第18代総選挙 (だい18だいそうせんきょ)は、大韓民国国会 の議員 を選出するため2008年 4月9日 に行なわれた韓国 の選挙で、1948年5月の初代総選挙 から数えて18回目となる。韓国では選挙回数を「第○回」ではなく「第○代」と数え、名称も「総選挙」(총선거 )ではなく「総選」(총선 )と表記するのが一般的である。
概要
前年12月の大統領選挙で当選した李明博が、第17代大統領に就任(2月25日)した直後[ 1] に行われた総選挙である。選挙の結果、10年ぶりに政権与党に復帰したハンナラ党が過半数を上回る議席を確保する一方で、旧与党系の大統合民主新党 (以下、民主新党)と民主党 (以下、旧・民主党)が統合して創党された「統合民主党」(以下、民主党)は現有議席を下回る結果となった。また、大統領選挙に出馬して健闘した李会昌が結成した自由先進党(以下、先進党)やハンナラ党の公認を外された朴槿恵派の議員が結成した親朴連帯は善戦健闘、左派政党の民主労働党(以下、民労党)は現有議席を下回る厳しい結果となった。
基礎データ
大統領 :李明博 (ハンナラ党 )、前年の大統領選挙 で与党系の鄭東泳 候補(民主新党)を大差で破って当選した。2月 に第17代大韓民国大統領に就任。
改選議席数 :299議席
選挙制度 :小選挙区比例代表並立制(記号式 2票制)
告示 :2008年 3月27日 (候補登録は3月26日と27日の二日間)
有権者数 :37,796,035名(2006年の地方選挙から有権者の年齢が満20歳以上から満19歳以上に引き下げ[ 2] )
候補者数 :1119人(小選挙区)/15政党・188人(比例代表)
各政党別候補者数
党派
地域区
比例区
統合民主党
197
31
ハンナラ党
245
49
自由先進党
94
20
民主労働党
103
10
創造韓国党
12
12
親朴連帯
53
14
進歩新党
34
11
無所属
127
―
出典:韓国中央選挙管理委員会の「第18代総選挙総覧」の248〜249頁“政党別候補者及び当選人数”より。なお諸派政党の候補者に関しては除外した。
選挙結果
投票日 :2008年4月9日
投票率 :46.0%(投票した有権者数17,415,666名/総有権者数37,796,035名)[ 3] ・・・歴代総選挙で過去最低[ 4]
地域別投票率一覧
道・市
投票率
投票者数
全有権者数
全国平均
46.1
17,415,666
37,796,035
ソウル特別市
45.8
3,701,619
8,078,355
仁川広域市
42.5
858,234
2,018,699
釜山広域市
42.9
1,218,303
2,841,445
蔚山広域市
45.8
371,853
812,693
大邱広域市
45.1
857,041
1,899,679
大田広域市
45.3
498,876
1,101,299
光州広域市
42.4
438,379
1,034,393
京畿道
43.7
3,626,666
8,290,855
江原道
51.5
600,692
1,166,766
忠清北道
49.3
567,437
1,151,531
忠清南道
48.2
744,018
1,542,618
全羅北道
47.5
676,727
1,424,401
全羅南道
50.0
748,744
1,496,888
慶尚北道
53.1
1,113,646
2,097,907
慶尚南道
48.3
1,171,689
2,424,602
済州特別自治道
53.5
221,444
413,904
出典:中央選挙管理委員会 第18代国会議員選挙管理システム。なお投票率が50%を越えた地域は太字で強調した。
有権者の興味を惹くほどの与野党間の争点がなかった事や、主要政党の公認決定が内紛などで遅れ、各党間の政策が明確に示される環境が整わないなどの理由から、選挙[ 5] への関心は低く、選挙管理委員会による博物館 などの公共施設利用料が無料になる確認証配布[ 6] などの施策も功を奏せず、前回総選挙(17代)の投票率60.6%に比べ、マイナス14.5%も低下し、これまでで最低だった2000年総選挙(第16代)の投票率57.2%をも下回る過去最低の投票率を記録した。
