将棋大賞(しょうぎたいしょう)は、毎年度功績を残した将棋棋士などに日本将棋連盟から与えられる賞である。第1回の表彰は1974年に行われた。
1967年から行われている囲碁の棋道賞にならって1974年に創設され、主催は雑誌『将棋世界』だった[1]。
記録部門の賞以外は翌年度初めの4月1日頃に選考委員によって決定・発表され、その模様は『将棋世界』誌に掲載される。個人賞は各タイトル戦を主催する社の記者の代表等10数名。名局賞、升田幸三賞は東京将棋記者会の代表数名と棋士代表数名で選考会が行われる。
各賞の受賞年は「前年度の記録・活躍」が対象となる。
将棋大賞の部門
現在の部門
1.個人賞(選考委員による選考)
- 最優秀棋士賞、特別賞、優秀棋士賞(第33回新設)、敢闘賞(第33回新設)、新人賞
- ※「特別賞」は対象者がない年が多く、贈られる意味合いもさまざまである。
- ※「敢闘賞」は、第32回までの「敢闘賞」を廃止した上で第33回に新設されたもの。
- 最優秀女流棋士賞(第27回より)、優秀女流棋士賞
- 第26回までは、女流部門の将棋大賞は「女流棋士賞」のみであったが、第27回からは、女流の最高賞は「最優秀女流棋士賞」となり、印象に残った女流棋士へ「女流棋士賞」を贈ることとなった。さらに第45回からは「女流棋士賞」を「優秀女流棋士賞」に改めた。
2.記録部門(成績により決定)
- 勝率第一位賞、最多勝利賞、最多対局賞、連勝賞(年度をまたがる連勝は、連勝が止まった年度での対象となる)。
- 女流最多対局賞(第37回新設。対局数は女流棋戦のみをカウント。棋士公式戦女流参加枠の対局は含まない。)
3.優れた対局内容に対する賞(選考委員による選考)
- 名局賞(後述)、名局賞特別賞(後述)、女流名局賞(後述)
4.その他の賞(選考委員による選考)
- 升田幸三賞(後述)、升田幸三賞特別賞(後述)、東京将棋記者会賞
- ※現役・引退・物故・アマチュア・団体を問わず贈られる。成績や功績が対象年度内でなくても贈られる場合がある。
廃止された部門
- 殊勲賞、技能賞、(旧)敢闘賞 - 3つとも選考による賞で、第32回を最後に廃止
将棋大賞歴代受賞者
- 受賞対象は受賞年の前年度が対象となる
- かっこ内の数字は、通算受賞回数
- 太字は歴代1位記録
- 名局賞・女流名局賞・升田幸三賞は別項参照
|
回 |
年 |
最優秀 棋士賞 |
特別賞 |
優秀 棋士賞 |
敢闘賞 |
勝率 一位賞 |
最多 勝利賞 |
最多 対局賞 |
連勝賞 |
新人賞 |
最優秀 女流 棋士賞 |
優秀 女流 棋士賞 |
女流 最多 対局賞 |
東京 記者会賞
|
51 |
2024
|
藤井聡(4)
|
なし
|
伊藤匠
|
丸山
|
藤井聡(6) .852[注 1]
|
伊藤匠 藤本_ 51勝
|
伊藤匠 69局
|
佐々大 15連勝
|
藤本
|
福間(14)
|
西山(3)
|
加藤桃(2) 52局
|
小林健 小山怜
|
50 |
2023 |
藤井聡(3) |
なし |
渡辺明(9) |
羽生 |
藤井聡(5) .828 |
藤井聡(5) 53勝 |
服部 68局 |
渡辺和(2) 18連勝 |
服部 |
里見香(13) |
西山(2) |
西山 65局 |
田中寅 中田宏
|
49 |
2022 |
藤井聡(2) |
なし |
渡辺明(8) |
菅井 |
伊藤匠 .818 |
藤井聡(4) 52勝 |
藤井聡(2) 64局 |
渡辺和 20連勝 |
伊藤匠 |
里見香(12) |
西山 |
伊藤沙(4) 53局 |
桐山
|
48 |
2021 |
藤井聡 |
なし |
渡辺明(7) |
豊島(2) |
藤井聡(4) .846 |
藤井聡(3) 永瀬0(初) 44勝 |
永瀬 67局 |
澤田 14連勝 |
池永 |
里見香(11) |
山根 |
加藤桃 43局 |
杉本昌
|
47 |
