横浜線
横浜線(よこはません)は、神奈川県横浜市神奈川区の東神奈川駅と東京都八王子市の八王子駅を結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線[2](幹線)である。駅ナンバリングで使われる路線記号はJH[注釈 1]。 全ての快速電車と一部の各駅停車は、東神奈川駅から横浜駅を経由して根岸線に直通し、桜木町駅・磯子駅・大船駅へ乗り入れる。なお、本記事では根岸線 - 横浜駅 - 東神奈川駅 - 八王子駅間について、実際に運行されている列車の列車番号の付け方に合わせ、桜木町方面行きを「上り」、八王子方面行きを「下り」と記述する。 概要横浜線は東京地区の電車特定区間(E電)の路線のひとつであり[3]、横浜市から町田市および相模原市を経由し、八王子市に至る首都圏の郊外を結ぶ全長42.6 km[2]の路線である。「横浜線」という路線名称ではあるが、起点は東神奈川駅であり、京浜東北線・根岸線に直通する列車を除いて横浜駅には至らない(ただし路線の約4割が横浜市内にある)。 横浜線は横浜市の北部から同市中心部へのアクセス路線として機能しており、また東京都心から放射線状に伸びる多数の鉄道路線と結節点を持つことから、2008年3月31日に発表されたJR東日本の「グループ経営ビジョン2020-挑む-」では、南武線や武蔵野線、京葉線とともにいわゆる環状路線として東京メガループに指定されている[報道 1]。したがって、他路線との乗り換えのために割高な初乗り運賃でも乗車する短距離利用者も多く、郊外路線でありながらJRの前身である日本国有鉄道(国鉄)が運営していた時代から数少ない黒字路線であった[4]。 起点の東神奈川駅で、京浜東北線(『鉄道要覧』などに記されている正式な線路名称は東海道本線)、終点の八王子駅で中央本線(中央線快速)と八高線に接続する。快速を中心に根岸線に東神奈川駅から乗り入れて横浜駅・桜木町駅方面に直通運転する列車も設定されている(詳細は後述)が、線路名称上の区間である八王子駅 - 東神奈川駅間のみ運行する列車も多い[注釈 2]。なお、東神奈川駅 - 横浜駅間では東海道本線電車線を京浜東北線と共用するものの、列車内や駅構内での案内では「京浜東北線直通」とは一貫して案内されず、横浜線内では「根岸線直通」、横浜駅および根岸線内では「横浜線直通」と案内されている。 2023年の国土交通省調査によるピーク時最混雑区間の1時間平均混雑率は小机駅→新横浜駅間で134%となっている[5]。また、同年度の平均通過人員は201,211人であり、JR東日本の路線の中では4番目に多い[6]。 歴史1908年(明治41年)に「横浜鉄道」という私鉄として開業したのが横浜線の始まりであり、当時は八王子や甲信地方で生産されていた生糸を横浜港へと運搬することを目的としていた[7]。その後、1917年(大正6年)に国有化されたが、標準軌化(改軌)試験や電化試験が行われたこともある。その後、1932年(昭和7年)には横浜駅・桜木町駅への乗り入れが開始されたほか、1964年(昭和39年)の東海道新幹線の開業によって新幹線と横浜線との交差箇所に新横浜駅が開業すると、横浜線は横浜市内と新幹線のフィーダー路線としても機能することとなる。さらに1960年代後半からは沿線開発の進行や大学の設置などにより乗客が増加したことから、1967年(昭和42年)より輸送力増強のため複線化工事が順次行われ、1988年(昭和63年)までに全線が複線化された。 国鉄末期には、運輸政策審議会答申第7号で新線「みなとみらい21線」[注釈 3](東神奈川駅-横浜みなとみらい21地区-元町付近-本牧町-根岸駅)との直通運転が提案されていたが、国鉄の財政状況や国鉄分割民営化の影響などが原因で建設は行われなかった。