名古屋市営地下鉄
名古屋市営地下鉄(なごやしえいちかてつ)は、名古屋市交通局が運営する地下鉄である。 現在は6路線が営業中で、守山区を除く名古屋市15区と日進市に路線がある[注釈 1]。営業キロ数は93.3km、駅数は87駅(以上2011年3月27日現在)。車両数は782両(2017年9月現在)[PR 1]。一日あたりの乗車人員は約134万人(2018年度現在)。なお、名古屋市の例規上の正式名は、名古屋市高速度鉄道である。 路線営業路線線路幅は全6路線中3路線が標準軌・第三軌条方式で、残る3路線が狭軌・架空電車線方式である。また鶴舞線と上飯田線の2路線は、下記の通り名古屋鉄道(名鉄)と相互直通運転を行っている。 また、名古屋市営地下鉄の駅や車内に掲示されている路線図には、名古屋市営地下鉄の路線以外に、直通先の名鉄線やゆとりーとライン(高架区間)、あおなみ線、リニモも掲載されていたが、現在は省略されている。
計画上の路線1992年(平成4年)の運輸政策審議会答申第12号で示されて以降、新たな整備計画は出されておらず、今後の安全対策や資金不足、費用対効果が薄いなどの理由により、2019年(平成31年)3月時点では新線建設は行わないとしている[2]。 運行形態→詳細は「名古屋市営地下鉄東山線 § 運行形態」、「名古屋市営地下鉄名城線 § 運行形態」、「名古屋市営地下鉄名港線 § 運行形態」、「名古屋市営地下鉄鶴舞線 § 運行形態」、「名古屋市営地下鉄桜通線 § 運行形態」、および「名古屋市営地下鉄上飯田線 § 運行形態」を参照
営業列車による運行時間は、午前5時30分から翌日午前0時30分までの19時間である。夜間は施設の保守時間として確保されている。名城線以外の基本的に区間運転を行わない各路線でも、初電・終電は途中駅発着の列車がある[注釈 2]。 2014年の7月以降は、東山線で金曜日と祝日前日(年末年始やお盆期間を除く)に限り終電を45分間延長した。「補助金カットを防ぎたい」という局長[要出典]と、「サービスを向上させたい」という名古屋市長河村たかしの意向で、2013年12月20日と27日に試行実施を行い、2014年7月4日以降、上下各2本[注釈 3]の臨時列車を運行している。 なお、曜日ダイヤ区分のうち、東山線は原則として夏休み・冬休み(12月29日 - 1月3日を除く)・春休み期間中の平日は「学校休校期ダイヤ」を設定する。また年末年始の12月29日 - 1月3日は土休日ダイヤで運行するが、東山線については12月31日から1月3日は土休日ダイヤではなく、専用特別ダイヤ(12月31日が「大晦日ダイヤ」、正月3が日は「正月ダイヤ」)を適用する。1975年大晦日以降、毎年12月31日深夜から1月1日までの間、上飯田線以外の全路線[PR 2]で終夜運転を行っている。沿線に熱田神宮がある名城線は初詣客で混雑するため、正月3が日は大曽根 - 八事 - 新瑞橋 - 金山の区間も一部時間帯で5分間隔で運行していたが、2012年以降は通常ダイヤでの運行となっている。 沿線にイベントがある時は、臨時列車が運行されることがある。ナゴヤドームのイベントや名古屋港の花火大会が沿線で行われる名城線・名港線で運行されることがほとんどである。 歴史建設の経緯名古屋市による市営地下鉄の建設計画は、人口が100万人を突破した1936年(昭和11年)に発表されたものが最初である。この計画によれば、以下の7路線約52kmを2期に渡って建設する予定であった。この計画は、地下線での計画を基本にしながら、田端 - 市役所や桜山 - 柴田などでは高架線での建設も予定されていた。
その後、1937年(昭和12年)に国鉄名古屋駅が笹島から現在の位置に移転すると、1938年(昭和13年)6月、その跡地地下に関西急行電鉄の関急名古屋駅(現:近鉄名古屋駅)が建設され、名古屋で初の地下線による鉄道が開業した。 日中戦争の長期化により名古屋市の財政は悪化したが、軍需産業都市としての発展もあり、1939年(昭和14年)に臨時名古屋市並近郊交通調査会が発足し、地下鉄計画を再検討した結果、以下の基本4路線約29kmが発表された。この基本計画のほかに将来計画として大規模な地下鉄整備計画も発表されており、実際にボーリング調査の準備まで行われたものの、第二次世界大戦開戦の影響により、計画は凍結される。
