フクースナ・イ・トーチカ (ロシア語 : Вкусно – и точка 、Vkusno i tochka)は、ロシア のファストフード チェーン である。ロシアのウクライナ侵攻 を受けて、マクドナルド がロシア国内の全店舗を閉鎖して実業家 のアレクサンドル・ゴボル (ロシア語版 ) に売却し、ゴボルが新ブランドで再オープンさせた。メニューはマクドナルドのものを引き継いでいる[ 1] [ 2] [ 3] [ 4] 。
歴史
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻 の後もマクドナルドはロシア国内の店舗の営業を継続していたが、ソーシャルメディア における非難 を受けて、同年3月8日、マクドナルドはロシア国内の店舗の一時休業 と、従業員への給与 の支払いの継続を発表した[ 5] [ 6] 。BBC のロシア担当デスク のスティーブ・ローゼンバーグ (英語版 ) は、マクドナルドのロシア1号店の開店が冷戦終結の象徴となったことを振り返り、ロシアのマクドナルドの閉店は「非常に象徴的」だと述べた[ 6] 。ロイター も、ロシア国内のマクドナルドが、「ソ連の崩壊 と、アメリカ の資本主義 の繁栄の象徴」として「象徴的な重要性」を持っていたと述べた[ 7] 。マクドナルド休業の報道を受けて、国家院議長 のヴャチェスラフ・ヴォロージン が「マクドナルドが閉店 を発表した。それは良い、閉店しろ! 明日には、マクドナルドではなくワーニャ伯父さん の店があるだろう」と言ったと報じられた。実際に、マクドナルドの"M"のロゴ を横倒しにして線を引いた「ワーニャ伯父さん」の商標登録 が出願された[ 8] 。このロゴマーク はモスバーガー の物に似ていると指摘された[ 1] 。
5月16日、マクドナルドはロシアから完全に撤退 することを決定した[ 9] 。5月27日、マクドナルドがロシア国内の店舗をロシアにおけるフランチャイザー であるアレクサンドル・ゴボルに売却すると報じられた。ロシア国内のマクドナルドを引き継ぐ会社のブランド 名として、特許 出願書類には"Fun and Tasty"や"The Same One"などの名前が記載されていた[ 10] 。ゴボルによる買収 が発表された直後、同社はマクドナルドの"M"のロゴを新しいロゴに変更した[ 11] 。新ブランド名は「フクースナ・イ・トーチカ」(ロシア語 : Вкусно и точка )とすることが発表された[ 12] [ 13] 。日本語 では「おいしい、それだけ」[ 14] 、「おいしい、以上」[ 15] などと訳 されている。
2022年6月12日、モスクワ市内の15店舗が新ブランドで営業を再開し[ 16] 、その翌日にはモスクワ市内とその周辺の50店舗で営業を再開した。
インタファクス通信 やタス通信 によると、2018年からウラジオストク などのロシア極東地域 にてファストフード店を展開している「イエダ・イ・トーチカ」[ 17] の経営者は「事実上うちの店名のコピー だ」として、法的措置も検討していることが2022年6月15日に報じられた[ 18] [ 19] 。7月2日には販売されていたバーガー のパン にカビ が生えていたとする写真 がSNSに投稿されるなど、品質管理を不安視する声もあがった[ 20] 。
2022年11月、フクースナ・イ・トーチカはロシアと同様の理由でマクドナルドが撤退したベラルーシ でもフランチャイズを展開することを明らかにし、マクドナルドから事業を引き継いだ上で同月22日から営業を開始することを発表した。同国大統領 のアレクサンドル・ルカシェンコ は「(マクドナルドが)撤退してくれてありがたい」と歓迎のコメントを出した[ 21] 。
メニュー
フクースナ・イ・トーチカの店舗に掲げられたメニュー
チェーンの総管理者によれば、物流システムの関係で、予定していた全てのメニューはまだ提供されていない。フクースナ・イ・トーチカでは、マックフルーリー、サラダ は提供されない。
2022年6月現在、フクースナ・イ・トーチカで提供されている商品は以下の通りである(括弧内は対応するマクドナルドの商品)。
脚注
出典
^ a b Андрей Абрамов, Абдулла Шакиров (2022年6月12日). “Объявлено новое название «Макдональдса» в России ”. Комсомольская правда . 2022年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年6月12日閲覧。
^ “Бывшая сеть ресторанов «Макдоналдс» в России будет называться «Вкусно и точка» ”. Meduza (2022年6月12日). 2022年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年6月12日閲覧。
^ “McDonald`s объявил об уходе из России ”. Ведомости (2022年5月16日). 2022年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年5月16日閲覧。
^ Дмитрий Катаев (2022年5月20日). “Кто такой Александр Говор, и какие активы у него в России? ”. Ksonline.ru. 2022年6月4日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年6月12日閲覧。
^ Harris, Sophia (2022年3月8日). “McDonald's, Starbucks, Coke, Pepsi join companies suspending business in Russia” . CBC News (Toronto ON: Canadian Broadcasting Corporation). オリジナル の2022年3月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220308183800/https://www.cbc.ca/news/business/mcdonalds-pepsi-boycott-russia-1.6376953 2022年3月8日閲覧。
