『ホワッツ・ザ・411? リミックス 』(What's the 411? Remix )は、1993年 12月に発売されたメアリー・J. ブライジ のリミックス ・アルバム[ 1] [ 2] [ 3] 。デビュー・スタジオ・アルバム『ホワッツ・ザ・411? 』(What's the 411? )の再プロデュース的なリミックス版としてヒップホップ・ソウルの手法や方法論を明確に提示したアルバムである[ 1] [ 4] [ 5] 。
エグゼクティブ・プロデューサー のバットネイキッド・ティム・ドォグ (英語版 ) を始め、マーク・スパークス (英語版 ) 、ショーン・パフィ・コムズ 、トニー・ドファット (英語版 ) (バッド・ボーイ・レコード )、テディー・ライリー 、ダディ・O (英語版 ) 、ほか6名がリミックス・プロデューサーを担当[ 3] [ 1] 。フィーチャリング・ラッパーやMCには、クレイグ・マック (英語版 ) 、ノトーリアス・B.I.G. 、ヘヴィ・D 、C.L.スムース (英語版 ) 、キッド・カプリ 、グレッグ・ナイス (英語版 ) らが参加し、アルバム『ホワッツ・ザ・411?』の12曲中、「イントロ・トーク」と「スロウ・ダウン」を除く10曲と[ 注釈 1] 、映画『フーズ・ザ・マン?』(Who's the Man? )のサウンドトラック・ナンバー「ユー・ドント・ハヴ・トゥ・ウォリー 」のリミックス・バージョンが収録されている[ 3] [ 1] 。
トラック・リスト
収録曲解説
トラック1「リーヴ・ア・メッセージ」は、『ホワッツ・ザ・411? 』(What's the 411? )のパターンを踏襲し、メアリーの家の留守電のメッセージで構成されている。パフォーマーやメッセージを入れる人物は、このパターンに欠かせないパフ・ダディ(ディディ)ことショーン・パフィ・コムズ や、リミックス・プロデューサーのバットネイキッド・ティム・ドォグ (英語版 ) のほか、マーティン・ローレンス 、エリック・サーモン (英語版 ) 、K-Ciヘイリー (英語版 ) 、レッドマン 、ノトーリアス・B.I.G. 、ラッセル・シモンズ (英語版 ) などである[ 6] [ 1] 。
トラック2「ユー・ドント・ハヴ・トゥ・ウォリー 」の原曲は、映画『フーズ・ザ・マン?』(Who's the Man? )用のナンバーで、サウンドトラック・アルバム『フーズ・ザ・マン?』(Who's the Man? (soundtrack) )に収録されている[ 1] 。このリミックスのサンプリングには、ロイ・C 作のザ・ハニー・ドリッパーズ (英語版 ) の1973年の曲「インピーチ・ザ・プレジデント」(Impeach The President )や、ルー・ドナルドソン が演奏カバーしたボビー・ジェントリー (英語版 ) 作の1967年の曲「オゥド・トゥ・ビリー・ジョー」(Ode to Billie Joe )が使用され[ 7] 、ジェームス・ブラウン の1974の曲「パパ・ドント・テイク・ノー・メス」(Papa Don't Take No Mess )も原曲同様にサンプリングされている[ 7] [ 1] 。イントロのMCはパフ・ダディ(ショーン・パフィ・コムズ)、メインのラッパーはクレイグ・マック (英語版 ) となっている[ 7] 。
トラック3「マイ・ラヴ 」は、ヒップホップ・ソウル の前身ともいえるニュージャックスウィング の大家テディー・ライリー による7分以上の長いリミックス・アレンジで、ヘヴィ・D がラップを担当している[ 1] [ 8] 。
トラック4「リアル・ラヴ 」は、原曲のサンプリング曲「トップ・ビリン」(Top Billin' )のプロデューサーだったダディ・O (英語版 ) がリミキサーとして参加しており、イントロMC(DJ)にDJ・ロン・G (英語版 ) 、メインのラップはノトーリアス・B.I.G. が担当している[ 1] [ 9] 。新たに加味されたサンプリングは、ベティ・ライト の1971年の曲「クリーン・アップ・ウーマン 」や、ラファイエット・アフロ・ロック・バンド (英語版 ) の1973年の曲「Hihache」(Hihache )、EPMD の1989年の曲「ソー・ワッチャ・セイン」(So Wat Cha Sayin' )などで、ライヴに適したさらにビート感が強調された好ナンバーに仕上がっている[ 1] [ 9] 。
トラック5「ホワッツ・ザ・411?」は、あまりラップが得意でないリミックス・プロデューサーのパフ・ダディがヴォイス・チェンジャーで声を変えながらイントロMCや合いの手、終盤MCも担当している[ 10] 。メアリーと絡むメインのラッパーはノトーリアス・B.I.G.となっていて、バック・ボーカルにK-Ciヘイリーも参加している[ 1] [ 10] 。
トラック6「レミニス 」もパフ・ダディがリミックス・プロデューサーを務め、フィーチャリング・ラッパーはC.L.スムース (英語版 ) となっている[ 1] [ 11] 。サンプリングにもC.L.スムースとピート・ロック (Pete Rock & CL Smooth )による1992年の曲「ゼイ・レミニス・オーヴァー・ユー (T.R.O.Y.)」(They Reminisce Over You (T.R.O.Y.) )が基調となり躍動感のあるナンバーに仕上がっている[ 1] [ 11] 。
トラック7「メアリー&アンドレ」は、アップタウン・レコード (英語版 ) の社長のアンドレ・ハレル (英語版 ) との対話のインタールードで、「君のホームタウンであるニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデン でのライヴはどうでしたか?」というハレルの質問に、「I felt good/I felt good that people at home—it just let me know that people at home love me more than I thought they did/And they made me feel good…」(気持ちよかったです。思っていたよりも地元の人たちが私を愛してくれて、それが心地よかった...)とメアリーが答えている一コマが録音されている[ 12] 。
