第32回スーパーボウル
第32回スーパーボウル(だい32かいスーパーボウル、Super Bowl XXXII)は1998年1月25日にカリフォルニア州サンディエゴのクアルコム・スタジアムで行われた32回目のスーパーボウル。AFCチャンピオンであるデンバー・ブロンコスとNFCチャンピオンであるグリーンベイ・パッカーズの対戦。ブロンコスがパッカーズを31-24で破って、5度目の出場でチーム創設以来初めてのスーパーボウル制覇を果たした。MVPはブロンコスのランニングバックであるテレル・デービスが受賞した。ブロンコスの勝利で第19回スーパーボウルから続いていたスーパーボウルでのNFCチームの連勝は、13連勝で止まった[1]。ワイルドカードからプレーオフを勝ち上がったチームがスーパーボウルを制覇したのは2度目のことであった[1]。また、ブロンコスのQBエルウェイはQBの当たり年として知られた83年ドラフトの1巡目指名のQB(83年組)であり、83年組が10回目の挑戦で初めてスーパーボウルに勝利したことが話題となった。 テレビ中継はNBCが担当した。 背景1993年10月26日にシカゴで行われたオーナー会議でサンディエゴでの開催が決まった。サンディエゴで開催される大会は第22回スーパーボウル以来10年ぶり2度目のことであった。 グリーンベイ・パッカーズパッカーズは、13勝3敗の成績でNFC中地区優勝、2年連続スーパーボウル出場を果たした。オフェンスは得点でリーグ2位、獲得ヤードでリーグ4位、ディフェンスは失点でリーグ5位、喪失ヤードで7位の成績を残した。 ブレット・ファーヴはパス513回中304回成功、3,867ヤードを獲得、35タッチダウン、16インターセプト、ランでもチーム2位の187ヤードを走り、史上初の3回目のMVPに選ばれた選手となった(この年はデトロイト・ライオンズのバリー・サンダースとともに同時表彰。)。WRアントニオ・フリーマンがチームトップの81回のレシーブで1,243ヤードを獲得、12タッチダウンをあげた。WRロバート・ブルックスがディープスリートとして60回のレシーブで1,010ヤードを獲得、7タッチダウンをあげた。TEマーク・チュムラは38回のレシーブで417ヤードを獲得、6タッチダウン、プロボウルに選ばれた。RBドーシー・レーベンスは1,435ヤードを走り7タッチダウン、53回のレシーブで373ヤードを獲得、プロボウルに選ばれた。FBウィリアム・ヘンダーソンは113ヤードを走るとともに、41回のレシーブで367ヤード、1タッチダウンをあげた。スペシャルチームではビル・シュローダーが33回のパントリターンで342ヤード、24回のキックオフリターンで562ヤードを獲得した。 ディフェンスラインではベテランのレジー・ホワイトがチームトップの11サックをあげた。ラインバッカーでは、サンタナ・ドットソンが37タックル、5.5サックをあげた。ディフェンスバックでは、リロイ・バトラーがチームトップの5インターセプトに加えて70タックルをあげた。Sユージン・ロビンソンはチームトップの74タックルに加えて2.5サック、2ファンブルリカバー、1インターセプトを記録した。CBマイク・プライアーが4インターセプト、新人のダレン・シャーパーは2インターセプトし、いずれもリターンタッチダウンをあげた。 デンバー・ブロンコスブロンコスは、第12回スーパーボウル、第21回スーパーボウル、第22回スーパーボウル、第24回スーパーボウルとこれまでスーパーボウルに4回出場したがいずれも敗れた。しかも彼らは大差で敗れており、4試合の得失点は、50得点に対して163失点であった。過去3回のスーパーボウルの先発QBはジョン・エルウェイで彼は4年間で3回AFCチャンピオンシップゲームで勝利、スーパーボウルに出場した。彼は1991年にもAFCチャンピオンシップゲームにチームを導いたが、バッファロー・ビルズに7-10で敗れ第26回スーパーボウル出場は果たせなかった。 1995年、マイク・シャナハンがヘッドコーチに就任した。シャナハンは、ダン・リーブスの下で攻撃コーディネーターを務めていたが1991年に解雇され、1992年から1994年まではサンフランシスコ・フォーティナイナーズの攻撃コーディネーターとして第29回スーパーボウル優勝を味わった。彼の在任中、ナイナーズのオフェンスは毎年獲得ヤードでリーグ1位であった。1995年のドラフト6巡でテレル・デービスを獲得、彼はチームのラン攻撃再建のキーパーソンとなった。彼は1年目に1,117ヤードを獲得、この年チームは8勝8敗であった。 1996年、オフェンスはリーグトップの5,791ヤードを獲得、AFCトップの13勝3敗の成績をあげたが、プレーオフでチーム創設2年目のジャクソンビル・ジャガーズに27-30で敗れた。 1997年もオフェンスはリーグトップの5,872ヤードを獲得、リーグトップの472得点をあげた。12勝4敗で13勝3敗をあげたカンザスシティ・チーフスに次いでAFC西地区2位でシーズンを終えた。 