くしろ湿原ノロッコ号
くしろ湿原ノロッコ号(くしろしつげんノロッコごう)とは、北海道旅客鉄道(JR北海道)が釧網線釧路駅 - 塘路駅・川湯温泉駅間にて1989年(平成元年)6月24日から運行しているトロッコ列車(臨時列車)ノロッコ号の一つである。 概要釧路湿原の国立公園指定を機に、1989年(平成元年)に登場した観光列車[新聞 2]。かつては日本一遅い列車として人気を集め、現在は北海道を代表する観光列車ノロッコ号の内の一つとなっている。 釧路湿原をのんびりと走行しながら景色を楽しめる。春から秋にかけて、釧網線は釧路湿原に一部沿うように約1時間かけて走行する。車ではなかなか見られないような景色を望め、 蛇行する釧路川や、野生動物たちの姿も目の前に楽しめる[1]。 歴史
運行概況主に、ゴールデンウィーク時期に釧路駅 - 塘路駅間を1日1往復、夏には同区間を1日2往復運行する。2008年(平成20年)8月13日には、累計乗車人数が100万人を突破し[8]、2009年(平成21年)で運行20周年を迎えた。2016年(平成28年)からは客車が5両から4両に減車となった。 かつては毎年秋に塘路駅 - 川湯温泉駅間で延長運転が行われていたが、2012年(平成24年)10月31日以降行われていない[JR 2]。2019年(令和元年)からは、同年5月に運行開始30周年を記念して延長運転を行う[5]など、一部の日程で延長運転が行われるようになっている。 なお、ノロッコ号運行開始当初は時速30 km/h程度の低速運転[新聞 12]を行い、「日本一遅い列車」として注目を集めていた[9]。1998年(平成10年)に登場した新型車両は、同年6月の試運転で函館線札幌駅 - 小樽駅間を平均時速40km、最高時速70kmで走行し、翌年4月に「小樽ノロッコ号」として営業運転する[新聞 13]など、従来車両よりも高速で走行できるようになった。 停車駅釧路駅 - 塘路駅間運転時 釧路駅 - 川湯温泉駅間運転時(2012年まで) 釧路駅 - 川湯温泉駅間運転時(2019年以降[10]) 使用車両牽引機関車
ノロッコ号専用塗色となっている[11]。機関車にはヘッドマークが取り付けられる。釧路湿原のラムサール条約登録40周年など、節目の年には特別なヘッドマークが取り付けられることもある[6]。 過去に使用された牽引機関車
客車 50系客車を改造した客車4両編成である。1998年(平成10年)より使用を開始した2代目の車両である。編成内容は以下の通り。塘路・川湯温泉寄りが1号車。JR北海道苗穂工場で改造された。旧型車両と比べ窓枠を大きくし開放感を高めているほか、外装や座席にふんだんに木材を使用している。北海道の自然にマッチした緑色の塗装を施している[新聞 7]。なお、この車両の形式名「オクハテ510」は、札幌市中央区に居住していた鉄道愛好家が命名したものである[新聞 14]。
※機関車は塘路・川湯温泉方に位置しており、釧路方の先頭車両(オクハテ510-1)最前部には運転台が設けられている。釧路へ向かう時はオクハテ510から最後尾の機関車を制御して推進運転[14]を行う、日本の鉄道史上でも数少ないプッシュプル列車である。 過去に使用された客車
運行開始当初はこの3両が使用された。函館にて改造が行われた[新聞 2]。雪氷や釧路湿原の川と緑をイメージした白地にグリーンとブルーのラインをあしらった塗装とした[15]。機関車の赤はたんちょうを現した[新聞 2]。1998年(平成10年)5月5日を最後に当列車の運用から離脱した。
担当車掌区車内販売2号車にあるカウンターにおいて乗車記念品や弁当、お土産品の車内販売を行っている。そのため、ワゴンサービスは行っていない。JR北海道が客室乗務員による車内販売を全廃した中[JR 9]、2022年(令和4年)現在でも車内販売が継続されている[6]。 運行サービス釧網線は釧路湿原を縦断するように線路が敷設されている。そのため、釧路川との接近や、岩保木水門を見ることができ、また、野生動物に出会うことがある。その際には列車を減速または停止させることがある。また、観光列車であるため、見どころでは車内アナウンスによるガイドが行われている。車内では記念の乗車証明書が配布される[6]。 その他の列車涼風たそがれノロッコ号1997年(平成9年)7月27日より運転を開始した臨時列車。夏季の夕方に、釧路駅 - 塘路駅間を1往復した。釧路駅を18時頃出発し、釧路湿原の風を満喫する列車であった[新聞 4]。現在は運転されていない。 くしろ湿原紅葉ノロッコ号1999年(平成11年)10月1日より運転を開始した臨時列車。1998年(平成10年)10月に初めて運転された釧路駅 - 川湯温泉駅間の「くしろ湿原ノロッコ号」の名称を変更する形で登場した。10月1日から11月30日にかけて、通常のノロッコ号の運転を延長し、釧路駅 - 川湯温泉駅間で運転された[新聞 10]。列車でしか入れない手つかずの大地や、色鮮やかな紅葉を楽しめる列車であった。2005年(平成17年)10月31日をもってこの名称での運行は終了し[JR 1]、翌年からは再び「くしろ湿原ノロッコ号」の名称で運行されるようになった[JR 10]。 なお、10月中の「くしろ湿原ノロッコ号」の運転について、2013年(平成25年)からは釧路駅 - 塘路駅を1日2往復するダイヤに変更された[JR 3]。さらに、2015年(平成27年)、2016年(平成28年)に相次いで列車の運行日数・本数が削減され[JR 11][JR 12]、2019年(令和元年)時点では、10月のうち14日間、1日1往復運転されている[JR 13]。 夕陽ノロッコ号2020年(令和2年)9月28日から運転を開始した臨時列車[JR 8]。釧路駅 - 塘路駅間を1往復する[JR 8]。下り列車が通常より遅い運行となり、日没の時間帯の釧路湿原を走行する[6]。9月28日 - 30日の3日間運行された初年度は全列車がほぼ満席となるなど、大変好評であった[17][JR 14]。 利用状況JR北海道釧路支社によると、近年の利用実績や運行実績は以下のとおりである。
脚注出典
JR北海道
新聞記事
参考文献
関連項目外部リンク |