この区間はのちに東急東横線と直通運転を行う形態に変更された上で、2004年2月1日に横浜高速鉄道みなとみらい線(路線名:みなとみらい21線)として開業した。 1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化によって運営がJR東日本に変わった以降も、首都圏の通勤・通学路線として利用者が増加し、1994年(平成6年)からは混雑対策のために電車は片側6扉を有する車両を連結した上で8両編成が組まれた。臨時列車を除き特急・急行列車は設定されず、列車種別は快速と各駅停車の2種が運行される。線内折り返し運転の列車のほか、一部の列車は京浜東北線・根岸線に直通して桜木町駅・大船駅方面に至る。なお、1998年からの10年間は土曜・休日に根岸線経由で横須賀線逗子駅までの直通列車が運行されていたが、根岸線経由では遠回りであることや湘南新宿ライン増発の影響により、2008年(平成20年)3月15日のダイヤ改正で廃止された。 年表
立体交差化計画
運行形態2024年3月16日現在における、横浜線の運行形態を示す。 定期旅客列車
日中時間帯は1時間に9本(橋本駅 - 八王子駅間は6本)運行されている。この時間帯の内訳は快速が桜木町駅 - 八王子駅間、各駅停車が桜木町駅 - 橋本駅間・東神奈川駅 - 八王子駅間でそれぞれ3本(各20分間隔)である。 下り桜木町発八王子行の快速は、折り返し上り八王子発東神奈川行の各駅停車に、下り桜木町発八王子行の各駅停車は、折り返し上り八王子発桜木町行の快速に、下り東神奈川発橋本行の各駅停車は、折り返し上り橋本発桜木町行の各駅停車になる。事故・各種トラブルがなく正常に運行されている場合は、快速桜木町発八王子行 → 各停八王子発東神奈川行・各停桜木町発八王子行 → 快速八王子発桜木町行・各停東神奈川発橋本行 → 各停橋本発桜木町行の3つの運用パターンがある。 平日日中の9 - 15時台、土休日9 - 17時台は、八王子駅発着の快速と橋本駅発着の各駅停車の1時間に6本が東神奈川駅から横浜駅および根岸線方面へ乗り入れ、桜木町駅発着で運行されている。それ以外の時間帯については一部の列車が根岸線の桜木町駅・磯子駅・大船駅(大船行は朝のみ)まで直通するが、平日の朝時間帯は全体の約1/3程度の列車が直通、夕方時間帯は1時間に2本程度、夜間は1時間に1本が直通となり、それ以外の列車は基本的に東神奈川駅折り返しとなる。ただし、近年はダイヤ改正ごとに横浜駅・根岸線方面への直通列車が増えつつあり、2015年3月14日の改正で、朝5時台の八王子発桜木町行と折り返し6時台の桜木町発八王子行をはじめとする3本の列車が桜木町駅発着に延長された。 相模原市を中心に旧相模原市域と旧相模湖町、藤野町とのアクセス性向上や、リニア中央新幹線が乗り入れる橋本駅を広域交通ネットワークの拠点としたいとの意向から、中央本線相模湖・大月方面や八高線への直通運転の要望があるが、JR側は直通することで横浜線および中央本線・八高線の運行体系を大幅に変更する必要があり、列車ダイヤにあたえる影響が甚大なものになること、中央本線高尾駅以西から横浜線沿線への利用者数よりも、新宿・東京方面に直通する利用者数が多いことを理由に、消極的な姿勢を見せている[22][23]。 以下に列車種別ごとの詳細を記す。 快速快速はJR東日本発足後の1988年3月13日ダイヤ改正にて運行が開始された[11]。 日中時間帯は1時間に3本運行されており、全ての列車が横浜駅および根岸線に乗り入れ、桜木町駅まで運転されている。東神奈川駅 - 橋本駅間で通過運転を行い、橋本駅 - 八王子駅間および根岸線内は各駅に停車する。