戦後になるとまず、1946年(昭和21年)1月、高速鉄道網検討用基礎案として以下の4路線約43Kmが立案された。これは、戦災復興のため将来人口を200万人と想定した都市計画として立案されたため、鉄道着工よりも鉄道用地を先行確保するのが主目的の計画であった。この計画では、平田橋、上飯田、守山、八事などで既存の鉄道との相互乗り入れが重視されていたため、現在の地下鉄路線とはかなり違う経路を通っているものが多い。
9月には名古屋市高速度鉄道協議会が設置され、これには名古屋市のほか、運輸省、内務省、戦災復興院、名鉄、近鉄も参加し、1947年(昭和22年)10月に以下の6路線約55kmの路線網を定めた。 1950年(昭和25年)1月19日には建設省告示第9号でこれらのうち約48.4kmが名古屋復興都市計画高速度鉄道路線網として都市計画決定された[4]。この都市計画決定は、日本国有鉄道(国鉄)名古屋駅0番ホームを借り受け、そこに地下鉄を乗り入れ、栄生まで延長して名鉄名古屋本線と相互直通運転をする計画のほか、名古屋市、名鉄、近鉄の三者の協定により、新川橋、八田、大曽根、水分橋でも相互直通運転をすることが予定されていた。
その後、建設資金分担や国鉄ホームの使用を巡る問題などにより、上記計画は頓挫した。名古屋市は独自に相互直通を前提とせずに地下鉄を建設することになり、第三軌条方式を採用し、すでに免許を取っていた名古屋 - 田代間及び市役所裏 - 金山間の早期開業を図った。1954年(昭和29年)8月には名古屋 - 栄町間について着工し[4]、1956年(昭和31年)には名古屋市電下之一色線での試作車による運行テストを開始した。 1957年(昭和32年)11月15日、名古屋市営の最初の地下鉄として、名古屋 - 栄町(現:栄)間2.4kmが開業した[11]。当初の料金は名古屋 - 栄町間で大人15円・小児8円の均一制。名古屋市内の1世帯に1枚ずつ試乗券が配布された。 年表開業日の営業開始時刻は、日付に*印を付したものは14時、**印を付したものは12時、無印は始発からである[12]。
料金交通局では運賃を「料金」と呼んでおり[17]、記事内でもそれに従い表記する。 大人片道普通料金。小児は半額(10円未満切り捨て)2019年10月1日改定[PR 5]。
障害者手帳や証明書を所持する身体障害者・知的障害者・精神障害者[PR 6]・養護児童・戦傷病者・被爆者および特別支援学校の生徒は割引料金[PR 7]。 普通料金は経由駅にかかわらず最短距離の料金を適用する(改札外乗り換えの駅はない)。定期券は指定経路で計算され、指定区間外では途中下車できない。 当局では入場券・往復乗車券・回数乗車券は発売されていない。また、プレミアム(特典額)つきの磁気プリペイドカード「ユリカ」(後述)が発売されていたが、2011年2月11日にIC乗車カードmanacaが導入されたことで、前日の同年2月10日に発売を終了した。 名古屋鉄道の犬山・小牧・豊田の各線に上小田井・上飯田・赤池の各駅連絡で乗車する場合、連絡駅を挟んだ併算により特に割高となる一部の近隣区間(連絡駅から名鉄170円、地下鉄210円となる駅間の相互利用のみ)においては別に定める乗継割引料金(大人20円引・小児10円引)が適用される[PR 8]。 他に名称が類似する駅がある駅の場合、以下のように乗車券上の駅名表記が、かな書き表記や文字の大きさの変更など、一見して発行駅が判別できるよう工夫されている。
定期券は地下鉄のみのほか、地下鉄と市バス、ゆとりーとライン、あおなみ線、名鉄、JR東海、リニモとの連絡定期券が発売されている。近鉄との連絡定期券は存在しない。市バス以外のmanaca導入のバス事業者(豊橋鉄道市内線を含む)の定期券とも複合させることができ、券面下半分に印字される。 また、名古屋市営地下鉄の学生・生徒・児童向けの定期券は通学定期券ではなく、学生定期券として発売されており、塾やアルバイトなどの通学経路に関係ない区間でも購入することができる[18]。 企画乗車券