2020 |
渡辺明(2) |
木村一 |
豊島 |
永瀬 |
藤井聡(3) .815 |
藤井聡(2) 53勝 |
佐々大 67局 |
永瀬(3) 15連勝 |
本田 |
里見香(10) |
伊藤沙(2) |
伊藤沙(3) 46局 |
高橋和
|
46 |
2019 |
豊島 |
なし |
渡辺明(6) |
広瀬(2) |
藤井聡(2) .849 |
佐々大 46勝 |
広瀬 64局 |
渡辺明 15連勝 |
大橋 |
里見香(9) |
渡部 |
伊藤沙(2) 36局 |
伊藤果
|
45 |
2018 |
羽生(22) |
藤井聡 |
菅井 |
豊島 |
藤井聡 .836 |
藤井聡 61勝 |
藤井聡 73局 |
藤井聡 29連勝 |
藤井聡 |
里見香(8) |
伊藤沙 |
伊藤沙 41局 |
森雞
|
回 |
年 |
最優秀 棋士賞 |
特別賞 |
優秀 棋士賞 |
敢闘賞 |
勝率 一位賞 |
最多 勝利賞 |
最多 対局賞 |
連勝賞 |
新人賞 |
最優秀 女流 棋士賞 |
女流 棋士賞 |
女流 最多 対局賞 |
東京 記者会賞
|
44 |
2017 |
佐藤天 |
加藤一 |
羽生(4) |
久保(2) |
斎藤慎(2) 青嶋 .750 |
千田 48勝 |
千田 佐々勇 65局 |
豊島 青嶋 12連勝 |
八代 |
里見香(7) |
上田 |
室谷(2) 40局 |
森信
|
43 |
2016 |
羽生(21) |
なし |
渡辺明(5) |
佐藤天 |
斎藤慎 .769 |
佐藤天 41勝 |
佐藤天 59局 |
佐藤天(2) 15連勝 |
斎藤慎 |
里見香(6) |
室谷 |
室谷 33局 |
淡路
|
42 |
2015 |
羽生(20) |
なし |
糸谷 |
郷田(3) |
菅井 .796 |
菅井 43勝 |
豊島 56局 |
横山 13連勝 |
千田 |
甲斐 |
香川 |
清水(3) 37局 |
佐藤義
|
41 |
2014 |
森内(2) |
なし |
羽生(3) |
郷田(2) |
村山慈(2) .767 |
羽生(14) 42勝 |
羽生(12) 62局 |
永瀬(2) 12連勝 |
大石 |
里見香(5) |
甲斐(2) |
香川 34局 |
滝
|
40 |
2013 |
渡辺明 |
羽生(2) |
羽生(2) |
中村太 |
永瀬 .786 |
羽生(13) 51勝 |
羽生(11) 68局 |
中村太 15連勝 |
永瀬 |
里見香(4) |
上田 |
中井(2) 38局 |
石田和
|
39 |
2012 |
羽生(19) |
なし |
渡辺明(4) |
郷田 |
中村太 .851 |
羽生(12) 豊島(2) 44勝 |
羽生(10) 63局 |
永瀬 18連勝 |
菅井 |
里見香(3) |
清水(3) |
清水(2) 55局 |
勝浦
|
38 |
2011 |
羽生(18) |
なし |
久保(2) 渡辺明(3) |
広瀬 |
佐藤天 .795 |
羽生(11) 43勝 |
渡辺明 58局 |
佐藤天 17連勝 |
豊島 |
里見香(2) |
甲斐 |
中井 清水 30局 |
佐伯
|
37 |
2010 |
羽生(17) |
なし |
久保 |
木村一 |
豊島 .763 |
豊島 45勝 |
久保(2) 61局 |
阿久津 13連勝 |
戸辺 |
里見香 |
清水(2) |
上田 岩根 36局 |
谷川女流
|
36 |
2009 |
羽生(16) |
中原 |
渡辺明(2) |
久保 |
宮田敦 .757 |
久保 49勝 |
久保 73局 |
金井 11連勝 |
佐藤天 |
清水(13) |
里見香(2) |
- |
大内
|
35 |
2008 |
羽生(15) |
なし |
佐藤康 |
深浦 |
村山慈 .783 |
羽生(10) 44勝 |
羽生(9) 62局 |
佐々慎 佐藤和 13連勝 |