平日は桜木町発で10 - 15時台、八王子発で9 - 15時台の運行であるが、土曜休日は9 - 17時台の運行であり、八王子発8時台は大船行・17時台は磯子行、桜木町発で9 - 17時台の運行である。 計画当初の東神奈川駅 - 橋本駅間の途中停車駅は中山駅・町田駅の2駅のみだった。しかし、これでは東海道新幹線に接続する新横浜駅を通過する事になり、乗り換え客にとって不便になる問題があるため見直した結果、新横浜駅と鴨居駅の2駅が追加され、東神奈川駅 - 橋本駅間の途中停車駅は新横浜駅・鴨居駅 - 中山駅 - 町田駅の4駅となった。登場当初は日中に60分間隔で運転され[11]、上下線とも中山駅と橋本駅で待避をするように設定された。中山駅では、待避する各駅停車は上り(東神奈川方面)ホームの2番線に停車するが、下り(八王子方面)の快速は跨線橋を渡った下りホームの1番線に停車するため、鴨居駅を快速の停車駅とすることで、各駅停車から快速への乗り換えの便を図った。ただし、1990年代以降は下りの快速・各駅停車相互間の緩急接続が町田駅のみ(一部は橋本駅での接続が存続)となった。また、当初の快速は踏切の鳴動時分を確保する関係上、通過駅で45km/hの制限がかかっていた。 1994年12月3日には運転間隔が40分間隔となり、東急田園都市線・こどもの国線が接続する長津田駅が停車駅に追加され、横浜方面からの利便性の向上が図られた[11]。1998年3月14日には相模原駅が停車駅に追加[11]。1999年12月4日改正では、運転間隔がさらに縮められて30分間隔(1時間に2本体制)となり[11]、上りの緩急接続も大半が町田駅で行われるようになった。また快速・各停を選別するATS-Pと踏切の機能確認が完了したことにより、この改正から快速通過駅の制限速度が廃止されたが、矢部駅では上り快速がホーム上にカーブがある他、東神奈川寄りすぐの場所に見通しが悪く通行量の多い(車両通行不可だが歩行者の往来が多い)踏切があることから、45 km/hの減速運転が行われていた。現在の矢部駅は地下道の建設で踏切は廃止され、2023年2月のホームドア設置に伴って減速運転も廃止された。 2006年3月18日改正では、東急東横線と接続する菊名駅が停車駅に追加された。これに伴い、上り列車の緩急接続の大半が再び中山駅で行われるようになった。そして2010年3月13日改正では運転間隔が約30分から約20分間隔となり、現行の1時間に3本体制[報道 2] に増発された。 日中の各駅停車との接続は下り列車は東神奈川駅・町田駅・橋本駅、上り列車は橋本駅[注釈 6]・中山駅で行っている。また、土休日の上り列車の一部は町田駅でのみ各駅停車に連絡する。 各駅停車全ての駅に停車する種別で、終日運転される。日中時間帯は横浜駅・桜木町駅に乗り入れるが、朝・夜間時間帯は横浜線内の折返し運転が中心となっている。ただし、2024年3月のダイヤ改正で朝夕一部列車の横浜方面乗り入れが増発される。 朝夕ラッシュ時は約2 - 5分間隔で運行されている。日中時間帯は1時間に6本(橋本駅 - 八王子駅間は3本)運行されている。このうち3本が横浜駅を経由して根岸線桜木町駅まで運転されており、同じく3本運転される快速と交互に桜木町駅まで乗り入れている。始発・最終付近(早朝・深夜)は運行間隔が広がる。朝・夜間時間帯には一部列車が根岸線の桜木町駅・磯子駅・大船駅(大船行は朝のみ)まで直通する。夜間時間帯には、大船始発20時台・21時台に八王子行が平日各1本、土曜休日は17時台に八王子行が2本・21時台に八王子行が運行される。 夜間停泊や車両基地への出入りを伴う区間運行として、平日・土休日ともに朝晩には町田駅 - 東神奈川駅間・橋本駅 - 八王子駅間・町田駅 - 八王子駅間の系統が運行されている。