月刊少年ガンガン
『月刊少年ガンガン』(げっかんしょうねんガンガン)は、スクウェア・エニックスが発行する日本の月刊少年漫画雑誌。エニックス時代の1991年3月12日に創刊。毎月12日発売。 月刊で創刊し、1996年4月12日に第2・第4金曜日発売の月2回刊になった後、1998年4月12日から月刊に戻っている。 概要2011年現在の対象読者はゲーム世代の中学生男女[1]。しかし、実際の読者は高校生が14パーセント、大学生以上が30パーセントである[1]。誌名は『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』で初出となった作戦コマンド「ガンガンいこうぜ」にちなんでいると言われている。 少年漫画誌では一二を争うほどの厚さがある[4]。創刊当初は一般的な厚みで、月2回刊時は1996年・1997年には600頁、1998年には500頁程度だったが、月2回刊を経て月刊に戻った際に厚みが増し再び月刊化した1999年には800頁に膨れ上がっている[5]。一時期1000ページを超えたこともある。CMで「『ガンガン』を人の体に落とすと危険」というギャグを使ったこともある。特大号と付く号は1000ページを超える。ただし各作品のページ数は、連載枠獲得のための公募作掲載コーナーが出来たことによる作品数増加で落ち着いている。このため、第三種郵便物の認可を受けているものの、実際には重量制限である1キログラムを超えるため送ることは出来ない。 2021年現在の定価は550円または600円(税込)。創刊当初の定価は390円(税込)。隔週発行時は280円 - 300円(税込)。 歴史前史ゲームメーカーであるエニックスは『ドラゴンクエスト』等ゲームの販売に依存した収益構造を変え、収入を安定させるために出版部門に進出する[6][7]。ゆくゆくはゲームソフト事業に次ぐ主力部門を目指した[8]。 当初は攻略本など『ドラゴンクエスト』中心とする書籍を刊行。1990年頃には、すでに漫画雑誌発行の企画は進んでおり[9]、1990年に出版した漫画アンソロジー『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』は好評を博しシリーズ化。1991年末までに販売されたシリーズ累計で五百万冊に迫るなど相当な人気だった[10]。その一方で新人賞 賞金総額1000万円を懸けて「エニックスファンタジーコミック大賞」を開催。この賞を受賞した渡辺道明、西川秀明、柴田亜美といった漫画家達が後のガンガンで執筆することになる。受賞作品は後に「コミックファンタジーワールド」として単行本化されている。 創刊から人気雑誌へ1991年3月12日に小学校高学年から中学生を対象として創刊[4][11][12]。発売前であった『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の最新情報を毎号掲載しており[11]、創刊時の売りは『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』カセットの読者プレゼント企画だった。創刊半年後の発行部数は30万程[12]。当初は『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』、『南国少年パプワくん』が人気を集める。また『ハーメルンのバイオリン弾き』、『突撃!パッパラ隊』、『魔法陣グルグル』等長期に渡り『少年ガンガン』を引っ張っていく作品も登場する。[独自研究?] それまで20年間ほど月刊漫画雑誌の創刊で成功といえるものが無かったため、出版関係者からの驚きの声があった[13]。評論家・編集者の大塚英志は1994年頃からゲーム系の漫画雑誌が続々創刊したのは、エニックスの成功に刺激を受けたためだとしている[14]。創刊からの好調の要因は主に『ドラゴンクエスト』の要素を前面に出してゲームユーザー向けにしたことと、『ドラクエ』の新作情報を取り上げたことが挙げられている[15][16]。だが、当時の『ぱふ』編集長・猪飼幹太はゲームに頼りすぎず、漫画の魅力を追求したから成功したとしている[16]。 エニックスは『月刊少年ガンガン』に続いて、1995年の月2回刊化までに『フレッシュガンガン』(後の『月刊ガンガンWING』)、『ガンガンファンタジー』(後に『月刊Gファンタジー』に改名)、『月刊少年ギャグ王』といった兄弟誌を創刊していく。漫画雑誌によって出版部門は会社の安定収入基盤となり、『ドラゴンクエストシリーズ』未発売期における業績下支えとなった[17][18]。またこの頃は『南国少年パプワくん』・『魔法陣グルグル』・『ハーメルンのバイオリン弾き』といった人気作品が、エニックスよりゲーム化されている。1995年から売り上げを伸ばすことと単行本数を増やすことを目的として、隔週発行となる[17]。社長の福嶋康博は隔週化により出版部門の売上高20パーセント程増加すると見込んでいた[19]。 誌面の変容創刊当初は一般には『ドラゴンクエストシリーズ』を中心とし、ゲームとファンタジー要素の強い漫画雑誌と見られていた[12]。しかし実際には、『4コママンガ劇場』と『ロトの紋章』を除けば『ドラクエ』とは関係ない漫画の方が多く[13]、創刊当初の編集長保坂嘉弘は「ゲームに偏るクラス・マガジンが目標ではなく、めざすは『ジャンプ』『マガジン』のような一般少年コミック誌」という考えを打ち明けていた[12]。 だが月2回刊化を前後して『少年ガンガン』に変化が現れる。漫画評論家・伊藤剛は、1990年代中頃からそれまでの漫画とは異質な作品が『少年ガンガン』及び兄弟誌で現れ出したことを実感し[20]、後に編集長を務める松崎武吏は、1995年頃から読者の年齢層が上がって「特定層の好みに傾いてしまった」と語っている[4]。