大館駅
大館駅(おおだてえき)は、秋田県大館市御成町(おなりちょう)1丁目[1]にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)の駅である[2]。 概要奥羽本線を所属線として[4]、当駅を終点とする花輪線を加えた2路線が乗り入れている。かつては小坂製錬の小坂線、同和鉱業の花岡線も乗り入れていた。 また、当駅は、「秋田県北部の中心都市である大館市の玄関口として102年の歴史を誇る駅」として東北の駅百選に選定されている[5]。 歴史
駅構造単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線のホームを持つ地上駅である。構内南側で単式ホームの1番線が奥羽線上り本線、島式ホーム内側の2番線が奥羽線下り本線、島式ホーム外側の3番線が花輪線本線[13]となっている。また、1番線と2番線の間にもホームのない中線があり貨物列車などが使用している[13]。3番線の北側にはホームのない副本線と側線があり、夜間滞泊が設定されている。単式ホームに隣接して駅舎が設置されており、島式ホームとは跨線橋で連絡している。 東能代統括センター(東能代駅)管理の業務委託駅(JR東日本東北総合サービス委託)。以前は、直営駅(駅長・助役配置)で、管理駅として奥羽本線の前山駅 - 陣場駅間の各駅を管理していた。 2代目の駅舎は1955年(昭和30年)12月に再建された鉄筋コンクリート造2階建てで[新聞 6][新聞 15]、完成当時は伯養軒の支店と食堂が設置されていた[新聞 6]。3代目の駅舎は2023年(令和5年)10月29日に使用が開始されている[報道 1][報道 2][新聞 11]。駅舎内には、自動券売機、話せる指定席券売機[3][報道 2]、自動改札機(Suica非対応、えきねっとQチケ対応[1])、待合室、NewDaysが設置されている。構内入換の際の信号・操車業務は弘前統括センター(運輸)大館駐在の社員が行う。なお、かつては待合室内に食堂とジェイアールアトリス売店(旧キヨスク)もあったが、食堂は2007年(平成19年)ごろ、売店は2010年(平成22年)3月に閉店した。駅構内には「JR花輪線 終点駅 106KM918M」と書かれた花輪線の終点を示すモニュメントが、1番線にも銅像を御神体とする「ハチ公神社」が設置されている(「ハチ公神社」の詳細は後述参照)[13]。 2007年(平成19年)12月より、発車メロディがそれまで使用していた日本電音製の「春」[注 1]から地元出身デュオ・ダックスムーンの曲をアレンジしたメロディに変更されている。なお、ご当地メロディ導入は県内初で、使用曲は1番線が「ハチ公物語」、2・3番線が「きりたんぽ物語」である。 のりば
貨物駅JR貨物の施設は旅客駅南口の西側にある。2面2線のコンテナホーム(ヤード)が設置され、複数の留置線も敷設されている[15]。荷役線は、駅の着発線から下川沿駅方面へ伸びる引上げ線から駅方向へ戻るように分岐している[15]。長さは100メートル程度と短い。 当駅はコンテナ貨物の取扱駅となっている。JR規格の12フィートおよび20フィートコンテナを取り扱う。産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の取扱許可を得ており、これらが入ったコンテナの取り扱いも可能である。周辺地域に立地するDOWAグループの事業場に向けたリサイクル原料・廃棄物などの到着が多い。その他の主な到着品目としては、仙台西港駅や郡山貨物ターミナル駅等からのビール類があり、発送は米・清涼飲料水・ビール瓶などがある[16]。 1996年(平成8年)3月のダイヤ改正まで、車扱貨物も取り扱っていた。 2023年(令和5年)3月改正ダイヤでは、隅田川駅との間で1往復の高速貨物列車が運行(隅田川駅 - 新潟貨物ターミナル駅間は土・日曜日運休)されている[17]。首都圏との間のDOWAグループの環境・リサイクル関連貨物輸送の強化を主目的に2015年(平成27年)から列車の直行化がなされた経緯があり[18]、積載スペースの多くがDOWAグループ向けに販売され[19]、「DOWA号」の愛称でPRされている[20]。また、首都圏との直行のほか、この列車の当駅発着のコンテナ車の一部は秋田貨物駅で分割併合され、東青森駅経由仙台貨物ターミナル駅発着列車との間で継送される[20]。 大館市は、貨物輸出入拠点として隣接地にインランドデポ(内陸保税通関物流施設)を整備する構想を推進している[21][22]。 小坂製錬(小坂鉄道)
