養老鉄道
養老鉄道株式会社(ようろうてつどう、英: Yoro Railway Co., Ltd.)は、近鉄グループホールディングス傘下の鉄道事業会社、近畿日本鉄道(近鉄)の子会社で岐阜県西部・三重県北部を走る養老線を運営する鉄道会社である。2007年(平成19年)10月1日付けで近鉄より養老線の運営を引き継いでいる。当初は近鉄グループホールディングスの連結会社であったが、事業形態の変更に伴い、2018年(平成30年)度より非連結会社に変更された[3]。 なお、立川勇次郎が設立し1913年(大正2年)から1919年(大正8年)にかけて当路線を開業させ、1922年(大正11年)まで運営していた養老鉄道とは別の企業である。 社紋は親会社近畿日本鉄道の社紋の中央に「Y」の文字を入れたものになっている。 沿革→養老鉄道移管前からの養老線の歴史については「養老鉄道養老線 § 歴史」を参照
鉄道事業路線→列車の運行形態など詳細については「養老鉄道養老線」を参照
2018年1月1日現在[25] 養老線は揖斐川に沿うように走っており、沿線にサイクリングロードが多数存在することもあり、桑名駅 - 大垣駅間および大垣駅 - 揖斐駅間において、土休日は終日、平日は昼間の指定列車でサイクルトレインを実施し、お勧めのサイクリングコースの提供も行っている。当該列車の前面には「サイクルトレイン」のマークが入っている。 列車は全列車ワンマン運転だが、一部の区間には車掌が乗務し、検札と車内での乗車券の発売を行っている。 2009年3月より毎週木曜日と土曜日の昼に車内で薬膳料理を提供する「薬膳列車」を運行している。料金は1日フリーきっぷ付で5,000円[26]。 車両→「養老鉄道養老線 § 使用車両」を参照
2018年1月以降はすべて養老線管理機構の所有で、養老鉄道に無償で貸与している[7]。2014年4月から2017年12月までは養老鉄道の所有であった[27]。2014年3月までは近鉄の所有で、養老鉄道はそれを借り受けて運行していた[27]。日常の検修業務は近鉄時代と同じく西大垣にて行われ、大規模な検修も同じく近鉄の塩浜検修車庫にて行われる。検修業務は養老鉄道では行わず、近鉄により実施される。車両の塗色は、2008年7月6日の営業運転を最後に全車両が近鉄時代のマルーンの旧色1色塗装に戻されたが、2009年9月に600系1編成 (606F) がかつて走行していた近鉄南大阪線時代の「ラビットカー」と同じオレンジバーミリオン地に白帯を巻いた塗装に変更されている。 電気検測は引き続き近鉄所有の「はかるくん」(モワ24系)で行われている。公有民営方式に移行した2018年以降も同車で検測が行われている[28]。 2018年度からは、東京急行電鉄(東急)池上線・東急多摩川線で使用されていた7700系電車15両を東急テクノシステムから購入し、2018年度に3両編成2本、2019年度に3両編成1本と2両編成3本の計6編成15両を導入して、老朽化した既存車両31両の約半数の15両を置き換えた[29][30]。今回導入された15両は2018年の9月から12月にかけて陸送され、このうち2018年度導入の3両編成2本の計6両は近鉄の塩浜検修車庫に直接輸送され、2019年度導入の3両編成1本と2両編成3本の計9両は同年度に改造を行うため、西大垣駅に留置されていた。塩浜検修車庫に陸送された3両編成2本の計6両は、ここで機器類の養老線仕様への変更、先頭車にワンマン運転時に使用される運賃箱とデジタル表示の運賃表示板の設置、編成内の1両に車椅子スペースの設置、一部の3両編成の中間車に転換式クロスシート8席の設置などの各種の改造が行われた。車体の外観デザインは、養老鉄道オリジナルの「緑帯」と「緑歌舞伎」、東急電鉄オリジナルの「赤帯」と「赤歌舞伎」の計4種類としている[31]。2019年4月27日より営業運転を開始した[13][14]。 運賃→各種乗車券については「養老鉄道養老線#運賃・切符」も参照
大人旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ) - 2019年10月1日改定[32]
スルッとKANSAIはもとより、TOICAやmanacaなどのICカードで乗車・精算はできない。2024年11月22日より一部駅に順次導入される新型自動券売機にて、電子マネー・クレジットカード・QRコード決済での乗車券(定期乗車券除く)の購入は可能である。 企画乗車券・グッズ
駅務機器・乗車券の様式近鉄からの分社化に伴い、各駅の駅名板や運賃表・有人駅の自動券売機はすべて新しいものに交換され、普通乗車券は裏が白色の非磁気化券に代わった。乗車券の地紋には養老鉄道の新社紋が描かれている(近鉄時代はスルッとKANSAIが使えないにもかかわらず、地紋はスルッとKANSAIのマスコット「スルットちゃん」だった)。 経営状態養老鉄道は初年度、前年近鉄時代にあった約14億の赤字を約9億円にまで圧縮した[40]。 自治体の支援→詳細は「養老鉄道養老線 § 運行継続問題」を参照
養老鉄道は、大垣市、桑名市、海津市、養老町、神戸町、揖斐川町、池田町の各自治体から支援を受けている[41]。
例えば平成26年度は3億800万円(赤字額に対する補助3億円と新型ATS車上装置にかかる協調補助800万円)[42] 自治体が支援する理由としては、地価が下がる恐れもあり地域の発展のため(養老町企画政策課)、交通弱者の足として確保する必要があった(大垣市生活安全課)などが挙げられる[40]。ただし、収支が悪化すれば、支援を見直すことも視野に入れている[40]。 また、岐阜県は2013年度から、養老鉄道が近鉄に支払っている施設維持や修繕経費に相当する額に対して安全対策事業費として補助する方針を明らかにした。2013年度は約5000万円を補助する見込み。 近鉄の支援近畿日本鉄道は、養老鉄道の赤字額から、自治体等の負担額を差し引いた残額を負担する[41]。 公有民営方式(上下分離方式)への移行養老鉄道ではその後も年間9億円規模の赤字が続いていた[43]。そこで、以下の方針で2017年(平成29年)中に公有民営方式(上下分離方式)へ移行する計画となった[43][44]。
2016年10月31日に、近鉄から養老鉄道の鉄道施設や車両を引き継いで保有・管理する新法人として「一般社団法人養老線管理機構」を2017年2月に設立するなどの基本方針が沿線自治体で合意された[5]。近鉄が拠出する10億円を積み立てる「養老線支援基金」を、2017年10月 - 12月に大垣市が設置する方針についても合意した[5]。 この方針に沿って策定され、2017年11月15日に認定申請されていた養老鉄道養老線の地域公共交通活性化再生法に基づく鉄道事業再構築実施計画が同年12月21日に認定されることになり[8][45]、2018年1月1日から養老線管理機構を第三種鉄道事業者、養老鉄道を第二種鉄道事業者とする新事業形態へ移行することになった[9][7]。 2019年3月28日の朝日新聞の記事によると、2017年度は1,700万円の黒字を計上している。 地域の支援養老鉄道を支援する団体はいくつかある[46]。
脚注
関連項目
外部リンク
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