村山慈 |
清水(12) |
矢内 |
- |
真部
|
34 |
2007 |
佐藤康 |
なし |
羽生 |
渡辺明(2) |
阿久津 .776 |
佐藤康(2) 57勝 |
佐藤康(2) 86局 |
糸谷 14連勝 |
糸谷 |
矢内(2) |
里見香 |
- |
コンピュータ 将棋協会
|
33 |
2006 |
羽生(14) |
なし |
森内 渡辺明 |
佐藤康 |
佐藤紳 .787 |
渡辺明 41勝 |
羽生(8) 62局 |
羽生(5) 18連勝 |
佐藤紳 |
矢内 |
千葉 |
- |
瀬川
|
回 |
年 |
最優秀 棋士賞 |
特別賞 |
優秀 棋士賞 |
敢闘賞 |
勝率 一位賞 |
最多 勝利賞 |
最多 対局賞 |
連勝賞 |
新人賞 |
最優秀 女流 棋士賞 |
女流 棋士賞 |
女流 最多 対局賞 |
東京 記者会賞
|
回 |
年 |
最優秀 棋士賞 |
特別賞 |
殊勲賞 |
技能賞 |
敢闘賞 |
勝率 一位賞 |
最多 勝利賞 |
最多 対局賞 |
連勝賞 |
新人賞 |
最優秀 女流 棋士賞 |
女流 棋士賞 |
東京 記者会賞
|
32 |
2005 |
羽生(13) |
なし |
渡辺明 |
佐藤康(5) |
山崎 |
近藤正 .822 |
羽生(9) 60勝 |
羽生(7) 78局 |
近藤正 14連勝 |
阿久津 |
清水(11) |
中井(3) |
河口
|
31 |
2004 |
森内 |
なし |
久保 |
深浦 |
渡辺明 |
深浦 .761 |
森内(2) 46勝 |
森内(2) 64局 |
山崎(2) 22連勝 |
田村 |
清水(10) |
中井(2) |
二上
|
30 |
2003 |
羽生(12) |
谷川(3) |
丸山(2) |
森内(3) |
佐藤康 |
山崎 .745 |
羽生(8) 50勝 |
羽生(6) 74局 |
山崎 16連勝 |
渡辺明 |
中井(6) |
石橋 |
西村
|
29 |
2002 |
羽生(11) |
なし |
郷田(4) |
佐藤康(4) |
森内 |
木村一(2) .836 |
木村一 61勝 |
木村一 73局 |
佐藤康(2) 17連勝 |
松尾 |
中井(5) |
清水 |
加藤一
|
28 |
2001 |
羽生(10) |
なし |
丸山 |
藤井猛(2) |
久保 |
羽生(7) .764 |
羽生(7) 68勝 |
羽生(5) 89局 |
羽生(4) 14連勝 |
山崎 |
清水(9) |
斎田 |
有吉
|
27 |
2000 |
羽生(9) |
なし |
藤井猛 |
丸山 |
鈴木大 |
木村一 .797 |
丸山(2) 50勝 |
谷川(5) 丸山 68局 |
丸山(3) 18連勝 |
堀口一 |
石橋 |
中井 |
関根茂 関根紀
|
26 |
1999 |
羽生(8) |
村山聖 |
佐藤康(2) |
藤井猛 |
郷田(2) |
行方 .778 |
藤井猛 43勝 |
藤井猛 羽生(4) 谷川(4) 59局 |
久保 14連勝 |
木村一 |
- |
清水(8) |
加藤博
|
25 |
1998 |
谷川(5) |
なし |
屋敷 |
佐藤康(3) |
郷田 |
郷田 .762 |
郷田(2) 48勝 |
郷田(2) 63局 |
屋敷 15連勝 |
真田 |
- |
清水(7) |
内藤
|
24 |
1997 |
羽生(7) |
清水 女流 |
三浦 |
森内(2) |
屋敷(2) |
鈴木大 .757 |
阿部隆 47勝 |
谷川(3) 阿部隆 63局 |
鈴木大 14連勝 |
鈴木大 |
- |
清水(6) |
木村徳
|
23 |
1996 |
羽生(6) |
羽生 |
郷田(3) |
佐藤康(2) |
森雞 |
羽生(6) .836 |
羽生(6) 丸山 深浦 46勝 |
深浦 66局 |
丸山(2) 17連勝 |