乗車カード乗車カードとして、従来の回数券や連続割引サービスを含めた乗車券として、トランパス対応で、同局の地下鉄・バス路線や名古屋鉄道などの提携他社において使用できるプリペイドカード式乗車券を「ユリカ」という名称で発売していた。 ユリカが1998年に導入される前には、1988年4月1日から自動券売機・自動精算機できっぷの購入や運賃精算ができる(自動改札機に直接投入はできない)プリペイドカード「リリーカード」が発売されていたが、2003年3月27日に利用停止、2006年3月31日で交換終了となり、現在は無効となっている。また、同じ頃から、自動改札機に直接投入できる回数券カードが発売されていた。回数券カードには地下鉄・バス乗継回数カードも存在した。これは地下鉄(1区 - 5区)券10枚と市バス200円券10枚が1枚のカードにセットされたものである。現在はユリカに乗継割引機能があるため、いずれも発売を終了した。 2011年2月11日より非接触型ICカード「manaca(マナカ)」が導入された。これに伴い、ユリカ(バス・地下鉄共通ユリカ、バス昼間割引専用ユリカ、地下鉄昼間割引専用ユリカ)及び大人3800円で地下鉄1区間を22回利用できる「地下鉄1区特別きっぷ」の発売は前日の同年2月10日で終了した。利用についても2012年2月29日をもって終了した。 車両地下鉄路線ごとの違い
車両は「標準軌・第三軌条・小型車両」仕様の東山線、名城・名港線タイプと「狭軌・架空電車線・大型車両」仕様の鶴舞線、桜通線、上飯田線タイプに大別することができる。
地下鉄車両・主要電気機器の変遷
第一世代「黄電」
東京、大阪に次いで、1957年(昭和32年)に名古屋でも地下鉄が走り始めた。開業にあたり、用意された車両はウィンザーイエローの車体色が特徴的であり、この車体色から「黄電」(きいでん)という愛称で呼ばれた。 第一世代「黄電」の特徴として導入年によってマイナーチェンジが多数行われており、形式も多数あることが挙げられる。これらの共通点は車体色、鋼製車体、非冷房、抵抗制御であるほかは形式によって車体、内装、機器類も異なっている。 2000年(平成12年)の東山線300形の営業運転終了により、名古屋市営地下鉄の非冷房車は営業線上から姿を消した。 第二世代「冷房化」2路線で最大371両が運用された「黄電」も登場から約25年が経過して老朽化が進んでいた。また、乗客数も輸送力も飛躍的に増大した地下鉄では駅構内やトンネル内の温度上昇が著しく、非冷房車「黄電」の後継となる冷房付き新型車両の登場が望まれた。 こうした中、1977年(昭和52年)に新規開業した鶴舞線では開業当初より冷房・ステンレス車体・電機子チョッパ制御の3000形が用意された。また、小断面トンネルの東山線でも技術進捗により、省電力で薄型の冷房装置の車両搭載が可能となり、1980年(昭和55年)に冷房・アルミ車体・電機子チョッパ制御の5000形試作車が登場し、1982年(昭和57年)からは量産が開始された。 2023年(令和5年)の鶴舞線3000形の営業運転終了により、名古屋市営地下鉄の非VVVF車は営業線上から姿を消した。 第三世代「VVVF化」1989年(平成元年)の桜通線開業にあたり、最新の車両技術と電子技術を駆使し、省エネルギーと省メンテナンスと共に乗り心地向上や快適性追求のため、従来にない新型車両の開発が進んだ。1987年(昭和62年)に登場した桜通線6000形ではVVVFインバータ制御のほか、オールステンレス車体、ボルスタレス式空気ばね台車、LED式車内案内表示器、ホーム監視映像モニタが初採用された。以降、2007年(平成19年)の東山線N1000形登場まではこれが名古屋市交通局の第三世代の標準車両となり、東山線、名城線、鶴舞線、上飯田線と全路線に展開された。 従来の車両は約30年程度で廃車されたものが、第三世代以降の車体構造は丈夫な一方で、主要電気機器は老朽化が早いことから、より長期にわたって活躍することが見込まれており、名古屋市の長期維持管理計画では約40年超の使用が見込まれているため、経年約20 - 25年程度での更新が進んでいる。ただし、鶴舞線3050形3159編成は非VVVF車との混成編成のため、2019年(令和元年)9月26日に廃車された。 第四世代「N化」東山線5000形の更新にあたり、設計理念3S(silent・speed・safe)を基本に、「安心・安全で快適なまちづくり」の推進のため、第四世代となる新しい車両が設計された。 