南海りんかんバス
南海りんかんバス株式会社(なんかいりんかんバス)は、和歌山県のバス会社。 概要南海電気鉄道の100%出資子会社で、橋本市の路線を運行する橋本営業所と、世界遺産の霊場高野山内の路線および護摩壇山や奈良県野迫川村への急行バスを運行する高野山営業所がある。また両営業所ともに貸切バス事業も行っている[2]。これら2つの営業所は直接自社の路線で繋がっておらず、南海高野線・南海鋼索線を介して接続する。鋼索線運休時や災害による鉄道不通時は、橋本・高野山の両営業所間で車両融通をしながら代行輸送を行う(大阪の南海バスによる応援車もある)。 高野山内のバス運行区間のうち高野山駅前から女人堂の手前までは南海りんかんバス専用道路となっており、南海りんかんバス以外の車両は通行することができない。 野迫川村においては、1日数便とは言え村の中心部を走るバスの一つであり、また同村内では唯一の民間バス路線である[注釈 1]。また、「高野山・熊野」聖地巡礼バスの高野山駅前・護摩壇山区間(護摩壇山・栗栖川・熊野本宮大社前区間は龍神自動車による運行)を担当しており、龍神温泉へのアクセスの一翼を担っているほか、高野山と熊野本宮大社を短絡する移動手段となっている。 2004年に高野山が世界遺産に登録以降、海外、特にフランスからの来訪者が増加したため、高野山営業所の車内放送は日本語、英語、フランス語の3か国語対応となっている。国内の世界遺産登録地を走る路線バス会社としては最小規模ながら、高野山駅前でケーブルカーが到着するたび担当運転士が案内チラシをもって待機し、到着旅客にチラシを配り、英語で案内する活動が国内他社に例を見ないユニークなものとされ、和歌山県の観光功労賞を受賞している。 このほか、高速バス「京都高野山線」(季節便、京阪バスと共同運行)や、高野山麓世界遺産アクセスバス(おおむね9月中旬から11月下旬)の運行を行っている。また、2016年大河ドラマ「真田丸」にゆかりの九度山町内で「九度山町巡回バス(通称「赤備えバス」)」を運行した。 沿革
本社および営業所高速バス京阪バスとの共同運行。2019年度より運行され、同年度は9月20日〜11月24日に、2020年度は9月18日〜11月30日に1日2往復運行された。朝に京阪バスでの高野山行きとりんかんバスの京都行き、夕方に京阪バスの京都行きとりんかんバスの高野山行きが運行されていた。2021年度は4月23日より1日1往復(朝に高野山行きと夕方に京都行き)、9月2日より2往復(朝に高野山行きが2本と夕方に京都行きが2本)運行された。2022・2023年度もほぼ同様の形態で運行されたが、2024年度は秋季も1往復となった[11]。 一般路線バスバス専用道(高野山駅前~女人堂間)において道路構造物の健全度調査を実施するため、2024年8月26日より当面の間、高野山駅前 - 千手院橋で町道・大門を経由する迂回運行を行い、間の女人堂 - 高野警察前間を運休としている[12]。迂回により系統番号が変わっている場合、その系統番号を括弧内に記載する。 高野山スカイライン急行バス記載停留所以外は通過する。予約制である。スルッとKANSAIのカード類は使えなかった。 立里線高野山駅前から、高野山内を経由して、野迫川村方面を結ぶ路線。終点付近にある立里荒神社は弘法大師空海が高野山の開山の際に勧請したといわれている神社であり、「立里の荒神さん」として親しまれている。 2021年4月以降、土休日1往復のみの運行となっている[13]。以前は平日、土休日とも2往復(うち1往復は冬期運休)運行していた。