行方 |
- |
清水(5) |
丸田
|
22 |
1995 |
羽生(5) |
谷川(2) |
郷田(2) |
森下(2) |
深浦(2) |
久保 .810 |
羽生(5) 郷田 52勝 |
郷田 71局 |
丸山 24連勝 |
丸山 |
- |
清水(4) |
長谷久
|
21 |
1994 |
羽生(4) |
米長 |
佐藤康 |
森内 |
深浦 |
井上慶 .756 |
佐藤康 50勝 |
佐藤康 71局 |
佐藤康 15連勝 |
深浦 |
- |
清水(3) |
蛸島
|
20 |
1993 |
羽生(3) |
なし |
郷田 |
佐藤康 |
村山聖 |
羽生(5) .782 |
羽生(4) 61勝 |
羽生(3) 78局 |
羽生(3) 22連勝 |
郷田 |
- |
中井(4) |
大山
|
19 |
1992 |
谷川(4) |
大山(4) |
森内 |
森下 |
羽生(2) |
森内 .797 |
森内 63勝 |
森内 79局 |
中田宏(2) 18連勝 |
中田宏 |
- |
清水(2) |
加藤治
|
18 |
1991 |
谷川(3) |
なし |
森下 |
小林健 |
屋敷 |
森下 .757 |
森下 56勝 |
森下 74局 |
中田宏 16連勝 |
佐藤康 |
- |
林葉(6) |
五十嵐
|
17 |
1990 |
羽生(2) |
二上 |
米長 |
南 |
森下 |
羽生(4) .757 |
羽生(3) 53勝 |
羽生(2) 71局 |
羽生(2) 15連勝 |
屋敷 |
- |
林葉(5) |
佐瀬
|
16 |
1989 |
羽生 |
なし |
島 |
森雞 田中寅 |
南 |
羽生(3) .800 |
羽生(2) 64勝 |
羽生 80局 |
羽生 18連勝 |
森内 |
- |
中井(3) |
廣津
|
15 |
1988 |
谷川(2) |
なし |
南 |
塚田泰(2) |
羽生 |
羽生(2) .820 |
羽生 50勝 |
高橋道 68局 |
神谷 28連勝 |
森下 |
- |
清水 |
高柳
|
14 |
1987 |
高橋道 |
大内 |
福崎 |
塚田泰 |
中村修 |
羽生 中田宏 .741 |
谷川(2) 47勝 |
谷川(2) 76局 |
塚田泰 22連勝 |
羽生 |
- |
中井(2) 林葉(4) |
山本武
|
13 |
1986 |
谷川 |
大山(3) |
中村修 |
高橋道 |
塚田泰 |
富岡 .740 |
谷川 56勝 |
谷川 86局 |
南(2) 15連勝 |
富岡 |
- |
中井 |
渡辺東 花村
|
12 |
1985 |
米長(3) |
加藤治 |
桐山(2) |
有吉 |
中村修 |
有吉 .746 |
加藤一(2) 有吉 島 44勝 |
加藤一 77局 |
有吉(2) 20連勝 |
島 |
- |
林葉(3) |
金子
|
11 |
1984 |
米長(2) |
谷川 |
森安秀(2) |
桐山 |
田中寅(2) |
田中寅(4) .688 |
桐山 45勝 |
森安秀(2) 74局 |
小野修 10連勝 |
高橋道 |
- |
林葉(2) |
荒巻
|
10 |
1983 |
中原(5) |
なし |
谷川 |
内藤(2) |
桐山(2) |
南 .769 |
中原 52勝 |
中原 82局 |
南 15連勝 |
南 |
- |
林葉 |
角田
|
9 |
1982 |
加藤一 |
なし |
森安秀 |
谷川(2) |
田中寅 |
田中寅(3) .763 |
森安秀 46勝 |
森安秀 71局 |
加藤一(2) 12連勝 |
中村修 |
- |
蛸島(2) |
原田
|
8 |
1981 |
二上 |
なし |
加藤一(3) |
勝浦 |
桐山 |
田中寅(2) .723 |
米長(2) 55勝 |
米長(6) 88局 |
有吉 13連勝 |
小林健 |
- |
