電撃文庫
電撃文庫(でんげきぶんこ)は、KADOKAWAが発行している、日本の文庫レーベル。1993年6月、旧メディアワークスより創刊した後、株式会社アスキー・メディアワークスが引き継ぎ、2013年10月より現在の体制になる[注 1]。 現在の編集部署は株式会社KADOKAWA出版事業グループ・コミック第3局・電撃メディアワークス編集部[1]。 沿革・特色1992年10月、当時角川書店副社長であった角川歴彦は兄・角川春樹との内紛で角川書店から離れ、かつて社長を務めていた子会社角川メディアオフィスの社員とともにメディアワークスを設立し、「電撃」5誌を創刊した。そして、角川スニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫と競争するためにも「新しい時代を生きる若者たちに斬新な作品を新たな文庫本として提供したい」歴彦は自ら指揮をとり、メディアワークスの若者向け文庫レーベルとして、角川スニーカー文庫の作家陣と作品群が移行する形で、1993年6月に創刊された。歴彦もまた、父・角川源義の書いた角川文庫発刊の辞と岩波文庫発刊の辞を繰り返し読み、「電撃文庫の創刊に際して」と書いて、岩波文庫から角川文庫に続く古い教養の歴史の系譜としたのです[2]。 初回刊行タイトルは『漂流伝説 クリスタニア 1』(水野良)・『聖マリア修道院の怪談 極道くん漫遊記外伝』(中村うさぎ)・『ダーク・ウィザード 蘇りし闇の魔道士』(寺田憲史)・『瑠璃丸伝 当世のしのび草紙 1』(松枝蔵人)の4タイトル。創刊当初は角川スニーカー文庫を基盤に活動していた深沢美潮、中村うさぎ、あかほりさとるなどのベテラン作家陣による作品と、テレビゲーム・アニメ等のノベライズ・翻訳小説を中心に出版していたが、新人作家を積極的に発掘するため、1994年「電撃ゲーム3大賞」の小説部門扱いで「電撃ゲーム小説大賞」(2004年に「電撃小説大賞」と改称)が創設された。この新人賞からは、長期シリーズ化でレーベルの看板的作品となった『ブギーポップは笑わない』で第4回電撃ゲーム小説大賞を受賞した上遠野浩平、『アクセル・ワールド』で第15回電撃小説大賞を受賞した川原礫を筆頭に、高畑京一郎、古橋秀之、秋山瑞人、三雲岳斗、高橋弥七郎、成田良悟、支倉凍砂など多くの人気作家を輩出、レーベルの隆盛に貢献した。また、緒方剛志、黒星紅白、原田たけひと、灰村キヨタカなど、若手イラストレーターの登用も意欲的に行い、ライトノベルに於けるイラストレーションの世代交代を推し進めた。 レーベルの特徴は、初期は角川スニーカー文庫から枝分かれしたこともあり、それほど差異はなかったが、黒丸尚が翻訳したウィリアム・ギブスン、ルディー・ラッカーらのサイバーパンクSFを、よりコンピューター・ゲーム的なSFファンタジー小説として描いた第2回電撃ゲーム小説大賞受賞の『ブラックロッド』と、眉村卓などのジュブナイルSF小説を現代的にアップデートした『ブギーポップは笑わない』の金字塔的ヒットにより、過去のSFファンタジー小説や青春小説を青少年向けライトノベルとして現代的にアップデートする手法と路線が意識的に採られるようになった。 2000年代以降は電撃小説大賞出身のレーベル生え抜き作家によるオリジナル作品が中心となったが、上記の路線は1990年代後半から2000年代前半の時点では、SFや一般文芸などの既存ジャンルからほとんど無視されていた[注 2]ことが逆に幸いし、多種多様なタイプのヒット作が生まれ、少年向けライトノベルの代表的レーベルとして[要出典]「ライトノベル」ジャンルでの国内最大シェアを維持している。この成功には、テレビアニメ化や『月刊コミック電撃大王』『月刊少年ガンガン』などでのコミカライズといった積極的なメディアミックス展開に加え、イベント開催、「電撃組」と呼ばれる書店への優先配本による効率化、書店での販促用ポストカードの配布など、多様な販売戦略も奏功した。 2000年代後半以降は有川浩や橋本紡など、一般文芸へ越境する作家も出てきたが、既にライトノベルでしか描けない小説ジャンルが確立されており、致命的なダメージには至っていない。 2020年現在、新刊の発売日は毎月10日で、月に10冊前後の新刊が発売されている。