次第に誌面は、少年漫画・少女漫画との枠が無くなり、それぞれの色が混在する独特の雰囲気となっていき、いつしか連載作品は「ガンガン系」「エニックス系(スクウェア・エニックス系)」と呼ばれるようになり、周辺雑誌を含めて連載される作品がそう呼ばれるようになった[20]。 保坂の考えも変わっていったようで、1996年時には「コミック誌にゲームの要素を入れるつもりはなかったし、いまもない」と述べている[7]が、1997年のインタビューでは「ゲームユーザーにゲーム感覚のコミックを提供しようというコンセプト」と語っている[21]。実際に、1997年以降『ポケットモンスター』、『アークザラッドII』、『スターオーシャン』、『モンスターファーム』といった『ドラクエ』以外のゲームを題材とした漫画が掲載されるようになる。一方で、作品の自社ゲーム化は1997年の『忍ペンまん丸』を最後に一時途絶える。2000年12月の『ドキドキ♡伝説 魔法陣グルグル』がゲームボーイカラー用ソフトとして発売されているが、それ以外は合併されるまで発売されていない。その他『突撃!パッパラ隊』が2000年3月にJ・ウイングからゲームボーイ用ソフトとして発売されている。[独自研究?] 1998年4月に再び月刊に戻る。この頃保坂嘉弘から飯田義弘に編集長が変わる。[要出典]再月刊化後は『まもって守護月天!』、『刻の大地』、『ジャングルはいつもハレのちグゥ』、『スターオーシャン セカンドストーリー』など女性漫画家の作品が人気を出していった。[独自研究?] エニックスお家騒動→詳細は「エニックスお家騒動」を参照
エニックス系の作品が人気を出している中、現状の方向性などで編集部内での反発・対立が起き、2001年に『月刊少年ガンガン』および周辺雑誌の編集長を務めた保坂嘉弘が退社し、新会社・マッグガーデンを立ち上げる。そしてエニックスの漫画雑誌から編集者と漫画家・作品が引き抜かれてしまうお家騒動が発生する。周辺雑誌では打ち切りの作品が相次ぎ、『月刊少年ガンガン』でも多くの漫画の連載が終了。人気のあった『まもって守護月天!』『新撰組異聞PEACE MAKER』『魔探偵ロキ』はそのまま新雑誌に移ることになり、編集長だった飯田義弘も移籍してしまう。この混乱時期を支えたのは『ジャングルはいつもハレのちグゥ』『東京アンダーグラウンド』『スパイラル 〜推理の絆〜』といった以前から残った連載作品と、連載終了と入れ替わりの新連載群である。後に『月刊少年ガンガン』の中心となる『鋼の錬金術師』もその際の新連載の一つであった。お家騒動中の2001年9月に編集長を就任した松崎武吏は、再び少年漫画を中心とした方向転換を目指したと語っている[4]。 エニックスお家騒動後2003年4月1日、エニックスがスクウェアと合併、スクウェア・エニックスとなると『ファイナルファンタジー』、『キングダムハーツ』といった、旧スクウェアのゲームを題材とした漫画も掲載されるようになった。そして同年10月、新連載群の一つであった『鋼の錬金術師』がTVアニメ化されると『月刊少年ガンガン』の部数が増加[4]、出版業界で漫画雑誌全体の売り上げが伸び悩む中、大幅に部数を伸ばした[22]。スクウェア・エニックスは『鋼の錬金術師』以後、人気作品を自社スポンサーとしてアニメ化して認知度を向上させ、単行本収益を増加させる方法が採られた[23][24]。そこから『ながされて藍蘭島』、『屍姫』、『ソウルイーター』や、外部タイアップの『ひぐらしのなく頃に』、『とある魔術の禁書目録』などの作品がメディアミックス化されていった。 2010年7月号は、『鋼の錬金術師』の最終回掲載により、全国の書店で『月刊少年ガンガン』の売り切れが続出した。対処として、同年の9月号にも最終回を再録することとなった[25]。 『鋼の錬金術師』連載終了後2010年、『鋼の錬金術師』の連載が終了し、『月刊少年ガンガン』の売上が減少し始める。ヤングガンガンで連載している『咲-Saki-』のスピンオフ作品『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』、『スパイラル 〜推理の絆〜』の城平京が原作の『絶園のテンペスト』、『ソウルイーター』の外伝作品『ソウルイーターノット!』、『とある魔術の禁書目録』関連の作品などを連載するも、全国出版協会の推定値によると、2004年に37万部、2010年時点で15万部だった発行部数は、2015年現在2万部にまで落ち込んでいる。[独自研究?]2016年5月号で創刊25周年となり、ロゴや使われている紙などを変更しリニューアルを行った。2017年3月号より電子版の配信を開始した。[要出典] 2021年、創刊30周年となった[26]。12月10日、荒川弘が『黄泉のツガイ』の連載を2022年1月号より開始した[27]。 連載作品2024年8月号現在。
連載終了作品あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
主な読み切り映像化作品アニメ化
テレビドラマ化
実写映画化
発行部数これらの部数は全国出版協会発行の「出版指標 年報」掲載の推定値であり、実数ではないので注意が必要である。
歴代編集長関連誌
ガンガンコミックス
ガンガンコミックスは、『月刊少年ガンガン』および増刊の『ガンガンパワード』に掲載された作品を主に収録する漫画単行本レーベル。1991年9月創刊[57]。略称は「GC」。 通常は新書判で、主に連載時のページ数が少ない4コマ・ショートギャグ作品など作品によってはA5判やB6判で刊行される場合もある。判型の違いによりレーベルの名称が変わることは無い。 サブレーベルとしてガンガンコミックスデラックスがあり、こちらは2003年2月に『LUNO』(冬目景、B6判)の発行で創刊している。特徴として、四角い枠のGCがタイトルの上部に入る。掲載作品により、デザインが異なる。 脚注出典
関連項目外部リンク
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