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早稲田大学大学院教育学研究科・教育学部
早稲田大学教育学部(わせだだいがくきょういくがくぶ)は、早稲田大学が設置する教育学部。早稲田大学大学院教育学研究科(わせだだいがくだいがくいんきょういくがくけんきゅうか)は、早稲田大学が設置する大学院教育学研究科。
所在地
現在の使用施設
主要施設は東京都新宿区西早稲田の早稲田大学早稲田キャンパス(通称本キャン)内に設置されている。主に教育・総合科学学術院事務所が存在する早稲田キャンパス16号館や、教育学部学生読書室や教員就職指導室、各種実習室が所在する14号館、地球科学専修の実習室が所在する6号館を利用している[1]。その他、理学科生物学専修が、新宿区若松町のTWIns(先端生命医科学センター)に拠点を置くほか、理学科地球科学専修が栃木県那須塩原市に那須パルサー観測所を保有している。
新校舎計画
早稲田大学では、教育・総合科学学術院の教育環境整備を主たる目的とした早稲田キャンパスE棟(仮称・現9号館)の建設を計画している[2]。『現代の新たな「早稲田の森」を創る』のコンセプトの下、本物の緑によるバイオフィリックデザインを展開することとしている。2027年度の供用開始予定であり、地下1階地上15階、建築面積3,275.37㎡、延べ面積33,364.86㎡の建築規模となっている[3]
沿革
1903年(明治36年)に創設された早稲田大学高等師範部を母体とし、1949年(昭和24年)私立学校法公布に伴い、私立大学では日本で最初の教育学部として設置された[4]。当初から必ずしも教員の資格取得を義務づけない開放性の教育課程を実施している点が、教員養成のみを目的とする国公立大学の教育学部とは大きく異なり、本学部の大きな特徴となっている[4]。
教育と研究
組織
教育学部教員が所属する教育・総合科学学術院の下に、教育学部(教育学研究科)・教育総合研究所・教職支援センターが属する[5]。学士課程は文系4学科、理系2学科、学際系1学科(7学科2専攻7専修)により構成され[4]、修士・博士課程を擁する教育学研究科がある。また、理学科の教員が大学院先進理工学研究科の教員も兼担する関係から、先進理工学研究科・創造理工学研究科への進学も可能である[6]。また、同学部には教職課程のほか、博物館学芸員、図書館司書、学校図書館司書教諭、社会教育主事、社会福祉主事の課程も設置されている。
旧制高等師範部の流れを汲む同学部は、師範学校の流れを汲む所謂教員養成系の教育学部と異なり、旧制高等師範学校の流れを汲む広島大学教育学部・教育学研究科と同様に、伝統的に高等学校および高等教育(大学、高等専門学校)教員の養成を志向、2008年4月に初等教育学専攻を設置するまで初等教育の教員養成課程を有していなかった。全国最大の高等学校教員の輩出数を誇る早稲田大学において、教員養成の中核を占める[注釈 1]。
教育学部
- 教育学科
- 教育学専修
- 教育について多角的・総合的に学び、一般企業だけでなく青少年指導・行政職の人材を育成し、教育学の諸専門領域での研究者を養成する[7]。同専修の卒業生には「学士(教育学)」が授与される。
- 生涯教育学専修
- 社会教育や生涯学習について、現実の社会の具体的場面について学びつつ、それらを総合して理論的な考察を深め、理論と実践との往還のなかで思考力を高める[7]。同専修の卒業生には「学士(教育学)」が授与される。
- 教育心理学専修
- 教育心理学、発達心理学、臨床心理学などの各分野の心理学をカバーし、中でも教育心理学の特徴を重視している[7]。同専修の卒業生には「学士(心理学)」が授与される。
- 初等教育学専攻
- 2008年4月に開設され、小学校教員の養成を主たる目的とする[7]。初等教育や児童理解の原理と方法を学び、初等教育をめぐる環境や諸問題などについて幅広く、かつ専門的に学習する[7]。同専修の卒業生には「学士(教育学)」が授与される。
