メリル・ストリープ(Meryl Streep, 1949年6月22日 - )は、アメリカ合衆国の女優。更新不可能と言われたキャサリン・ヘプバーンの持つアカデミー賞ノミネート回数の記録を23年ぶりに塗り替える等、数々の賞を受賞。
来歴
生い立ち
ニュージャージー州サミット出身。父親のハリー・ウィリアム・ストリープは製薬会社の役員、母親のメアリー・W・ストリープはコマーシャル・アーティスト。
スイス、ドイツ、アイルランド、イングランドの血を引く[1][2]オランダ系アメリカ人である。
ストリープという名前は、アメリカに移住する当時、彼女の先祖が自らの名前(苗字)に線を引いた(=ストライプを引いた)ことに因む。
オランダ移民であった先祖は、ストライプという発音が訛り、ストリープという響きに変化し、そう名乗るようになった。
1963年、一家は同じ州のバーナーズヴィルに引っ越し、ストリープはバーナーズ高校に入学した[3]。
ヴァッサー大学在学中に奨学金を得て、イェール大学演劇大学院で学び、卒業時にはキャロル・ダイ演技賞を受賞した。クラスメイトにはシガニー・ウィーバーなどがいた。
キャリア
イェール大学を卒業後、1975年にニューヨークに移り住む。パブリック・シアターのレパートリー作品に出演。舞台俳優としてキャリアをスタートさせる。
1976年、ニューヨーク・シェイクスピア・フェスティバルで上演された『ヘンリー五世』と『尺には尺を』に出演。『尺には尺を』ではサム・ウォーターストンとジョン・カザールと共演した[4]。このときの共演がきっかけでカザールとの交流が生まれ、彼との関係はカザールが1978年に没するまで続いた[5]。同年、ブロードウェイ・デビュー作となったテネシー・ウィリアムズ作の『綿でいっぱいの27台のワゴン』及びアーサー・ミラー作の『二つの月曜日の記憶』の2作品でトニー賞ならびにドラマ・デスク賞にノミネートされ、シアター・ワールド賞とアウター・クリティック・サークルの演技賞を受賞。
またこの頃『タクシードライバー』(1976年2月公開)のロバート・デ・ニーロの演技に衝撃を受け、映画のオーディションを受け始める。『キングコング』のヒロイン役のオーディションにも出ているが、プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスに酷評され落とされている[6]。
1977年、フレッド・ジンネマン監督の『ジュリア』で映画デビュー。同年、アントン・チェーホフ作の『桜の園』の舞台に立つ。『桜の園』における彼女の演技に目を止めたロバート・デ・ニーロは、『ディア・ハンター』の彼の相手役としてストリープを推挙。1978年12月公開の同作品で第51回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされる。
1979年公開の『クレイマー、クレイマー』でアカデミー助演女優賞を、1982年公開の『ソフィーの選択』でアカデミー主演女優賞を受賞。さらに、2011年公開の『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で、アカデミー主演女優賞を受賞した。
2012年の第62回ベルリン国際映画祭で金熊名誉賞を受賞し、2016年の第66回ベルリン国際映画祭では審査委員長に選出された[7]。2023年アストゥリアス皇太子賞芸術部門受賞。2024年の第77回カンヌ国際映画祭において名誉パルム・ドールが授与された[8]。
演技スタイル
役に成りきるために、事前には徹底したリサーチを行うが、台本はあまり読み込まず数回程度が常である。彼女がオスカーを獲得した『ソフィーの選択』では役作りのためにロシア語訛りのポーランド語、ドイツ語及びポーランド語訛りのある英語を自在に操るなど、作品の背景や役柄に応じてアメリカ各地域のイントネーションを巧みに使い分けている。この特徴は彼女の代名詞ともなっており、そもそもは、彼女が女優を志す以前に、オペラ歌手志望で訓練を受けていたためである。音楽の世界で培われた絶対音感もあるため、ストリープは全米で「訛りの女王」と呼ばれ、その秀でた類いまれなる才能は高く評価されている。ロバート・デ・ニーロはストリープのことを自分と最も息の合う女優と言っている。
2020年現在、アカデミー賞に21回ノミネートされており、これは俳優としては最多の記録である。また、ゴールデングローブ賞を8回受賞(29回ノミネート)しており、男優・女優を通じて史上最多記録である。
私生活
恋愛歴そのものは一途と呼べなかったが大女優としては非常に珍しく、初婚を貫いた。舞台『尺には尺を』で共演したジョン・カザールと婚約していたが、カザールが1978年3月12日に癌で死亡したために結婚にいたらなかった。同年9月30日、彫刻家ドン・ガマー(Don Gummer、ドナルド・ガマー)と結婚[9]。ガマーとの間に4人の子供がいる。また、1993年に北九州市の国際村交流センターの完成に合わせて設置されたガマーの彫刻の除幕式の際に来日しており、式典後に同市で行われるわっしょい百万夏まつりのパレードにも夫婦で参加した(『ナイトシャッフル』(2012年11月25日放送分)より)。娘のメイミー、グレース、ルイーザも女優として活動している[10]。息子のヘンリーはミュージシャン兼俳優として活動している。
2023年、ストリープとガマーは6年以上別居していると報じられた。
言動
批判
