『スパイラル 〜推理の絆〜』(スパイラル すいりのきずな)は、原作:城平京・作画:水野英多の漫画作品。またこれを原作とする小説、アニメおよびドラマCD作品である。漫画は『月刊少年ガンガン』で1999年9月号から2005年11月号まで連載された[1]。2019年4月時点でコミックス累計発行部数は520万部を突破している[2]。
連載当初は本格的推理漫画であったが、後半になると「『ブレード・チルドレン』と呼ばれる常人より優れた体力、知力を持った少年少女たちとの戦い」、および「天才と呼ばれる歩の兄、鳴海清隆と歩の兄弟の心理的葛藤」がメインテーマとなっている。各話のサブタイトルは往年のSF小説などをもじったものが多い。
あらすじ
月臣学園1年生の鳴海歩はある日、校舎の屋上から一人の少女が転落するのを目にする。その事件をきっかけに、歩は同じ学園の先輩である結崎ひよのとともに、「ブレード・チルドレン」と呼ばれる特殊な境遇の少年・少女たちの謎を追うこととなった。その過程で、歩は失踪した兄・鳴海清隆に対する複雑な感情と向き合うことになる。
登場人物
- 鳴海 歩(なるみ あゆむ)
- 本編の主人公。月臣学園1年生。クールな美少年。兄の清隆に対するコンプレックスから閉塞的な性格をしている。
- 結崎 ひよの(ゆいざき ひよの)
- 本編のヒロイン。歩と同じ月臣学園に通う高校2年生で、新聞部部長。誰に対しても丁寧語を用い、性格も悪くはないが、手段を選ばない一面があるなど、少々腹黒い。
- 鳴海 まどか(なるみ まどか)
- 警察官。歩の初恋の相手であるとともに義理の姉である。歩と同居している。美人だが、性格はガサツ。
- 鳴海 清隆(なるみ きよたか)
- 警察官。歩の兄で、まどかの夫である人物。あらゆる事に驚異的な才能を持っているが、突然、歩たちの前から姿を消した。
書誌情報
スパイラル・アライヴ
漫画版本編の「サイドストーリー」にあたり、相互に独立して読めるようになっている。
小説
『小説 スパイラル〜推理の絆〜』のタイトルで2001年から2004年までの間に4冊が発売された。鳴海歩を主人公として漫画版の挿話となるエピソードを描いた長編と、鳴海清隆を主人公とした短編『外伝 名探偵 鳴海清隆 〜小日向くるみの挑戦〜』から構成される。
外伝 名探偵 鳴海清隆 〜小日向くるみの挑戦〜
漫画版には登場しない少女小日向くるみを語り手に据え、鳴海清隆を探偵役とした本格推理小説。時系列は本編の約4年前となっている。漫画版の単行本が出版される度にガンガンNET「スパイラル推理の絆」で短編が発表され、その後、単行本に収録された。4巻の書き下ろし長編『幸福の終わり、終わりの幸福』をもってシリーズが完結している。原作単行本9巻の巻末には、『外伝 名探偵鳴海清隆 小日向くるみの挑戦』として漫画版が収録された。
書誌情報
アニメ
タイトルは『スパイラル -推理の絆-』。2002年10月から2003年3月まで、テレビ東京系で放送された。放送当時は原作が終了しておらず、核心にも迫っていなかったこともあり、後半からはオリジナルの展開が多く、伏線等は回収されず原作でのキャラクター「カノン」とのオリジナル展開での対決の後に放送を終了した。その後、2007年1月6日から6月30日までTOKYO MXで再放送された[8]。
スタッフ
主題歌
- オープニングテーマ「希望峰」
- 作詞・歌 - Strawberry JAM / 作曲 - あき / 編曲 - 野村義男
- エンディングテーマ「カクテル」
- 作詞・作曲 - たくや / 編曲 - 佐久間正英 & Hysteric Blue / 歌 - Hysteric Blue
- サウンドトラック
- 『スパイラル 〜推理の絆〜 テレビアニメーションサウンドトラック』 (SVWC1322)
各話リスト
話 |
サブタイトル |
脚本 |
絵コンテ |
演出 |
作画監督 |
放送日
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1 |
運命の螺旋 |
高橋ナツコ |
金子伸吾 |
木宮茂 |
桜井木の実 秦野好紹 |
2002年 10月1日
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2 |
死の聖樹館 |
政木伸一 |
浅見松雄 |
井嶋けい子 寺澤伸介 |
10月8日
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3 |
呪われた子供たち |
北条千夏 |
奥田誠治 |
三宅雄一郎 |
桜井木の実 武内啓 |
10月15日
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4 |
信じる者の幸福 |
田中哲生 |
道理保 |
清水博明 金鐘學 |
10月22日
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5 |
霧の死刑台 |
堺三保 |
葛谷直行 |
山内東生雄 |
桜井木の実 青井清年 |
10月29日
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6 |
包囲網の死角 |
高橋ナツコ |
江島泰男 |
大河原晴男 |
11月5日
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7 |
信じぬ者の選択 |
田中哲生 |
葛谷直行 |
桜井木の実 青井清年 武内啓 |
11月12日
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8 |
敗者ばかりの日 |
北条千夏 |
阿部雅司 |
しまだひであき |
11月19日
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9 |
きみにできるあらゆること |
高橋ナツコ |
中島弘明 |
太田博光 |
桜井木の実 武内啓 |
11月26日
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10 |
たった一つの冴えたやり方 |
小出克彦 |
京田知己 |
大久保唯男 |
清水博明 |
12月3日
