宮津市(みやづし)は、京都府北部にある市。日本海に突き出た丹後半島の東南部(丹後地方)、若狭湾の西側に位置している[1]。日本三景の天橋立などで知られる観光都市である[1]。1954年(昭和29年)市制施行。
概要
間に与謝郡与謝野町(旧岩滝町)を挟み、市域が南北に分かれている。この南北の飛び地を天橋立が繋いでいるが、自動車は天橋立を通行できないため、自動車で南北の飛び地間を移動するときは与謝野町を通過することになる。市の中心部は南部にあり、市街地が宮津湾に面している。天橋立の東側、栗田半島の西側の海が宮津湾、天橋立の西側が阿蘇海である。栗田半島にはリアス式海岸の入り組んだ地形が見られる。北部には世屋高原がある。
小説家の瀬尾まいこは宮津市内の中学校で教師をしていたことがある。『天国はまだ遠く』の映画版は宮津市内で撮影された。『男はつらいよ』シリーズ第29作は宮津市内で撮影された。『Y・O・U やまびこ音楽同好会』は宮津市内で撮影された。川井龍介の著書『大和コロニー フロリダに「日本」を残した男たち』(2015年、旬報社)は、宮津市出身でアメリカ合衆国のフロリダ州デルレイビーチに移民した森上助次らの人生を描いたノンフィクション作品である。
道路では京都縦貫道で京都市と結ばれ、山陰近畿自動車道で兵庫県豊岡市および鳥取県鳥取市と結ばれる予定である。
2021年(令和3年)1月に実施された大学入学共通テストの地理に宮津市を題材とした問題が出題された[注釈 1][2][3]。
地理
地形
山岳
河川
海域
その他
気候
日本海側気候であり、豪雪地帯に指定されている。
宮津(1991年 - 2020年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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18.3 (64.9)
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22.7 (72.9)
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24.4 (75.9)
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30.5 (86.9)
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33.1 (91.6)
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36.6 (97.9)
|
37.8 (100)
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39.0 (102.2)
|
36.9 (98.4)
|
32.1 (89.8)
|
26.9 (80.4)
|
22.4 (72.3)
|
39.0 (102.2)
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平均最高気温 °C (°F)
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7.9 (46.2)
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8.6 (47.5)
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12.4 (54.3)
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17.9 (64.2)
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22.8 (73)
|
25.9 (78.6)
|
30.2 (86.4)
|
31.9 (89.4)
|
27.5 (81.5)
|
22.2 (72)
|
16.6 (61.9)
|
10.8 (51.4)
|
19.6 (67.3)
|
日平均気温 °C (°F)
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4.1 (39.4)
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4.3 (39.7)
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7.4 (45.3)
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12.5 (54.5)
|
17.4 (63.3)
|
21.2 (70.2)
|
25.5 (77.9)
|
26.8 (80.2)
|
22.7 (72.9)
|
17.1 (62.8)
|
11.8 (53.2)
|
6.6 (43.9)
|
14.8 (58.6)
|
平均最低気温 °C (°F)
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0.9 (33.6)
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0.6 (33.1)
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2.7 (36.9)
|
7.2 (45)
|
12.4 (54.3)
|
17.3 (63.1)
|
22.0 (71.6)
|
22.9 (73.2)
|
19.0 (66.2)
|
13.1 (55.6)
|
7.7 (45.9)
|
3.1 (37.6)
|
10.8 (51.4)
|
最低気温記録 °C (°F)
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−6.3 (20.7)
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−7.7 (18.1)
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−5.2 (22.6)
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−1.9 (28.6)
|
3.5 (38.3)
|
7.0 (44.6)
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13.6 (56.5)
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15.2 (59.4)
|
8.8 (47.8)
|
2.0 (35.6)
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−1.7 (28.9)
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−4.2 (24.4)
|
−7.7 (18.1)
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降水量 mm (inch)
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202.9 (7.988)
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150.4 (5.921)