政党別選挙結果
総選挙地域区党派別議席数 (245名)
131
66
14
6
2
1
25
ハンナラ党
統合民主党
先進
親朴
民労
創造
無所属
総選挙比例代表党派別議席数 (54名)
22
15
4
8
3
2
ハンナラ党
統合民主党
先進
親朴
民労
創造
凡例:先進=自由先進党、親朴=親朴連帯、民労=民主労働党、創造=創造韓国党
第18代総選挙、党派別得票と議席
党派
地域区
比例代表
合計
得票数
%
議席
得票数
%
議席
議席
%
与党 여당
ハンナラ党 한나라당
7,478,776
43.45
131
6,421,727
37.48
22
153
51.2
野党 야당
統合民主党 통합민주당
4,977,508
28.92
66
4,313,645
25.17
15
81
27.1
自由先進党 자유선진당
984,751
5.72
14
1,173,463
6.84
4
18
6.0
親朴連帯 친박연대
637,351
3.70
6
2,258,750
13.18
8
14
4.7
民主労働党 민주노동당
583,665
3.39
2
973,445
5.68
3
5
1.7
創造韓国党 창조한국당
72,803
0.42
1
651,993
3.80
2
3
1.0
進歩新党 진보신당
229,500
1.33
0
504,466
2.94
0
0
0.0
諸派・ 無所属
その他の政党 기타 정당
341,010
1.98
0
834,048
4.83
0
0
0.0
無所属 무소속
1,907,326
11.08
25
―
―
―
25
8.3
合計
17,212,690
245
17,131,537
54
299
100.0
出典:韓国中央選挙管理委員会 18代国会議員選挙管理システム 」。韓国中央選挙管理委員会選挙情報センター 『제18대 국회의원선거총람 :2008.4.9시행 』(第18代国会議員選挙総覧:2008.4.9施行)の“시도별・정당별・득표수 (지역구 )”(市道別・政党別・得票数(地域区)、286〜289頁)[ 7] 。
ハンナラ辛勝、民主惨敗
当初は、180議席程度の圧勝もありえると考えられていたハンナラ党(選挙前112議席)であるが、保守政党 の先進党、親朴連帯や親朴系無所属候補の候補と接戦になったことで、忠清道 のみならず党の地盤の嶺南(慶尚道 )でも支持が伸び悩み、過半数(150議席)を3議席だけ上回る153議席で辛勝に近い結果となった[ 8] [ 9] 。
選挙前は院内第一党で、改憲阻止線である100議席を目標としていた主体の民主党(136議席)は、党の地盤である湖南(光州広域市 ・全羅道 )や忠清北道 及び済州特別自治道 では第一党になったが、首都ソウルを含む首都圏で議席を大幅に減らした結果、81議席に留まり惨敗した[ 10] [ 11] 。
李会昌 総裁が率いる先進党(9議席)は李会昌の地盤である忠清道、特に大田広域市と忠清南道で圧倒的強さを発揮し、第三党に躍進したが、院内交渉団体を形成するために必要な20議席には届かなかった。また、忠清道以外の地域区では当選者を出せず、地域政党としての限界も示される形となった[ 12] 。
ハンナラ党の公認を得られなかった朴槿恵 元ハンナラ党代表支持グループが結成した親朴連帯(3議席)は、朴氏の地元である大邱市や慶尚北道で支持を伸ばし、善戦した[ 13] 。
前回の総選挙で10議席を獲得し、初めて院内進出に成功した左翼 政党の民労党(6議席)は、対北朝鮮 政策を巡って党が分裂した影響もあって比例代表議席を半分以下に減らし、5議席に留まり前回選挙の半分という厳しい結果となった[ 14] 。一方、民労党から離党したグループが結成した進歩新党 は地域区で立候補した共同代表の魯会燦 と沈相奵 が僅差で落選、比例代表でも議席阻止線 の得票率3%にわずかに届かず議席を獲得することが出来なかった[ 15] 。