終点の立里停留所にはホテル開運荘が存在し、雲海が見渡せるホテルとして有名であったが、2012年以降休止となっている[注釈 5]。また隣接して南海電鉄や富士火災海上保険の指定保養所施設が存在しているが、現在は利用されておらず、廃墟状態と化している[注釈 6]。 旧ルート上は桜峠下停留所(通過) - 天狗木峠停留所(通過、廃止) - 野迫川村役場(上垣内)間において県道53号高野天川線を使用していた。同道路は狭隘道路のため、大抵の場合小型車で運行されていたが、現在は高野龍神スカイライン経由のため専ら龍神線と同じ急行専用車で運行される。 新ルートとなって以降、千手院橋から野迫川村役場前までは、同じルートで野迫川村営バスが平日のみ運行されており、役場までの運賃は急行バスの立里線より安い。立里線の平日運休以降、千手院 - 高野山駅の延伸と2往復への増便が行われており、平日に高野山駅・高野町から野迫川村に日帰りで向かう場合は村営バスを利用できるようになっている[14]。 高野龍神線(世界遺産「高野山・熊野」聖地巡礼バス)龍神自動車と連携して高野山駅前と田辺市の龍神温泉、さらに紀伊田辺駅前、本宮大社前を結んでいる路線である。高野山駅前から、高野山内、高野龍神スカイラインを経由し、高野山と龍神温泉のほぼ中間に位置する護摩壇山で両社のバスを乗り換える運行形態をとっている。この路線は急行路線であるため、車両も一部を除きリクライニングシート付きの急行線用バスが使用される。 2024年度は火曜日と水曜日を除いた曜日の4月 - 11月に1往復運行している。冬季(12月 - 3月)は運休する。2019年度以前は冬季を除き平日1往復、土休日2往復の運行だったが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い運休となったほか、年度によって土休日のみの運行となる、春季・秋季のみの運行となるなどの変化があった[15]。
高野龍神スカイラインが1980年7月21日に開通したことを受け、同年8月3日に運行を開始した[16]。2016年度より熊野本宮大社方面との接続を開始した[注釈 7]。翌2017年度より龍神自動車の路線と合わせて「世界遺産『高野山・熊野』聖地巡礼バス」と呼称されている。 高野山営業所一般路線高野山内の移動によく使われる路線である。各路線とも高野山駅前から高野警察前までは同経路を通り、そこから各方面に分かれていく。一番運行本数が多いのは、奥の院前行である。この奥の院前行は、観光客が多い時期に臨時便の運行[注釈 8]がなされており、高野山内の移動は非常にしやすくなっている。 鶯谷線高野警察前で高野山内線と分岐し、北東に進む路線。55系統は高野山小学校の移転に伴い2024年8月31日から運行を開始した。
高野山内線(高野山駅前発着路線)千手院橋から東に進む路線。
基本的には21系統、9 - 13時台に高野山駅前を発車する便は22系統として、夜間に1本高野山駅前 - 奥の院口のみを運行する23系統がそれぞれ運行されている。桜峠下に向かう24系統はごくわずかな本数のみ運行されている。33系統は千手大門線の区間便として、20時半以降に運行される。 なお、迂回運行中の路線図には41系統の大塔口経由となる45系統が掲載されているが、2024年時点では運行されていない。 千手大門線千手院橋から西に進む路線。以前は大門までの運行だったが、2015年4月1日よりパークアンドライド用に新設された大門南駐車場前まで延伸した[17][18]。
32系統の運行は平日朝の大門南駐車場行及び平日夕方の高野山駅前行のそれぞれ1本のみである。21時以降の便は金剛峯寺前止まりの高野山内線33系統となる。 高野山内線(その他)51系統は千手院橋の東西を結ぶ路線。千手大門線と同様に、2015年4月1日より大門南駐車場前まで延伸した。36系統は高野山小学校の移転に伴い2024年8月31日から運行を開始した。
橋本営業所一般路線橋本市内線橋本駅の西にある車庫への路線。橋本駅発着の3路線の休止と紀見橋本病院線の車庫前延伸により、平日片道1本のみとなった。