2017年1月、2016年のゴールデングローブ賞の授賞式での生涯功労賞(セシル・B・デミル賞)の受賞にあたって、「ハリウッドにはアウトサイダーたちと外国人たちがそこらじゅうにいます。もし彼らを追い出そうとしたならば、フットボールと総合格闘技(マーシャルアーツ)の試合ぐらいしか見るものがなくなってしまうでしょう。残念ながらそれらは芸術(アーツ)ではありません」[15]と発言したことにより、総合格闘技関係者から批判が相次いだ[16]。UFCリポーターであるミーガン・オリヴィも「同意できないわ。アスリートは自分のことをアーティストだと思っているし、物凄く多様性がある[17]、勝手な思い込みで決めつけないで欲しい」「差別を反対すると言っておきながら、スキルがあり一生懸命働いている人たちを差別するのは本当にオカシイわ」と反論[18]。
ギャラリー
主な出演作品
映画
テレビシリーズ
受賞歴
脚注
- ^ “Meryl Streep”. Faces of America. (2010年). http://www.pbs.org/wnet/facesofamerica/profiles/meryl-streep/70/ 2010年2月5日閲覧。
- ^ McKenzie, Joi-Marie (2010年2月4日). “Henry Louis Gates Says He Broke Meryl Streep's Heart”. Niteside. http://www.nbcwashington.com/blogs/niteside/Henry-Louis-Gates-Explores-Immigrant-Origins-of-Famous-Americans-83509992.html 2010年2月4日閲覧。
- ^ “N.J. Teachers Honor 6 Graduates”. The Philadelphia Inquirer. (November 12, 1983). http://nl.newsbank.com/nl-search/we/Archives?p_product=PI&s_site=philly&p_multi=PI&p_theme=realcities&p_action=search&p_maxdocs=200&p_topdoc=1&p_text_direct-0=0EB29697FA2C7F62&p_field_direct-0=document_id&p_perpage=10&p_sort=YMD_date:D&s_trackval=GooglePM August 10, 2017閲覧. "Streep is a graduate of Bernards High School in Bernardsville..."
- ^ Foote, Timothy, "License in the Park," Time, 23 August 1976, page 57
- ^ Longworth, Karina (2013). Meryl Streep: Anatomy of an Actor. Phaidon Press. ISBN 978-0-7148-6669-7. https://books.google.co.jp/books?id=dJv1mwEACAAJ&redir_esc=y&hl=ja , p. 10.
- ^ Longworth 2013, p. 7.
- ^ “Meryl Streep to Serve as Jury President at Berlin Film Festival”. 2015年10月13日閲覧。
- ^ 市川遥 (2024年5月15日). “メリル・ストリープ、名誉パルムドール受賞で涙…半世紀にわたるキャリアで女優のあり方を変えた”. シネマトゥデイ (株式会社シネマトゥデイ). https://www.cinematoday.jp/news/N0142973 2024年5月15日閲覧。
- ^ The Lewiston Daily Sun, October 3, 1978. Google News. Retrieved November 24, 2011.
- ^ 母は結婚42年。メリル・ストリープの愛娘、結婚42日で破局 - Peachy - ライブドアニュース
- ^ “Meryl Streep on Margaret Thatcher's Death: 'To Me She Was a Figure of Awe'”. 2014年1月10日閲覧。
- ^ “Meryl Streep attacks Walt Disney on antisemitism and sexism”. 2014年1月10日閲覧。
- ^ “Meryl Streep’s Golden Globes Speech”. The New York Times (2017年1月8日). 2017年8月10日閲覧。
- ^ “【緊急全訳】メリル・ストリープのゴールデン・グローブスピーチ”. クーリエ・ジャポン (2017年1月9日). 2017年1月9日閲覧。
- ^ ELLE (2017年1月9日). “メリル・ストリープ、怒りのスピーチ全文公開。ゴールデングローブ会場が総立ち”. ELLE. 2021年5月22日閲覧。
- ^ “Twitter Reacts To Meryl Streep's MMA Diss At The Golden Globes” (英語). Pundit Arena (2017年1月9日). 2021年5月22日閲覧。
- ^ “UFC Rankings | UFC.com”. us.ufcespanol.com. Zuffa, LLC. 2021年5月22日閲覧。
- ^ “Twitter Reacts To Meryl Streep's MMA Diss At The Golden Globes” (英語). Pundit Arena (2017年1月9日). 2021年5月22日閲覧。
- ^ 第3話以降は高島雅羅から平野文に変更された。
外部リンク
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