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136.4 (5.37)
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111.9 (4.406)
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132.8 (5.228)
|
146.1 (5.752)
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199.9 (7.87)
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142.1 (5.594)
|
226.9 (8.933)
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156.1 (6.146)
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124.0 (4.882)
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188.5 (7.421)
|
1,917.8 (75.504)
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平均降水日数 (≥1.0 mm)
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20.9
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16.9
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15.2
|
11.7
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10.3
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11.3
|
12.2
|
9.2
|
11.9
|
11.5
|
14.3
|
18.9
|
164.2
|
平均月間日照時間
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70.6
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84.3
|
132.5
|
180.6
|
194.5
|
142.6
|
156.0
|
200.9
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136.7
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137.6
|
106.4
|
81.9
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1,621.9
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出典1:Japan Meteorological Agency
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出典2:気象庁[4]
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地域
行政区画
市内は昭和の合併前の旧町村の区域が小中学校の校区とほぼ重なるため、これに基づき次のようないくつかの地区に分けられる。
- 北部
- 南部
- 吉津地区
- 宮津地区
- 上宮津地区
- 栗田地区
- 由良地区
市の中心部(宮津地区)の東側に栗田地区があり、さらに東の奈具海岸を超えると由良地区があり、舞鶴市につながる。宮津地区の南側が上宮津地区で、天橋立の西側、与謝野町に接する地域が吉津地区である。天橋立の北側(市の北部)には、海岸沿いには南から順に府中地区、日置地区、養老地区があり、日置地区の西側の山間部に世屋地区、養老地区の西側の山間部に日ヶ谷地区がある。養老地区・日ヶ谷地区は北の伊根町につながる。
なお、北部の府中地区と南部の吉津地区は、その間に挟まれた与謝野町の岩滝地区とともに、橋立中学校の校区を構成している[5]。
人口
平成22年の国勢調査の統計では前回の国勢調査からの人口増減をみると、7.25%減の19,953人であり、増減率は府下26市町村中22位、36行政区域中32位。
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宮津市と全国の年齢別人口分布(2005年)
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宮津市の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 宮津市 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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宮津市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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31,603人
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1975年(昭和50年)
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30,194人
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1980年(昭和55年)
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28,881人
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1985年(昭和60年)
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27,895人
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1990年(平成2年)
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26,450人
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1995年(平成7年)
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24,937人
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2000年(平成12年)
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23,276人
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2005年(平成17年)
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21,512人