前年の大統領選挙 で敗北した大統領候補の文国現 が代表を務める創造韓国党(1議席)は文代表がソウルで当選、比例代表でも2議席を獲得して健闘した。
無所属(25議席)は、ハンナラ党や民主党の公認を得ることが出来なかった候補者が多数出馬し、第六共和国 時代の総選挙では過去最高の25議席となった。
保守勢力の拡大
進歩VS保守、第17代と第18代総選における勢力比変化
勢力
第17代総選挙
第18代総選挙
議席数(党派)
%
議席数(党派)
%
中道進歩 ・進歩
171 (ウリ152+民労10+民主9)
57.20
89(民主81+民労5+創造韓国3)
29.77
中道保守 ・保守
126(ハンナラ121+自民連4+国民統合1)
42.14
185 (ハンナラ153+先進18+親朴14)
61.87
注:無所属については除外して計算
前回の総選挙 では、ウリ党と民労党及び新千年民主党が過半数を占め、中道進歩主義・進歩主義勢力が国会を制する結果となった。しかし今回の選挙では、中道保守のハンナラ党が過半数を獲得、親朴連帯や保守政党である先進党も躍進し、国会の6割以上を中道保守・保守勢力が占める結果となり、民主党や民労党及び創造韓国党といった中道進歩主義・進歩主義勢力は三分の一にも届かない厳しい結果となった。また新聞社が行った国会議員の理念性向調査でも、前回選挙で選ばれた議員に比べ相対的に保守化傾向が見られた[ 16] 。
第18代国会議員當選者主要政党別理念性向
党派
進歩
中道 進歩
中道 保守
保守
不明 /無応答
ハンナラ党(118名)
0
13(11.0%)
89(75.4%)
12(10.2%)
4(3.4%)
民主党(60名)
1(1.7%)
49(81.7%)
7(11.6%)
1(1.7%)
2(3.3%)
先進党(9名)
0
0
5(55.6%)
2(22.2%)
2(22.2%)
第18代国会議員当選者地域別理念性向
地域
進歩
中道 進歩
中道 保守
保守
不明 ・無回答
首都圏(83名)
0
24(28.9%)
46(55.4%)
9(10.8%)
4(4.8%)
嶺南(49名)
2(4.1%)
6(12.2%)
35(71.4%)
5(10.2%)
1(2.0%)
湖南(27名)
1(3.7%)
21(77.8%)
3(11.1%)
1(3.7%)
1(3.7%)
忠淸(14名)
0
6(42.9%)
5(35.7%)
1(7.1%)
2(14.3%)
江原・済州(9名)
0
5(55.6%)
4(44.4%)
0
0
出典:수도권 당선자 66.2%가 “보수적” … 전국 평균보다 높아 (首都圏當選者66.2%が“保守的”・・・全国平均より高め)東亜日報2008年4月15日付。表「정당별 이념성향 」(政黨別理念性向)。表「지역별 이념성향 」(地域別理念性向)。尚、党名と地域名、後ろの括弧書きの数字は質問調査に応じた當選者の数である。
地域別選挙結果
第18代総選挙地域区選挙結果を地図に示したものである。■ ハンナラ党 ■ 統合民主党 ■ 自由先進党 ■ 民主労働党 ■ 創造韓国党 ■ 親朴連帯 ■ 無所属
市・道別の地域区党派別議席数
定数
党派
ハン
民主
先進
親朴
民労
韓国
無所
合計議席数
245
131
66
14
6
2
1
25
首都圏
ソウル特別市
48
40
7
0
0
0
1
0
仁川広域市
12
9
2
0
0
0
0
1
京畿道
51
32
17
0
1
0
0
1
江原道
8
3
2
0
0
0
0
3
忠清道
大田広域市
6
0
1
5
0
0
0
0
忠清北道
8
1
6
1
0
0
0
0
忠清南道
10
0
1
8
0
0
0
1
湖南(全羅道 )
光州広域市
8
0
7
0
0
0
0
1
全羅北道
11
0
9
0
0
0
0
2
全羅南道
12
0
9
0
0
0
0
3