駅構内・電留線からの出庫運用では、小机発系統が3本、中山発系統が1本(土休日の中山始発橋本行を除き八王子行)が設定されている。なお、定期の営業列車での小机行・中山行の設定はない[注釈 7]。 快速との連絡については前節を参照。なお、臨時特急「はまかいじ」が運転される土休日には、上りは町田駅で、下りは町田駅と橋本駅ではまかいじの待ち合わせを行っていた。ただしこの列車が運転されない場合でも町田駅で時間調整のために停車していた。 臨時旅客列車臨時特急「はまかいじ」1996年4月27日から2019年1月3日まで、横浜線と中央本線を経由して横浜駅と甲州や信州エリアの松本駅を結ぶ臨時特急「はまかいじ」が毎週土休日に1往復運転されていた。ただし、冬季(12月上旬から翌年3月末までの約4か月間)は年末年始や三連休パス利用日など指定された土曜・休日のみの運転となった。運転開始当初は横浜駅 - 甲府駅間の運転だったが、乗客増に合わせて信州側は小淵沢駅、上諏訪駅、横浜側は磯子駅、鎌倉駅まで段階的に運転区間が延長されたが、2003年以降は横浜駅 - 松本駅間の運行となっていた。 横浜駅を出ると、横浜線内では新横浜駅・町田駅・橋本駅・八王子駅に停車する。なお、東神奈川駅にも保安装置切替の目的で運転停車するが、旅客の乗降はできない。 車両は大宮総合車両センター配置の185系B編成(200番台6両)のうち、D-ATCに対応したB4 - B5編成の2本が使用されていた。以前は2往復運行されており、長野総合車両センター配置の183・189系N編成(6両)を使用したこともあった。かつては、グリーン車の入った7両編成で運転されていたが、2013年7月6日の運行からグリーン車の連結を廃止し、6両編成での運行となった。 また、中央本線の「かいじ」とは別にぶどう・かもめ・富士山をデザインした「はまかいじ」専用のヘッドマークが用意されている。185系の側面方向幕はかつては行先に関係なく「特急はまかいじ」で統一されていたが、2013年3月のダイヤ改正より「踊り子」などと同様に専用の方向幕が用意された。 使用車両の185系200番台の廃車、2019年からの中央本線特急施策の変更、発着していた横浜駅京浜東北線ホームへのホームドア設置に伴い、2019年1月3日の運転を最後に廃止(運行休止)された[報道 6][報道 7]。 その他の臨時列車横浜国際総合競技場(日産スタジアム)や横浜アリーナでの大規模催事の際には、小机駅・中山駅・町田駅を発着駅とする臨時列車が設定されることがあるほか、快速が小机駅に臨時停車する場合がある。これらの時刻表はJRのサイト上をはじめとしたインターネット上では発表されず、主に東神奈川駅などの時刻表に別途掲示が行われる。横浜国際総合競技場にて2002 FIFAワールドカップの試合が行われた際には、当時は快速通過駅だった菊名駅にも東横線の接続として快速が臨時停車している。 2008年9月23日の開業100周年イベントでは、全線で485系「やまなみ」を使用した臨時快速列車「横濱線100周年号」[24] や、松本駅 - 東神奈川駅間で「彩」を使用した臨時快速列車「横濱ものがたり号」が運転された[25]。それ以前にも13日に松本駅から磯子駅まで、14日に桜木町駅から白馬駅まで183・189系を使用した臨時快速列車「ベイドリーム横濱号」が運転された[26]。 また、2011年春には115系を使用した富士急行線直通の臨時快速列車「富士河口湖号」が運転される予定であったが、東日本大震災およびそれに伴う福島第一原子力発電所などの各種発電所停止による電力危機の影響で中止、同年夏に延期された[27]。富士河口湖号は、その後も車両は183系に変更の上で、しばしば多客期に運転された(横浜線内の停車駅は、快速の停車駅から鴨居駅および相原、八王子みなみ野、片倉の各駅を除いたもの)。 