小坂製錬小坂線の大館駅は、前身の同和鉱業小坂線の駅として1908年(明治41年)に開業、1916年(大正5年)には花岡線の旅客営業を開始した。1985年(昭和60年)に花岡線が廃止、1994年10月には小坂線も旅客営業を廃止し、貨物駅に変更される。 その後2009年(平成21年)に貨物駅も廃止し営業を終了した。廃止された当時の小坂線大館駅は下川沿駅方へ伸びる引き上げ線に繋がるJR貨物との貨車授受線2本と、留置線1本があり、構内南側に事務所のような建物の駅舎が置かれていた。駅舎前に通票受器があり、貨物列車運行時は機関士が茂内方からの通票を通票受器に投げ入れていた。 また、旅客営業をしていた当時の構内は多数の側線を有し、その北側(JR大館駅側)に旅客ホーム(単式ホーム)1面1線や駅舎が置かれていた。JR大館駅の駅舎とはまったく別の棟だったので、乗り換えにはいったん改札の外へ出る必要があった。 旅客ホームと駅舎は1998年前半までにすべて撤去され、2014年4月に小坂線の駅構内敷地をDOWAホールディングスから、レール用敷地をDOWAメタルマインから大館市に無償譲渡し[新聞 10]、駅前は片側2車線の市道が整備されて大館駅から東大館駅まで最短距離でつながる道路の一部として利用されている。 2020年7月には、秋田職業能力開発短期大学校の学生が作成した手こぎトロッコを活用して線路上を走らせる鉄道パークが駅前にオープンしている[新聞 16]。なお、線路は観光交流施設「秋田犬の里」の駐車場に沿って併設している小坂線の廃線が活用されている[新聞 16]。
駅弁
「鶏めし」は「東の大館・西の折尾」とも呼ばれ、福岡県北九州市の折尾駅で販売されているかしわめしと並び称される[2]。1996年(平成8年)ごろまでホームでの立売が行われていた。駅構内ではNewDaysで販売されるほか、予約すれば列車乗降口での受け渡しが可能となっている[24]。 →花善#鶏めしを参照
利用状況JR東日本によると、2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員は670人である[利用客数 1]。 2000年度(平成12年度)以降の推移は以下のとおりである。
駅周辺
バス路線大館駅前バス停は駅舎前のロータリーに設置されている。駅前バスステーションは大館駅から100メートルほど離れる秋北バス本社ビル1階に設置されていたが、2024年8月9日をもって廃止されている[25]。 大館駅前大館市を発着する旧田代町行き以外の路線バスと東京(池袋)行き以外の高速バス、リムジンバス、循環バス「ハチ公」号、コミュニティバスが停車する。2013年(平成25年)10月1日に秋北バスターミナルが廃止され、コミュニティバスと路線バスの一部が大館駅前発着に変更された[報道 4]。 駅前バスステーション2024年8月8日まで大館駅前から出発したバスは種別にかかわらず、必ず駅前バスステーションにも停車していた。なお、「大館駅前」が終点のバスはバスステーションには停車しなかったが、高速バス以外は近くの御成町1丁目バス停に停車する。 大館駅前バス停は屋外にあるが、駅前バスステーションは待合所が秋北バス本社ビルの中にあった[25]。 秋田犬と大館駅忠犬ハチ公像・ハチ公神社忠犬ハチ公は北秋田郡二井田村(現在の大館市)で生まれたオスの秋田犬で、1924年(大正13年)1月14日に当駅から荷物車に載せられて上京している。後に主人への忠誠で有名になったことから、1935年(昭和10年)7月に当駅前にも渋谷駅前と同様のハチ公像が建てられていた。しかし、これも渋谷駅のものと同様に、戦時中に金属供出の対象となって回収された[新聞 20][新聞 21][26]。 大戦後、1964年(昭和39年)に秋田犬群像が、1987年(昭和62年)に忠犬ハチ公銅像がそれぞれ駅前に建立された[新聞 20]。 