MF文庫J(エムエフぶんこジェイ)は、日本の出版社であるKADOKAWA・メディアファクトリーブランドから発刊されているライトノベル系文庫レーベル。2002年7月25日創刊[注 1]。
キャッチコピーは「見つけよう、キミのおもしろい!」[1][注 2]。
概要
映画の小説化作品を始めとする日本国外の翻訳作品を中心に扱ってきた「MF文庫」のサブレーベルとして「日本」(Japan)と「ジュブナイル」(Juvenile)の頭文字を取り「J」が付けられた。なお、創刊から2023年7月にかけて長きにわたり使用していたレーベルロゴは、2023年7月にリニューアルされた[1]。
創刊時より全タイトルの価格を580円+税に統一している。緑色の背表紙が特徴で、創刊時は裏表紙も緑色であったが、2010年に裏表紙の装訂を白基調に変更している。また、この装訂変更に伴いアンケート葉書の折り込みを廃止して、奥付のQRコードから携帯電話専用のアンケートページにアクセスさせるようになった(回答者にはオリジナルの待受画像を提供する)。
創刊当初は初期のライトノベル系レーベルの例に漏れず、アニメ・コンピュータゲーム等のメディアミックス作品が多くみられたが、MF文庫Jライトノベル新人賞の受賞者がデビューした2004年頃からオリジナル作品に人気の中心が移り、2007年頃よりほぼ完全にオリジナル作品中心のラインナップを確立した[注 3]。
ボーカロイド楽曲のノベライズ作品を精力的に刊行している。それらの作品等は「アペンドライン」というレーベル内レーベルに纏められている[2]。当初、通常枠で出ていたボーカロイド楽曲のノベライズたる作品や、フリーゲーム原作の作品、またMF文庫Jで主流となっている萌え要素が抑えられた作品も「アペンドライン」に収められた。しかし、「アペンドライン」の試みは短期間(2014年 - 2015年)で廃止された。とはいえ、その後もボーカロイド楽曲のノベライズは提供している。
積極的に電子出版に打って出ているのも特徴である。比較的新しい書籍で、新品の本より値段を安く設定し「最強☆読書生活」(ワーズギア)やeBookJapan、電子書店パピレス、ビットウェイブックス、Handyブックス、BookLive!、BOOK☆WALKERなどで電子書籍版を発売している。自社では2011年11月より「MFラノベ☆コミック」を扱ったが[3]、こちらは2015年3月末日を持って配信終了した。
なお、メディアファクトリーがリクルートの子会社として設立された経緯から、2000年代後半には角川グループ・一ツ橋グループに属さない出版社から刊行されているライトノベル系レーベルとして最大のシェアを誇っていたが、2011年11月にリクルートはメディアファクトリーを角川グループホールディングスに売却したため、現在は「角川系」レーベルの一つとなっている(売却後の一時期はKADOKAWAが「ブランドカンパニー制」を採用していた事から、発行元は“ KADOKAWA メディアファクトリーブランドカンパニー ”という形で記載されていた。現在はブランドカンパニー制が廃されているため、公式な表記から「メディアファクトリー」は徐々に消えつつあり、2016年7月刊行分からはそれまで裏表紙に表記されていたメディアファクトリーのロゴが削除されている)。
メディア展開
アニメ
- 本レーベル発の作品では、2006年に「陰からマモル!」・「神様家族」・「ゼロの使い魔」が相次いでアニメ化され、その後も「かのこん」・「聖剣の刀鍛冶」・「けんぷファー」・「あそびにいくヨ!」・「えむえむっ!」がアニメ化されている。特に2011年はTBSとの連続アニメ化プロジェクトとして「IS 〈インフィニット・ストラトス〉」・「緋弾のアリア」・「まよチキ!」・「僕は友達が少ない」の4タイトルが相次いでアニメ化された。その後「この中に1人、妹がいる!」・「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」・「変態王子と笑わない猫。」・「機巧少女は傷つかない」・「星刻の竜騎士」・「魔弾の王と戦姫」・「魔法戦争」・「ノーゲーム・ノーライフ」・「精霊使いの剣舞」・「アブソリュート・デュオ」のアニメ化がされた。2014年12月に「緋弾のアリアAA」・「ミカグラ学園組曲」が、2015年4月に「学戦都市アスタリスク」、2016年4月に「Re:ゼロから始める異世界生活」がそれぞれアニメ化発表された。2017年7月に「ようこそ実力至上主義の教室へ」がアニメ化された。2019年7月に「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」がアニメ化され現在に至るまでこれら数多くの作品が映像化された。
漫画
- 漫画化は同じ出版社の『月刊コミックアライブ』や『コミックフラッパー』を中心に行っているが、MFが角川に吸収合併されてからは他社が発行している雑誌での連載も多くなり、スクウェア・エニックスの『ヤングガンガン』、ワニブックスの『コミックガム』、ライトノベル市場では角川と競合関係にある集英社の『ジャンプSQ.19』や講談社の『月刊少年シリウス』などの雑誌で、本レーベルの作品を原作とする漫画化作品の連載が行われている。
作品一覧
- 緑は小説化(非オリジナル)・スピンオフ作品。
- 紫はアペンドライン作品。
- 同一のシリーズでありながら、短編集や外伝、続編でタイトルが異なる場合、基本的に最初のシリーズ作品タイトルの下へ記述している。