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2010年(平成22年)
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19,948人
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2015年(平成27年)
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18,426人
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2020年(令和2年)
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16,758人
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総務省統計局 国勢調査より
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近畿2府4県の市としては人口が唯一2万人を割り込んでおり、最も人口が少ない。人口の減少が止まらず、全域が過疎地域に指定されている[6]。
隣接自治体
- 京都府
歴史
中近世
- 室町時代
- 戦国時代
- 安土桃山時代
近現代
行政
市長
- 市長:城﨑雅文 - 2018年7月2日就任。1期目。
- 歴代市長[7]
- 徳田富治 - 1954年7月3日就任。1958年7月2日退任。
- 矢野二郎 - 1958年7月3日就任。1984年7月9日退任。
- 徳田敏夫 - 1984年8月5日就任。2006年6月23日退任。
- 井上正嗣 - 2006年7月2日就任。2018年7月1日退任。
- 城﨑雅文 - 2018年7月2日就任。
議会
- 衆議院
姉妹都市・提携都市
国内
- 提携都市
国外
- 姉妹都市
- 友好都市
施設
国や府の機関
警察
- 警察署
- 交番
- 駐在所
- 栗田駐在所 - 宮津市上司
- 吉津駐在所 - 宮津市須津
- 府中駐在所 - 宮津市中野
- 日置駐在所 - 宮津市日置
- 由良駐在所 - 宮津市由良
- 養老駐在所 - 宮津市岩ケ鼻
消防
- 本部
- 消防署
- 分署
医療・福祉
郵便局
- 郵便番号
2007年に変更された。
- 宮津郵便局(626、629-2231、629-2232、629-2233、629-2234、629-2241、629-2242、629-2243、629-2244、629-2251)
- 岩ヶ鼻郵便局(626-02)
文化施設
1967年には多目的ホールとして島崎公園に宮津会館が開館。1971年には宮津会館の南東に宮津市立図書館が開館し、1983年には宮津市立図書館の南に宮津市立前尾記念文庫が開館した。2000年には宮津会館の西にみやづ歴史の館が開館し、宮津会館と一体的に運用されている。2017年には宮津市立図書館がミップルに移転。
経済
第一次産業
漁業
第二次産業
工業
- 主な工場
電気
才賀藤吉が1910年(明治43年)2月に事業許可を受け、6月に宮津電燈[10] を設立し発電所(瓦斯力、出力75kW)を建設。1911年(明治44年)1月に事業開始したが[11]、1912年(明治45年)7月に宮津電燈、丹波電気、丹後電気三社合併し、両丹電気へ社名変更した[12]。
第三次産業
商業
- 主な商業施設
拠点を置く主な企業
- 京都北都信用金庫(ほくとしんきん)本店営業部(店番号 001)現存する信用金庫で三番目に古い歴史がある。
- フクヤ本社
- 京都銀行(京銀 きょうぎん)宮津支店(両丹銀行、宮津銀行、丹後商工銀行および丹後産業銀行の4行合併による丹和銀行創立時よりの流れを汲む)
- 日本冶金工業大江山製造所(2003年、日本冶金工業の大江山製造所が分社化されYAKIN大江山となったが、2010年に再び日本冶金工業と統合された)
- 金下建設株式会社(本社)
- 株式会社三洋商事
- グンゼ(登記上本社は綾部市)
- さとう宮津店(宮津シーサイドマート ミップル)
- 北近畿タンゴ鉄道株式会社(本社・運行本部。本社は京都市・福知山市を経て2013年6月より)
教育
高等学校
- 府立
- 私立
中学校
- 公立
- 市立
小学校
- 市立
幼稚園
- 市立
- 私立
研究機関
交通
鉄道
市の中心となる駅:宮津駅
鉄道路線
- 京都丹後鉄道(丹鉄)
索道
- 丹後海陸交通
バス
一般路線バス
- 丹後海陸交通(丹海バス・本社・京都府・与謝野町)
- 橋北移送サービス
- 養老・日ヶ谷・日置・世屋地区と、周辺の医療機関・店舗・基幹路線停留所等を結ぶデマンドタクシー。
- 利用登録済の地区住民のみ乗車可能。祝日・盆・年末年始を除く平日・土曜に運行。
- 丹後海陸交通日置世屋線の代替となっている。
高速バス
丹後地域と京都市・大阪市を結ぶ昼行路線が運行されており当市を経由する。いずれも丹後海陸交通が運行するが、大阪線は阪急観光バスとの共同運行である。
※太字は宮津市内の停車地。宮津市外の丹後地域の停車地は省略。
道路
高速道路
- 西日本高速道路(NEXCO西日本)
国道
府道
- 主要地方道
- 一般府道
道の駅
航路
港湾
- 指定港
- 漁港
船舶
- 丹後海陸交通
- 平日は概ね30分間隔、土休日および8月上旬・中旬は20分-30分間隔で、9時から16時(冬期)18時(夏期)まで運航する。宮津桟橋発着は1往復のみ。
- 伊根航路
- 宮津桟橋 - 天橋立桟橋 - 伊根 - 日出(伊根湾めぐり遊覧船のりば)(所要時間50分)
名所・旧跡・観光スポット
2007年度には約267万人が訪れた[13]。宮津市は京都府において京都市・宇治市に次いで3番目に観光入込客数の多い自治体である[13]。夏には多くの海水浴客で賑わう。
名所・旧跡
- 城郭
- 神社
- 寺院
- 成相寺 - 成相寺。真言宗の寺院。木造地蔵菩薩坐像などが国の重要文化財。
- 智恩寺 - 文珠。臨済宗妙心寺派の寺院。「智恵の文珠さん」として知られる。多宝塔や木造文殊菩薩・脇侍などが国の重要文化財。
- 金剛心院 - 日置。真言宗系単立寺院。後宇多天皇より下賜された本尊の厨子入木造愛染明王坐像(秘仏)は国の重要文化財。丹後最古の仏像とされる伝宝生如来も重要文化財。
- 如意寺 - 山椒太夫伝説に縁のある寺。
- 見性寺 - 小川。浄土宗の寺院。与謝蕪村が約3年間滞在した。
- 如願寺 - 宮町。真言宗の寺院。宮津藩主の祈願所となった。
- 妙立寺 - 中野。日蓮宗の寺院。厨子が国の重要文化財。
- 禅海寺 - 日置。臨済宗妙心寺派の寺院。木造阿弥陀如来及両脇侍像三体と千手観音立像が国の重要文化財。
- 妙円寺 - 日置。日蓮宗の寺院。八景園が京都府指定名勝。
観光スポット
-
廻旋橋
-
金引の滝
-
カトリック宮津教会
-
旧三上家住宅
-
天橋立ビューランド
-
丹後魚っ知館
文化・名物
祭事・催事
- 祭事
- 催事
- 精霊船という大きな灯籠を宮津港で燃やし、付近に小さな追っかけ灯籠を流す。
名産・特産
出身関連著名人
出身著名人
政治家
学者
実業家
芸術
その他
脚注
注釈
- ^ 地理Bの第5問に京都市に住む高校生のタロウが宮津市の地域調査を行ったという設定で天橋立や宮津市街地の城下町に関する問題、宮津市北部の山間部の集落に関する問題等が出題された[2][3]。
出典
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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