そのほか、日光線日光方面行の修学旅行列車が運転されることがある。 貨物列車横浜線はもともと、生糸の運搬を目的として建設されたこともあり、かつては生糸の輸送を中心とした貨物輸送が盛んで、多くの駅に貨物ホームがあったが、貨物輸送需要の減少により1960年代までに一部の駅をのぞいて貨物取扱を終了した。1960年代以降は淵野辺駅・橋本駅・相模線南橋本駅などから伸びる専用線や、貨物扱所(貨物ホームなど)の規模が比較的大きかった小机駅・原町田駅・淵野辺駅・橋本駅での貨物の取扱が主体となったが、その後も東名高速道路の開通や国鉄貨物輸送の減少、ヤード輸送方式の全廃、接続する専用線の廃止などにより、そのほとんどが1980年代までに姿を消していった。平成まで残ったものが南橋本駅発着のセメント輸送列車だが、これも1996年3月13日の発送をもって廃止となり、横浜鉄道開業当時から90年近く続いた横浜線の貨物輸送は、甲種輸送をのぞいてその歴史に幕を下ろした。 現在、定期的に運転される貨物列車は存在しないが、ダイヤ上では不定期の貨物列車が設定されており、主に長津田駅発着の甲種鉄道車両輸送として運転される。これは、JR東日本と東急電鉄の連絡線(車両授受線)が長津田駅構内にあるためで、東急電鉄・横浜高速鉄道・東京地下鉄(東急電鉄と乗り入れする路線用)向けに製造された新車は、すべて八王子駅・横浜線・長津田駅経由で東急長津田検車区へ搬入される。 なお、車両製造メーカーから出場した車両は、作業やダイヤの関係で八王子駅にて一夜を明かした後、翌日の昼ごろのダイヤでDD200形ディーゼル機関車(JR貨物愛知機関区所属)の牽引により長津田駅へと輸送されるが、輸送される車両が長編成の場合は、長津田駅の線路配線などの問題から八王子駅でおおむね3両 - 6両程度に編成を分割し、八王子駅到着の翌日と翌々日の2回に分けて輸送される。また、東急より地方鉄道などへ車両を譲渡する場合にも、長津田発の甲種輸送列車が運行される場合がある[要出典]。東急向けの車両輸送は、かつては菊名駅で行われていたが、菊名駅が大雨の度に浸水するため、かさ上げ工事が行われた際に同駅の連絡線は撤去された。その後、1970年3月14日に長津田駅に連絡線が設置され、現在の長津田経由となっている。 1996年の定期貨物列車廃止以降、横浜線では甲種輸送以外の貨物列車が運転されることはなかったが、2005年に長津田駅までの臨時貨物列車が運転された[要出典]。これは、町田駅で当時行われていたバリアフリー化工事で、新たに設置することとなったエスカレーター機材の運搬・設置を目的としたもの。横浜線で甲種輸送以外の貨物列車が運転されるのは約9年ぶりで、JR貨物のコンテナ車が乗り入れるのは開業以来初めてのこととなった。 その他に、JR東日本が運行する工事用臨時列車(工臨)が運行されることが稀にある。 車両と編成現在の使用車両
横浜線では、全列車が鎌倉車両センター所属のE233系6000番台で運行されている。弱冷房車は編成中程の5号車に設定されている。車両の外面には黄緑と緑(■■)による2色の帯を巻き、横浜線のラインカラーとして他路線との識別を行っている。E233系6000番台は、後述の205系の置き換え用として、2014年2月16日より予定された出発式が吹雪で中止されながらも運用を開始した[新聞 5]。拡幅車体で定員は205系より約1割増加したため、6扉車の連結はない。車体には、沿線の市の木などのオリジナルの装飾が施されている。駅スタンプをあしらったステッカーが全編成の先頭車の乗務員室寄り側面に掲出されたが、最終編成の落成から1年の掲出期間を経過したため、2015年度中に全編成とも剥がされている[28]。 