SpX-27 としても知られるスペースX CRS-27 は、2023年3月15日に打ち上げられた国際宇宙ステーション (ISS)への商業補給サービス ミッション[ 1] 。このミッションはNASA によって契約され、スペースX がカーゴドラゴン C209を使用して飛行した。これは、NASAのCRSフェーズ2 の下でスペースXが運行する7回目の飛行となった[ 3] 。
カーゴドラゴン
スペースXはカーゴドラゴンを最大5回まで再利用する予定である。カーゴドラゴンは船内の宇宙飛行士を守るために必要なスーパー・ドラコ 緊急脱出エンジン、座席、操縦装置および生命維持装置なしで打ち上げられた[ 4] [ 5] 。ドラゴン2 は、ドラゴン1 に対して再改修時間を短縮して飛行間隔を短縮するなどの改良が加えられている[ 6] 。
NASAのCRSフェーズ2契約下での新しいカーゴドラゴンカプセルは、フロリダ州 東方の大西洋に着水した[ 4] [ 6] 。
ペイロード
NASAはCRS-27ミッションのためにスペースXと契約を結んでおり、これに従ってカーゴドラゴンの主要ペイロード、打ち上げ日および軌道パラメーター を決定した[ 7] 。
科学調査: ~1,200 kg (2,600 lb)
宇宙船ハードウェア: ~540 kg (1,190 lb)
乗組員の補給物資: ~910 kg (2,010 lb)
船外活動装備: ~170 kg (370 lb)
コンピューター資材: ~0 kg (0 lb)-30 kg (66 lb)
外部ペイロード: 530 kg (1,170 lb)
STP-H9
以下のペイロードで構成される技術デモンストレーション :[ 8] [ 9]
SWELL(Space Wireless Energy Laser Link)、OPALS (英語版 ) に続くレーザー通信 (英語版 ) の試験ペイロード。
電気推進静電分析器(英 : Electric Propulsion Electrostatic Analyzer )、イオン推進 による再ブーストを実証する試験装置。
NRLの中性子放射検出器
NRLの可変電圧イオン保護実験
ECLIPSE(Experiment for Characterizing the Lower Ionosphere and Production of Sporadic-E)、下部電離層の特性とスポラディックEの生成のための実験
Glowbug、NASAと共同で作られた宇宙線検出器、宇宙線を2年間研究する実験。
SpaceCube Edge Node Intelligent Collaboration、ゴダード宇宙センター が作った、宇宙の真空に晒されたマイクロチップと人工知能を研究する実験。
SOHIP、ローレンス・リバモア国立研究所 が開発したハイパースペクトルカメラ で、大気圏を2年間研究する。
研究
軌道実験室に到着した新しい実験は、将来の科学者や探査者に刺激を与え、研究者に貴重な洞察を提供した。
これらには、DLRのÜberflieger 2 コンペティションの一環として、ISSで飛行し、実験を行う機会を与えられた学生プロジェクトも含まれている。以下のプロジェクトが含まれている:
シュトゥットガルト大学小型衛星学生協会(KSat e.V. )のFARGO (F errofluid A pplication R esearch G oes O rbital、軌道での磁性流体応用研究)
Glücksklee
BRAINS(B iological R esearch using A rtificial I ntelligence for N euroscience in S pace、宇宙における神経科学のための人工知能を用いた生物学的研究)
ADDONISS (A geing and D egenerative D iseases of N eurons on the ISS 、ISSでのニューロンの老化と変性疾患)
欧州宇宙機関(ESA)の研究と活動: [ 10]
ESAのBIOFILMS (B iofilm I nhibition O n F light equipment and on board the I SS using microbiologically L ethal M etal S urfaces、微生物学的に致命的な金属表面を使用した飛行中およびISS内でのバイオフィルム阻害)実験では、重力が変化した宇宙飛行条件下での様々な金属表面の最近バイオフィルム形成と抗菌特性を調査している。
NASAグレン研究センター の研究:[ 11]
Materials International Space Station Experiment MISSE-17 :
CubeSats
このミッションでは複数のCubeSat が計画されている:
NEUDOSE [ 12]
マクマスター学際衛星チームによるNEU tron DOS imetry & E xploration(NEUDOSE、中性子線量測定と探査)ミッションは[ 13] 、地球低軌道(LEO)ミッション中に荷電粒子と中性粒子が人間の等価線量にどのように寄与するかを調査することにより、宇宙放射線への長期被ばくに関する理解を深めることを目的としている。NUEDOSEは、マクマスター大学 の学生が組み立てた2U CubeSatである。このプロジェクトの科学的なゴールは[ 14] [ 15] 以下の通り:
リアルタイムで荷電粒子と中性粒子からの線量の識別を可能にする、荷電粒子と中性粒子組織等価比例カウンター(C harged & N eutral P article T isshue E quivalent P roportional C ounter、CNP-TEPC)装置のデモを行う。
低軌道における荷電粒子線量率と中性粒子線量率の寄与をマッピングする。
ミッションの目的 には、キャリアの浅い科学および工学の学生に貴重なリーダーシップ、技術および飛行プロジェクト開発スキルを与えることも含まれる[ 12] 。さらに、NEUDOSEミッションはアマチュア無線 従事者と特製ハードウェアの開発に関与している[ 16] 。
Northern SPIRIT
3機のCubeSat衛星が、革新的な研究と統合訓練のための北方宇宙計画(Northern S pace P rogram for I nnovative R esearch and I ntegrated T raining、Northern SPIRIT) の一環として建造された。これらのCubeSatは、ユーコン大学 (英語版 ) 、ノースウェスト準州 にあるオーロラ研究所 (英語版 ) およびアルバータ大学 の協業として建造された[ 17] 。このイニシアティヴはカナダCubeSatプロジェクト、C anadian C ubeSat P roject(CCP) の一環としてカナダ宇宙庁 (CSA)によってサポートされている。以下の内容に加えて、3つの衛星はすべて電離層 の磁場 データを収集し、小規模な磁場に沿った電流 (英語版 ) を研究すること主な目的としている[ 17] 。
