『シェア・マイ・ワールド 』(Share My World )は、1997年 4月に発売されたメアリー・J. ブライジ の3枚目のスタジオ・アルバム[ 1] [ 2] [ 3] 。
大成功を収めたデビュー・アルバム『ホワッツ・ザ・411? 』(What's the 411? )と2枚目のスタジオ・アルバム『マイ・ライフ 』(My Life )のエグゼクティブ・プロデューサー 、ショーン・パフィ・コムズ と訣別し、メアリー・J. ブライジ自らが総指揮を担った初めてのアルバムである[ 1] [ 2] [ 3] 。
プロデューサー陣にジャム&ルイス 、ベイビーフェイス といった2大有名どころの他、当時19歳の駆け出しであったロドニー・ジャーキンス 、美メロを特徴とするトラックマスターズ (英語版 ) のメンバー、ジェームズ・エムトゥーメ 、R・ケリー など豪華な面々を迎えた意欲作となり[ 1] [ 2] [ 3] [ 注釈 1] 、内容的にも、「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」(Queen of Hip Hop Soul )という称号だけでない新たな次元へ進もうとする意思や自信が伝わるボーカル主体のバラードも数曲取り揃えられている[ 1] [ 2] [ 3] 。
そのため、ヒップホップ・ソウル 基調の前作や前々作と比較し全体的に落ち着いた内容となったが、R&Bアルバムチャート1位だけでなく、初めて全米アルバムチャートで1位を記録し、UKアルバムチャートでも初のトップ10入りを果たした[ 3] [ 2] 。売上げ的にも前作2枚のスタジオ・アルバム同様、300万枚超えのトリプル・プラチナ・アルバムとなるヒットとなり[ 3] [ 2] [ 5] 。第40回グラミー賞 では最優秀R&Bアルバム賞にノミネートされた[ 2] 。
トラック・リスト
収録曲解説
トラック1「イントロ」は、トラックマスターズ (英語版 ) のメンバーとリッチ・ナイスによるプロデュースとナレーションのイントロで、アルバム発売後に敢行される「シェア・マイ・ワールド・ツアー」(Share My World Tou )のオープニング(ベニー・プーのアナウンス)をコラージュしている[ 6] 。本番ツアーの方はカーン・ブラントリーがプロデュースを担当している[ 6] [ 7] 。
トラック2「アイ・キャン・ラヴ・ユー 」は、アルバムからの2ndシングルとなり、当時19歳のロドニー・ジャーキンス のプロデュースによる曲である[ 1] 。作詞はメアリーのほか、姉のラトーニャ・ブライジ・ダコスタが担当し、ラトーニャはバック・ボーカルにも参加している[ 1] [ 2] [ 8] 。サンプリングは、フィーチャリング ・ラッパー として参加しているリル・キム の1996年の曲「クイーン・ビッチ」(Queen Bitch )が取り入れられている[ 8] [ 注釈 2] 。
トラック3「ラヴ・イズ・オール・ウィ・ニード 」は、ジャム&ルイス のプロデュースによる1stシングルで、リック・ジェームス の1985年の曲「ムーンチャイルド」(Moonchild )をサンプリングし[ 10] [ 1] 、スライ&ザ・ファミリー・ストーン の1969年の曲「シング・ア・シンプル・ソング 」も使用されている[ 10] 。フィーチャリング・ラッパーはナズ が担当しているが[ 1] [ 10] 、トラックマスターズによるリミックス・バージョンの方では、フォクシー・ブラウン (英語版 ) がフィーチャリングされ、ダイアナ・ロス の1975年の曲「マホガニーのテーマ」(Theme from Mahogany (Do You Know Where You're Going To) )がサンプリングされている[ 10] [ 11] 。
トラック4「ラウンド・アンド・ラウンド」は、トラックマスターズのメンバーが楽曲制作に参加しているが、サンプリングにはDJプレミア がプロデュースしたジェイ・Z の1996年の曲「D'Evils」(D'Evils )が使用されている[ 12] [ 1] [ 2] 。
トラック5「シェア・マイ・ワールド (インタルード)」は、トラック1「イントロ」同様にトラックマスターズとリッチ・ナイスによるプロデュースとナレーションのインタルードとなっている[ 13] [ 1] [ 2] 。
トラック6「シェア・マイ・ワールド」は、ロドニー・ジャーキンスによるプロデュースの楽曲であるが、サンプリングにデバージ の1981年の曲「シェア・マイ・ワールド」(Share My World )が使用されている[ 14] 。
トラック7「セヴン・デイズ 」は、マリク・ペンドルトンのプロデュース・楽曲制作によるシングルカット曲で、ジョージ・ベンソン のギターをフィーチャリングしたジャジーなムードが漂う物憂げなボーカルが印象的なバラードとなっている[ 15] [ 16] 。マイナー調のバラードが多い次の4thアルバム『メアリー 』(Mary )の原型ともいえる先駆ナンバーでもある[ 15] 。
トラック8「イッツ・オン」は、R・ケリー によるプロデュースの曲で彼とデュエットし、バック・ボーカルにはスパークル (英語版 ) (本名・ステファニー・エドワーズ)が参加している[ 17] [ 1] [ 2] 。
トラック9「サンキュー・ロード (インタルード)」は、ロドニー・ジャーキンスとケリー・プライス (英語版 ) により制作された主(イエス・キリスト )への感謝を述べるインタルードで、ボーカルワークはメアリーが全て担当している[ 18] [ 1] [ 2] 。
トラック10「ミッシング・ユー 」はシングルカットされたナンバーで、一聴しただけでベイビーフェイス が制作したものだと分かるベイビーフェイス節のバラードとなっている[ 1] 。バック・ボーカルはシャニース (英語版 ) が担当している[ 1] [ 15] [ 19] 。恋心を絞り出すように熱唱するメアリーのボーカルが神がかり的に光る好ナンバーである[ 15] 。