2004年10月発売の『キノの旅VIII the beautiful world』で通算1000タイトル、2010年9月発売の『ゴールデンタイム1 春にしてブラックアウト』で通算2000タイトル、2015年10月発売の『ヘヴィーオブジェクト 外なる神』で通算3000タイトルを記録した。2009年11月、総発行部数は累計1億冊を突破し、それを記念したキャンペーンが行われた。また、『とある魔術の禁書目録』(2010年10月)と『ソードアート・オンライン』(2014年7月)と『魔法科高校の劣等生』(2019年9月)は国内累計1000万部突破を達成している。 「電撃の単行本」として単行本(ハードカバー)形態で出版されるものもあり、初期の「電撃ゲーム小説大賞」受賞作品の刊行や、普段ライトノベルを読まない層を狙ったタイトルの発売が行われている。特に『図書館戦争』は新聞や雑誌の書評で大きな話題を呼んだ。2019年1月には、WEB系エンタメノベルを扱うサブレーベルとして「電撃の新文芸」が単行本(ソフトカバー)形態で創刊されたり、文庫形態では、2009年12月に姉妹レーベル的な存在として“非ラノベレーベル”を意識した新レーベル、「メディアワークス文庫」が創刊され、「電撃の単行本」で刊行されていた作家や、電撃文庫でも青年向け(ライト文芸)の傾向が強い作家が徐々に異動しているため、電撃文庫側の月刊刊行点数は若干減少傾向にある。 レーベルの雑誌媒体としては、1998年から『電撃hp』が刊行され、2007年に『電撃文庫MAGAZINE』へ継承されたが、2020年に休刊した。 2010年6月、第16回電撃小説大賞最終選考作として刊行した『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』が盗作と指摘され、絶版・回収措置が取られる不祥事が発生。全国紙でも報道された。 作品→「Category:電撃文庫」を参照
映像作品アニメ化
テレビドラマ化
実写映画化
関連レーベルの作品ハードカバー主婦の友社の単行本メディアワークスの出版物の販売業務委託先として主婦の友社から電撃文庫が発売されていた時期に、電撃ゲーム小説大賞受賞作品の一部などがハードカバーで出版されたこともある。一般層への普及を目指したと見られ、ハードカバー時に電撃のレーベルが付いていないが、発売後に電撃文庫として再出版されたものを、以下に、仮に「主婦の友社の単行本」と表記して挙げる。 電撃の単行本電撃文庫のレーベルから出ているハードカバー単行本[3]。挿絵の付くものもあるがアニメ調のものは少ない。サスペンスや恋愛小説が多い。『野性時代』などの一般文芸誌に広告が載ることもある。画集も含まれることがある。
電撃イラストノベルイラストノベルという形態で書かれた作品のレーベル。電撃hpや電撃の缶詰などで告知され、通販限定販売がなされる。2008年現在、これにあたる作品は川上稔とさとやすの著作2点のみである。また、他に電撃文庫が出した通販限定本の例としては電撃ヴんこ等が挙げられる。 電撃ビジュアルノベル絵本形式の単行本であり、電撃文庫の既存作品のスピンオフが主だが、オリジナルの作品の出版もされている。
電撃ポストカード文庫ページが絵ハガキになっていて、切り取って使用可能な「電撃ポストカード文庫」が1994年7月に3タイトル刊行されたが、以後はこのレーベルの新刊は発売されていない。
電撃ゲーム文庫→詳細は「電撃ゲーム文庫」を参照
電撃G's文庫→詳細は「電撃G's文庫」を参照
電撃CD文庫
電撃の新文芸→詳細は「電撃の新文芸」を参照
関連ソフトDS電撃文庫→詳細は「DS電撃文庫」を参照
電撃学園RPG Cross of Venus→詳細は「電撃学園RPG Cross of Venus」を参照
電撃文庫 FIGHTING CLIMAX→詳細は「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」を参照
関連出版物折り込み広告
雑誌
目録
関連ツール
ラジオ番組
電撃文庫初期のメディアミックスの媒体としてラジオは多用されたが、ラジオ番組での宣伝やラジオドラマの制作は、テレビでのCMや映像化に比べて安価であったため盛んに行われた[4]。 電撃大賞→詳細は「電撃大賞 (ラジオ番組)」を参照
