ジョージ・ベンソン (George Benson 、1943年 3月22日 - )は、アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 ピッツバーグ 出身のジャズ ギタリスト 、歌手 。
バイオグラフィ
幼少の頃よりプロの道を目指す。1963年、ジャック・マクダフ (ブラザー・ジャック・マクダフ)のバンドに加入[ 1] 。初期のベンソンは、泥臭いソウル・ジャズを演奏していた。1964年、マクダフのサポートを得て、『ザ・ニュー・ボス・ギター・オブ・ジョージ・ベンソン 』でバンド・リーダーとしてもデビューする。1968年には、マイルス・デイヴィス の初のエレクトリック・ジャズ・アルバム『マイルス・イン・ザ・スカイ 』のレコーディングに参加。
ジャズ・ギターの演奏スタイルは、ウェス・モンゴメリー やジョー・パス らの影響がうかがえる。初期のソウル・ジャズから、1970年代後半にはフュージョン系に転じた。1976年にワーナー・ブラザース・レコード に移籍、この年に発表したアルバム『ブリージン 』はプロデューサーにトミー・リピューマ を迎え、彼の代表作となるほどにヒットした。このアルバムに収録された「マスカレード (This Masquerade)」で、ボーカルとスキャットを披露し、以後ボーカル曲も積極的に取り入れ、ブラック・コンテンポラリー の旗手の一人としても認知されるに至った。1980年の『ギヴ・ミー・ザ・ナイト』ではクインシー・ジョーンズ を制作に迎えた。さらにアレサ・フランクリン とのデュエット曲「Love All The Hurt Away」(1981年のアルバム『想い出の旅路 』に収録)や、シングル「ターン・ユア・ラブ (Turn Your Love Around)」(1982年)をヒットさせた。やがてベンソンはカシーフ と組んで、ダンサブルなブラコンのシングルも発表するようになる。アルバム20/20 (1984年)等、歌手として特化したアルバムも出している。
1984年には、シングル「Nothing's Gonna Change My Love for You」(変わらぬ想い )を発表した。
1994年に「ターン・ユア・ラブ (Turn Your Love Around)」をサンプリングしたEAST END×YURI の『DA.YO.NE 』が日本で流行したが、作曲者のビル・チャンプリン らの許可を得ずに使用していた。彼らは使用料の支払いで和解している。
1996年よりGRPレコード に所属。2006年にはコンコード・レコード のモンスター・ミュージックに移り、アル・ジャロウ との共作『ギヴィン・イット・アップ』を発表。2009年には音楽活動をほぼ停止していた、スモーキー・ロビンソン やビル・ウィザース らを作曲陣に迎え、『ソングス・アンド・ストーリーズ』を発表。バック・ミュージシャンも活動を停止したTOTO の主要メンバー等豪華なメンバーを取り揃えている。
プレイスタイル
ギター
いわゆる逆アングル による正確無比かつ高速のフルピッキング 、ギターによるビバップ ・スタイルの完成形とも言われる流麗なフレージング、ウェス・モンゴメリー の系譜を受け継ぐオクターヴ奏法 とその発展形であるオクターヴ+五度奏法、洗練されたブルース フレーズなどが特徴である。ジャンゴ・ラインハルト や、ウェス・モンゴメリーの影響が見られる。
ボーカル
意味を持つ歌詞をともわない歌唱であるスキャット を得意としている。ギターソロとスキャットをシンクロさせている。ノーマン・ブラウン をはじめ若手ギタリストに、そのスタイルのフォロワーが存在する。ベーシストでは、ネイザン・イースト 、リチャード・ボナ にベンソン流儀のソロ&スキャットの影響がうかがえる。
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
『ザ・ニュー・ボス・ギター・オブ・ジョージ・ベンソン 』 - The New Boss Guitar of George Benson (1964年、Prestige) ※with the Brother Jack McDuff Quartet
『イッツ・アップタウン』 - It's Uptown (1966年、Columbia) ※The George Benson Quartet名義
『ザ・ジョージ・ベンソン・クックブック』 - The George Benson Cookbook (1967年、Columbia) ※The George Benson Quartet名義
『ジブレット・グレイヴィ』 - Giblet Gravy (1968年、Verve)
『シェイプ・オブ・シングス・トゥ・カム』 - Shape of Things to Come (1968年、A&M)
『グッディーズ』 - Goodies (1968年、Verve)
『テル・イット・ライク・イット・イズ』 - Tell It Like It Is (1969年、A&M)
『アビイ・ロード 』 - The Other Side of Abbey Road (1970年、A&M)
『ビヨンド・ザ・ブルー・ホライゾン』 - Beyond the Blue Horizon (1971年、CTI) ※旧邦題『青い地平線』
『ホワイト・ラビット』 - White Rabbit (1972年、CTI)
『ボディ・トーク』 - Body Talk (1973年、CTI)
『バッド・ベンソン』 - Bad Benson (1974年、CTI) ※1976年に『Take Five』として再発
『グッド・キング・バッド』 - Good King Bad (1976年、CTI) ※1982年に『Cast Your Fate to the Wind』として再発
『ベンソン&ファレル』 - Benson & Farrell (1976年、CTI) ※with ジョー・ファレル
『ブリージン 』 - Breezin' (1976年、Warner Bros.)