2007年(平成19年)に東山線N1000形が登場している。形式名頭文字の「N」には次世代の名古屋の地下鉄を担う車両として「New」「Next」「Nagoya」の意味合いが込められている。ただし、桜通線6050形は地下鉄車両の附番方法のルール上、頭文字にはNが付いていない。 車体は各車両メーカーが開発した新工法にて製造されており、日車式ブロック工法もしくはA-trainとなっている。そのため、車体にはビードがなく、すっきりしている。また、火災対策や省エネ化に重点が置かれている。なお、東山線N1000形は製造時期によって車体の溶接方法、鶴舞線N3000形は車体構造によって自重が異なる。 現有車両
過去の車両→「黄電」も参照
車両基地・工場特記事項各編成については、○○○○Hのように表す。 駅名古屋市において、守山区以外の各区内に駅がある[注釈 4]。路線ごとに駅務区を設置(名城線は駅務区を南北でそれぞれ1つずつ設置、名港線は名城線南部駅務区管轄下、上飯田線は全駅が名城線南部駅務区管轄または名鉄管轄であるため駅務区が設置されていない)、さらに駅務区の下に管区を1つないし2つ設け、各管区ごとに複数の駅を管理している。駅務区には駅務区長、管区には管区駅長がそれぞれを統括する役職として配置されている。なお、各駅に配置されている駅長は利用者にその駅の責任者であることをわかりやすく伝えるための対外的な呼称であり、役職上は助役である。 車両基地や折り返し設備のある駅の一部は駅務区ではなく、乗務員部署である運転区が管轄し、乗務員が駅業務を兼務している。 全駅でバリアフリーのための整備を行っている。韓国・大邱都市鉄道公社での放火による火災によって反対路線に停車した列車に延焼したことを受けて、対向式ホーム中央の柱間にガラス及び鉄製の防火壁の取り付けが順次行われている。 自動券売機で発売される磁気券は、券紙を回数券発行に使用しないため、裏面が茶色の低保磁券を採用している。 各駅の発車案内にはLEDのものが使われている。上飯田線は開通当初からLEDとなっているが、それ以外の5路線は行灯方式を使っていた。1999年に名城線(現・名港線部分も含む)から置き換えが始まり、その後東山線・桜通線の順に置き換えられ、2012年の鶴舞線を最後に置き換えが完了した。市役所駅の改札口には行灯方式のものが残っている。なお、2019年より名城線・名港線では発車案内の液晶化が行われ、同年12月までに交換が完了した。 各路線の全駅に駅番号が割り振られている。駅番号は、2004年に名城線が全通したのを機に割り振られた。名城線・名港線以外では、各路線の北ないし西を01番(起点)として付けている。名城線・名港線は分岐点となる金山駅を01番としており、名城線では栄、大曽根方面に向かって右回りの順に付けられている。 駅ホームに設置されている駅名標のデザインは、設置時期により異なっている。相違点は以下のとおり。なお、同じ駅に複数種類の駅名標が使われている場合もある。
乗換駅での乗り換え案内表示にあるラインカラーは車両の路線表示と同じくラインカラーの横線5本からラインカラーの地下鉄のマークに変更されているところもある。 経費削減のため、駅構内照明器具の省エネ化を進めており、2013年度まではラピッドスタート式の蛍光灯からHfインバーター式蛍光灯、2014年度からは久屋大通駅を皮切りにラピッドスタート方式蛍光灯からLED照明への置き換え、駅名標や業務案内板などの内照式看板(広告用を除く)の非内照式への改造を進めている。 当交通局独自の規則として、エスカレーター上での歩行を禁止し、手すりに掴まって2列で立ち止まって乗り、急いでいる人は階段を使うよう呼び掛けている。 地上連絡エレベーターは独立した出入口として機能している場合でも番号は付与しておらず、既存の出入口をエレベーター専用出入口に改修した駅では出入口番号に欠番が発生している場合もある。 交通局の外郭団体、名古屋交通開発機構が売店として「Do!」という独自名称のコンビニ形態の店舗をかつては展開していた(実際の店舗運営はサークルケイ・システムサービスに委託)。しかし、順次「サークルKミニ」を経て「ファミリーマート」に改称しており、「Do!」を名乗る売店は無くなっている。なお、既存チェーン店が出店する場合も店舗名の一部にDo!