渡辺 大夢(わたなべ ひろむ、1988年7月29日 - )は、日本将棋連盟所属の将棋棋士。石田和雄九段門下。棋士番号は290。東京都江東区出身(現在も在住)。
棋歴
5歳の時に祖父から教わったのをきっかけとし、将棋を始める[1]。将棋会館の将棋スクールで勝又清和の指導を受け、当初は勝又への弟子入りを希望するが、勝又は弟子を取らない方針だったことからこれを断り、代わりに勝又の師匠である石田を紹介、石田門下となる[2]。
- 2001年9月、6級で新進棋士奨励会に入会。三段まで順調に昇級・昇段を続け、18歳となった直後に三段に昇段し、第40回(平成18年後期)より三段リーグに参加。毎期コンスタントな成績を収めるも、なかなか四段昇段に結びつく好成績が出せなかった。
- 3期目(第42期)では5番手で最終日を迎え、トップの吉田正和、3番手の船江恒平が連敗し、2番手の田中悠一が1勝1敗だったため、渡辺が連勝していれば2位で四段昇段となるチャンスだったが、当期限りで年齢制限に伴う退会が決定していた会員に敗れ、次点をも逃した。
- 7期目(第46期)では6番手で最終日を迎え[注釈 1]、渡辺が連勝し、3番手の佐々木勇気が1勝1敗となり、4番手の森村賢平及び5番手の藤森哲也が連敗したため、2番手の牧野光則の結果次第では渡辺が2位で四段昇段となるところだったが、牧野が連勝したため実現には至らなかった。しかしながら、菅井・牧野に次ぐ3位の成績を収め、1回目の次点を獲得した。
- 12期目(第51期)では4番手で最終日を迎え、再び最終2局を連勝。これで上村亘(トップ)、宮本広志(2番手)、石田直裕(3番手)のうち2人が1敗以上すれば2位以内で四段昇段となるところだったが、結果は上村と石田が無敗で終えたためまたしても実現には至らなかった。しかしながら、宮本が連勝しなかったことにより、渡辺は3位の成績を収め、2回目の次点に伴いフリークラスに編入する権利を獲得。これを行使したことにより、2012年10月1日付けで四段昇段(プロ入り)[注釈 2]。
- 奨励会三段枠で出場した新人王戦及び加古川青流戦では、対局当時既にプロとなっていた棋士に3勝4敗、女流棋士に2勝0敗と好戦した。第43回(2012年)新人王戦2回戦では、絶好調の最中にあった中村太地五段[注釈 3]を撃破した。
- 2015年7月8日、竜王戦6組の昇級者決定戦5回戦で、伊藤博文に勝利し、フリークラスから順位戦C級2組への昇級を決めた[3]。
- 2020年12月25日、王座戦一次予選で門倉啓太五段と対局予定だったが、自身の骨折のために対局が行えず不戦敗となり、12月29日に予定されていた澤田真吾七段との王位戦予選での対局が延期となった[4]。また、2021年1月7日に予定されていた長岡裕也六段との順位戦C級2組の対局も延期となった[5]。
- 2021年6月2日、近親者に新型コロナウイルス感染者との濃厚接触の可能性が生じ、棋聖戦予選の神谷広志八段との対局、およびこの対局の勝者と千葉幸生七段との対局が延期となった[6]。
人物
野球好きで読売ジャイアンツの大ファン。小学4年生のときに父親に東京ドームに連れて行かれてからの熱狂的ファンで、奨励会時代は年に30試合ほど観戦していたほか、棋士になってからも年10試合程度は観戦に出向く。実際プロ野球のシーズン中は成績が落ちる傾向があり、師匠の石田からも「プロ野球がはじまると成績が落ちる傾向にあるのは、困ったものです」と言われてしまっている。四段昇段を決めた際もプロ野球がシーズン中の9月の出来事だったため、兄弟子の勝又からは「まさかシーズン中に上がるとは」と妙な驚き方をされた。過去にはインタビューで「巨人が勝つと興奮して寝られなくなるので、翌日の対局に悪影響が出る」と語ったこともある[2]。
昇段履歴
昇段規定は、将棋の段級 を参照。
- 2001年09月00日 - 6級 = 奨励会入会
- 2004年07月00日 - 初段
- 2005年06月00日 - 二段
- 2006年09月00日 - 三段(第40回奨励会三段リーグ<2006年度後期>より三段リーグ参加)
- 2012年10月01日 - 四段(第51回奨励会三段リーグ成績3位 = 次点2回)[1] = プロ入り(フリークラス編入)
- 2016年10月27日 - 五段(竜王ランキング戦連続2回昇級)[7]
- 2021年10月21日 - 六段(勝数規定 /五段昇段後公式戦120勝、通算)[8]
主な成績
在籍クラス
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始 年度
|
(出典)順位戦
|
(出典)竜王戦
|
期
|
名人
|
A級
|
B級
|
C級
|
0
|
期
|
竜王
|
1組
|
2組
|
3組
|
4組
|
5組
|
6組
|
決勝 T
|
|
1組
|
2組
|
1組
|
2組
|
2012
|
71
|
|
|
|
|
|
|
F編
|
26
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
0-2
|
2013
|
72
|
|
|
|
|
|
|
F編
|
27
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
4-2
|
2014
|
73
|
|
|
|
|
|
|
F編
|
28
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
8-1
|
2015
|
74
|
|
|
|
|
|
|
F編
|
29
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
5-1
|
2016
|
75
|
|
|
|
|
|
C246
|
7-3
|
30
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
5-2
|
2017
|
76
|
|
|
|
|
|
C212
|
5-5
|
31
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
2-2
|
2018
|
77
|
|
|
|
|
|
C221
|
6-4
|
32
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
1-2
|
2019
|
78
|
|
|
|
|
|
C216
|
3-7
|
33
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
3-2
|
2020
|
79
|
|
|
|
|
|
C241
|
4-6
|
34
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
1-2
|
2021
|
80
|
|
|
|
|
|
C237
|
5-5
|
35
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
1-2
|
2022
|
81
|
|
|
|
|
|
C229
|
5-5
|
36
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
2-2
|
2023
|
82
|
|
|
|
|
|
C228
|
5-5
|
37
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
|
2024
|
83
|
|
|
|
|
|
C226
|
|
38
|
|
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。 順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 ) 順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。 竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。
|
年度別成績
公式棋戦成績
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2012
|
8 |
3 |
5 |
0.3750 |
[11]
|
2013
|
21 |
13 |
8 |
0.6190 |
[12]
|
2014
|
26 |
13 |
13 |
0.5000 |
[13]
|