^ a b “McDonald's, Coca-Cola and Starbucks halt Russian sales” . BBC News (London UK: British Broadcasting Corporation). (2022年3月8日). オリジナル の2022年3月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220308183559/https://www.bbc.com/news/business-60665877 2022年3月8日閲覧。
^ Russ, Hilary (2022年3月8日). “McDonald's, icon of post-Soviet era, to close all restaurants in Russia” . National Post . Reuters (Toronto ON). オリジナル の2022年6月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220613193710/https://nationalpost.com/news/mcdonalds-icon-of-post-soviet-era-to-close-all-restaurants-in-russia 2022年3月8日閲覧。
^ Harris, Sophia (2022年3月18日). “Russia aims to open its own version of McDonald's with similar logo after U.S. chain pulls out” . CBC News (Toronto ON: Canadian Broadcasting Corporation). https://www.cbc.ca/news/business/russia-mcdonald-s-logo-1.6389887 2022年3月19日閲覧。
^ Valinsky, Jordan. “McDonald's is leaving Russia altogether ”. CNN . 2022年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年5月16日閲覧。
^ “McDonald's new brand name in Russia could be 'Fun and Tasty' ”. CNN (2022年5月27日). 2022年5月29日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年5月29日閲覧。
^ Liang, Annabelle (2022年6月10日). “Russia's new version of McDonald's unveils logo” . BBC News . オリジナル の2022年6月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220610033415/https://www.bbc.com/news/business-61727807 2022年6月10日閲覧。
^ “Вкусно и точка". Что открылось в Москве вместо "Макдоналдса ” (ロシア語). BBC News Russian (2022年6月12日). 2022年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年6月12日閲覧。
^ “Vkusno i tochka: McDonald's restaurants reopen in Russia under new name ”. Reuters (2022年6月12日). 2022年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年6月12日閲覧。
^ “マクドナルド後継店が開店 新名称は「おいしい。それだけ」―ロシア” . 時事通信社 . (2022年6月12日). https://web.archive.org/web/20220612053512/https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061200187&g=int 2022年6月14日閲覧。
^ “ロシア版マクドナルド、新店名は「おいしい、以上」” . AFP. (2022年6月12日). https://www.afpbb.com/articles/-/3409398 2022年6月14日閲覧。
^ Roth, Andrew (2022年6月12日). “McDonald’s restaurants in Russia reopen under new brand ” (英語). The Guardian . 2022年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ 。2022年6月13日閲覧。
^ 日本語で「食事。それだけ」の意味。
^ “ロシア版マクドナルドの新名称、国内で変更求める声 裁判の可能性も ”. 朝日新聞 (2022年6月15日). 2022年6月17日閲覧。
^ “マック後継店の名称変更を ロシア、ウラジオの同業店主 ”. 共同通信 (2022年6月16日). 2022年6月17日閲覧。
^ “「パンにカビ」で残念なあだ名も ロシアのマック後継チェーンで騒動” . 朝日新聞 . (2022年7月5日). https://www.asahi.com/articles/ASQ751C2VQ74UHBI038.html 2022年7月6日閲覧。 ⚠
^ “ベラルーシ大統領、米マクドナルド撤退「ありがたい」 ”. AFP通信 (2022年11月18日). 2022年11月19日閲覧。
^ “「ビッグマック」新製品名で販売続く、マクドナルド撤退のロシア” . ロイター通信 . (2022年6月17日). https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-mcdonald-s-corp-idJPKBN2NY033 2022年6月17日閲覧。
関連項目
外部リンク