以下に作品を追加するときには、作品を五十音順に並べ、著者名の他、完結済みかどうかも出来る限り併記してください。また、新たに記事を作るときはリンクをつけてください。
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
映像化作品
アニメ化
実写映画化
作品
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公開年
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監督
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配給
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備考
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僕は友達が少ない
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2014年
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及川拓郎
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東映
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WEBラジオ
2011年9月22日よりホビレコードからWEBラジオ番組「MF文庫Jラジオあらいぶ!!」が放送されていた。番組名は途中で「MFカフェ文庫Jあらいぶ!!」にリニューアルし、2015年3月25日に最終回が放送された。
2015年4月24日よりホビレコードからWEBラジオ番組「のぞみとかなのXX(ぺけぺけ)しようよ☆」配信開始。MF文庫Jの提供によるもので、略称は『ぺけラジ』。2017年9月25日に第50回で最終回を迎えた。番組のスピンオフコミカライズの連載に合わせ、「のぞみとかなとめえむのXXしようよ!おかわり☆」となって2ndシーズンが2018年6月20日から2019年8月20日にかけて第11回まで放送されたが、配信はコネクトハーツによるPeriscopeに変わり、MF文庫Jの提供がなくなってコミカライズ連載誌のアニメージュが加わった。ちなみに2019年9月20日から2020年12月20日まで「ぺけらじ」として3rdシーズンが配信されていたが、やはりMF文庫Jの提供はないものの、番組内企画でMF文庫Jの作家が手がけることもあった。
インターネット番組
2016年10月28日から2017年12月5日まで、主に新刊情報を発信するためtwitterの公式のMF文庫J編集部アカウントにておおよそ140秒でMF文庫Jの情報番組「今村彩夏のその席、空いてますか?」が配信されていた。2017年12月29日よりリニューアルし、「今村彩夏×MF文庫J Channel」が同様の形態で配信されていた。略称は『あやかはJC』。第20回となる2018年5月25日に最終回。本配信の他に、2017年12月25日にプレ配信回、2018年6月1日に打ち上げ回も配信した。
イベント
2012年7月29日、MF文庫Jの創刊10周年を記念し、秋葉原UDXにおいて『MF文庫J 10周年記念 夏の学園祭』が開催され、MF文庫Jの各人気作品のイベントステージが行われた。その後も毎年7月か9月に同内容のイベントが開催されている。
2016年は場所を恵比寿に変更し、会場としては事前抽選制のライブ及びトークステージのみに使うなど、従来と大きく内容が変更されていた。
2017年は再び秋葉原に復帰し、内容もほぼ2016年以前に近い形になったが、会場はベルサール秋葉原で開催は9月10日であった。なお、10月は電撃文庫と富士見ファンタジア文庫のイベントが同じ場所で行われたため、KADOKAWAのラノベイベントが2ヶ月連続で続くことになった。
2018年と2019年は、7月最後の日曜日に同場所で開催された。MFとしての単独イベントは2019年を最後に一旦休止し、2021年3月6日から4月11日の間ではKADOKAWAの他レーベルと合同で「KADOKAWA ライトノベルEXPO2020」がオンラインで開催されていた[4]。
2022年に単独イベントが3年ぶりに復活。しかし、オンライン開催のみとなる[5]。
脚注
注釈
- ^ なお、メディアファクトリーは創刊当時はリクルートの子会社「株式会社メディアファクトリー」であった。現在に至る経緯は#概要の節を参照の事。
- ^ 株式会社メディアファクトリー時代は「キミを撃ち抜くおもしろさ!」で、メディアファクトリーがKADOKAWA吸収合併されてから2023年7月までは「めくり、出逢う、おもしろさ!」。
- ^ ただしその後も2012年に「輪廻のラグランジェ」、2017年に「ハンドシェイカー」、2020年に「ラピスリライツ」が当レーベルで小説化するなど、完全に撤廃したわけではない。
- ^ a b c 単行本として刊行
- ^ 読み方はリンク先の"各話リスト#補足編#Number.38.2"を参照の事。元々GGGフランス支部を主舞台とした物語であり、主登場キャラクタの殆どがフランス語に関係する。
出典
関連項目
外部リンク