2015
|
36 |
24 |
12 |
0.6666 |
[14]
|
2016
|
40 |
23 |
17 |
0.5750 |
[15]
|
2017
|
45 |
30 |
15 |
0.6666 |
[16]
|
2018
|
42 |
25 |
17 |
0.5952 |
[17]
|
2019
|
41 |
24 |
17 |
0.5853 |
[18]
|
2020
|
44 |
24 |
20 |
0.5454 |
[19]
|
2012-2020 (小計)
|
303 |
179 |
124 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2021
|
32 |
15 |
17 |
0.4687 |
[20]
|
2022
|
33 |
18 |
15 |
0.5454 |
[21]
|
2023
|
27 |
11 |
16 |
0.4074 |
[22]
|
2021-2023 (小計)
|
92 |
44 |
48 |
|
|
通算
|
395 |
223 |
172 |
0.5645 |
[23]
|
2023年度まで
|
脚注
注釈
- ^ 当初トップの菅井竜也は最終日2局を残しプロ入りを内定させていた。
- ^ 2回目の次点獲得に伴うフリークラス編入の権利獲得は、伊奈祐介、佐藤天彦、伊藤真吾、吉田正和に次いで史上5人目であり、権利行使は、伊奈、伊藤、吉田に次いで4人目である。
- ^ 中村は当該2011年度に、勝率0.8511(40勝7敗)を記録し、将棋大賞の勝率1位賞を受賞。勝率8割5分以上は中原誠が1967年に記録した 0.8545(47勝8敗)以来史上2人目で、歴代2位の高率。なお、当該対局で中村が渡辺に勝利していれば、歴代1位となるところだった。
出典
関連項目
外部リンク
日本将棋連盟所属棋士 ( 現役棋士 および 2024年度引退棋士) |
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タイトル 保持者 【九段 6名】 【七段 1名】 |
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九段 【26名】 | |
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八段 【33名】 | |
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七段 【45名】 | |
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六段 【27名】 | |
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五段 【21名】 | |
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四段 【15名】 | |
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2024年度 引退棋士 |
- 九段 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 八段 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 八段 中座真 (2024年6月19日 引退)
- 七段 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
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現役棋士 全174名(2024年11月6日時点、日本将棋連盟所属) / △は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照 |
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竜王 | |
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1組 【 ▼降級 4名 】 | |
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2組
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3組
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4組
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5組
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【在籍 31名(棋士30名・奨励会員1名) / 定員 32名 (欠員1) 】
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6組 【 △昇級 5名 】 |
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次期から出場 |
- 2025年4月昇段者(2-3名)
- 2025年10月昇段者(2-3名)
- (いずれも第39期からの出場)
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★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。 |
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名人 | |
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A級 | |
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B級1組 | |
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B級2組 | |
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C級1組 | |
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C級2組 | |
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フリー クラス
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| 宣言 | |
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棋戦限定 出場 | |
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2024年度 引退者 |
- 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
- 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 中座真 (2024年6月19日 引退)
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次期から の出場者
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フリークラスからの昇級者 | |
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2024年10月1日昇段者 | |
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先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点) B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点2回で降級、C級2組は降級点3回で降級) 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照 |