紀見橋本病院線2020年1月6日より新設[19]。従来の無料市民病院送迎バスを有料路線に置き換えた[20]。
小原田 - 紀見間は廃止された平野線と同一の停留所を経由する。2023年4月3日から車庫前に延伸した。 紀見線林間田園都市駅の北側にある紀見ヶ丘に向かう系統と、橋本駅の西にある車庫への入出庫系統がある。かつては橋本駅前から紀見峠までの系統もあった。
林間田園都市線林間田園都市駅から南海橋本林間田園都市の各住宅地に向かう路線。三石台沿いの道を南下、東に向きを変え城山台、小峰台を経由する。その後、さらに東進し霜草経由で彩の台[注釈 9]に直行する便と、北回りの経路で彩の台に向かう便(橋本市民病院前・小峰台二丁目経由)、およびそれらの途中止めの便がある。 彩の台を経由する系統については特筆なき場合、林間田園都市駅前を出発し、彩の台を循環したのち、同一経路で林間田園都市駅に戻っている。
1980年11月4日に御幸辻駅前 - 城山台センターの区間で運行開始。林間田園都市駅開業に伴い同駅発着となった。2017年8月26日より36系統が、2021年4月1日より15系統と37系統が新設された[13]。 彩の台への急行便や城山台北発着便も存在したが、現在は設定されていない。 高野山麓世界遺産アクセスバス橋本丹生都比売線高野丹生都比売線
秋季の土休日のみ運行。両路線は丹生都比売神社前で容易に乗り継げるダイヤとなっている。また、バス車内などでお得な企画乗車券「ぐるっとパス」が販売されている。本路線は年ごとに運行ルートなどが変わっており、例として2016年までは妙寺駅を[21][22]、2017年度から2022年度は高野口駅前を経由していた。2024年度は運休となった。 なお、正月[23]・祭礼時[24]には橋本駅・妙寺駅・千手院橋から丹生都比売神社前への無料送迎バスが運行される。 橋本市コミュニティバス沿革
現在の路線一部経路は南海りんかんバスや和歌山バス那賀の廃止路線の経路をたどる。 東西幹線・東部線は主に幹線道路である国道24号を直通するが、その他の路線は下記停留所間で直線的な経路をとらず、迂回することが多い。
休廃止路線高野山営業所立里線(旧ルート、県道53号高野天川線経由)
高野洞川線
玉川線
高野花坂線
橋本営業所有料道路線1965年時点では、橋本駅前 - 中の橋を運行していた[28]。1985年1月末時点では、高野口駅前 - 中古沢と高野山駅前 - 花坂に分断されていた[29]。のちに前者は廃止され、後者は高野花坂線となった。 吉原線1985年1月末時点の運行経路[29]
菖蒲谷線1985年1月末時点の運行経路[29]
恋野線九度山線橋本市民プール線
平野線
紀見線の一部
九度山町内巡回バス『真田赤備えバス』NHK大河ドラマ「真田丸」の放送に合わせ、2016年1月24日 - 2017年1月7日の土休日および特定日に運行された。運賃は大人100円、小児50円。赤く塗装された車両を用いていた[30]。
林間田園都市線
林間平野線
山内線国道24号を東進したのち北上し、橋本市北東部へ向かう路線。2015年12月改正で、これまで別系統であった上山内系統と平野系統を統合し、ループ状の経路とした[4]。2023年4月1日に休止された。国道24号の区間ではコミュニティバス東部線が運行され、末端部ではデマンドタクシー「あやの台線」が運行されている。
真土線国道24号を東進し橋本市東部へ向かう路線。かつては県境を越え五條バスセンターまで向かっていたが、2008年3月31日限りで奈良県内にあたる上記区間が廃止となり、五條市内への乗り入れが完全に消滅した。残りの区間も2023年4月1日に休止された。
2002年1月15日までは橋本駅前 - 五條バスセンター間が奈良交通との共同運行路線であったが、以降は当社の単独運行路線となっていた。京阪バスの18号経路とともに、奈良県内においてスルッとKANSAI対応カードの使用が可能な数少ないバス路線の1つであった。 橋本病院線2015年12月5日より新設[4]。2023年4月1日に休止された。