トラック11「エヴリシング 」もシングルカットされ、イギリス のUKシングルチャートでメアリー初のトップテン入りの6位を記録したナンバーである[ 2] 。制作・プロデュースはジャム&ルイス で、サンプリングには、スタイリスティックス の1971年 のヒット・バラード「ユー・アー・エヴリシング 」(You Are Everything )と、坂本九 の1963年 (アメリカ発売年)のヒット曲「上を向いて歩こう 」(Sukiyaki )と、ジェームス・ブラウン の1973年 のナンバー「ペイバック」(The Payback )が組み合わせられ、見事な出来栄えに仕上がっている[ 1] [ 2] [ 15] [ 20] 。
トラック12「キープ・ユア・ヘッド」は、メアリーと姉・ラトーニャ・ブライジ・ダコスタによる楽曲で、プロデュースやアレンジはトラック4と同じく、トラックマスターズとジョージ・ピアソンが担当している[ 21] [ 1] [ 2] 。
トラック13「キャント・ゲット・ユー・オフ・マイ・マインド」は、メアリーとロドニー・ジャーキンス、ジェイソン・フリップス(ジェイダキス )、ショーン・ジェイコブス(シーク・ルーチ (英語版 ) )、デヴィッド・スタイルズ(スタイルズ・P (英語版 ) )による楽曲で、プロデュースやアレンジもロドニー・ジャーキンスが担当している。フィーチャリング・ラッパーはザ・ロックス (英語版 ) (D-ブロック )となっている[ 22] [ 1] [ 2] 。
トラック14「ゲット・トゥ・ノウ・ユー・ベター」は、ブライス・ウィルソン (英語版 ) のプロデュースによる楽曲で、サンプリングには、スティーヴィー・ワンダー の1969年の楽曲「マイ・シェリー・アモール 」が使用されている[ 23] [ 1] [ 2] 。
トラック15「サーチング」は、ロイ・エアーズ の1976年の楽曲「サーチング」を基調・サンプリングした曲で、メアリーと姉のラトーニャ、クセノス・ダコスタ、ロドニー・ジャーキンス、フレッド・ジャーキンス3世 (英語版 ) により制作され、ネタ元のロイ・エアーズもヴィブラフォン 演奏で参加している[ 24] [ 1] [ 2] 。
トラック16「アワ・ラヴ」は、チャールズ・ジャクソン、マーヴィン・ヤンシー (英語版 ) (ザ・インディペンデンツ (英語版 ) )制作のナタリー・コール の1977年のヒット曲のカバーで、ジェームズ・エムトゥーメ (エムトゥーメイ )のプロデュースによる[ 25] [ 1] [ 2] 。
トラック17「ノット・ゴナ・クライ」は、ベイビーフェイスのプロデュースによる楽曲で、アルバムからの1stシングルとなり、映画『ため息つかせて 』のサントラアルバムにも収録されている[ 26] [ 1] [ 2] 。
トラック18「ナチュラル・ウーマン 」は、ジェリー・ゴフィン やキャロル・キング らの作詞・作曲によるアレサ・フランクリン の1967年のヒット曲のカバーである。アメリカの人気ドラマ『ニューヨーク・アンダーカヴァー』(New York Undercover )のオリジナル・サントラから1995年にシングルカットされた[ 1] [ 15] 。イギリスや日本のみのボーナストラックとして収録されている[ 1] [ 2] 。
チャート記録
週間
受賞・ノミネート
1998年米国作曲家作詞家出版者協会 賞 (ASCAP )
R&B/ラップ楽曲賞 (Award Winning R&B/Rap Songs )受賞 - 「ラヴ・イズ・オール・ウイ・ニード」、「アイ・キャン・ラヴ・ユー」
脚注
注釈
出典
参考資料
ホワッツ・ザ・411? リミックス (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. MCAビクター株式会社 . 1993. MVCM-433。
マイ・ライフ (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. MCAビクター株式会社. 1994. MVCM-496。
シェア・マイ・ワールド (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. MCAビクター株式会社. 1997. MVCE-24009。
シェア・マイ・ワールド (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社 . 2015. UICY-77599。 - 限定盤
エヴリシング (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサルビクター . 1997. MVCE-12003。
ザ・ツアー (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. MCAビクター株式会社. 1998. MCAD-11848。 - 輸入盤
メアリー (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社. 1999. MVCA-24168。
バラッズ (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社. 2000. UICC-1009。
リフレクションズ~ア・レトロスペクティブ (ライナーノーツ). メアリー・J. ブライジ. ユニバーサル・ミュージック株式会社. 2006. UICF-1083。
外部リンク
ミュージックビデオ
Queen Bitch - YouTube
- トラック2「アイ・キャン・ラヴ・ユー」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Hey, That's No Way to Say Goodbye - YouTube