嶺南(慶尚道 )
釜山広域市
18
11
1
0
1
0
0
5
大邱広域市
12
8
0
0
3
0
0
1
蔚山広域市
6
5
0
0
0
0
0
1
慶尚北道
15
9
0
0
1
0
0
5
慶尚南道
17
13
1
0
0
2
0
1
済州特別自治道
3
0
3
0
0
0
0
0
出典:「朝鮮日報総選特集サイト、政党別地域区議席数確保現況 」。太字の数字は当該地域の獲得議席数が第一党であることを示す。
市・道別の比例代表政党別得票率(%)
党派
ハン
民主
親朴
先進
民労
韓国
進歩
全国
37.48
25.17
13.18
6.84
5.68
3.80
2.94
首都圏
ソウル特別市
42.22
28.31
10.44
4.79
3.78
4.63
4.04
仁川広域市
39.68
24.55
10.86
6.10
5.79
4.38
3.18
京畿道
40.92
26.37
11.44
4.73
4.80
4.38
3.25
江原道
45.22
18.61
12.29
6.34
5.94
3.66
2.25
忠清道
大田広域市
24.78
18.61
8.65
34.84
3.87
3.66
2.01
忠清北道
34.01
23.88
12.33
13.72
5.68
3.35
1.96
忠清南道
27.12
13.54
7.22
37.78
4.70
2.54
1.71
湖南(全羅道)
光州広域市
5.90
70.39
1.29
0.93
9.36
3.90
2.57
全羅北道
9.25
64.30
2.34
1.64
7.42
2.92
2.44
全羅南道
6.35
66.38
1.77
1.06
10.08
2.30
1.59
嶺南(慶尚道)
釜山広域市
43.52
12.73
22.57
5.19
5.28
3.76
2.77
蔚山広域市
42.96
9.33
18.71
3.37
14.24
3.48
4.46
大邱広域市
46.56
4.92
32.74
3.95
3.23
2.91
2.29
慶尚北道
53.45
5.61
23.56
2.89
4.09
2.35
1.75
慶尚南道
45.03
10.51
17.95
4.23
10.62
3.42
2.97
済州特別自治道
32.40
30.22
12.29
4.17
9.98
5.06
2.32
出典:「韓国中央選挙管理委員会 国会議員選挙管理システム 」。
注1:比例代表では15政党が候補者名簿を提出したが、ここでは比例代表で議席を獲得した政党と民労党から分裂して結成された進歩新党のみ掲載した。太字はその政党の得票率が当該地域で第一党になったことを示す。
地域区選挙における各政党の優勢地域(道・広域市)を地図に示したものである。■ ハンナラ党■ 民主党■ 先進党■ ハンナラ党と無所属
比例代表における各政党の優勢地域を地図に示した。ハンナラ党が全羅道と大田・忠清南道以外の地域で高い支持を得たことがわかる。■ ハンナラ党■ 民主党■ 先進党
注2:ハンナラ党=ハン、統合民主党=民主、自由先進党=先進、民主労働党=民労、親朴連帯=親朴、創造韓国党=韓国、進歩新党=進歩、無所属=無所
地域対立に基づく投票行動の再燃
4年前の総選挙では、盧武鉉大統領の弾劾訴追 の是非が大きな争点となったこともあって地域によって政党支持が極端に偏る現象はあまり目立たなかった。しかし、今回は、争点や盛り上がりに欠けた選挙戦となったことも影響してか、慶尚道が支持基盤のハンナラ党・親朴連帯、全羅道が支持基盤の民主党、忠清道が支持基盤の先進党、各地域における政党支持が全国平均より大きく偏る結果となり、韓国政治に大きな影響を与えている地域感情 に基づいた投票行動 が再燃した結果となった。なお、全羅道におけるハンナラ党の比例代表での得票数及び得票率は前回の総選挙時よりは若干だが増えた。反対に民主党は、前回のウリ党 と新千年民主党 それぞれの得票率を合計した分より、得票率をやや減らしている[ 17] 。