Ex-Alta 2 :アルバータ大学の学生組織AlbertaSat の学生が組み立てた3U ubeSat。Ex-Alta 2の優先ミッションは山火事 研究および予防のための科学データの取得である。それに加えて、Ex-Alta 2は完全にオープンソースのキューブ衛星の長期目標の促進と、アルバータ州の商業宇宙産業の開発を促進するために設計された[ 18] 。
AuroraSAT およびYukonSat :オーロラ研究所とユーコン大学の学生が、各CubeSatのバスを提供し、ペイロードの最終統合を行ったアルバータ大学と協力して開発した2U CubeSat。2つの主要ミッションのうちの1つは、ノーザン・イメージ・ミッション で、このミッションでは、小さな画面にアートを表示し、背景に地球 を持つ宇宙からこのアートの画像を取得する。カナダ北部の子供たちは、自分たちの作品を紹介する機会を得ることができる。ノーザン・ヴォイシズ・ミッションでは、カナダ北部の物語や視点の録音を、アマチュア無線 帯を通じて世界中に伝送・放送する[ 19] 。
ELaNa 50
このELaNa(en:Educational Launch of Nanosatellites 、ナノサテライトの教育的打ち上げ)イニシアチブの新しい版では、アメリカの教育機関から2つのCubeSatが含まれる。
ARKSat-1 :アーカンソー大学 の学生によって開発された1U CubeSatで、主なミッションは軌道上からのLED信号の地上検出による大気測定を行うことである。また、ミッション終了後、キューブサットは固体状のインフレータブルバルーン(SSIB)を使用して、宇宙船の抵抗を増加させ、再突入を加速させる。
LightCube :アリゾナ州立大学 の学生によって開発された1U CubeSatで、地上から見える短い点滅光を生成するために、アマチュア無線を用いてリモートで活性化できる点滅光源を搭載している。
関連項目
脚注
^ a b Garcia, Mark (6 March 2023). “Expanded Station Crew Works Together Before Quartet Departure ”. NASA . 7 March 2023 閲覧。
^ Lavelle, Heidi (15 April 2023). “SpaceX Cargo Dragon Splashes Down, Returning Science to Earth for NASA ”. NASA . 15 April 2023 閲覧。
^ Reckart, Timothy (2022年6月15日). “Microgravity Research Flights ”. NASA . 2022年7月24日 閲覧。
^ a b Office of Inspector General (26 April 2018). Audit of Commercial Resupply Services to the International Space Center (PDF) (Report). Vol. IG-18-016. NASA. pp. 24, 28–30. 2021年4月4日閲覧 。 この記述には、アメリカ合衆国 内でパブリックドメイン となっている記述を含む。
^ “Dragon 2 modifications to Carry Cargo for CRS-2 missions ”. Teslarati. 4 April 2021 閲覧。
^ a b Clark, Stephen (2 August 2019). “SpaceX to begin flights under new cargo resupply contract next year ”. Spaceflight Now. 4 April 2021 閲覧。
^ “SpaceX Commercial Resupply ”. ISS Program Office . NASA (1 July 2019). 4 April 2021 閲覧。 この記述には、アメリカ合衆国 内でパブリックドメイン となっている記述を含む。
^ “STP-H9 ” (英語). Gunter's Space Page . 2023年3月15日 閲覧。
^ Clark, Stephen. “U.S. military experiments hitching ride to space station on SpaceX cargo ship – Spaceflight Now ” (英語). 2023年3月15日 閲覧。
^ https://www.esa.int
^ “ISS Research Program ”. Glenn Research Center . NASA (1 January 2020). 4 April 2021 閲覧。 この記述には、アメリカ合衆国 内でパブリックドメイン となっている記述を含む。
^ a b “McMaster NEUDOSE ” (英語). McMaster NEUDOSE . 2022年11月28日 閲覧。
^ “About Us ” (英語). McMaster NEUDOSE . 2022年11月28日 閲覧。
^ “Mission Objectives ” (英語). McMaster NEUDOSE . 2022年11月28日 閲覧。
^ Hanu, A. R.; Barberiz, J.; Bonneville, D.; Byun, S. H.; Chen, L.; Ciambella, C.; Dao, E.; Deshpande, V. et al. (December 2016). “NEUDOSE: A CubeSat Mission for Dosimetry of Charged Particles and Neutrons in Low-Earth Orbit” . Radiation Research 187 (1): 42–49. doi :10.1667/RR14491.1 . ISSN 0033-7587 . PMID 28001909 . https://bioone.org/journals/radiation-research/volume-187/issue-1/RR14491.1/NEUDOSE--A-CubeSat-Mission-for-Dosimetry-of-Charged-Particles/10.1667/RR14491.1.full .
^ “Amateur Radio ” (英語). McMaster NEUDOSE . 2022年11月28日 閲覧。
^ a b “Northern SPIRIT ” (英語). AlbertaSat (2021年1月5日). 2022年11月24日 閲覧。
^ “Ex-Alta 2 ” (英語). AlbertaSat (2018年11月18日). 2022年11月24日 閲覧。
^ “AuroraSat: Canadian CubeSat Project | Aurora Research Institute ” (英語). nwtresearch.com . 2022年11月24日 閲覧。
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下線 は進行中の宇宙飛行
† - ISSへの到達に失敗したミッション