トラック8「スウィート・シング」は、あまりビート感はなく原曲を活かしたアレンジとなっているが、リミキサーはマーク・スパークス (英語版 ) というヒップホップ系プロデューサーである[ 1] 。
トラック9「ラヴ・ノー・リミット 」は、パフ・ダディのほか、ダディ・Oがリミキサーに参加しており、原曲のジャジーな曲調とは異なる再プロデュース的な楽曲で、キッド・カプリ もイントロMC(DJ)を務め、サンプリングには定番のケニー・バーク (英語版 ) の1982年のヒット曲「ライズン・トゥ・ザ・トップ」(Risin' to the Top ) を基調としたファンクな好ナンバーである[ 1] [ 13] 。ライヴではこのバージョンがよく歌われるが、『ホワッツ・ザ・411? リミックス』の中で最も高い評判と人気があるナンバーである[ 1] 。
トラック10「ユー・リマインド・ミー 」もパフ・ダディのリミックス・プロデュースのナンバーで、「Yo Puff 」という呼びかけのメアリーの新たなセリフや笑い声、原曲と違うコーラスなども加わった再プロデュース的なナンバーに仕上がり、サンプリングにはスクーリー・ディー (英語版 ) の1985年の曲「P.S.K. ホワット・ダズ・イット・ミーン?」(P.S.K. What Does It Mean? )と、パブリック・エナミー の1987年の曲「パブリック・エナミー No.1」(Public Enemy No.1 )が使われ、フィーチャリング・ラッパーはナイス&スムース (英語版 ) のメンバーのグレッグ・ナイス (英語版 ) が参加している[ 14] 。「ユー・リマインド・ミー」もライヴではこのリミックス・バージョンが歌われ、メアリーがダンスを披露しているミュージック・ビデオもある。
トラック11「チェンジズ・アイヴ・ビーン・ゴーイング・スルー」は、テディー・ライリーによるニュージャックスウィング調のリミックスで、特にサンプリングなどはないナンバーである[ 15] 。
トラック12「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ドゥ・エニシング」は、ヴィンセント・ハーバート (英語版 ) によるリミックスで、キッド・カプリのイントロMC(DJ)のバックに、元アルバム『ホワッツ・ザ・411?』のトラック5「イントロ・トーク」が少し使われている。メアリーとK-Ciヘイリーのボーカル部は他のナンバー同様にレコーディングし直してはいるが、バラード調はそのままで、特にサンプリングではないビートが加味されたバージョンとなっている[ 1] [ 16] 。
チャート記録
週間
年間
脚注
注釈
^ 「イントロ・トーク」の一部は、トラック12「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ドゥ・エニシング」の冒頭に少し使用されている。
出典
参考資料
ホワッツ・ザ・411? (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. MCAビクター株式会社 . 1992. UPTD-10681。 - 輸入盤
ホワッツ・ザ・411? リミックス (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. MCAビクター株式会社. 1993. MVCM-433。
マイ・ライフ (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. MCAビクター株式会社. 1994. MVCM-496。
ザ・ツアー (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. MCAビクター株式会社. 1998. MCAD-11848。 - 輸入盤
メアリー (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社 . 1999. MVCA-24168。
バラッズ (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社. 2000. UICC-1009。
ダンス・フォー・ミー (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社. 2002. UICC-9008。 限定盤
ザ・ブレイクスルー (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社. 2005. UICF-1064。
リフレクションズ~ア・レトロスペクティブ (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社. 2006. UICF-1083。
外部リンク
ミュージックビデオ
Impeach The President - YouTube
- トラック2「ユー・ドント・ハヴ・トゥ・ウォリー」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Ode To Billie Joe - YouTube
- トラック2「ユー・ドント・ハヴ・トゥ・ウォリー」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Papa Don't Take No Mess - YouTube