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11 |
グッドナイトスイートハーツ |
高橋ナツコ |
葛谷直行 |
福本潔 |
青井清年 |
12月10日
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12 |
乾いた瞳 |
北条千夏 |
江島泰男 |
三条実美 |
大河原晴男 |
12月17日
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13 |
Overture(オーバーチュアー)〜序曲〜 |
小出克彦 |
政木伸一 |
桜井木の実 武内啓 |
12月24日
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14 |
甘き香り陽炎に似て |
高橋ナツコ |
金子伸吾 |
浅見松雄 |
井嶋けい子 |
2003年 1月7日
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15 |
ライク・ア・スワン |
田中哲生 |
葛谷直行 |
太田博光 |
木下勇喜 桜井木の実 |
1月14日
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16 |
まねかれざる訪問者 |
北条千夏 |
阿部雅司 |
しまだひであき |
1月21日
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17 |
暗闇のスキャナー |
堺三保 |
葛谷直行 |
福本潔 |
青井清年 |
1月28日
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18 |
嘆きの天使 |
高橋ナツコ |
水島精二 |
新田義方 |
大河原晴男 |
2月4日
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19 |
心の鏡 |
小出克彦 |
葛谷直行 |
大宅光子 |
桜井木の実 |
2月11日
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20 |
ささやく影 |
田中哲生 |
福田道生 |
まつもとよしひさ |
篁馨 吉田隆彦 井嶋けい子 |
2月18日
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21 |
心の砕ける音 |
北条千夏 |
葛谷直行 |
新田義方 |
原田峰文 武内啓 |
2月25日
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22 |
仮面の告白 |
高橋ナツコ 堺三保 |
阿部雅司 |
しまだひであき 篁馨 |
3月4日
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23 |
止まない雨 |
小出克彦 |
葛谷直行 |
福本潔 |
青井清年 |
3月11日
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24 |
高い城の男 |
高橋ナツコ |
大河原晴男 |
新田義方 |
大河原晴男 篁馨 |
3月18日
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25 |
アヤメの凍て解く音 |
葛谷直行 金子伸吾 |
浅見松雄 金子伸吾 |
中山由美 |
3月25日
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放送局
テレビ東京系 火曜18:00枠 |
前番組 |
番組名 |
次番組 |
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スパイラル -推理の絆-
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関連商品
- コミックCDコレクション『スパイラル 〜推理の絆〜 もうパズルなんて解かない』
- 2001年9月、エニックス、ISBN 4-7575-0555-8
- 原作者書き下ろしのオリジナルストーリーによるドラマCD。アニメ化前のドラマCD版キャスト。
- スパイラル完全解説本『LIFE IS SPIRAL』
- 2003年2月、エニックス、ISBN 4-7575-0893-X
- 『スパイラル 〜推理の絆〜』第8巻までの解説や制作裏話、キャラクターの秘話を含めた解説などを収録した解説本。アニメ版キャストによるドラマCD「それさえも貴き日々で」[注釈 1]が付録。
- 水野英多画集『SPIRAL』
- 2003年3月、エニックス、ISBN 4-7575-0930-8
- 『スパイラル 〜推理の絆〜』、『スパイラル・アライヴ』の描き下ろし含めた総計65点のカラーイラストを収録。
- 水野英多画集2『SPAIRAL ALL ALONG』
- 2006年1月21日、スクウェア・エニックス、ISBN 4-7575-1603-7
- 上記の水野英多画集『SPIRAL(スパイラル)』発売以後に本誌等で掲載されたカラーイラストを補完する。描き下ろしは7点ある。
脚注
注釈
- ^ 時系列としては『スパイラル・アライヴ』の数ヶ月前。
出典
- ^ “事業概要”. スクウェア・エニックス・ホールディングス (2013年6月25日). 2017年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月4日閲覧。
- ^ “事業概要”. スクウェア・エニックス・ホールディングス. 2019年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月26日閲覧。
- ^ 記念すべき第1話は当時、台風21号接近のため、気象情報(L字テロップ)と共に放送されたという経緯がある。本放送、MX放送共に13話から14話の間1週分が休止になっている。(本放送は年末の為、MX再放送時は他アニメ特番の為。)
文献
外部リンク