山下 蛸島 |
松下
|
7 |
1980 |
大山(2) |
なし |
木村徳 |
谷川 |
淡路 |
福崎 .786 |
大山(4) 53勝 |
大山(3) 74局 |
伊藤果 12連勝 |
福崎 |
- |
- |
-
|
6 |
1979 |
米長 |
なし |
加藤一(2) |
田中寅 |
石田和 |
田中寅 .714 |
米長 47勝 |
米長(5) 69局 |
青野 15連勝 |
谷川 |
- |
- |
-
|
5 |
1978 |
中原(4) |
なし |
加藤一 |
森安秀 |
花村 |
森安秀 .792 |
淡路 43勝 |
米長(4) 淡路 65局 |
大内(2) 14連勝 |
淡路 |
- |
- |
-
|
4 |
1977 |
中原(3) |
なし |
森雞 |
加藤一 |
真部 |
森雞 .745 |
加藤一 42勝 |
米長(3) 62局 |
大山 加藤一 森雞 坪内 田中寅 10連勝 |
田中寅 |
- |
- |
-
|
3 |
1976 |
中原(2) |
大山(2) |
桐山 |
松田茂 |
大内 |
青野 .745 |
大山(3) 48勝 |
大山(2) 73局 |
石田和 13連勝 |
青野 |
- |
- |
-
|
2 |
1975 |
中原 |
大山 |
大内 |
米長 |
熊谷 |
桐山 .756 |
大山(2) 48勝 |
大山 米長(2) 75局 |
大内 14連勝 |
真部 |
- |
- |
-
|
1 |
1974 |
大山 |
木村義雄 |
板谷進 |
内藤 |
原田 |
中原 .721 |
大山 39勝 |
米長 67局 |
中原 12連勝 |
森安秀 |
- |
- |
-
|
回 |
年 |
最優秀 棋士賞 |
特別賞 |
殊勲賞 |
技能賞 |
敢闘賞 |
勝率 一位賞 |
最多 勝利賞 |
最多 対局賞 |
連勝賞 |
新人賞 |
最優秀 女流 棋士賞 |
女流 棋士賞 |
東京 記者会賞
|
升田幸三賞
「升田幸三賞」および「升田幸三賞特別賞」は、新手、妙手を指した者や、定跡の進歩に貢献した者に与えられる。第22回(1995年度)から創設。「新手一生」を座右の銘とした升田幸三の名にちなんで制定された。
受賞者はプロとは限らず、アマチュアでは第31回特別賞の立石勝己と第50回の嬉野宏明、奨励会三段では第35回の今泉健司と第38回の星野良生、第47回ではコンピュータ将棋ソフトのelmoが受賞している。
升田幸三賞歴代受賞者・対象
※印を付した戦法は、受賞年よりかなり以前から知られていたものである。
名局賞
対象の1年間で最も優れていると認められた対局に贈られる賞で、勝者と敗者の両対局者が受賞する。第36回からは名局賞特別賞、第46回からは女流名局賞が合わせて創設された。名局賞特別賞は棋士・女流棋士の対局が対象となる。
最初の2回(第34、第35回)では、前年の1月 - 12月の対局が対象であったが、第3回からは4月 - 3月の年度区切りとなった。
名局賞の受賞者・受賞局
女流名局賞の受賞者・受賞局
回 |
女流名局賞
|
対局者 |
受賞局
|
第46回
|
里見香奈 女流王位 渡部愛 女流二段 |
第29期女流王位戦五番勝負[注 8] (全4局、2018年5月9日 - 6月13日)
|
第47回
|
先 ●里見香奈 女流王座___ 後 ○西山朋佳 女王・女流王将 |
第9期女流王座戦五番勝負第4局 (2019年12月4日)
|
第48回
|
先 ●里見香奈 女流四冠 後 ○西山朋佳 女流王座 |
第10期女流王座戦五番勝負第5局 (2020年12月14日)
|
第49回
|
先 ●里見香奈 女流名人 後 ○伊藤沙恵 女流三段 |
第48期女流名人戦五番勝負第2局 (2022年1月23日)
|
第50回
|
先 ○里見香奈 女流王座 後 ●加藤桃子 女流三段 |
第12期女流王座戦五番勝負第5局 (2022年12月23日)