さらに、1987年(昭和62年)に映画「ハチ公物語」が公開されたことを記念して大館商工会議所が発泡スチロール製のハチ公像を作成し、これが当駅に寄贈されて1989年(平成元年)春に駅構内(1番線[13])に「ハチ公神社」として設置された。この像は高さ・奥行きとも約2メートルと大きなものであった[新聞 20]。しかし発泡スチロール製であるため傷みが進行し、「忠犬ハチ公銅像及び秋田犬群像維持会」の寄付で2代目のブロンズ製像が制作されることになった。ハチ公神社もこれに合わせてリニューアルし、2009年(平成21年)10月14日に公開のイベントが開かれた。像は高さ85センチメートル、幅40センチメートル、奥行き90センチメートルで、台座・額・由来案内板は十和田石で制作されている[新聞 20]。2021年(令和3年)3月末をもって駅改築工事に伴い、「ハチ公神社」は撤去された[新聞 22]。神社に鎮座していたハチ公像について、JR東日本秋田支社は管理、所有を含め関係者と協議して決めたいとしている[新聞 22]。 なお、1935年(昭和10年)建立の忠犬ハチ公銅像の台座は桜場文蔵邸で保存されていたが、1978年(昭和53年)に大館市内の秋田犬会館前に台座のみ移設され、2004年(平成16年)に有志により台座上に「望郷のハチ公像」が建立されている[27]。 また、前記1987年建立の忠犬ハチ公銅像に関しては2013年2月8日にBSジャパンで放送された『まさはる君が行く!ポチたまペットの旅~秋田』の中で紹介され、同像を前にして旅犬・まさはる君が寒さのあまり固まっている姿が映像としてとらえられていた[28]。 秋田犬姉妹の観光駅長2017年(平成29年)4月28日に、大館市の「秋田犬ふれあい隊[注 3]」が保有する2頭の秋田犬、赤毛の「あこ」と虎毛の「飛鳥」が当駅の観光駅長として委嘱されることになった。同日、当駅駅舎内にて大館市、同市観光協会、秋田犬保存会の関係者など13名が出席して就任(委嘱状交付)式を挙行、当駅の駅長から各々に制帽および名前が刷り込まれた前掛けが手渡され、そのあと当駅前に建つ忠犬ハチ公像の前で記念撮影に臨んだ[報道 5][新聞 24][新聞 25][30]。 「あこ」と「飛鳥」は何れも2016年(平成28年)6月23日生まれの年齢10か月(前記委嘱伝達時点)のメスで、同年9月8日に秋田犬保存会を通じて「秋田犬ふれあい隊」に譲渡、同年10月初旬に一般公募から命名されている[29][新聞 26][31]。 観光駅長としての任期は2017年(平成29年)5月6日から「当面の間」とされており、現時点では秋ごろまでを予定しているという。勤務は祝日を除く毎週土・日両曜日の9時45分から10時15分で、2頭のうちのいずれか1頭が当駅に停車する特急の乗降客など当駅を訪れる観光客の出迎えをすることになっている[報道 5][新聞 27]。 初勤務日となった5月6日は「あこ」が出勤し、当駅を訪れた観光客に囲まれていたが、その中にはアメリカ出身の青森県弘前市在住者も含まれ、その弘前市在住者は映画『ハチ公物語』のハリウッド・リメイク版『HACHI 約束の犬』に魅了されたとのことで、「あこ」を撫でつつ「秋田犬はアメリカでも有名。観光にも役立つと思う」と喜んでいた[新聞 23]。 この「あこ」と「飛鳥」の2頭については、観光駅長として委嘱される前、2016年(平成28年)12月初旬より2017年(平成29年)3月末までの大晦日と元旦を除く毎週土日祝日の予定で当駅にて乗降客らを出迎える取り組みを大館市独自で始めており、2016年(平成28年)12月23日から2017年(平成29年)1月末までの期間には当駅改札口前にて2頭を写したスナップ写真などを展示する写真展を開いていた。しかし2頭は寒さとストレスが原因とみられる体調不良のため2017年(平成29年)の年明けから活動を休止、ネット上での活動休止告知に対し2頭の体調を気遣う書き込みなどが寄せられていたが、同年4月26日付けで活動再開を告知している[新聞 28][新聞 29][32]。 なお、大館市では、2019年(平成31年)春を目処に、当駅前に秋田犬とふれあうことの出来る展示施設「ハチの駅(仮称)」をつくる構想を抱いている[新聞 30]。 隣の駅かつて存在した路線脚注記事本文注釈
出典
報道発表資料
新聞記事
利用状況
参考文献
関連項目外部リンク
|