を冠する場合があったため、この形で名残を残している店舗が一部存在する。また、セブン-イレブン(丸の内駅、徳重駅など)、ローソン(高畑駅、丸の内駅桜通線ホームなど)などのコンビニも出店している(このほか、ファミリーマートはサークルKサンクスとの統合前から伏見、今池に出店していた)。どの売店でもmanacaは使用可能(ただし、セブン-イレブンはPOSと連動していないほか、一般のファミリーマートでは対象の名鉄のミュースターポイントは付かないなど運用が異なる)。交通系以外の電子マネーやクレジットカード、バーコード決済はチェーン全体に準ずる。店舗は改札外に設置されることが多いが、乗り換え駅では改札内コンコースやホームに設置されている場合もある。 2011年3月27日の桜通線延伸開業時より、利用者の少ない桜通線の3駅(鳴子北駅、相生山駅、神沢駅)と名港線の4駅(日比野駅、六番町駅、港区役所駅、築地口駅)の駅業務を日本通運名古屋支店に委託している[PR 9]。委託により年間8400万円の経費が削減されている[21]。当初の委託期間は2016年3月末までであったが、2015年に委託契約を更新し、2026年3月末までとなっている。 2015年の更新契約の結果、東山線の5駅(八田駅、中村公園駅、中村日赤駅、本陣駅、亀島駅)の駅業務に関しても2016年4月1日より縁エキスパートに委託している。委託期間は2023年3月末まで。 2018年4月より、一部の駅では改札口への係員配置を廃止し、インターホンにより駅長室から駆けつける形に変更している。 名古屋市営地下鉄と他社線を直接繋ぐ連絡改札口はどの乗換駅にも存在しない[注釈 5]。 名古屋市営地下鉄の駅構内の通路区分(右側通行、左側通行)は統一されておらず、その判断は各駅に委ねられており、周辺施設の位置や利用者の要望により決めることもある[22][23]。 経費削減のため、2023年からホーム上での時刻表掲出を順次取りやめている[24]。従来時刻表が掲出されていた箇所には時刻表や運行情報のページへアクセスできる二次元コードが貼り出されている。なお、改札口付近のものについては「鉄道運輸規定」第8条に基づき掲出を続けるとしている[25]。 経営状況→「日本の地下鉄 § 日本の地下鉄の経営状況」も参照
2016年度は、一日平均の利用者数が約129万人(2010年度は116万人)収入は945億円、支出は784億円、収支は161億円の黒字でその結果、累積欠損金は2,482億円、実質資金不足額は2,298億円となった(2016年度決算[PR 10])。 経常収支は、1994年(平成6年)度に最大445億円の赤字を記録し、累積欠損金は、2004年(平成16年)度には4500億円に迫るところにまで至っていた[PR 11]。その後、中期経営健全化計画(計画期間:2002年度から2005年度)、経営改革計画(計画期間:2006年度から2010年度)、市営交通事業経営健全化計画(計画期間:2009年度から2016年度)と順次計画を策定し、2010年5月には名古屋市交通事業経営健全化委員会を設置して、市バス事業とともに経営の改善に努め、上記のような決算状況に至っている。名古屋市交通局では、累積欠損金について、2039年度において解消されるとの評価をしている[PR 12]。 利用状況一日平均輸送人員近年の路線別一日平均輸送人員は以下のとおりである。
駅別乗車人員2019年度(令和元年度)1日当たり。名古屋市交通局のオープンデータによる。
サインシステム地下鉄シンボルマーク→詳細は「名古屋市交通局 § 徽章・章標」を参照
地下鉄車両などに掲出されているシンボルマークは、画家の杉本健吉がデザインしたもので、名古屋市の市章である「○」の中に「八」を基に、トンネルの中を通る線路に見えるようアレンジした図案である[26]。なお、開業当初は「○」部分が破線になっていた。 上小田井駅と上飯田駅を除く駅の出入口にある駅名サインは現在以下の3種類が存在する。写真は各駅の記事を参照。
路線カラーと路線シンボル名古屋市営地下鉄では、各路線を識別するカラーを設定している。2018年より鶴舞線を除き、従来よりも赤みを帯びた色に路線カラーが変更された。各路線のカラーは以下の通り。なお、DIC色番号は「名古屋市交通局 旅客サインマニュアル」に定められているもので、そのDIC色番号をDICの「COLORGUIDE」アプリで検索した際に表示されるsRGB値(HTML値)を参考として掲載する(なお、このHTML値は公式サイトでは用いられない)。