|
第51回
|
先 ●里見香奈 白玲__ 後 ○西山朋佳 女流三冠 |
第3期白玲戦七番勝負第2局 (2023年9月9日)
|
記録・エピソード
最優秀棋士賞
タイトル戦における成績が顕著な棋士に贈られることが多いが、第16回(1988年度が対象)には、羽生善治が無冠の五段であるにもかかわらず受賞している。同年度羽生は、史上初の記録4部門独占、歴代名人4名を破ったNHK杯戦を含む4棋戦優勝などの活躍をした。
創設年度の関係で大山康晴の受賞回数が少ないものの、大山は50歳代で最多勝利賞・最多対局賞・連勝賞を記録し、第7回(1979年度が対象)には56歳で最優秀棋士賞を受賞している。2023年度時点においても、50歳代で記録部門に年度1位の実績を残しているのは大山だけである。
記録部門の独占・寡占
記録4部門(勝率一位、最多勝利、最多対局、連勝)の4賞を独占したことがあるのは、羽生善治(通算4回)と藤井聡太の2名である[注 9]。
4部門独占を含む3部門以上の同時受賞を達成した棋士は以下の通りである。
- 第45回(2017年度) 藤井聡太(独占)
- 第43回(2015年度) 佐藤天彦(勝利・対局・連勝)
- 第29回(2001年度) 木村一基(勝率・勝利・対局)
- 第28回(2000年度) 羽生善治(独占、4回目)
- 第27回(1999年度) 丸山忠久(勝利・対局・連勝)
- 第25回(1997年度) 郷田真隆(勝率・勝利・対局)
- 第21回(1993年度) 佐藤康光(勝利・対局・連勝)
- 第20回(1992年度) 羽生善治(独占、3回目)
- 第19回(1991年度) 森内俊之(勝率・勝利・対局)
- 第18回(1990年度) 森下卓(勝率・勝利・対局)
- 第17回(1989年度) 羽生善治(独占、2回目)
- 第16回(1988年度) 羽生善治(独占、将棋大賞史上初)
- 第12回(1984年度) 有吉道夫(勝率・勝利・連勝)
なお、4賞全てで1回以上の受賞を達成したのは以下の7名。
- 中原誠(1973年度に勝率・連勝、1982年度に勝利・対局)
- 羽生善治
- 久保利明(1994年度に勝率、1998年度に連勝、2008年度に勝利・対局)
- 佐藤天彦(2010年度に勝率・連勝、2015年度に勝利・対局)
- 豊島将之(2009年度に勝率・勝利、2014年度に対局、2016年度に連勝)
- 藤井聡太
- 永瀬拓矢(2011年度に連勝、2012年度に勝率、2020年度に勝利・対局)
エピソード
- 複数人同時受賞
- 最も多くの棋士が一つの部門で同時受賞したのは第4回の連勝賞で、5人が10連勝で並んだ。
- つかの間の最高連勝記録
- 1986年度に塚田泰明は歴代1位となる22連勝を記録して連勝賞を受賞したが、わずか半年後に神谷広志が28連勝して記録を塗り替え、1987年度の連勝賞を受賞した。この記録は藤井聡太の29連勝によって更新されるまで30年近く破られなかった。
- ハイレベルな記録争い
- 極めて優れた成績の指標として、勝数60以上かつ勝率8割以上とされることがある。これを達成したのは羽生善治(1988年度、64勝・0.800)、木村一基(2001年度、61勝・0.8356)、藤井聡太(2017年度、61勝・0.8356)の3名のみである。勝率の条件を外し、年度60勝以上に限ると、羽生(4度)・木村・藤井のほかに達成したのは森内俊之(1991年度、63勝・0.797)のみである。
- 第19回の最多対局争いでは、森下卓が78局を記録したにもかかわらず、森内俊之の79局に1つ及ばず2位となり、2年連続受賞を逃した。79局は歴代7位、78局は歴代8位タイの記録である。
- 第51回の勝率争いでは、藤本渚が51勝9敗で0.850を記録したにもかかわらず、46勝8敗0.852で歴代1位(将棋大賞制定以降)の記録を挙げた藤井聡太にわずかに及ばず2位となった。なお、藤本の0.850は歴代3位(将棋大賞制定以降)の記録である。
