ロジャー・ディーン
ウィリアム・ロジャー・ディーン(William Roger Dean、1944年8月31日 - )は、イングランド出身の画家、イラストレーター、アートデザイナー、建築家[1]。 ヒプノシス、キーフと並び称されるアート・デザイナー。主にプログレッシブ・ロックのバンドのアルバムのアート・ワークを数多く担当して、様々なバンドのファンから親しまれている。幻想的な作風を用いて、色づかいや枠線の描き方に東洋絵画風の要素が見られる。特にイエスに関連した作品で知られ、第6のメンバーと呼ばれたこともあった(イエスとの共同作業を参照)。 母ジェーン・ディーン、妻アマンダ・ディーン、娘フレイヤ・ディーン[2]も芸術活動に携わっており、後年はロジャーファミリーとして共同の仕事もしている[3]。 略歴1944年、4人兄弟(弟:マーティン、妹:ペニー、妹:フィリッパ)の長男として、イングランドのケント州アシュフォードに生まれる。父親がイギリス軍のエンジニアであったため、キプロスや香港などを転々とする幼年期、少年時代を過ごした[4]。1959年、一家は帰国し、彼はアシュフォード・グラマー・スクールに進学。 1961年、結婚前にカンタベリー州の芸術学校で服飾デザインを学んでいた母ジェーンの影響からか、カンタベリー州の王立家具デザイン学校の3年コースに入って銀細工の加工と家具のデザインを学んだ[4]。1965年、ロンドンの英国王立芸術大学(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)に入学し、デザインの国家免許を取得。1968年、同校を卒業した後、工業デザイナーとして働き始める[4]。 1968年、ロニー・スコッツ・ジャズ・クラブの改装に携わった関係で、エイドリアン・ガーヴィッツらのザ・ガンのアルバム『悪魔天国 (Gun)』のジャケット・デザイン[5]を依頼された。作品が好評だったため、ジャケット・デザインの仕事も手がけるようになった[4][6]。当時のアパートのルームメイトはピンク・フロイドに在籍していたシド・バレットだったという[7]。 1971年、イエスの4作目のアルバム『こわれもの』のジャケット・デザインを担当。同アルバムを皮切りに商業的に成功していったイエスを初め、ユーライア・ヒープやジェントル・ジャイアントのジャケット・デザイン、或いはヴァージン・レコードのロゴやレーベルのデザインなどを次々と手がけ[4][6]、プログレッシブ・ロックのファンを中心に音楽ファンの間で知名度が上がっていった。 1975年、初の画集『Views』をイギリスで出版[4]。同画集は『悪魔天国』から当時の最新作だったスティーヴ・ハウのソロ・アルバム『ビギニングス』まで、その制作過程まで含めて収録している。 イエスとの共同作業ディーンがイエスのアルバム・ジャケットのデザインを担当するようになった経緯は、ブルーレイおよびDVDビデオ『イエスソングス 40周年記念HDニューマスター版』(2012年)に特典映像として収録されたインタビューで本人、スティーヴ・ハウ、クリス・スクワイアによって説明されている。彼はアトランティック・レコードのロンドンの上級副社長だったフィル・カーソンにジャケット・デザイナーとしての自分を売り込みに行った。カーソンは彼の作品を気に入って、彼を所属バンドのレッド・ツェッペリンとイエスのどちらかのアルバムのジャケットの制作に起用することを考え、当時『こわれもの』(1971年)を制作していたイエスに紹介した。 彼のイラストがもつ透明で幻想的なグラフィック・イメージは、イエスが追求した音楽性を聴き手に喚起させる力が強く、メンバーにも高く評価された。スクワイアによれば、『こわれもの』に使用された絵は彼がカーソンに会った時点で既に完成しており、厳密な意味で彼とイエスの最初の共同作業は次作『危機』(1972年)のジャケットだった。彼は引き続いて『イエスソングス』(1973年)、『海洋地形学の物語』(1973年)、『リレイヤー』(1974年)などのジャケットのデザインを一手に引き受けて、イエスの全盛期のアルバム制作に貢献した。 1970年代前半はイエスのステージ・セットのデザインにも携わっており、ツアーに同行することも多かった[4]。1973年3月の日本公演にも同行し、イエスの専属カメラマンを装って記者会見の会場に姿を現したが、目ざとい記者に見破られてメンバーと一緒にインタビューを受けさせられた[8]。 なお、上記『イエスソングス 40周年記念HDニューマスター版』彼のインタビューによれば、彼は『究極』(1977年)も『マグニフィケイション』(2001年)も担当するつもりだったが、前者はメンバーと意見が合わず、後者はイエスのマネージメントから別の人に頼むと告げられた。 カバーアート提供作品イエス・ファミリーイエス
エイジア
スティーヴ・ハウ
リック・ウェイクマン
その他イエス・メンバー関連
その他のアーティスト
日本のバンド
アートワーク
画集
エピソードなど
脚注注釈
出典
参考文献オリジナル
日本語
外部リンク |