ロスシー級フリゲート
ロスシー級フリゲート(英: Rothesay-class frigate)は、イギリス海軍のフリゲートの艦級[1]。ホイットビィ級(12型)の小改正型であり、改12型フリゲート(英: Modified Type 12 frigate)とも称される[2][3]。 設計→詳細は「ホイットビィ級フリゲート § 設計」を参照
本級は、12型シリーズの端緒であるホイットビィ級の基本設計を踏襲しつつ、装備の更新およびレイアウトの改正を図った改良型である。このため、船体寸法や機関構成はホイットビィ級のものが踏襲された[1]。外見上の特徴としては、煙突に傾斜が付された点がある[3]。 装備当初の装備電子装備はホイットビィ級の構成が踏襲されており、前檣に目標捕捉 (短距離対空捜索)用の293Q型レーダー、その直前には対水上捜索用の277Q型レーダーを搭載した。なお277Q型レーダーは高角測定にも用いることができた。ソナーとしては、捜索用の174型ソナーと、リンボー対潜迫撃砲の目標捕捉・射撃指揮用の170B型ソナーが搭載された[3]。また本級を含む1等艦の標準装備として、対潜戦用のJYA戦術状況表示装置(Automatic Surface Plot, ASP)も搭載された[4]。 当初、高角機銃は70口径40mm連装機銃、機銃用方位盤としてMRS-8を搭載する予定であったが、後にイギリス海軍における70口径40mm機銃の装備計画そのものが撤回されたことから、1957年12月、代替装備として開発されたシーキャットGWS-20個艦防空ミサイルの搭載が決定され、これに対応して後部上部構造物を拡大した。しかしすぐには導入できなかったことから、「ロスシー」ではMk.5 56口径40mm連装機銃、その他の艦ではMk.7 56口径40mm単装機銃を搭載して竣工した。また艦砲はホイットビィ級の装備が踏襲され、45口径11.4cm連装砲(4.5インチ砲Mk.6)とMk.6M方位盤(275型レーダー装備)が装備された[3]。 対潜兵器もホイットビィ級の装備が踏襲され、船首楼後端部を切り欠いてリンボー対潜迫撃砲2基が縦列に配置された。また長射程のMk.20「ビダー」対潜誘導魚雷の搭載を予定して魚雷発射管も搭載された。ホイットビィ級では片舷あたり固定式の単装発射管4基と旋回式発射管2基が搭載されたのに対し、本級では固定式発射管が連装2基に修正された。ただし、肝心の魚雷の開発断念に伴い、後に撤去された[3]。 近代化改修1966年から1972年にかけて、大規模な近代化改修が行われた。主眼となったのが中距離魚雷投射ヘリコプター(MATCH)の運用能力の付与で、後部上部構造物を拡大して格納庫が、またリンボー対潜迫撃砲のうち前方の1基を撤去して船楼甲板レベルにヘリコプター甲板が設けられた。これにより、ウェストランド ワスプ哨戒ヘリコプター1機の搭載・運用が可能になった[3]。 またこれにあわせて装備の更新も図られた。予定通り、56口径40mm機銃を撤去してシーキャットGWS-20個艦防空ミサイルの4連装発射機が搭載されたほか、低空警戒用の293Q型レーダーは993型レーダーに、対水上捜索用の277Q型レーダーは978型レーダーに、また砲射撃指揮装置も戦後世代のMRS-3(903型レーダー)に換装された[3]。またソナーも177型ソナーに後日換装されている[1]。 電波妨害装置の搭載は実現しなかったが、コーバス 8連装デコイ発射装置は搭載された[3]。 諸元表
同型艦朝鮮戦争を受けて、東西間の第三次世界大戦の懸念が高まっていたこともあり、当初計画では1953/4年度、1954/5年度、1955/6年度で2隻ずつが建造されるところまで予定されていたが、1954年、第3次世界大戦の脅威はさしあたり遠のいたと判断されたことから、実際の予算化は1954/5年度に先送りされることになった。ネームシップは1956年11月6日に起工され、以後、1961年までに9隻が建造された。1955/6年度計画には、更に10番艦「ウェイマス」が追加される予定もあったが、これは一度キャンセルされたのち、全面的に改設計されたリアンダー級のネームシップとして竣工した[3]。 イギリス海軍向けの9隻以外にもニュージーランド向けに2隻、南アフリカ共和国向けに3隻の同型艦が建造されており、前者はオタゴ級(英語: Otago-class frigate)、後者はプレジデント級(英語: President-class frigate)と呼称される。 イギリス海軍では、1980年代に入ると新型の22型フリゲートへの更新による退役艦が出始めたが、1982年のフォークランド紛争においては「ヤーマス」と「プリマス」の2隻がフォークランド諸島奪還の任を帯びた機動部隊に編入され出撃した。その後冷戦終結末期の1988年までに全艦退役した。ニュージーランドと南アフリカ共和国に輸出された姉妹艦も、イギリス海軍と同様に1980年代には全艦が退役した。
脚注
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