『イン・フライト』 - In Flight (1977年、Warner Bros.)
『インサイド・ユア・ラヴ』 - Livin' Inside Your Love (1979年、Warner Bros.)
『ギヴ・ミー・ザ・ナイト』 - Give Me the Night (1980年、Warner Bros.)
『ユア・アイズ』 - In Your Eyes (1983年、Warner Bros.)
『パシフィック・ファイアー』 - Pacific Fire (1983年、CTI) ※1975年録音
『アイ・ガット・ア・ウーマン』 - I Got a Woman and Some Blues (1984年、A&M) ※1969年録音
『20 / 20 (トゥエニイ・トゥエニイ)』 - 20/20 (1984年、Warner Bros.)
『ホワイル・ザ・シティ・スリープス…』 - While the City Sleeps... (1986年、Warner Bros.)
『コラボレーション』 - Collaboration (1987年、Warner Bros.) ※with アール・クルー
『トゥワイス・ザ・ラヴ』 - Twice the Love (1988年、Warner Bros.)
『テンダリー 』 - Tenderly (1989年、Warner Bros.)
『ビッグ・ボス・バンド』 - Big Boss Band (1990年、Warner Bros.) ※with カウント・ベイシー・オーケストラ
『コーリング・ユー』 - Love Remembers (1993年、Warner Bros.)
『ザッツ・ライト』 - That's Right (1996年、GRP)
『スタンディング・トゥゲザー』 - Standing Together (1998年、GRP)
『アブソルート・ベンソン』 - Absolute Benson (2000年、GRP)
『イリプレイサブル』 - Irreplaceable (2003年、GRP)
『ギヴィン・イット・アップ』 - Givin' It Up (2006年、Concord) ※with アル・ジャロウ
『ソングス・アンド・ストーリーズ』 - Songs and Stories (2009年、Concord)
『ギター・マン』 - Guitar Man (2011年、Concord)
『キング・コールを歌う』 - Inspiration: A Tribute to Nat King Cole (2013年、Concord)
Walking to New Orleans (2019年、Provogue)
ライブ・アルバム
『サマータイム2001』 - In Concert-Carnegie Hall (1975年、CTI)
『メローなロスの週末 (ライヴ)』 - Weekend in L.A. (1978年、Warner Bros.) ※1977年録音
『ジャズ・オン・ナ・サンデイ・アフタヌーン VOL.1』 - Jazz on a Sunday Afternoon Vol. I (1981年、Accord) ※1973年録音
『ジャズ・オン・ナ・サンデイ・アフタヌーン VOL.2』 - Jazz on a Sunday Afternoon Vol. II (1981年、Accord) ※1973年録音
Jazz on a Sunday Afternoon Vol. III (1982年、Accord) ※1973年録音
'Round Midnight (1989年、Jazz Door) ※with マッコイ・タイナー
Best of George Benson Live (2005年、GRP) ※2000年録音
Live from Montreux (2007年、IMC) ※1986年録音
Weekend In London (2020年、Provogue) ※2019年録音
功績
タイトル
年度
部門
"This Masquerade"
1976
Record of the Year
"Breezin'"
1976
Best Pop Instrumental Performance
"Theme from Good King Bad"
1976
Best Rhythm & Blues Instrumental Performance
"On Broadway"
1978
Best R&B Vocal Performance, Male
"Give Me the Night"
1980
Best R&B Vocal Performance, Male
"Off Broadway"
1980
Best R&B Instrumental Performance
"Moody's Mood"
1980
Best Jazz Vocal Performance
"Being with You"
1983
Best Pop Instrumental Performance
日本公演
関連文献
『ジョージ・ベンソン自伝』 アラン・ゴールドシャー共著(原書は2014年に出版)
野口結加訳、論創社 、2024年。ISBN 978-4846023478
関連項目
脚注
外部リンク