2022年3月11日まで運転されていた相模線直通列車は相模線用の205系500番台、E131系500番台4両編成(国府津車両センター所属)が使用されていた。 なお、横浜線用車両の配置は鎌倉車両センターであるが、そこには横須賀線車両も配置されていることや、横浜線の沿線からは離れた大船駅まで(根岸線を経由して)走行しなければならないこともあり、鎌倉車両センターへ帰区(出入庫)する運用は少ない。このため、実質的には、国鉄時代の橋本電車区構想により橋本駅近隣に建設された橋本派出所が横浜線の中心的な車両基地として機能している。ただし、橋本派出所だけでは車両を収容しきれないことや、深夜早朝の途中始発・終着運用のため、東神奈川派出所のほか、八王子駅・橋本駅・町田駅・中山駅・小机駅・東神奈川駅に夜間停泊を兼ねて分散して留置される。 過去には横浜線用の車両基地として東神奈川電車区(現在の東神奈川派出とは異なる)や、京浜東北線車両との兼用の蒲田電車区(現在の大田運輸区)が存在したが、東神奈川電車区は国鉄時代末期に運転士のみの配置となり車両基地の機能を廃止、蒲田電車区に車両配置を一本化した後、民営化後の横浜支社発足時に大船電車区(現在の鎌倉車両センター)へ移管され現在に至っている。
過去の使用車両→相模線直通列車の車両については「相模線 § 使用車両」を参照
E233系投入以前は以下の電車が用いられていた。
沿線概況
海岸沿いの横浜市街から丘陵地帯を貫通、鶴見川の谷に分け入って相模野台地を抜け、関東山地の端にある多摩丘陵を超えて八王子盆地へと至る。全線が関東平野内にあり、線形は比較的良いが、途中にはトンネルや10‰連続勾配もあり、山越え路線の様相を呈する部分もある。 東神奈川駅 - 新横浜駅間東神奈川駅を出ると北東方向に進み、内陸側から順に国道1号・横須賀線(湘南新宿ライン)・東海道線・京浜東北線北行線・横浜線・京浜東北線南行線、少し間を空けて京急本線の順番で道路・線路が並ぶ。高架に上り、一旦南側(海側)に振れて京浜東北線の南行線の南側に出てから、京急本線子安駅付近で京浜東北線・東海道線・横須賀線(湘南新宿ライン)の各複線、計6本を一気に越える。 さらに住宅地を通り抜けて国道1号を越え、入江川と並行しながら北へ向かっていくと大口駅に着く。大口を出るとすぐにシェルターで覆われた東海道貨物線(貨物列車のほか、相鉄線直通列車として相鉄線と埼京線を直通する電車が経由)の高架下を潜り、寺尾トンネル手前までは直線が続き、水道道を越え、まもなく寺尾トンネルに入る(上りは新寺尾トンネル)。トンネルを出た後は直線が続き、やがて旧綱島街道と東急東横線を越えて築堤の菊名駅に着く。菊名駅を出てしばらく住宅街の中を進むと切り通しに入り、東海道新幹線や横浜市営地下鉄ブルーライン、相模鉄道(相鉄)の相鉄新横浜線、東急電鉄(東急)の東急新横浜線との接続駅である新横浜駅に着く。この付近は元来は堤の上を走っていたが、新幹線開業時に切り通しになった。東急新横浜線は東急東横線との直通列車もあるが、主に目黒線(および都営地下鉄三田線ならびに東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道)との直通列車の発着が多い。 新横浜駅 - 中山駅間新横浜駅を出ると環状2号線をくぐる。相鉄新横浜線・東急新横浜線の地上を走り、そこから鳥山川の手前までは北側がオフィスやホテルが立ち並び、南側が倉庫が立ち並んでいる。鳥山川を渡ると一気に田園地帯となり、北側に横浜F・マリノスの本拠地である横浜国際総合競技場(日産スタジアム)がある。そして神奈川県道13号横浜生田線の新羽踏切を渡ると2面3線のホームと2本の留置線を有する小机駅に到着する。小机駅を出るとしばらく引き上げ線が並走し、第三京浜道路の手前まで続く。