- 英語英文学科
- 英語学、英米文学、英語教育、言語運用等の分野に20名強の専任教員を擁し、英語科あるいは英文科としては国内屈指の教員数を誇る。英語運用力に対する学問的知識の裏づけを重視し、文学・言語学の両面から英語を学ぶカリキュラムとなっている[10]。同学科の卒業生には「学士(文学)」が授与される。
- 社会科 (社会「学」科とは称しない学科)
- 地理歴史専修
- 地理学(人文地理学・自然地理学)・歴史学(日本史・東洋史・西洋史)両方の学問領域について基礎を学んだ後、3年次に地理学・歴史学のいずれかを選択する[11]。副選択として公共市民学専修のカリキュラムを履修することも可能。同校において、地理学に関する教育、研究を担当する唯一の専攻である。同専修の卒業生には「学士(地理学)」、あるいは、「学士(歴史学)」が授与される。なお、同校の地理学分野はQS世界大学ランキングにおいて、東大、京大に次ぐ国内3位(世界51-100位)の評価を得ている[12]。
- 公共市民学専修
- 政治学、経済学、法律学、社会学、新聞学に関する講義や演習が用意されているほか、副選択として地理歴史専修のカリキュラムを履修することも可能。高校公民の教員免許を取得しやすいカリキュラムとなっている[11]。同専修の卒業生には「学士(公共市民学)」が授与される。2018年4月、社会科学専修から公共市民学専修に改称[13]。
- 数学科
- 現代数学の各分野にわたる科目の学習を行い、論理的思考を必要とする種々の領域で広く活躍できるような数学的素養を身につけた人の養成を目的とする[14]。解析学・代数学・幾何学・情報数学・数学教育学の基幹的講義を中心に、それぞれの分野を体系的に学ぶことができる[14]。また、同学科の学生が会計研究科の設置するアクチュアリー(金融分野における数理業務の専門家)専門コースを履修した場合、16単位までを修了単位として参入することが出来るが、これは、基幹理工学部数学科・応用数理学科が認めている修了単位数(3単位)より大きく、より履修し易い体制が整備されている[15]。同学科の卒業生には「学士(理学)」が授与される。
- 理学科
- 生物学専修
- 生命現象の基礎から最先端まで、分子から細胞・組織・個体・生態系まで、あるいは試験管の世界から野外の自然や地球環境まで、多様な視点をもって生物学を学ぶ[16]。植物生理学、植物生態学、分子生物学、細胞生物学、生殖生物学、分子生理学等をカバーしている。1学年の学生数は高校の1クラス程度である[16]。同専修の卒業生には「学士(理学)」が授与される。
- 地球科学専修
- 固体地球について、地質学・岩石学・鉱物学・鉱床学・古生物学などの観点から教育・研究を行う[16]。自然観察・フィールド調査を重視した教育・研究体制である[16]。地質学、岩石学、鉱物学等をカバーしている。同専修の卒業生には「学士(理学)」が授与される。
- 複合文化学科
- 自然科学から人文・社会科学にいたる多くの専門領域が併存する同学部の総合性を生かし、多面的諸相を持つ現代的課題に立ち向かう能力を持った人材を育成することを目的として、2000年4月に設置された「学際コース」を継承発展させる形で、2007年4月に開設された。英語以外の外国語の運用能力獲得に力を入れており、ドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語に関する専門演習が配されている[17]。同学科の卒業生には「学士(学術)」が授与される。
学部卒業生の主要進路
2022年度の卒業生916名中、大学院進学102名、資格試験等準備23名、就職705名、他であった。
また、主な就職先(就職者3名以上)は、以下の通り[18]。
- 教育
早稲田大学5名、東京大学、神奈川県教員各3名
- 通信
NTTデータ13名、楽天グループ9名、NTTドコモ6名、シンプレクス・ホールディングス3名
