フレデリック・マコヴィッキィ(Frédéric Makowiecki, 1980年11月22日 - )は、フランス・アラス出身のレーシングドライバーである。
現在はポルシェのファクトリードライバーとして、FIA 世界耐久選手権やウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦しており、ニュルブルクリンク24時間レース(2018年)やセブリング12時間レース(2018-20年、GTLMクラス)での優勝経験を持つほか、ホンダや日産からSUPER GTのGT500クラスに出場した経歴も持つ。
経歴
初期
14歳から本格的にレーシングカートでキャリアを始める。2000年にフランスF3選手権のBクラスに参戦、シリーズ4位に入った。以降はGTカーレースのでの活動が中心となり、2001年からフランスGT選手権やポルシェ・カレラカップに参戦。2010年にはこの年から世界選手権に格上げとなったFIA GT1世界選手権に参戦を開始し、シリーズ3位を獲得。また、2011年はスポット参戦ながら、4勝を挙げる活躍を見せた。その活躍から来期のプジョー・908でのル・マン24時間レース参戦の計画が上がったが、同年限りでプジョーがプログラムを中止した事で立ち消えとなった。以降、2023年にポルシェでのハイパーカーに加入するまでは、LMGTEでのル・マン参戦を続ける事となる。
日本での経歴
2013年
それまでのFIA GT選手権等での活躍が評価され、ミシュランの推薦で童夢レーシングと契約しSUPER GTに参戦した[1]。第5戦鈴鹿1000kmではポールポジションからスタートした日産23号車を中盤で交わし、チームメイトの山本尚貴と共に初優勝を飾った[2]。表彰台はこの1回に留まったものの、シーズンを通して安定した成績を残し、最終戦までタイトル獲得の権利を残してシリーズランキング4位を記録した。翌2014年についても引き続き童夢から参戦予定であったが、帰国後に家族からの強い反対を受け、後に童夢側との合意の下、契約を解除するに至った[3]。
2014年鈴鹿1000kmにて。
2014年
童夢との契約解除の直後の12月、ポルシェとワークスドライバー契約を結び、翌年はポルシェ・チーム・マンタイからFIA 世界耐久選手権のGTE-Proクラスに参戦していたが、7月3日に童夢が第4戦SUGOよりジャン=カール・ベルネイに代わってマコヴィッキィを起用すると発表した。この起用に関して、童夢は「シリーズ後半戦に向けチームの総合力をさらに高めることを目指し、クルマの進化と性能促進を可能な限り早めるために広範囲な経験を持つドライバーを起用することを決定した」と発表している[4]。
復帰2戦目の第5戦富士では2度の赤旗が出される荒れた天候のレースを制し、NSX CONCEPT-GTにとって初の優勝となった[5]。FIA 世界耐久選手権へはSUPER GTと平行して参戦し、バーレーン6時間レースと日程の重なった第8戦もてぎに関しては欠場し、代わってこの年GP2シリーズに参戦していた伊沢拓也がステアリングを握った[6]。
2019年
CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(2019年)
日産から5年ぶりにGT500クラスに復帰し、平手晃平と共にNDDP RACINGから参戦した[7]。第7戦菅生ではミシュランタイヤの優位を生かし、ウエットコンディションで独走の優勝を果たした[8]。最終戦ではエンジントラブルによりグリッドに着くことが出来ず、9位でシーズンを終えた。シリーズ終了後、翌年はウェザーテック・スポーツカー選手権へのフル参戦が決定したため、1年で再びSUPER GTを去ることとなった。
世界耐久選手権
アストンマーチン(2013)
SUPER GT参戦と並行しながら、アストンマーティン・レーシングよりFIA 世界耐久選手権のLMGTE Proクラスに参戦。オースティン6時間と富士6時間でそれぞれ優勝を飾った[9]。
ポルシェ(2014-24)
ポルシェ・963(2024年スパ6時間にて)
2013年12月、ポルシェはマコヴィッキィと翌年からのワークスドライバー契約を結んだことを発表した[10]。マルコ・ホルツァー(後半戦はパトリック・ピレに交代)と共にFIA 世界耐久選手権を走るポルシェ92号車をドライブし、開幕戦シルバーストーンと第6戦上海で優勝してランキング2位となった。2019年は前述の通り、日産からSUPER GT参戦の為、プログラムを一時休止したが、2020年に再び再開。ハイパーカー規定に変わった世界耐久選手権にて、ワークス活動を再開するポルシェが送り込むポルシェ・963の開発ドライバーに就任。活動再開年となる2023年にレギュラードライバーとして念願だったプロトタイプマシンでの参戦となった[11]。2024年シーズンを持ってポルシェから離脱を発表した[12]。
アルピーヌ(2025)
ポルシェ離脱後の去就が注目されたが、2024年11月28日付でアルピーヌに加入した事が発表された[13]。
レース戦績
- 2000年 - フランスF3選手権Bクラス 4位
- 2003年 - フランスポルシェカップ
- 2004年 - フランスポルシェカップ
- 2006年 - フランスポルシェカップ
- 2007年 - フランスポルシェカップ
- 2008年 - フランスポルシェカップ
- 2009年 - フランスポルシェカップ
- 2010年
- FIA GT1世界選手権(ヘクシスAMR No.9 アストンマーティン DBR9)(シリーズ3位)
- フランスポルシェカップ
- 2011年
- FIA GT1世界選手権(マーク VDS レーシングチーム No.41 フォードGT1)(シリーズ11位)