文化放送などで放送された、電撃ゲーム小説大賞とタイアップしたラジオ番組。 電撃小説大賞第1回と同じ年の1994年10月–12月、『電撃大賞クリス・クロス』として放送。1995年4月『電撃大作戦』として再開し、1996年4月『電撃大賞』としてリニューアル。2015年3月まで20年半の長きに渡り放送された。パーソナリティは男女1組で1年 - 数年程度で交代する。 番組内容は電撃小説大賞・電撃文庫と関連が薄いが、毎年2月(前年の電撃小説大賞受賞者の受賞作が電撃文庫から刊行される)には受賞者が出演し作品について語るほか、時たまおかゆまさき・時雨沢恵一など電撃作家がゲスト出演した。 電撃十年祭 アニメ&ゲーム秋の陣2002年10月14日の電撃10年祭当日の13:00~16:00に文化放送で放送された特別番組。おたっきぃ佐々木と桑谷夏子をパーソナリティーに10年祭の会場である幕張メッセからの中継を交えて放送。 DENGEKI 15×15(でんげきフィフティーンバイフィフティーン) 2007年11月24日・25日の「電撃15年祭」に向け、ラジオ大阪・文化放送で放送された15分番組。 パーソナリティはフリーアナウンサーの荘口彰久。電撃作家や電撃アニメ出演声優などがゲスト出演した。 DENGEKI 20×20~電撃20年祭への道(でんげきトゥエンティバイトゥエンティ) 2012年10月20日・21日の「電撃20年祭」に向け、ラジオ大阪・文化放送で放送された20分番組。パーソナリティーは引き続き荘口彰久が担当。 電撃文庫Webラジオ 喜多村市立竹本学園電撃文庫公式サイトおよびニコニコアニメチャンネルで配信された。 2008年6月27日–2009年3月27日、毎週金曜夜更新の全38回(7月4日・1月2日は休止)。ニコニコアニメチャンネルではバックナンバーは全回聴取可能。 電撃文庫、電撃文庫MAGAZINE、電撃学園RPG Cross of Venus の関連情報を届けるラジオ番組。番組放送中はスタジオ内の様子の写真がスライドショー形式で表示された。番組でメールを読まれたリスナーにはノベルティとして『学生証』が送られると番組内でアナウンスされていたが、実際には送られていない。 ゲスト
うぇぶらじ@電撃文庫電撃文庫1億冊突破を記念して開始された。2009年9月10日より電撃文庫公式サイトで配信開始。 出演者はうえむらちか、明坂聡美、おかゆまさき、三木一馬、上坂すみれ。加えて毎回、電撃作家がゲスト出演する。 毎月10日更新。 2011年末に明坂聡美、上坂すみれが卒業。 2012年からは三澤紗千香の加入と、毎月10・25日更新となった。 →詳細は「うぇぶらじ@電撃文庫」を参照
niconicoでの配信2013年6月5日より、動画配信サービス「niconico」にて、有名作品や著名人などの連載小説を読むことができる「ニコニコ連載小説」というサービスで電撃文庫の書下ろし作品も掲載されていた[5]。またそれに合わせて「ニコニコチャンネル」にて「電撃文庫チャンネル」が開設され、上記の「ニコニコ連載小説」の他にCM動画などが公開されている。電撃文庫20周年記念として展開されていたが2016年10月30日で終了した[6]。 「niconico」とは小説の連載やCM動画の配信だけでなく、「多数決ドラマ」というユーザー参加型のメディアミックスでも協力関係にある。 公式動画チャンネル「niconico」で電撃文庫20周年記念として配信されていた上記(#niconicoでの配信)の「電撃文庫チャンネル」があったが、そちらはすでに終了している。その後、2019年8月に「YouTube」にて同名の動画チャンネルが開設されている。YouTubeでの動画チャンネルではやはりCMをメインに投稿されていたが、PVの数も増えていって、2020年12月からは作品の一部を声優に朗読してもらう「【電撃文庫朗読してみた】」という企画も開始された[7]。他にも関連ラジオのミニコーナー(声優ラジオのウラオモテ コーコーセーラジオ!出張版)の再配信や、声優の山下大輝と作家の駱駝の生放送動画番組「山下駱駝」のYouTube上での配信も行っている。 その他
脚注注釈
出典
関連項目
下記2項目は電撃文庫の各作品に登場する人気キャラクターたちがクロスオーバーするゲーム 外部リンク
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