ハッピーセットハッピーセットは、ハンバーガー店・マクドナルドが販売しているセット商品である。英語圏ではHappy Meal(ハッピー ミール)と称され、1979年から登場した[2]。 ![]() 日本では1987年10月から「お子さまセット」として登場し、1995年6月から「ハッピーセット」となった[3][4]。子供を対象にしているが、子供のみならず幅広い年代層の人気を集めている。本稿では日本マクドナルドの「ハッピーセット」について記述する。 概要一般レストランのお子様ランチに相当するセットメニューであり、最初は「お子さまセット」という名前だった[5]。ハンバーガーやチキンマックナゲットなどにドリンクやサイドメニューを加え、おまけである玩具(キャラクターグッズ、日本では2018年から代わりに本(絵本または図鑑を選択可能)、後述)をセットにした商品である。ドリンクやポテトはすべて一番小さいSサイズであり、朝マックやクーポン券限定のメニューもある。購入に際しては特に年齢制限がないため、大人でも購入することが可能となっている[6]。一方、 2024年に展開された『星のカービィ』のように、保護者とみられる客が複数個購入したことが問題視された例もあった[7]。 チャリティーであるドナルド・マクドナルド・ハウスへの協力の一環として、2005年以降は1セットにつき1円の寄付がおこなわれ、2017年以降は「マックハッピーデー」に1セットにつき50円の寄付がおこなわれている[8][9]。 2007年には、日本マクドナルドでの年間販売個数が史上初めて1億個を突破した[10]。 2008年12月20日には、「ポケモン『ぴかポケ』」の販売個数が日本マクドナルドでの1日間の販売個数としては最多となる122万1151個を達成した[11]。 元々ハッピーセットは親子の団欒を提供するという発想から誕生したものであり、親子の会話が弾むネタを探すうちに、保護者が幼少期に親しんでいたテレビアニメの復刻版や誰もが参加できるような音楽やスポーツが題材となった[5]。2010年の時点では、年間17から18程度のプログラム(1プログラムにつき3週間)が用意されていた[5]。 また、玩具の安全基準は独自のものが採用されており、分解できないようになっている[12][注釈 1] 2010年から登場したプラレール[13]と2014年から登場したトミカ[14]は毎年発売されるほど人気が高く[15]、2015年以降は、毎年春にトミカ、毎年秋にプラレールが発売されるのが恒例となっている。玩具の多くは男児向きと女児向きに分けられていたが、2021年5月から性別による区分けを廃止し、「かっこいい系」「かわいい系」に変更された[4]。マクドナルドはニュースサイト「ねとらぼ」による2024年の記事の中で「お子様が好きなものを選び、遊びから興味関心や学びにつながることがあれば嬉しいという気持ちで、変更することに至りました」と答えており、CMにおいても男女双方の子役の俳優を起用したと述べている[4]。この記事の中で、マクドナルドはデータはないとしつつも、子どもたちが自分の好きなおもちゃを自由に選んでくれていると述べている[4]。また、同様の理由から「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン オールスターズ」や「ポケモン」などタイプ区別のない玩具も展開している[4]。 2022年1月7日販売分より、玩具の開発において、幼児の発達支援の専門家である沢井佳子(日本こども成育協会理事、チャイルド・ラボ所長)が監修に関わるようになった[16][17]。 ![]() また、2018年2月23日~5月6日には玩具を回収してトレーとしてリサイクルする「ハッピーりぼーん」プロジェクトが展開された[18]。2020年は春休みなど、子どもの長期休暇に合わせて同様の施策が取られた[19]。そして、2021年からは通年の施策となった[19]。 2021年9月下旬、アメリカのマクドナルドの方針に沿う形で、日本マクドナルドは2025年末までにすべてのハッピーセットの玩具をプラスチックから持続可能な素材に切り替える方針を立てた[20]。 登場キャラクターの変移日本では、1987年10月に初めて登場した際のおまけの玩具はダイヤブロックである[3]。それ以降はアメリカと連携を取りながら、ドナルドをはじめとするオリジナルキャラクターが登場する。1990年代以降はオリジナルキャラクターだけでなく、ディズニー作品のキャラクターのように人気のあるキャラクターが登場するようになる。1998年の『ムーラン』で初めて全世界でのプロモーションが展開された[2]。 2001年12月に登場したポケットモンスターシリーズを皮切りに、国外のキャラクターに代わって、日本製キャラクターが多く起用されるようになった一方で、ディズニーキャラクターが起用されなくなった。これは、マクドナルドが子供に対して高カロリーのファーストフードを販売しているという批判が近年になってアメリカで巻き起こり、イメージの悪化を恐れたディズニー側が契約更新を打ち切り、全世界でディズニーキャラクターの使用を拒否したからである[21]。ディズニーとの関係は2018年に栄養バランスの改善によって再開された[22]。 日本のキャラクターが全世界のハッピーセットに採用される場合もあり、たとえば『ハローキティ』は日・欧・米で別々の企画が実施された[5]。このような企画は日本とそれ以外の地域で展開する時期がずれやすく、たとえば『ドラえもん』の場合、韓国などでは映画版が1年遅れで上映されることから日本のハッピーセットにあるような映画版のキャラクターやひみつ道具などが使えないため、内容を変更して展開されることが多い[5]。