマ王将位優勝[11]、2017年赤旗名人戦優勝[12]、2021年支部名人戦優勝[13]、2022年アマ竜王優勝[14]など。それ以前に準優勝が4度あった。2021年4月、「将棋に集中したい」との考えからSEとしての所属会社を退社し[15]、2022年3月からオンライン将棋の講師を務めつつアマチュアとして棋戦参加。2018年12月の第32期竜王戦での勝利から公式戦12局の成績を7勝5敗とした状況で、2022年7月からの第16回朝日杯将棋オープン戦に出場。朝日杯を3連勝すれば棋士編入試験の要件を満たす10勝5敗に到達する状況の中、一次予選1-2回戦を勝ち抜いて準決勝に進出。編入試験要件まで残り1勝とした。2022年9月13日、第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選6組準決勝での勝利により、公式戦の成績を良い所からみて10勝5敗(勝率6割6分7厘)として「棋士編入試験」の受験資格を得た。奨励会制度導入後、奨励会への入会経験なく棋士編入試験の受験資格を得たのは史上初となる[注釈 1]。9月28日付で棋士編入試験の受験申込が受理された。
棋士編入試験は2022年11月から2023年3月にかけて毎月1局を行う日程(全5局、3勝合格/3敗不合格)が組まれ、第4局までに成績を小山の3勝1敗として「棋士編入試験合格」となった(2023年4月1日付で四段昇段)。同試験と並行して第36期竜王戦6組にアマチュアとして出場し、ランキング戦4回戦に進出。小山は第34期竜王戦6組ランキング戦において準決勝進出(4勝1敗)という同棋戦アマチュアとしての過去最高成績を挙げたことがある。
棋士編入試験
2022年9月29日、日本将棋連盟が棋士編入試験の日程を発表した[16]。試験概要は以下の通り。
- 棋士番号の大きい(プロ入りから日の浅い)5人の棋士を試験官として11月から毎月1局行なう。
- 3勝した時点で合格、4月1日もしくは10月1日付けで四段となりフリークラス編入資格を得る。3敗した時点で不合格となる。
- 持ち時間は3時間(午前10時開始)。1局目に振り駒、以下5局まで先後交代。
|
試験官 (棋士番号) |
試験日程 |
会場 |
先後 |
結果
|
第1局 |
徳田拳士 四段 (332) |
2022年11月28日(月) |
関西将棋会館 |
後 |
小山勝ち(166手) |
[17]
|
第2局 |
岡部怜央 四段 (331) |
2022年12月12日(月) |
将棋会館 |
先 |
小山勝ち(111手) |
[18]
|
第3局 |
狩山幹生 四段 (330) |
2023年01月20日(月) |
関西将棋会館 |
後 |
小山負け(165手) |
[19]
|
第4局 |
横山友紀 四段 (329) |
2023年02月13日(月) |
関西将棋会館 |
先 |
小山勝ち(133手) 棋士編入試験 合格 (3勝1敗) |
[20] [21]
|
第5局 |
高田明浩 四段 (328) |
2023年03月 |
関西将棋会館 |
後 |
(実施せず) |
|
なお、編入試験合格時点で勝ち残っていた第36期竜王戦6組ランキング戦では、プロ入り前の2023年3月6日に藤原直哉と対戦して敗れた。
プロ入り後
2023年5月23日、プロ入り後初戦となる第95期棋聖戦1次予選が行われ、室岡克彦八段相手に勝利した。
2024年7月15日、第74回NHK杯戦2回戦での谷川浩司との対戦(同年8月11日放送)で勝利[22][23]、直近成績を20勝10敗(勝率0.667)として「直近30局以上の勝率が6割5分以上」の条件を満たし、フリークラスからC級2組への昇級を決め順位戦参加資格を得た[22][24]。奨励会未所属の棋士が順位戦に参加するのは、小山が戦後初の事例であり[24]、2025年度の第84期順位戦からC級2組に参加する[22][23]。
人物
岩手県出身者として初の将棋プロ棋士である[1]。2023年5月28日に岩手県宮古市で行われた第8期叡王戦第4局では、プロデビュー戦からわずか5日後でありながら現地大盤解説会の解説役を任された。
昇段履歴
主な成績
将棋大賞
第51回(2023年度) 東京記者会賞
在籍クラス
竜王戦と順位戦のクラスは、将棋棋士の在籍クラスを参照。
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始 年度
|
(出典)順位戦
|
(出典)竜王戦
|
期
|
名人
|
A級
|
B級
|
C級
|
0
|
期
|
竜王
|
1組
|
2組
|
3組
|
4組
|
5組
|
6組
|
決勝 T
|
|
1組
|
2組
|
1組
|
2組
|
2016
|
|
四段昇段前
|
30
|
|
|
|
|
|
|
6組アマ
|
--
|
0-1
|
2017
|
|
四段昇段前
|
31
|
(不参加)
|
--
|
-
|
2018
|
|
四段昇段前
|
32
|
|
|
|
|
|
|
6組アマ
|
--
|
1-1
|
2019
|
|
四段昇段前
|
33
|
|
|
|
|
|
|
6組アマ
|
--
|
1-1
|
2020
|
|
四段昇段前
|
34
|
|
|
|
|
|
|
6組アマ
|
--
|
4-1
|
2021
|
|
四段昇段前
|
35
|
|
|
|
|
|
|
6組アマ
|
--
|
1-1
|
2022
|
|
四段昇段前
|
36
|
|
|
|
|
|
|
6組アマ
|
--
|
2-1
|
2023
|
82
|
|
|
|
|
|
|
F編
|
37
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
3-1/昇0-1
|
2024
|
83
|
|
|
|
|
|
|
F編
|
38
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
|
2025
|
84
|
|
|
|
|
|
C2
|
|
|
|
|
84
|
第84期から順位戦参加予定
|
|
|
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。 順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 ) 順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。 竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。 四段昇段(2023年4月1日付)以前はアマチュアとして竜王戦出場(公式通算記録から除く)
|
年度別成績
公式棋戦成績(アマチュア当時)
アマチュア当時(2010-2022年度)
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2010
|
1 |
0 |
1 |
0.0000 |
[27]
|
2012
|
1 |
0 |
1 |
0.0000 |
[28]
|
2014
|
1 |
0 |
1 |
0.0000 |
[29]
|
2015
|
2 |
1 |
1 |
0.5000 |
[30]
|
2016
|
1 |
0 |
1 |
0.0000 |
[31]
|
2017
|
1 |
0 |
1 |
0.0000 |
[32]
|
2018
|
2 |
1 |
1 |
0.5000 |
[33]
|
2019
|
3 |
1 |
2 |
0.3333 |
[34]
|
2020
|
4 |
4 |
0 |
1.0000 |
[35]
|
2021
|
3 |
1 |
2 |
0.3333 |
[36]
|
2022
|
9 |
7 |
2 |
0.7777 |
[37]
|
アマチュア 通算
|
28 |
15 |
13 |
0.5357 |
|
棋士編入試験 要件 獲得期間
|
15 |
10 |
5 |
0.6666 |
(
|
2018年12月24日 - 2022年09月13日
|
)
|
|
上記成績はアマチュア当時のため、棋士通算成績には含めず
|
公式棋戦成績(四段昇段以降)
棋士成績(2023年度以降)