首都圏(ソウル・仁川・京畿道)
前回の総選挙でウリ党が過半数を制したソウル特別市(48選挙区)では、ハンナラ党が40選挙区で勝利、全体の8割以上を占め圧勝した。これに対して、民主党は党勢が強いとされた漢江 北部の江北地域でも軒並みハンナラ党に議席を奪われ、選挙区を鞍替えして立候補した党代表の孫鶴圭 や前大統領候補の鄭東泳 も落選するなど7選挙区での勝利にとどまり壊滅的な敗北を喫した[ 18] 。ハンナラ党は仁川や京畿道でも民主党を制し、首都圏(111議席)全体の7割以上を占める81名が当選、地域区で当選した131名の6割以上がソウルとその首都圏から選出された当選者[ 19] で占められることになり、慶尚道選出が多数を占めた前回の選挙結果とは全く反対の状態となった。この他に、創造韓国党がソウルで1名、親朴連帯が京畿道で1名、無所属が仁川と京畿道で1名ずつ当選した。
個別の選挙区では、ソウル市中心部の鐘路 選挙区から立候補したハンナラ党の朴辰 候補が、民主党代表の孫鶴圭 を僅差で破って当選を果たした[ 20] 。江南地域の銅雀 乙選挙区では蔚山市 から鞍替えしたハンナラ党の鄭夢準 と、全羅北道 全州市 から鞍替えした民主新党の前大統領候補で民主党の鄭東泳 が激しく争ったが、鄭夢準が激戦を制した[ 21] 。ソウル市北西部の恩平 乙選挙区では、創造韓国党代表の文国現が、ハンナラ党の有力者で李明博大統領側近の李在五 を破って初当選を果たした[ 22] 。前回総選挙で、盧武鉉大統領への弾劾訴追 に対する逆風で苦杯をなめた広津 乙選挙区の秋美愛 (民主党)は、ハンナラ党候補を破って返り咲きを果たした[ 23] 。
大田・忠清道
大田と忠清道が地盤である李会昌 総裁率いる先進党と民主党が激しい接戦を展開したが、先進党が大田と忠清南道で強さを発揮、李会昌が洪城 ・礼山 選挙区で当選したのを始め、14選挙区で勝利、第一党になった。民主党は内陸部の忠清北道の8選挙区中6選挙区、大田と忠南の各1選挙区で勝利し、忠清道における第2党の座を確保した。このように、忠清道では先進党と民主党が忠南と忠北で第一党を分け合う形となったのに対し、ハンナラ党は大田と南道で全敗、忠北でも1議席に留まり、前回選挙と同様に振るわなかった[ 24] 。旧・民主党前大統領候補で民主党の公薦を得られなかった李仁済 は無所属で当選した。
嶺南(釜山・大邱・慶尚道)
嶺南 地方(釜山 ・大邱 、慶尚北道 ・慶尚南道 )はハンナラ党の前身である民主自由党 ・新韓国党 から続く保守系政党の伝統的な支持基盤で、2000年は65議席中64議席、2004年は68議席中60議席と圧倒的な強さを誇り、ハンナラ党の地域区選出議員の半分を超えていた。しかし今回は、党公認を得ることが出来なかった朴槿恵元代表支持グループが新党の親朴連帯や無所属で出馬、大邱や慶北で多数が当選したため、前回よりも20名近くも減らす46名に留まった。一方、全羅道を強固な地盤とする民主党は、前回ウリ党 で当選した現職2名が釜山市沙下区 (乙選挙区)と慶尚南道金海市 (乙選挙区)で再選を果たし、嶺南地域における民主党の足場を確保[ 25] [ 26] したが、これ以外の候補は軒並み劣勢を強いられた。民労党は、前回慶尚南道昌原市 で当選した前大統領候補の権永吉 が議席を守った他に、前回比例区で当選し、泗川市 の選挙区に鞍替えした農民運動 出身の議員である姜基甲 が、ハンナラ党の実力者李方鎬 事務総長を、接戦の末に破って二度目の当選を果たした[ 27] [ 28] 。
親朴連帯は朴槿恵の地元で選挙区がある大邱で3議席、慶北と釜山で1議席ずつを確保した他、ハンナラ党の公認を得られなかった候補が中心の無所属候補が慶北と釜山で5議席ずつ、蔚山と大邱及び慶南で1議席ずつ、あわせて13議席を確保し、ハンナラ党に次ぐ第2勢力となった。ただ親朴連帯と無所属候補はハンナラ党への復党の意思を明確に示しているため、これらも含めたハンナラ党系の議席数は64議席と、嶺南地方で圧倒的多数を占めている事実は変わりがないとも言える。