テレル・デービスは、1,750ヤードを走り、15タッチダウン、42回のレシーブで287ヤードを獲得した。37歳のエルウェイは、3,635ヤードを獲得、27タッチダウン、11インターセプトの成績でプロボウルに選ばれた。TEシャノン・シャープが72回のレシーブで1,107ヤード、ドラフト外入団で過去2年間に22回のレシーブ、389ヤード、3タッチダウンであったWRロッド・スミスが70回のレシーブで1,180ヤード、12タッチダウンと活躍した。1994年にシャナハンの下でナイナースでプレーしたWRエド・マカフリーが45回のレシーブで590ヤード、8タッチダウンをあげた。オフェンスラインには、7度目のプロボウルに選ばれたLTゲイリー・ジマーマン、Cトム・ネイレンもプロボウルに選ばれた。 ディフェンスラインには、元カンザスシティ・チーフスのニール・スミスが28タックル、6.5サックをあげた。DEアルフレッド・ウィリアムズも36タックル、8.5サック、ラインバッカーには、55タックル、2サックをあげたビル・ロマノウスキー、4サック及びチームトップの97タックルをあげたジョン・モブリー、ディフェンスバックにはチームトップの4インターセプトをあげたタイロン・ブラックストン、53タックル、1サック、2ファンブルフォース、2インターセプトをあげたスティーブ・アトウォーター、50タックル、2サック、4ファンブルリカバー、4インターセプトをあげたダリエン・ゴードンの存在があった。 プレーオフブロンコスは、ジャクソンビル・ジャガーズに42-17、カンザスシティ・チーフスに14-10、ピッツバーグ・スティーラーズに24-21で勝利し、スーパーボウル出場を決めた。 パッカーズは、タンパベイ・バッカニアーズに21-7、サンフランシスコ・フォーティナイナーズに23-10で勝利し、スーパーボウル出場を決めた。 試合前の話題前年の第31回スーパーボウルでニューイングランド・ペイトリオッツを35-21で破ったディフェンディングチャンピオンのパッカーズが13勝3敗、プレーオフでも楽勝していたことから、12勝4敗でプレーオフでも接戦を演じたブロンコスより11.5点有利と予想された。 各選手はスーパーボウルのロゴが縫い付けられたユニフォームでプレーした。ロゴ入りのユニフォームで選手がプレーしたのは第25回スーパーボウルに続いて2度目のことであった。 放送とエンターテインメントNBCが全米中継を行い、実況をディック・エンバーグ、解説をフィル・シムズ、ポール・マグワイアが担当した。 日本ではNHK-BS(実況:近藤冨士雄、解説:大社充)の他に、日本テレビが4年ぶりに中継を行った(実況:増田隆生、解説:後藤完夫、ゲスト:掛布雅之)[2]。 ハーフタイムショーには、ボーイズIIメン、スモーキー・ロビンソン、テンプテーションズ、フォー・トップスが出演した。 試合経過
ファーヴからフリーマンへの13ヤードのタッチダウンパスでパッカーズが7-0と先制した。ブロンコスはデービスのタッチダウンで7-7の同点に追いついた[1]。 その後、ファーヴがロバート・ブルックスを狙ったパスをブラックストンがインターセプト、敵陣45ヤード地点からの攻撃権を得た。エルウェイの1ヤードのタッチダウンランで14-7とリード、さらにパッカーズの攻撃でアトウォーターがブリッツし、ファーヴがボールをファンブル、ニール・スミスがボールを敵陣33ヤード地点でリカバーした。ジェイソン・イーラムが51ヤードのFGを決めて第2Q残り12分21秒、ブロンコスは17-7とリードを広げた。前半残り12秒にチュムラが6ヤードのタッチダウンレシーブをあげた。後半最初のドライブでブロンコスはテレル・デービスがファンブル、第3Q残り11分59秒にライアン・ロングウェルの27ヤードのFGが成功、パッカーズが17-17の同点に追いついた。デービスの2回目のタッチダウンでブロンコスは24-17とリードした。第4Q初めにファーヴがフリーマンへの13ヤードのタッチダウンパスを通して24-24の同点となった[1]。ブロンコスは、FBハワード・グリフィスへの23ヤードのパス、パッカーズの2度の反則で25ヤードを前進、第4Q残り1分45秒にデービスがあげた1ヤードのTDランが決勝点となった[1]。パッカーズの最後の攻撃では第4ダウンにファーヴが投げたパスをモブリーがたたき落として試合は終わった[1]。 テレル・デービスは、偏頭痛に悩まされながら30回のランで157ヤードを走り[3]スーパーボウル史上初めて3タッチダウンランをあげた[1]。ブロンコスディフェンスは、ブリッツを多用し、ファーヴから3回ターンオーバーでボールを奪った[1]。エルウェイは、パス22回中12回成功、123ヤード、タッチダウンなし、WRへのパスはマカフリーへの2回のみであった。 ファーヴは、パス42回中25回成功、3タッチダウン、1インターセプトであったがブロンコスディフェンスの落球でインターセプトとならなかったプレーが少なくとも3回はあった[1]。 スターティングラインアップトーナメント表
脚注
外部リンク |