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2023
|
24 |
15 |
9 |
0.6250 |
[38]
|
(小計)
|
24 |
15 |
9 |
0.6250 |
|
通算
|
24 |
15 |
9 |
0.6250 |
[39]
|
2023年度まで
|
アマチュア時代の主な戦績
- 2006年 - 第27回全国中学生選抜将棋選手権大会 男子の部 3位[5]
- 2008年 - 第33期中学生将棋名人戦 3位[6]
- 2014年 - 第70回全日本学生名人戦 優勝[8]
- 2016年 - 第33期アマチュア王将位大会 優勝[11]
- 2017年 - 第54回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会(赤旗名人戦) 優勝[12]
- 2021年 - 第50回全国支部将棋名人戦 優勝[13]
- 2022年 - 第35回アマチュア竜王戦 優勝(準優勝4回:2016、2018-2019、2021特別)[14]
著書
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
日本将棋連盟所属棋士 ( 現役棋士 および 2024年度引退棋士) |
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タイトル 保持者 【九段 6名】 【七段 1名】 |
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九段 【26名】 | |
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八段 【34名】 | |
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七段 【44名】 | |
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六段 【28名】 | |
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五段 【20名】 | |
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四段 【15名】 | |
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2024年度 引退棋士 |
- 九段 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 八段 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 八段 中座真 (2024年6月19日 引退)
- 七段 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
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現役棋士 全174名(2025年1月16日時点、日本将棋連盟所属) / △は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照 |
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竜王 | |
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1組 【 ▼降級 4名 】 | |
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2組
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3組
| |
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4組
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5組
|
【在籍 31名(棋士30名・奨励会員1名) / 定員 32名 (欠員1) 】
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6組 【 △昇級 5名 】 |
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次期から出場 |
- 2025年4月昇段者(2-3名)
- 2025年10月昇段者(2-3名)
- (いずれも第39期からの出場)
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★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。 |
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名人 | |
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A級 | |
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B級1組 | |
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B級2組 | |
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C級1組 | |
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C級2組 | |
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フリー クラス
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| 宣言 | |
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棋戦限定 出場 | |
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2024年度 引退者 |
- 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
- 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 中座真 (2024年6月19日 引退)
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次期から の出場者
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フリークラスからの昇級者 | |
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2024年10月1日昇段者 | |
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先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点) B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点2回で降級、C級2組は降級点3回で降級) 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照 |
将棋大賞 |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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第8回(1982年)より創設 |
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