また、日本国外のみで展開された例もあり、たとえば『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』とサンリオキャラクターのコラボレーションは、2024年3月にベルギーのマクドナルドで展開されたのち[23][24]、カナダ[25]や韓国[26]でも展開された。 オリジナルキャラクターは2003年頃からあまり登場しなくなったが[27]、公式には今後も登場する可能性はあると回答されている[6]。一方、キャラクターではなくマクドナルドそのものをモチーフとした例もあった。たとえば2019年に展開された「なりきりマクドナルド」は子どもたちがマクドナルドの従業員になりきることができる点が評判を呼び、2021年と2023年にも展開された[28]。他方、既存キャラクターにマクドナルドの要素を加えた例もあった。たとえば『鬼滅の刃』とのコラボレーション(2021年3月)[29]や、『ちいかわ』とのコラボレーション(2024年8月に)[30]においては、いずれもマクドナルドの従業員の制服を着たキャラクターをあしらったシールが提供された。 商品化されたキャラクター
マクドナルドオリジナル商品
日本国内作品
外国作品
日本国外のみ展開された日本国内作品日本国外のみ展開された海外作品
ほんのハッピーセット2018年7月20日からは日本において、おまけとして玩具の代わりに絵本(著名絵本作家による描きおろし作品、もしくは劇場公開映画の絵本[59]もしくは既存の絵本・児童書のハッピーセット書下ろしの絵本[60])・ミニ図鑑(小学館『小学館の図鑑NEO』をベースにした編集版)を提供する『ほんのハッピーセット』を開始した[注釈 4][61][注釈 5]。 読みきかせなどふれあいの場を作るという目的があり、絵本は子どもの心の成長を促すため、図鑑は知的好奇心を掻き立てるためという観点から、1冊ずつの提供となっており、いずれも子どもが一人で読める長さである[61][64]。 マクドナルドは「Dtimes」とのインタビューの中で、作家には「道徳心」や「多様性を認める心」、「想像力を育てる」といった内容を盛り込んでほしいと伝えている一方、最終的な内容は作家に任せていると話している[64]。 発売開始から1年間で配布数は1000万冊を超えた[65]。また、マクドナルドによると、消費者から「子どもがマクドナルドの本で読書に親しみ、書店で本を購入した」という声も寄せられたという[66]。 2020年3月20日開始の第十弾からは絵本にパズル、図鑑にシールが付属するようリニューアルされた。 2024年11月15日の『深海のサバイバル 特別編』からはラインナップに漫画が加わり、今後は不定期で展開する予定である[67]。 また、2024年11月30日からは絵本のコンクール「ハッピーえほん大賞」が開かれる[68]。この部門は一般部門と子ども部門があり、一般部門でグランプリを受賞した作品は2026年冬の「ほんのハッピーセット」に採用される予定である[68]。
論争アメリカ合衆国におけるハッピーセット規制条例アメリカでは、児童の食生活からくる肥満が深刻化し、対策が課題となっている[110]。そうした背景から、おまけの玩具で購入の動機づけを行うハッピーセットも問題視されるようになった。2010年11月9日、カリフォルニア州サンフランシスコ市議会では、ハッピーセットを含む子供向けの高カロリーメニューの販売を規制する条例案を可決。条例ではカロリーと脂肪分を大幅に抑えるよう義務付けており、同市内のマクドナルドでは2011年12月より現行のセットメニューが発売できなくなった[111]。しかしながらおまけのないメニューは条例の対象外であり、本来おまけであった玩具は少額追加により販売される形となった[112]。一方でこの条例の影響により、献立自体もより健康的に改訂されたといわれる。 混雑・転売問題玩具への人気の高さから、混雑が起きたり、転売する者が出てきた例もあった。 うち、2024年に展開された『星のカービィ』の玩具は発売早々すぐに売り切れ、転売も横行したほか、交通に支障が出る店舗もあった[7]。フジニュースネットワークによると、転売に加え、我が子のために複数のハッピーセットを注文している保護者もいたという[7]。 以上の混乱から、日本マクドナルドは3月第2週に予定していた同作とのコラボレーションを中止した[7][113]。また、『星のカービィ』以降のハッピーセット[114]や同作とマクドナルド以外の企業によるコラボレーション[115]に際しては、混乱の再発を懸念する声もあった。他方、転売した者たちがあまり儲からなかったのではないかと見る向きもある[116]。 また、2025年5月に展開された『マインクラフト ザ・ムービー』と『ちいかわ』(いずれも第1弾)の場合、発表時点から注目を集めており、当初の予定よりも早い5月19日までに第1弾の配布が終了した[117][118]。日本マクドナルドも購入点数制限を設け、転売ほか営利目的での購入をしないよう注意喚起を行っていたが、転売する者もいた[117]。また、食品が廃棄されていたという報告も寄せられ、物議をかもした[118]。ニュースサイト「マグミクス」は、前述の『星のカービィ』のように早い段階で売り切れる例があったものの、今回はその傾向が極端に加速したと指摘しており、その背景としてどちらも大人にも人気があることを挙げ[119]、「予想を上回る売れ行き」と「本来の顧客である子どもたちに届かない」という皮肉なジレンマになったと分析している[120]。その後、「マグミクス」は読者からさらなる購入制限を設ける声や、大人向けのグッズとハッピーセットを分けてほしいといった声、制限を設けることへの難しさを指摘する声が寄せられたと述べている[121]。5月23日には第2弾が展開され、第1弾と同様の購入制限が敷かれたものの、5月24日に販売終了となり、第3弾も取りやめとなった[122]。 関連文献
脚注注釈出典
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