車両2023年3月31日現在、34台のバス車両を保有する。うちノンステップバスは21台、低床バス(ここではノンステップバス、ワンステップバス、スロープ付きバスを指す)は25台[36]。 一般路線バスの多くは南海バスの現行塗装と同じ塗装か、模様は南海バスと同じで色を白地に緑と黄緑に差し替えた塗装のどちらかが施されている。後者のりんかんバス独自のデザインは高野山の山と空(雲)、さらにお寺(茶色)をイメージしており、2009年に導入したハイブリッドバスで初めて採用された[37]。一部の車両には、観光列車「天空」と同様に赤と緑を基調としたカラーリングや[38]、南海電鉄時代に採用していた緑を基調とした塗装が施されている[注釈 13]。過去にはNカラー(南海電鉄バスで1980年代に登場した塗装で、車体に「N」と書かれていた)や、急行バス専用塗装[39]も存在した。高速バス用の車両は南海バスの昼行高速バス用車両と同様の塗装である。 橋本営業所では近年、南海バスから車両を譲渡されたり、バリアフリーに対応した最新鋭の車両の増備が進んでいる。一時期は、和歌山県で大型の新型車両が導入される唯一の地区であった。また、高槻市交通部、立川バス、神戸フェリーバスから移籍した車両も導入されている。(立川バスから移籍した車両は高野山営業所に転属している)2015年には同社初のAT車も導入されている[40]。 高野山営業所の車両は大半が大型車であり、急行路線(立里線・高野龍神線)には専用の車両が採用されている。高野山営業所ではここ数年車両に変化が無かったが、2007年4月に橋本営業所から清川橋・花坂両線及び急行バスの立里線用の小型ノンステップバスが転属、更に2009年には中型ワンステップバスも各一台転属した。その後2009年からは大阪府の排気ガス規制の影響で初期のワンステップバス等が順次転属している他、2009年12月より日野・ブルーリボンシティのハイブリッド車が2台導入された。この車両は在来車の塗装パターンを基調に専用の塗装を採用している。また、高槻市交通部と阪急バスから移籍した車両も導入されている。 全国でも珍しく、濃飛バスとともにリフトアップされたローザ4WDを80条バスでない一般路線バスで使用していた。(主に玉川線の清川橋発着の路線などで使われていた。先述の小型ノンステップバスに置き換えられ廃車となった)
特徴的なもの高野山営業所管内の特定区域が乗り放題の「高野山内1日フリー乗車券(1100円)」が同営業所窓口で発売されており、最初に乗車したあと1回目の降車時には本体を乗務員に提示し、券片隅部だけを切り離して運賃箱に入れる(2回目以降の降車は本体を乗務員に提示するのみ)。最終的に高野山駅前まで戻ってきたときに、本体を乗務員が回収する仕組みになっている(運賃表示器にはその旨を記載したステッカーが掲示されている)。高野山営業所窓口では路線図と山内主要停留所時刻表が併記されたリーフレットがあり、誰でも自由にもらうことが出来る。 2015年より、同様の手段で高野山道路の新道開設により道路沿いに新設された「大門南駐車場」からパークアンドライド方式で乗り換えることで利用する「高野山内パーク&ライド1日フリー乗車券」が新発売されている。 これらの山内向け切符は、高野町内を通過する急行バスでも奥の院前までの乗車は可能である。 そのほか、南海電鉄の鉄道切符と高野山内2日フリー乗車券がセットになった「高野山・世界遺産きっぷ」が発売されている。2021年3月31日までは急行バスと南海電鉄の鉄道切符がセットになった「高野山・立里荒神きっぷ」も発売されていた。 脚注注釈
出典
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