路線シンボルは、路線カラーとした地下鉄シンボルマークを使用した1世代前ものと、路線カラーの横5本線を使用した2世代前のものが併用されていたが、新たに「○」の下部を切り欠き、その内部に路線記号を配したものに変更された。 案内サインのデザイン
2018年より栄駅を皮切りに新型の案内サイン掲示に更新されている。 主な相違点としては、
などがある。
広告2000年頃から、新たな広告媒体の事業化を目指す目的で「新交通広告表示システム」の計画が開始された。翌2001年に桜通線名古屋駅で実証実験を行った後、2004年12月より東山線の栄駅と伏見駅のホームにて液晶モニタを使ったサービスを開始している。内容は、テレビコマーシャル、オリジナルのアニメーション広告、ニュースなどで、公営の地下鉄駅としては珍しく音声も流している。さらに2006年12月からは名城線久屋大通駅ホームにプロジェクターを使ったシステムが導入されたのを皮切りに、翌2007年4月には同線の栄・本山・金山・上前津の各駅にも設置された。また、同年6月からは東山線名古屋駅、翌年3月から同線伏見駅ホーム軌道内にて液晶モニターを使ったサービスも開始している。 2006年5月頃に名古屋市交通局が地下鉄車両内に掲示したマナー啓発広告に使用した画像に関し、PHS事業者のウィルコムより抗議を受けて謝罪をした[PR 13][PR 14]。 携帯電話・モバイル2018年現在、全線全駅、および全区間で、4Gおよび3Gの携帯電話ネットワークによるデータ通信および音声通話、WiMAX 2によるデータ通信が可能。ただし走行中の車内での通話自粛要請と、混雑時の優先席付近での電源OFF要請が行われている。 駅コンコース(改札口付近)およびプラットホームでは通信事業者各社およびNAGOYA Free Wi-Fiによる公衆無線LANが利用可能。桜通線車内ではauおよびWi2による車内Wi-Fiが利用可能である。(ソフトバンクのみ、2016年12月より公衆無線LANの提供駅を主要10駅のみに縮小した) このように現代では都市部で携帯電話が使えることは当たり前であるが、かつては医用電子機器(心臓ペースメーカー等)への無線電波の影響を懸念する根強い意見があり、地下鉄駅構内および路線トンネル内への携帯電話基地局の設置は意図的に見送られていた。 名古屋市営地下鉄では2004年9月頃から、2GHz帯を使用する方式を除いて携帯電話各社についてプラットホームでは圏外になるような対策が行われた(改札口付近では利用可。また、PHSについては設置事業者においても元より改札口付近のみ圏内)。名古屋市交通局は、総務省の「電波の医用機器等への影響に関する調査結果」(2002年7月2日)に基づく処置であるとしていた。 地下鉄利用中は電話の着信もできないことから、名古屋市営地下鉄のこの対応以降、トヨタ自動車や日立製作所、NTTデータ東海などは一部従業員に対し、業務時間中の移動に地下鉄を利用せず、タクシーやJR・名鉄など地上を走行する交通機関を利用するよう求めていた。 携帯電話技術の進展により、心臓ペースメーカー等への影響が過去のものとなったことや、2011年3月11日の東日本大震災を契機として、地下空間での通信手段の確保の必要性が認知されるようになり、通信不能とするのではなく、優先席付近での利用や車内での通話の自粛要請という形でエリア整備が進められることとなった。 2012年3月27日より、NTTドコモ・au・ソフトバンク・イーモバイル(現在のワイモバイル)の4社は、名古屋駅 - 今池駅間の東山線車内で携帯電話のサービスを開始し、2012年10月31日より東山線全線、名城線は市役所駅(現在の名古屋城駅) - 金山駅 - 新瑞橋駅間、桜通線は中村区役所駅(現在の太閤通駅) - 御器所駅間までサービスを広げ、これを皮切りに、順次各路線に拡大した[27]。 脚注注釈
出典
広報資料・プレスリリースなど一次資料
参考文献
関連項目
外部リンク
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