(以上、歴代記録の順位は2023年度終了現在)
脚注
注釈
- ^ 将棋大賞制定以降での最高勝率。歴代1位記録は、将棋大賞制定以前の1967年度に中原誠が記録した.855(47勝8敗)である。
- ^ 金井先手で対局開始したが、日付が変わる頃に千日手が成立。先手後手を入れ替えて指し直し局を行い、翌3日までかかった。[1]
- ^ 深浦先手で始まったが、千日手となり広瀬先手で指し直し。
- ^ 森内先手で始まったが、千日手となり藤井先手で指し直し。
- ^ 渡辺先手で始まったが、千日手となり羽生先手で指し直し。
- ^ 羽生先手で始まったが、千日手となり中村先手で指し直し。
- ^ 公式戦最多記録となる420手で持将棋となった(終了図は「入玉#概説」参照)。指し直し局は100手で牧野の勝ち。
- ^ 五番勝負の内の個別の対局は示されていない。五番勝負は渡部の3勝1敗で勝利。
- ^ ただし、将棋大賞設立前の1969年度に、内藤國雄が対局数63、勝利数48、勝率7割6分2厘、連勝数15で4部門の首位となったことがある。藤井六段の4部門独占に“初代”内藤九段「いちばん強くなるのは16歳から」 2018年3月14日0時12分 スポーツ報知
出典
- ^ 能智映『将棋おもしろミニ知識』(誠文堂新光社)P.76
関連項目
外部リンク
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第32回(2005年)までの敢闘賞を廃止し、第33回(2006年)より新設。前年度の活躍が対象。 |
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第32回(2005年)で廃止、第33回(2006年)より新たな敢闘賞を創設。前年度の活躍が対象。 |
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2007年から創設。数字は受賞年。勝者は左側に表記。前年度の対局が対象。 |
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2009年から創設。数字は受賞年。前年度の対局が対象。勝者は左側に表記。 ※2018年の牧野光則 - 中尾敏之は持将棋成立局が受賞対象。指し直し局は牧野が勝利。 |
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表記の前年度の成績・活躍が対象(数字は連勝数)。3月末日時点で連勝継続中の場合は次年度扱い。 |
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第8回から第26回までは女流棋士賞が女流の最高賞。第27回より最優秀女流棋士賞と女流棋士賞を併設。括弧内は受賞年。前年度の活躍が対象。 |
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第45回から優秀女流棋士賞、第44回までは女流棋士賞。第26回までは女流棋士賞が女流の最高賞であったため、第26回以前は第27回創設の最優秀女流棋士賞として扱う。括弧内は受賞年。前年度の活躍が対象。 |
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第37回より創設。括弧内は受賞年。前年度の活躍が対象。 |
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2019年から創設。数字は受賞年。前年度の対局が対象。勝者は左側に表記。 |
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