- ル・マン24時間レース・GTEクラス(ラグジュアリー レーシング No.59 フェラーリ 458)
- 2012年
- FIA GT1世界選手権(ヘクシスレーシング No.1 マクラーレン MP4-12C)(シリーズ2位)
- ル・マン24時間レース・GTEクラス(ラグジュアリー レーシング No.59 フェラーリ 458)(クラス2位)
- 2013年
- 2014年
- 2015年
- FIA 世界耐久選手権 LMGTE Proクラス(ポルシェ AG チーム・マンタイ No.92 ポルシェ 911 RSR)(シリーズ5位)
- ユナイテッド・スポーツカー選手権 GTLMクラス(ポルシェ・ノースアメリカ Rd.1,2,12 No.912 ポルシェ 911 RSR Rd.3 No.911 ポルシェ 911 RSR)(シリーズ12位)
- 2016年
- IMSAスポーツカー選手権 GTLMクラス(ポルシェ・ノースアメリカ No.912 ポルシェ 911 RSR)(シリーズ4位)
- ル・マン24時間レース LMGTE Proクラス(ポルシェ・モータースポーツ No.92 ポルシェ 911 RSR)(決勝DNF)
- ニュルブルクリンク24時間レース SP9クラス(マンタイレーシング No.912 ポルシェ 911 GT3 R)(決勝DNF)
- 2017年
- FIA 世界耐久選手権 LMGTE Proクラス(ポルシェ・GTチーム No.91 ポルシェ 911 RSR)(シリーズ4位)
- IMSAスポーツカー選手権 GTLMクラス(ポルシェ・GTチーム No.911 ポルシェ 911 RSR)(シリーズ19位)
- ニュルブルクリンク24時間レース SP9クラス(マンタイレーシング No.911 ポルシェ 911 GT3 R)(決勝DNF)
- 2018年
- インターコンチネンタルGTチャレンジ Proクラス(Rd.1~3 マンタイレーシング、Rd.4 Wrightモータースポーツ No.911 ポルシェ 911 GT3 R)(シリーズ12位)
- ブランパンGTシリーズ・エンデュランスカップ Proクラス(マンタイレーシング No.911 ポルシェ 911 GT3 R)(シリーズ45位)
- ル・マン24時間レース LMGTE Proクラス(ポルシェ・GTチーム No.91 ポルシェ 911 RSR)(決勝16位・クラス2位)
- スパ・フランコルシャン24時間レース Proクラス(マンタイレーシング No.911 ポルシェ 911 GT3 R)(決勝29位・クラス19位)
- ニュルブルクリンク24時間レース SP9クラス(マンタイレーシング No.912 ポルシェ 911 GT3 R)(総合優勝)
- 2019年
- SUPER GT・GT500クラス(NDDP Racing with B-MAX No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)(シリーズ9位)
- IMSAスポーツカー選手権 GTLMクラス(ポルシェ・GTチーム No.911 ポルシェ 911 RSR)(シリーズ15位)
- ル・マン24時間レース LMGTE Proクラス(ポルシェ・GTチーム No.91 ポルシェ 911 RSR)(決勝21位・クラス2位)
- ニュルブルクリンク24時間レース SP9クラス(マンタイレーシング No.1 ポルシェ 911 GT3 R)(決勝DNF)
- スパ・フランコルシャン24時間レース Proクラス(ローヴェ・レーシング No.998 ポルシェ 911 GT3 R)(決勝2位)
フォーミュラ
フランス・フォーミュラ3選手権
グランドツーリング
FIA GT3ヨーロッパ選手権
FIA GT選手権
FIA GT1世界選手権
ブランパン耐久シリーズ/ブランパンGTシリーズ・耐久カップ
SUPER GT
インターコンチネンタルGTチャレンジ
(key)
スパ・フランコルシャン24時間レース
ニュルブルクリンク24時間レース
スポーツカー
インターコンチネンタル・ル・マン・カップ
(key)
FIA 世界耐久選手権
- 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ。(key)
- †:そのシーズンはドライバーズ選手権が懸けられていなかったので、替わりにLMGTE Proトロフィの順位を載せる。
- * : 今シーズンの順位。(現時点)
ユナイテッド・スポーツカー選手権
ル・マン24時間レース
デイトナ24時間レース
セブリング12時間レース
脚注
外部リンク
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GT500 | |
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GT300 |
- 10: GAINER(星野一樹/石川京侍)
- 11: GAINER(平中克幸/安田裕信)
- 33: X WORKS(ショウン・トン/マーチー・リー(Rd.1-5)/道見真也(Rd.2,5,6-8))
- 48: NILZZ Racing(田中勝輝/飯田太陽/浜野彰彦(Rd.2,5))
- 56: KONDO RACING(平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ)
- 360: TOMEI SPORTS(青木孝行/田中篤(Rd.1,2,5,6)/柴田優作(Rd.2,3,5,7,8))
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