国鉄トラ70000形貨車
国鉄トラ70000形貨車(こくてつトラ70000がたかしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が1967年(昭和42年)から製作した 17 t 積の貨車(無蓋車)である。 概要1940年代 - 1960年代に製作されたトラ6000形・トラ30000形などの長尺物対応半鋼製無蓋車(通称「長トラ」)を淘汰する目的で開発され、1967年(昭和42年)から1969年(昭和44年)までに5,100両(トラ70000 - トラ75099)が製作された。国鉄が開発・製作した二軸無蓋車の最終形式で、同様に旧型車の淘汰目的で開発された短尺(コトラ)系のトラ55000形とともに大量に製作され、各地で汎用的に使用された。国鉄末期には鉄道貨物輸送の相対的な比重低下・車扱貨物輸送の縮小、コンテナ輸送の進展などから在籍数は漸減していき、1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には特定運用に限定使用する少数の車両のみJR各社に承継された。 日本貨物鉄道(JR貨物)の所属車は2003年(平成15年)までに全車が廃車され、その後も旅客会社に承継されたイベント車両や事業用目的の車両が残存していたが、2018年(平成30年)までにJR各社からは全廃となった。 構造
車体は全鋼製で、基本寸法はトラ30000形と同一である。また、車体幅は社線への乗り入れを考慮して、旧車両限界を適用している。 妻面やあおり戸にはプレス鋼板が用いられているが、床面にはポイントやカーブなどを通過する際に積荷が転動するのを防ぐ目的で幅方向に4か所木材が埋め込まれている。この埋木と台枠が干渉するため中梁がトラ55000形の物より細いものになっている。そのため埋木が無い部分と隙間ができるのでその個所にはプレス鋼板製の受けが入っている。 積載荷重は 17 t で、積載品目による荷重の制限はない。 懸架装置に二段リンク式を採用して 75 km/h での営業走行を可能とし、1968年(昭和43年)10月1日施行の白紙ダイヤ改正(通称:ヨンサントオ)で予定された貨物列車の運転速度向上に対応した。ブレーキ装置は自動空気ブレーキのほか足踏みテコ式の留置ブレーキを側面の両側中央部に備える。 製作時期別詳説
運用の変遷同時期に製作されたトラ45000形・トラ55000形などとともに、経年の進んだ木製無蓋車を淘汰しつつ、砂利・木材など濡損の懸念のない物資の輸送用として汎用的に使用された。一部には「あおり戸」を撤去して緊締装置を取り付け、コンテナの短距離輸送に用いた車両も存在した。貨物輸送体系の大規模な再構築がなされ、大量の貨車が淘汰された1984年2月の国鉄ダイヤ改正においても本形式は使用停止されず、継続して運用された。 1987年の国鉄分割民営化では、残存車を日本貨物鉄道(JR貨物)が承継したほか、イベント用の改造車や事業用として、東海旅客鉄道(JR東海)以外の旅客会社5社にも少数が承継された。JR貨物においても、コンテナ輸送の進展や荷主の輸送手段転換・輸送需要自体の消滅などにより本形式の使用機会は減少しており、特殊品目輸送用として少数が継続使用されるにとどまった。 JR貨物で本形式を用いた最後の運用事例は、横浜本牧駅(神奈川県)から渋川駅(群馬県)への工業塩輸送である。これは専用の FRP製容器を本形式に4個積載する方式で、本運用に使用する車両は側面に「塩積専用」の標記を付して区別した。本形式の老朽化と運転速度向上の要請から、30ft無蓋コンテナ UM30S 形 によるコンテナ車での輸送に切り替えられ、本形式での運用は2003年(平成15年)に終了している。同年度中に残存全車が除籍され、本形式のJR貨物所属車は消滅した。 2017年(平成29年)4月1日時点で、トロッコ列車用として改造された車両や事業用車としては九州旅客鉄道に3両が在籍するのみであり3両とも保留車であった。この3両も2018年2月から3月にかけて廃車され[1]、JR各社においては全廃となった。このほか、除籍後に保線用の資材運搬車両として転用された車両も一部に存在する。改造の詳細については後述する。 譲渡車・保存車
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参考文献
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