- トラック2「アイ・キャン・ラヴ・ユー」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Moonchild - YouTube
- トラック3「ラヴ・イズ・オール・ウィ・ニード」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Sing a Simple Song - YouTube
- トラック3「ラヴ・イズ・オール・ウィ・ニード」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
D’Evils - YouTube
- トラック4「ラウンド・アンド・ラウンド」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Share My World - YouTube
- トラック6「シェア・マイ・ワールド」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
You Are Everything - YouTube
- トラック11「エヴリシング」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Ue o Muite Arukou - YouTube
- トラック11「エヴリシング」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Sukiyaki - YouTube
- トラック11「エヴリシング」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Payback - YouTube
- トラック11「エヴリシング」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
My Cherie Amour - YouTube
- トラック14「ゲット・トゥ・ノウ・ユー・ベター」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Searching - YouTube
- トラック15「サーチング」のサンプリング曲
ミュージックビデオ
Our Love - YouTube
- トラック16「アワ・ラヴ」の原曲
アルバム
スタジオ・アルバム 企画アルバム・ベストアルバム サウンドトラック・アルバム ライブ・アルバム
カテゴリ
シングル
スタジオ・アルバム収録 (■印はシングルカットでない チャートイン曲 ◎印はサントラ提供曲)
アルバム未収録 企画・ベストアルバム収録 (◎印はサントラ提供曲)
サウンドトラック収録
カテゴリ
参加楽曲
サントラ曲・トリビュート曲 ★印はシングルあり ☆印は自作アルバム収録あり(括弧内は映画・ドラマ名)
1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
「キャント・ビー・ライフ」(Can't Be Life) (『ボディカメラ 』)
「イッツ・オール・ラヴ with ジャスティン・ティンバーレイク 、アンダーソン・パーク 、ジョージ・クリントン 」(It's All Love with Justin Timberlake , Anderson .Paak , George Clinton ) (『トロールズ ミュージック★パワー 』)
「ジャスト・シング with ジャスティン・ティンバーレイク、アンダーソン・パーク、キーナン・トンプソン 、ケリー・クラークソン 」(Just Sing with Justin Timberlake, Anderson .Paak, Kenan Thompson , Kelly Clarkson ) (『トロールズ ミュージック★パワー』)
「アトミック・ドッグ ワールドツアー・リミックス withジョージ・クリントン、パーラメント/ファンカデリック (英語版 ) 、アンダーソン・パーク」(Atomic Dog World Tour Remix with George Clinton, Parliament-Funkadelic , Anderson .Paak) (『トロールズ ミュージック★パワー』)
「イッツ・オール・ラヴ (ヒストリー・オブ・ファンク) withアンダーソン・パーク、ジョージ・クリントン」(It's All Love (History of Funk) with Anderson .Paak, George Clinton) (『トロールズ ミュージック★パワー』)
「ジャスト・シング (トロールズ・ワールドツアー) with ジャスティン・ティンバーレイク、アナ・ケンドリック 、アンダーソン・パーク、ケリー・クラークソン、キーナン・トンプソン、ジェームズ・コーデン 、レイチェル・ブルーム (英語版 ) 、アンソニー・ラモス 、Red Velvet 、アイコナ・ポップ 、サム・ロックウェル 」(Just Sing (Trolls World Tour) with Justin Timberlake, Anna Kendrick , Anderson .Paak, Kelly Clarkson, Kenan Thompson, James Corden , Rachel Bloom , Anthony Ramos , Red Velvet , Icona Pop , Sam Rockwell ) (『トロールズ ミュージック★パワー』)
「シー・ホワット・ユーヴ・ダン」(See What You've Done) (『Belly Of The Beast 』)
「ウェン・アイ・キャント・ドゥ・ベター」(When I Can't Do Better) (『The Color Purple 』)
客演(フィーチャリング)曲 ★印はシングルあり ☆印は自作アルバム収録あり(括弧内は共演者と収録アルバム)
カテゴリ
コンサート・ツアー 自伝映画 関連楽曲