そして第三京浜をくぐり、まもなく城山トンネル(上り線 80m 下り線は新城山トンネル 75m)[注釈 9]を抜け、鶴見川と並走する。そして横浜上麻生道路をくぐると鶴見川沿いには農地や工場が広がり、一方反対側は住宅街となり、そして鴨居駅に着く。鴨居駅を出ると鴨池大橋をくぐり、鶴見川沿いを進む。白山ハイテクパークを横目に、しばらくすると鶴見川から離れ、川和踏切を渡るとまもなく横浜市営地下鉄グリーンラインとの接続駅である中山駅に着く。 中山駅 - 町田駅間中山駅を出ると、鶴見川の支流である恩田川が見え、恩田川側は農地が広がり、反対側は近年拡張された都市計画道路山下長津田線を挟んで住宅街となる。一旦切り通しに入るが、またすぐ恩田川が見え、農地が広がっている。しばらくするとまた切り通しに入り、十日市場駅に着く。 十日市場駅を出ると西田架道橋にて東名高速道路を越えて、しばらく住宅街の中の切り通しを通り、国道246号を越えてしばらくすると東急田園都市線が並走するようになり、まもなく長津田駅。長津田駅ではJRと東急線の別改札による乗り換えとなるが、こどもの国線や東急田園都市線、そして、田園都市線から東急大井町線に直通する電車に乗り換えができる。長津田駅を出ると東急田園都市線をくぐり、しばらく東急長津田検車区の横を通り、このあたりで神奈川県横浜市から東京都町田市に入る。そして崖線の縁を進むと成瀬駅に着く。成瀬駅を出ると切り通しを進み、町田街道を潜りしばらくすると横浜線内乗降客数が最多の町田駅に着く。周囲には繁華街が広がっている。 なお、中山駅 - 成瀬駅間の恩田川とおおむね併走する区間では、同河川の支流である梅田川や岩川などを跨ぐ橋梁がある。このうち、岩川を跨ぐ橋梁では上下線で上からの見た目が多少異なる橋梁で跨ぐため、上下線が極僅かに離れたところを走る(上り線が下り線から離れる)。 町田駅 - 橋本駅間町田駅を出ると小田急小田原線の高架を潜り、ここから先橋本駅の先まで駅構内以外はほぼ直線の緩やかな上り勾配となる。高架を潜ると右側に町田市役所がある。この後しばらく境川と併走する。町田市側は町田市民ホール付近までは商業施設や予備校などが見受けられるが、境川沿いにはサイクリングロードや林、ちょっとした畑などが見える。神奈川県道・東京都道52号相模原町田線を潜ったあたりからは住宅街となる。一方、相模原市側は崖の上に市街地が広がっているため、境川べりは緑地となっている。そして境川を渡り、相模原市内に入ると住宅街の中の切り通しを進み、古淵駅に着く。古淵駅を過ぎると地表面とほぼ同じ高さを走行する。住宅街を進み、青山学院大学相模原キャンパスを横目に進むと在日米軍相模総合補給廠へ続いていた側線などの遺構が残る淵野辺駅に着く。淵野辺を出ると陸橋2本をくぐってすぐに矢部駅に着く。この区間は800 mと横浜線の中で最も駅間が短い。矢部駅から相模原駅までは相模総合補給廠の横を走る形となり、同施設のメインゲート前を通過すると、まもなく相模原駅に着く。相模原駅を出るとしばらくして工業地帯となり、そして北側に橋本駅の電留線が、西側にアリオ橋本が見える。相模線が合流し、京王相模原線の高架をくぐると橋本駅に着く。駅周辺には超高層マンションが林立するほか、駅の隣接地では東海旅客鉄道(JR東海)により2019年[30]からリニア中央新幹線の神奈川県駅の建設が進められている。 橋本駅 - 八王子駅間橋本駅を出ると市街地を進み、国道16号が本線は陸橋で側道は踏切という形態で交差する。しばらく住宅街の中を進みカーブにかかる。このカーブの途中にある田尻踏切(第43号踏切)のあたりが横浜線内最高地点となる。そして境川を再度渡ると町田市に戻り、町田街道と交差して相原駅に着く。