- トラック2「ユー・ドント・ハヴ・トゥ・ウォリー」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
P.S.K. - What Does It Mean? - YouTube
- トラック4「リアル・ラヴ」とトラック10「ユー・リマインド・ミー」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
So Wat Cha Sayin' - YouTube
- トラック4「リアル・ラヴ」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Hihache - YouTube
- トラック4「リアル・ラヴ」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Clean Up Woman - YouTube
- トラック4「リアル・ラヴ」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Superman Lover - YouTube
- トラック5「ホワッツ・ザ・411?」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
They Reminisce Over You (T.R.O.Y.) - YouTube
- トラック6「レミニス」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Risin' to the Top - YouTube
- トラック9「ラヴ・ノー・リミット」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Public Enemy No.1 - YouTube
- トラック10「ユー・リマインド・ミー」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Intro Talk - YouTube
- トラック12「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ドゥ・エニシング」のサンプリング曲
アルバム
スタジオ・アルバム 企画アルバム・ベストアルバム サウンドトラック・アルバム ライブ・アルバム
カテゴリ
シングル
スタジオ・アルバム収録 (■印はシングルカットでない チャートイン曲 ◎印はサントラ提供曲)
アルバム未収録 企画・ベストアルバム収録 (◎印はサントラ提供曲)
サウンドトラック収録
カテゴリ
参加楽曲
サントラ曲・トリビュート曲 ★印はシングルあり ☆印は自作アルバム収録あり(括弧内は映画・ドラマ名)
1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
「キャント・ビー・ライフ」(Can't Be Life) (『ボディカメラ 』)
「イッツ・オール・ラヴ with ジャスティン・ティンバーレイク 、アンダーソン・パーク 、ジョージ・クリントン 」(It's All Love with Justin Timberlake , Anderson .Paak , George Clinton ) (『トロールズ ミュージック★パワー 』)
「ジャスト・シング with ジャスティン・ティンバーレイク、アンダーソン・パーク、キーナン・トンプソン 、ケリー・クラークソン 」(Just Sing with Justin Timberlake, Anderson .Paak, Kenan Thompson , Kelly Clarkson ) (『トロールズ ミュージック★パワー』)
「アトミック・ドッグ ワールドツアー・リミックス withジョージ・クリントン、パーラメント/ファンカデリック (英語版 ) 、アンダーソン・パーク」(Atomic Dog World Tour Remix with George Clinton, Parliament-Funkadelic , Anderson .Paak) (『トロールズ ミュージック★パワー』)
「イッツ・オール・ラヴ (ヒストリー・オブ・ファンク) withアンダーソン・パーク、ジョージ・クリントン」(It's All Love (History of Funk) with Anderson .Paak, George Clinton) (『トロールズ ミュージック★パワー』)
「ジャスト・シング (トロールズ・ワールドツアー) with ジャスティン・ティンバーレイク、アナ・ケンドリック 、アンダーソン・パーク、ケリー・クラークソン、キーナン・トンプソン、ジェームズ・コーデン 、レイチェル・ブルーム (英語版 ) 、アンソニー・ラモス 、Red Velvet 、アイコナ・ポップ 、サム・ロックウェル 」(Just Sing (Trolls World Tour) with Justin Timberlake, Anna Kendrick , Anderson .Paak, Kelly Clarkson, Kenan Thompson, James Corden , Rachel Bloom , Anthony Ramos , Red Velvet , Icona Pop , Sam Rockwell ) (『トロールズ ミュージック★パワー』)
「シー・ホワット・ユーヴ・ダン」(See What You've Done) (『Belly Of The Beast 』)
「ウェン・アイ・キャント・ドゥ・ベター」(When I Can't Do Better) (『The Color Purple 』)
客演(フィーチャリング)曲 ★印はシングルあり ☆印は自作アルバム収録あり(括弧内は共演者と収録アルバム)
カテゴリ
コンサート・ツアー 自伝映画 関連楽曲