- 専門サービス[注釈 2]
ベイカレント・コンサルティング6名、野村総合研究所、デロイトトーマツコンサルティング各5名、PwCコンサルティング4名、日本総合研究所3名
- 金融
東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険各6名、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJ銀行、日本生命保険各4名、三井住友銀行、三井住友信託銀行、野村證券、SMBC日興証券、三井住友カード各3名
- 製造
三菱電機6名、日立製作所5名、富士通、日本IBM、キーエンス各4名、東芝3名
- 行政
国家公務員一般職9名、東京都職員Ⅰ類8名、特別区職員、神奈川県職員1種、千葉県職員、横浜市職員各3名
- その他
ベネッセコーポレーション、JCB、電通デジタル、ニトリ各4名、博報堂、ENEOS、レバレジーズ、大日本印刷、大塚商会、星野リゾート・マネジメント各3名
教育学研究科
1990年に修士課程、1995年に博士後期課程が開設された[19]。1998年には新たに数学教育専攻を加え、2003年には1年制修士課程を設置した(1年制修士課程は、2016年度から募集停止)[19]。
- 修士課程
- 学校教育専攻
- 国語教育専攻
- 英語教育専攻
- 社会科教育専攻
- 数学教育専攻
- 高度教育実践専攻 - 2008年に教職研究科(教職大学院)として創設されたが、2017年4月に教育学研究科と統合[19]。東京都教育委員会と提携関係にある[20]。
また、同研究科の修士課程で取得できる学位は、学校教育・国語教育・英語教育・社会科教育専攻では修士(教育学)または修士(実践教育学)、数学教育学専攻では修士(教育学)または修士(理学)である[21]。博士課程で取得できる学位は、教育基礎学専攻では博士(教育学)または博士(学術)、教科教育学専攻では博士(教育学)、博士(学術)または博士(理学)となっている[22]。
教育学研究科卒業生の主要進路
2022年度の教育学研究科(修士課程)の修了者は102名中、就職73名、進学6名、資格試験等準備5名、他であった。主な就職先は、教員就職として、東京都教員7名、神奈川県教員、埼玉県教員各2名等、一般就職として、東京都職員Ⅰ類3名、NTTデータ、アビームコンサルティング、野村證券、鹿島建設、ニトリ各1名等となっている[23]。
提携校
大学パンフレットに拠る[24]。
- 東京大学 : 博士後期課程の研究指導を中心とした大学院生の派遣及び受け入れ。
- 京都大学 : 博士後期課程の研究指導を中心とした大学院生の派遣及び受け入れ。
- 慶應義塾大学 : 大学院文学研究科及び社会学研究科との相互履修。博士後期課程の研究指導を中心とした大学院生の派遣及び受け入れ。
- 高麗大学校教育学科 : 学生の交流、教員の研究交流。
- 北京師範大学教育学部 : 学生の交流、教員の研究交流。
- ロンドン大学教育研究所 : 学術交流プログラムの締結。
主な卒業生
大学教員・研究者
初等中等教育教員
国会議員
地方政界
行政官
作家・歌人・俳人・脚本家・画家等
マスメディア関係者
経済界
その他
施設
脚注
注釈
- ^ 大学ランキング2013(朝日新聞出版 2012.4.17発行)によると、公立高等学校教員の採用数において早稲田大学(200人)は2位の日本大学(139人)を大きく引き離して首位となっている。また、同校が公表するデータ集によると、2011年度における同校の一種免許状取得者733名中319名が教育学部生であり、専修免許状取得者201名中111名が教育学研究科および教職研究科生となっている。
- ^ デロイトトーマツコンサルティングにはデロイトトーマツフィナンシャルアドバイザリー2名、PwCコンサルティングにはPwCアドバイザリー1名を含めている
出典
関連項目
外部リンク