はらぺこあおむし『はらぺこあおむし』(原題: The Very Hungry Caterpillar)は、アメリカ合衆国の絵本作家エリック・カールが1969年に出版した幼児向け絵本[1]。 アメリカ・グラフィックアート協会賞を受賞。鮮やかで大胆な色使いの絵と、穴の開いた仕掛け絵本という個性的なアイデア、シンプルでわかりやすいストーリーから、全世界で累計5,500万部を販売するベストセラーとなった[1]。70以上の言語に翻訳されており、日本では1976年に、もりひさし訳で偕成社より発売されている。 あらすじ暖かな日曜日の朝に、卵から生まれたちっぽけなあおむしは、とても腹ペコだった。 食べ物を探しに出たあおむしは、月曜日にはりんごを1つ、火曜日には梨を2つたいらげて、少しずつ成長していく。それでも、まだまだ腹ペコだったあおむしは、水曜日にはすももを3つ、木曜日にはいちごを4つ、金曜日にはオレンジを5つ食べ続けていく。 土曜日にはチョコレートケーキとアイスクリームとピクルスとチーズとサラミとペロペロキャンディーとさくらんぼパイとソーセージとカップケーキとスイカを食べすぎてお腹を壊してしまうが、その後の日曜日には緑の葉っぱを食べたことで回復して元気になる。様々な食べ物を食べたあおむしは、すっかりふとっちょになり、やがてさなぎになり何日もの間ひたすら眠る。 そして最後には、それは美しい蝶へと変身する。 造本いわゆる仕掛け絵本で食べた箇所は穴が開いている。この部分は幼児が指を入れても破れにくいように、丈夫な厚紙で作られている。穴開けパンチで紙に穴を開けているとき、虫が本を食べるという絵本のアイデアを思い付いた[2]。 1969年にアメリカではじめて発売された版を印刷・製版したのは日本の会社だった[1]。当時穴を開けたりページを小さく切った仕掛け絵本はコストがかかるため、アメリカでは引き受ける会社が見つからなかった。そこで担当編集者が日本の会社を見つけてきたという[2][3]。 現在、はらぺこあおむしは世界各国において、特に幼児に読まれている。 出版情報カールは、1985年に初期の絵本『はらぺこ あおむし』の絵をすべて描き直した。現在出回っている絵本の多くは、その新しい原画をもとに作り直した改訂新版である。
日本日本では、1976年初版。通常版のほか、「ボードブック版」や「ビッグブック版」が発売されている[1]。 2007年9月時点で、日本では通常の絵本版は290万冊、ボードブック版は93万冊が発行されていた[4]。2018年現在では、発行部数は通常の絵本版は399万部[5]、ボードブック版は239万部[6]に伸びている。また、オリコン週間“本”ランキングでは、ボードブック版が2008年4月 - 2017年11月13日付の集計で100.2万部を記録した。同ランキングでの最高位は書籍総合部門で101位であり、総合100位圏内に一度もランクインせず100万部を突破することになった[7]。 公益財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構主催の「ようちえん絵本大賞」では、第1回(2009年開催)[8]と第2回(2010年開催)[9]で大賞を2年連続で受賞した。
関連商品日本では2006年にコスモマーチャンダイズィングが商品化権を獲得[10]。日本では関連商品として、ランチプレートやマグカップ、お茶碗、スプーン・フォーク、トランプ、ペンスタンドなどが販売されている。さらに、ぬりえ絵本「わたしだけのはらぺこあおむし」も発売されており、当該絵本はカールの説明の横に「色を塗った人」として自分の説明も書ける。 長らく、キャラクター商品では絵本と同じ図柄しか使用できず、背景も白地に限られるという制約があった[10]。コスモマーチャンダイズィングが著作権元のエリック・カール・スタジオと交渉を重ねた結果、絵本以外のデザイン・絵本とは異なる色合いなどの商品化が全世界で認められるようになり、それまでデザインされていなかったあおむし以外の果物・植物などの図柄も制作された[10]。 2014年にはハローキティとコラボレートした衣料品をイオングループ限定で販売した[11]。『はらぺこあおむし』がほかのキャラクターとコラボレートするのはこれが世界初である[10]。また、2015年にはハローキティとのコラボレーション商品をサンリオから発売した[12]。 映像作品
音楽作品
ゲーム作品
トランプ
郵便切手エピソード
各国語版『はらぺこあおむし』は、日本語を含む60以上の言語で出版されている。以下の表はエリックカール公式ホームページなどを参考に作成したものである。
脚注
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