2018年オーストリアグランプリ
2018年オーストリアグランプリ (2018 Austrian Grand Prix) は、2018年のF1世界選手権第9戦として、2018年7月1日にレッドブル・リンクで開催された。 正式名称は「FORMULA 1 EYETIME GROSSER PREIS VON ÖSTERREICH 2018」[1]。 レース前本レースでピレリが供給するドライタイヤのコンパウンドは、ソフト、スーパーソフト、ウルトラソフトの3種類[2]。 オーバーテイク機会を増やすため、DRSゾーンは従来の2ヶ所(ターン3からターン4の間とホームストレート)に加え、ターン1とターン3の間に設定される[3]。 ルノーは予選時にエキストラパワーを発生する「パーティモード」を供給する全チーム(ルノー、レッドブル、マクラーレン)に導入し、前戦フランスGPの決勝終盤にパワーロスを訴えたカルロス・サインツJr.はターボ(TC)、MGU-K、バッテリー(エナジーストア、ES)を交換、ストフェル・バンドーンもMGU-KとESを交換した[4]。 メルセデスは前戦フランスGPのパワーユニット(PU)に続き、サイドポッド、バージボード、ミラー、リアウイングなどのシャシーに関してのアップグレードを行った[5][4]。 エントリーリストフォース・インディアがF1参戦200戦目を迎える[6]。 エントリーリスト
フリー走行
予選バルテリ・ボッタスが今季初のポールポジションを獲得し、メルセデスは2戦連続でフロントローを独占した。なお、ボッタスの予選タイムはコースレコード。 経過気温24度、路面温度34度、ドライコンディションで行われた[13]。
結果
決勝マックス・フェルスタッペンが今季初勝利を挙げ、レッドブルにホームレース初勝利をもたらした。フェラーリのキミ・ライコネンが2位、セバスチャン・ベッテルが3位表彰台を獲得。 一方、メルセデス勢はバーチャルセーフティカー導入の際にルイス・ハミルトンのピットインタイミング判断を誤り、フェルスタッペンに首位の座を明け渡したうえ、マシントラブルにより2016年スペインGP以来2年ぶりのダブルリタイアを喫した(ハミルトンは同年のマレーシアGP以来34戦ぶりのノーポイント)。 これによりベッテルが1点差でドライバーズランキング首位の座を奪い返し、フェラーリは10点差でメルセデスを抜いてコンストラクターズランキング首位に立った。 なお、ライコネンに対して「(ハミルトンと激しいドライバーズタイトル争いを展開している)ベッテルへ前に譲るようにチームオーダーが出されるのでは?」と言う観測も出たが、元FOA会長のバーニー・エクレストンは「レース終了直前にベッテルに抜かせることは簡単だっただろうが、フェラーリはそうさせなかった。彼らはスポーツの公平性だけでなく、キミの士気も保ったのだ」と称賛した[24]。 展開朝から好天に恵まれ、気温22度、路面温度48度、ドライコンディションで行われた[25]。 ホンダは予選19位に終わったブレンドン・ハートレイのパワーユニット(PU)を交換[23]、フェルナンド・アロンソはパルクフェルメルールを破りフロントウイング、ピトー管、MGU-Kを交換したため、ピットレーンからのスタートとなった[21]。 ライコネンは好スタートを切り、メルセデス2台に並んでターン1へ向かったがハミルトンがトップに立ち、ポールポジションのバルテリ・ボッタスはフェルスタッペンにも抜かれ、一旦4位まで下がる。ライコネンはターン3でハミルトンに再び仕掛けるがオーバーランしてフェルスタッペンに抜かれ、ボッタスはフェルスタッペンとライコネンをごぼう抜きして、順位は変わったものの再びメルセデスのワンツー体制が出来上がる。後方ではストフェル・バンドーンとピエール・ガスリーがターン3で接触し、バンドーンはマシンにダメージを受けてピットインを強いられる[25][26]。 11周目にニコ・ヒュルケンベルグのPUがブローし、マシンから大きく白煙が上がりリタイア。14周目にはボッタスがギアボックスのトラブルを訴えターン4でマシンを止めた。これにより、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入され、レッドブル勢とフェラーリ勢がタイヤ交換を行いタイムロスを減らした一方、ハミルトンはピットインしなかった(メルセデスチーム代表のトト・ウォルフは、チーム側がVSCが解除されるタイミングの判断を見誤ったと説明[27]。VSC導入の発端となったボッタスのトラブルへの対処と同時に判断を行わなければならない難しい状況にあったと語った[28])。20周目にリカルドがライコネンを抜いて3位に上がる。ハミルトンは25周目にピットインして、ライコネンとベッテルのフェラーリ勢に挟まれる4位まで順位を落とした。これでレッドブルのワンツー体制に変わる。しかし、リカルドの左リアタイヤにブリスターが発生したためペースが上がらず、38周目にライコネンがリカルドを抜き返した。リカルドは直後に2回目のピットインを行った。ハミルトンのタイヤにも同様の事象が起きてペースを落とし、39周目にベッテルがハミルトンを抜いていく。ハミルトンはこのまま走り切る考えだったがタイヤが限界となり、52周目に2度目のピットインを行った。その直後、リカルドのギアボックスにトラブルが発生し、この日29歳の誕生日を迎えたリカルドはリタイアに終わる。ハートレイもドライブシャフト異常を訴えてリタイアした。そして63周目にはハミルトンが燃圧低下のトラブルでスローダウン。その後ストップし、2016年日本GPから続いていた入賞記録は33で途絶えた。 レース終盤にライコネンがフェルスタッペンに迫り、最終周にはファステストラップを記録するも1.5秒及ばず、フェルスタッペンはナショナルカラーのオレンジで埋まる大観衆の歓声を受けて優勝した。ベッテルは予選でのペナルティにもかかわらず3位に入りフェラーリはダブル表彰台となった[25][26]。予選から速さを見せていたロマン・グロージャンが4位に入り、ようやく今季初ポイントを獲得した。チームメイトのケビン・マグヌッセンが5位に続き、今季初のダブル入賞となったハースはコンストラクターズランキング5位に浮上した。フォース・インディアは終盤のチームメイト同士のバトルを制したエステバン・オコンが6位、セルジオ・ペレスが7位でダブル入賞。ピットレーンスタートのアロンソは8位で4戦ぶりの入賞、ザウバーはシャルル・ルクレールが9位で3戦連続入賞し、マーカス・エリクソンも10位に続いてダブル入賞となった。ガスリーはザウバー勢に及ばず11位で入賞を逃した[25][26]。 結果
第9戦終了時点のランキング
脚注
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