相原駅を出るとしばらくして上下線がやや離れ、上り線は相原トンネル(367 m)、下り線は新相原トンネル(985 m)を通る。このトンネルの中間地点あたりで八王子市に入る。そして造成地や新興住宅街の中を抜けると横浜線で一番新しい駅である八王子みなみ野駅に着く。八王子みなみ野駅を出ると国道16号を越えて片倉駅に着く。片倉駅を出ると京王高尾線を潜り、やがて右側に京王線と合流し、しばらく併走する。建設中の国道20号(八王子南バイパス)を越え、併走していた京王線と別れ、進路を西に変えると今度は右側に中央本線・八高線と併走して、終点の八王子駅に着く。八王子駅は中央線(中央本線)・八高線が接続する交通の要衝となっている。 データ路線データ
東神奈川駅 - 橋本駅間が横浜支社、相原駅 - 八王子駅間が八王子支社の管轄であり、橋本駅 - 相原駅間に支社境界がある[34][注釈 10]。 駅一覧ほぼ終日、根岸線桜木町駅からの直通運転を行っているため、便宜上、桜木町駅から記載する。駅ナンバリング(駅番号)は、根岸線大船駅からの連番となっているため、東神奈川駅はJH 13となる。
廃止信号場
駅別乗車人員上位10駅JR東日本調べ 1日平均(2023年度)[37]
発車メロディー発車メロディーは基本的に東洋メディアリンクス製のメロディーを使用しており、上りが「Water Crown」、下りが「Verde Rayo」だが、橋本駅(2・5番線使用列車を除く)と八王子みなみ野駅は上下逆である。例外として、東神奈川駅の2番線が「窓の花飾り」 (京浜東北・根岸線含む)、3番線が「木もれ陽の散歩道」(いずれもスイッチ製)で、橋本駅の2番線(始発・待避で使用)が「Mellow time」、町田駅の3番線上り(平日朝の2本のみ)が「スプリングボックス」、相原駅の上りが「遠い青空」、下りが「春待ち風」(以上櫻井音楽工房製)、片倉駅が「JR-SH2-3」(五感工房製)であるほか、ご当地メロディーとして八王子駅では「夕焼小焼」、淵野辺駅では「銀河鉄道999」、小机駅では横浜F・マリノスの応援歌「We are F・Marinos」[新聞 6][38] が使用されている。 平均通過人員各年度の平均通過人員(人/日)は以下のとおりである。
今後の予定横浜線が登場する作品
その他
横浜線地下化推進運動沿線の相模原駅は長年にわたり、アメリカ軍補給廠が北側にあった関係で、南側の整備が進められてきた。しかし北側がアメリカ軍から日本政府に返還され、今後はコンベンション施設や行政機能などの都市機能の集約化が検討されているが、横浜線の相模原駅周辺は現在地上路線であることから、当時の相模原市長・加山俊夫は「横浜線が地上を走っていることが分断要因。南北一体で繁栄させねばならない」と、立体交差化を進めつつ、小田急多摩線との延伸も絡ませて、立体交差化の推進のために横浜線の地下化、ないしは高架化のどちらかで検討しているが、地元住民からは「立体交差化であるならば地下化を」という要望書が出されているとされる。 しかし、課題も多く、ネックとなっているのは地下化のための建設費用に数百億円程度の資金投入が必要になること、その大半は相模原市の行政負担を強いられる点、2つ目に橋本駅 - 相模原駅の間の主要な道路3本中のうちの2本がすでに立体交差化されており、踏切が交通のボトルネック(障壁)にはなっておらず、国道16号の慢性的な混雑緩和が必要、さらに小田急多摩線の延伸による地下化の拡大、ペデストリアンデッキ(歩道橋)の活用などをあげており、相模原の未来を考える会においては、地下化・高架化は慎重を期するべきとする意見もある[42]。 脚注注釈
出典
報道発表資料
新聞記事
参考文献
関連項目外部リンク
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