湖南(光州・全羅道)
平和民主党 の潮流を引き継ぐ民主党系政党の絶対的な支持地盤である光州と全羅道では、民主党が31選挙区中、25選挙区で勝利したが、民主党の公認から漏れた候補者が相次いで無所属で出馬し、金大中元大統領の出身地である木浦市 で朴智元 が民主党候補を破って当選するなど、光州市で1議席、全羅北道で2議席、全羅南道で3名、合わせて6名が当選した。嶺南地域を支持基盤とするハンナラ党は今回、全羅道の31選挙区全てに候補者を擁立したが、軒並み劣勢で、当選者を出すことはできなかった。
江原道・済州特別自治道
北朝鮮に接している江原道では保守勢力が優勢で、2000年と2004年の総選挙でもハンナラ党が第一党になったが、今回、ハンナラ党の公認から漏れた無所属候補が健闘し3名が当選、同じ3名が当選したハンナラ党と並んだ(民主党は2名が当選)。済州特別自治道では、前回選挙においてウリ党で当選した現職3名が、ウリ党が主体となって結成された民主党から出馬して再選を果たした。
女性当選者
党派別女性当選者数
党派
合計
地域区
比例 代表
ハンナラ党
21
10
11
統合民主党
12
4
8
親朴連帯
4
0
4
自由先進党
2
0
2
民主労働党
2
0
2
合計
41
14
27
出典:「第18代国会議員選挙政党別当選者(東亜日報) 」。
地域区と比例代表合わせて41名の女性候補者が当選したが、前回の17代総選挙での女性当選者39名と比較して若干増加した。地域区での当選者はハンナラ党の朴槿恵 、返り咲きを果たした民主党の秋美愛 など14名(現職11名、元職1名、新人2名。現職当選者の内、比例代表→地域区の鞍替え当選は5名[ 29] 。なお、比例代表に関しては当選者27名中、25名[ 30] が新人候補)と前回の10名を上回って過去最多となった。一方で韓国初の女性国務総理を務めた韓明淑は京畿道高陽市 一山東選挙区から出馬したが、ハンナラ党の候補に敗れた[ 31] 。政党別で見た場合ではハンナラ党が21名と最も多く、続いて民主党12名、親朴連帯4名、先進党と民労党が各2名であった(創造韓国党の女性当選者は無し)。地域区ではソウル市が8名(ハンナラ5名、民主3名)、京畿道4名(ハンナラ4名)、大邱市1名(ハンナラ1名)、全羅北道1名(民主1名)の順になっており、大部分がソウル市と京畿道の地域区で当選している[ 32] 。なお地域区における女性当選者は全員がハンナラ党もしくは民主党からの当選である。
新人当選者の減少
18代総選挙当選回数内訳
初当選
2選
3選
4選
5選
6選
7選
137
87
44
19
7
4
1
出典:聯合ニュース の「初当選議員は137人、前回より大幅に減る 」。
今回の総選挙で、初当選を果たした候補は、137人で全体の45.8%に留まり、前回の17代総選挙の時の62.9%と比べて新人当選率は大幅に減少した。なお、第17代国会の現職議員で再選を果たした候補は、131人である。当選者の内、最多当選者は自由先進党の趙舜衝 候補(比例代表)でこの選挙で7選を果たした。また、年齢構成では、50歳代が47.2%で最多となった。反対に386世代 を中心とした40歳代以下の当選者は、前回総選挙においてウリ党で当選し、今回は統合民主党から立候補した議員が、多数落選したこともあり31.7%(前回43.1%)と減少し、前回総選挙より当選者の平均年齢はやや上がった。
出典:2008年4月10日 付韓国日報10面「当選者職業別分布」。
当選議員
小選挙区
ハンナラ党 統合民主党 自由先進党 親朴連帯 民主労働党 創造韓国党 無所属
補欠選挙
比例区
繰上当選
脚注
出典
選挙管理委員会
大韓民国憲政会
韓国の新聞 及びテレビ などマスメディア の総選特集サイト
日本で発行された第18代総選に関する資料など
関連項目
外部リンク
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